『貞子さんとさだこちゃん』貞子が主人公のコメディ作品の感想(ネタバレ注意)
このレビュー記事を読んだ人は・・
7日後に死んだり死ななかったりするかもしれません。
スミマセン嘘です。(笑)
中学生の頃に見た『リング』を観た時に、ホラー映画なんて怖くないと思っていた僕に眠れぬ夜を与えてくれた貞子。
いや、『リング』を観た日の夜、マジでなかなか寝られなかったんですよね。
あれから20年。
SNSをやってみたりと映画の外の貞子は随分とゆるキャラじみてきていて、ちょっとした愛されキャラが定着し始めているのが面白いですね。幽霊とはいえかなり強烈な個性を持ったキャラクターなので、わからなくもない扱いだとは思います。
映画の中の貞子は相変わらず超怖いですけど。(笑)
実は、『リング』は面白かったけど同時にあまりにも怖かったので関連作品の映画はこれまで観たことがありませんでした。
しかし、最近の貞子の愛されキャラぶりを見て少し興味が出てきたので、2019年公開の映画『貞子』は観てきました。
さすがに30代のおじさんになった今なら面白いと思うくらいで夜も眠れないくらいに怖がることは無いだろうと・・
まさか、あんな絶妙なタイミングで上映中に地震が発生してリアルに呪われた感じを体験するとは思いませんでしたが。(笑)
前書きが長くなりましたが、本記事で紹介する『貞子さんとさだこちゃん』は2019年公開の映画『貞子』をベースとした二次創作的な漫画作品となります。
ホラーではなく完全にコメディ作品になっていて、最近の愛されキャラ的な貞子さんが漫画で読めるんです。
貞子は知ってるけどホラーは無理だから登場作品は観たことも読んだことも無いって人でも、コメディ作品なので貞子というキャラクターに触れるキッカケとしてとっつきやすい作品なのではないかと思います。
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本作の概要
映画『貞子』では出番の少ない貞子ですが、『貞子さんとさだこちゃん』の中では今までに見たことのない表情をたくさん見せてくれます。
表情、髪で隠れていて見えないですけど。(笑)
『リング』の頃とは時代が変わった世の中で思い通りに呪いがかけられずに困っていて、映画『貞子』に登場する母親に貞子の生まれ変わりと言われて育った少女さだこと一緒にYoutuberとして活動することになります。
ビデオテープが無くなった世の中で現代的な呪いを模索する貞子に注目です。
本作の見所
貞子とさだこ
貞子1人だけだと漫画作品として微妙ですが、映画『貞子』に登場する貞子の生まれ変わりと言われた少女さだことコンビを組ませることで、面白い相乗効果が発生します。
「私は「貞子」。TVから這い出て人を呪い殺すことが趣・・仕事。今回の獲物はこのクローゼットに南京錠っていうパンキッシュなお部屋をもらってる幼女。正直業が深すぎて引く」
映画『貞子』の中でも、あまりにも不気味なクローゼットの部屋が描かれていて、何もないのに何かがありそうな不気味さを放っていましたが・・
貞子でも引くレベルだったようです。(笑)
「わたしは「貞子」の生まれ変わりなんだって」
さだこも自己紹介。
「私はここにいるのに」と不満顔の貞子が面白いです。
確かに、これは映画『貞子』を観ている時にも思ったことで、「貞子がいるのに貞子の生まれ変わりがいるの?」と疑問に感じた部分です。
まあ、考えてみれば貞子の生まれ変わりだと言っているのはさだこの母親だけなので、事実関係は不明なんですけどね。
貞子のアイデンティティ
そもそも貞子とは、呪いのビデオを観た人間を7日後にTVの中から現れて呪い殺す怪奇だったはずです。
それがある意味普通・・といっても幽霊的な普通ですが、そんな登場してきたわけなのですが、それをさだこに「個性を無くしているのでは?」とツッコミを入れられています。
「皆そうやって動画配信サイトばかり!! TVから出ても誰もいないから上手く呪えなくなったのよ!!!」
貞子さんの苦悩が面白いですが、確かに『リング』の頃と変わらない貞子のままであれば、ブラウン管テレビのように貞子もまた淘汰される怪奇になっていたのかもしれません。
それが映画『貞子』では、Youtube的な動画配信サービスに呪いの映像を流したりしていて、貞子もまた現代的に進化しているのが興味深いです。
動画配信者の貞子
テレビでの呪いが成立しなくなった。
だからといってまさか貞子が動画配信者になるとは・・!(笑)
『貞子さんとさだこちゃん』の中で貞子は動画配信者になっているからか、映画『貞子』の主人公である秋川茉優ではなく、その弟の動画配信者の方がメインで登場しているのがちょっと面白いですね。
「こうやって動画あげて視聴者のところに呪いをかけに行ってるんスか」
ファンタスティック☆カズマこと秋川和真。
貞子の動画を観ていた和真を呪いにやってきたわけなのですが・・
何故か動画配信者仲間の友達になって帰っていくのが微笑ましいです。
動画の再生数が伸びすぎて、結局力尽きて誰も呪いに行けない貞子さんも可愛らしいですね。(笑)
「W貞子で井戸(風呂)から出てくる恐怖映像で動画配信サイト界を震撼させましょう!!」
ちょっとバズ狙いになるくらいハマっているのも面白いと思います。(笑)
収益化する貞子
貞子の髪はトレードマークのひとつですが、この髪はどうやら洗っても全然サラサラにならないようです。
井戸に30年もいたからと言い訳しつつちょっと落ち込んでいるあたり貞子もまた女子だということでしょうか。
そういうわけで貞子は、なんと通販でドライヤーやブラシ等の髪をセットするための道具を購入してきました。
それで貞子の髪もツヤツヤになったわけなのですが、どうして貞子が通販とはいえ買い物ができたのか?
それは和真の協力を得て動画配信サイトの収益化に成功していたからみたいですね。
俗っぽい貞子も面白いと思います。(笑)
コラボ配信
「一緒に配信やってくれないと呪い殺すって言ってるから」
怪奇らしいオファーの仕方ですが、動画配信者仲間のファンタスティック☆カズマにコラボ企画のオファーを出した貞子。
「やっぱりチャンネル登録数を伸ばすのは色んな動画クリエイターとからむのがいいらしいし」
ちょっと怖い表情を見せた貞子でしたが、その理由が俗っぽいのが面白い。
配信者スキルを伸ばす貞子にさだこもツッコミを入れていますが、動画配信者としては正しい姿なのかもしれませんね。
ただし、和真の動画の中に突然井戸の映像が映り込んでいるような形でのコラボになっていて、和真が呪われている動画にしか見えないのが面白いですね。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
恐怖の存在だけではない貞子が読める面白い漫画だったのではないかと思います。
貞子は公式に野球の始球式をやったり、SNSで茶目っ気のある姿を見せたりと、ある意味では公式設定の壁を越えた活躍が増えてきたキャラクターですが、そんな貞子が読める作品が登場することを『リング』が話題となった20年前には想像もできませんでした。
こういうの、原作ファンや映画ファンの中には原作レイプと言う人もいるのかもしれませんが、より多くの人に貞子というキャラクターを認知させることには成功しているのではないでしょうか?
また、『貞子さんとさだこちゃん』以外にも今後『貞子』関連のコミカライズ作品が刊行されるようなので、そちらも楽しみにしたいと思います。