『金色のガッシュ!!(11)』平成最高の激熱バディもの漫画の感想(ネタバレ注意)
清麿大ピンチの11巻です。(前巻のレビューはこちら)
いよいよファウードの体内での探索が始まります。
ファウードの封印の解除。リオウの呪い。ファウードの魔界への返還。
短期間の間に数多くの問題が交錯する緊張感のある戦いが続きます。
特に、清麿・ガッシュペアとリオウとの戦いにおける清麿の決意とピンチには目を離せません。
そして、ついにデュフォー・ゼオンペアがファウード編に本格的に絡んできます。
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本作の概要
ついにファウードに乗り込んだ清麿・ガッシュたち。
巨大な魔物の体内での冒険という、考えてみればなかなかにショッキングなエピソードが始まります。
そして、ついにファウードの封印も解け、想像を絶するファウードの力にも驚かされます。
清麿・ガッシュペアはファウードを止めるためリオウと戦いますが、強敵リオウを相手に大苦戦。清麿に至っては生死の境をさまよう大ピンチに陥ります。
また、ついに暗躍していたデュフォー・ゼオンペアが登場する点にも注目ですね。
本作の見所
清麿・ガッシュへの信頼
ファウードの体内の中でついにウォンレイと再会する清麿・ガッシュ。
「わかってくれ・・リィエンはもう自分の力で体を動かすことができなくなった!!!」
なぜ自分たちのことを捕えようとするのかと最初ティオは責めるように疑問を呈しますが、これは守る王を目指すウォンレイが誰よりも守りたいリィエンの命を救うための行動。
全てを救う選択をしたガッシュとは違いますが、ウォンレイにとってリィエンは大事すぎる存在。ガッシュと同じ選択をするのはそもそも難しかったのかもしれません。
つまり、王としての資質の違いの問題ではなく、置かれている状況の問題もあったのではないかと考えられるのです。
「ガッシュは仲間を見捨てはしない。ティオやキャンチョメ達がいれば、必ず助けに戻ってくる」
清麿・ガッシュたちの人質として捕らえられたティオやキャンチョメ。
清麿・ガッシュを捕えようとしているザルチムたちに、清麿・ガッシュたちを信頼しているからこそ絶対に戻ってくると断言するところがジーンときますね。
(「金色のガッシュ!!」204話より)
そんなウォンレイの置かれた状況を清麿・ガッシュたちに責めることはできません。
というか、誰よりも責めているのは恐らくウォンレイなのでしょう。
「あなただって仲間じゃない!!!」
ティオからしてみれば、ウォンレイは師匠とすら仰いだ存在だったはずです。
強い守る力を持つティオにとって、守る王を目指すウォンレイは眩しかったはず。
その信頼が揺らいでいない様子に、しかしウォンレイが辛そうなのに胸が痛くなりますね。
恐くても頑張るモモン
スケベでいたずら好きで、そして臆病な魔物モモン。
その優れた気配察知能力は臆病な性格から起因するに違いありません。
モモンは嘘を付いたら鼻の下が伸びる特徴があります。
だから清麿・ガッシュたちは気配察知能力に長けたモモンの道案内でファウードの体内を突き進むのですが、ことごとくモモンの指し示した方向と逆に進むことになってしまっているあたり、モモンが怖がっていることが分かりますね。
「モモン、いい加減にしなさい!!!」
そんなモモンを、モモンの人間パートナーであるエルは、なぜ勇気が持てないのかと叱咤します。
「怖いのは私だって一緒なのです!!! ファウードに来てから私、怖くて怖くて仕方ないのです!!!」
臆病で嘘を付いても何も変わらない。
今は前に進むしかないのだと。
エルはそのようにモモンを諭します。
(「金色のガッシュ!!」205話より)
そんなエルや、絶望的な状況でも希望を失わない清麿・ガッシュたちにも触発されたのか他の仲間たちには自分が地図を覚えている内に休むように言って、その上で眠っている仲間たちを運んで移動しようとします。
清麿やガッシュに比べるとやっていることは地味ですが、やっぱり臆病なキャラクターが勇気を持って行動しようとする姿は心に残りますね。
というか、『金色のガッシュ!!』にはそういうシーンが多いように思います。
清麿大活躍
今巻の後半では、清麿は生死の境をさまようほどの大ピンチに陥ります。
そして、それは半ば清麿自身も覚悟していたような節もあります。
その前兆なのかどうかは分かりませんが、今巻では全体的に清麿がいつも以上に頑張っているというか、活躍が目立つような気がします。
人間パートナーであるエリーを犠牲にしてでも、ファウードが封印されたまま魔界に送還しようとするアースに、自己犠牲を口にするエリーに何も言わずに従ってしまっているアースに怒りをぶつける清麿。
(「金色のガッシュ!!」206話より)
現在の清麿の性格からして、大人びているとはいえ小さな子供が自分を犠牲にその他を救おうとすることを許容するわけがありませんよね。
しかし、もしかしたらこれは盛大なフラグだったのかもしれません。
清麿もまたこの後のリオウとの戦いでは自己犠牲を前提としているかのような戦い方をしていますからね。
ファウード復活
ファウードの封印を解くことでリオウの呪いにかかった者を救い、その上で確実にファウードを魔界に帰す方法があるのだと断言し、アースを説得する清麿。
「ム・・この人間・・できる!!」
そういえば超インテリキャラクターである清麿ですが、魔物の王様を巡る戦いの中においては、キレ者ではあっても超天才というところを余すところなく発揮していたかといえばそれは違うような気がします。
ファウードを魔界に帰す装置を、隠してある機能まですべてさらけ出して完全に操作しようとする清麿の活躍は格好良かったですね。
そして、清麿によるとファウードの封印を解いてから魔界に帰すためには90分掛かることが判明しました。
とはいえ、ファウードを帰す目途が全く無いのに比べたら大きな進展で、がむしゃらではなく明確に何をしたら良いのかが判明したとも言えます。
(「金色のガッシュ!!」209話より)
しかも、ファウードを魔界に帰すのみならず、90分生き抜くためにファウードに細工を施しているあたり抜け目がありませんね。
清麿の犠牲
清麿の機転でファウードを溺れさせる寸前まで持って行くことができました。
しかし、そのことにキレたリオウはファウードの目標を日本に定めます。
90分後には魔界に帰されることになるかもしれませんが、ファウードが日本を襲う方が早い。
そういうわけで、リオウとの戦いでは今までになく清麿が焦った様子を見せています。
そう、リオウに対する怒りでかなり迫力があるようにも見えますが、明らかに今までよりも焦っていましたよね?
「これからオレの体に何が起ころうと、オレを振り返るな。何が起ころうとだ。全てを捨てなければリオウは倒せん。日本は・・救えねえんだ」
このセリフも、清麿らしいようでいてそうではないですよね。
少なくとも、エリーに簡単に命を捨てるようなことを言うなと諭した清麿と同じではないような気がします。
(「金色のガッシュ!!」214話より)
満身創痍でザグルゼムを唱え続ける清麿。
「お前は新たな本の持ち主と王になれ!!!」
自分が死んだとしたら新たな本の持ち主が現れるはず。
そんな自己犠牲を前提とした考えは清麿らしくないような気もしますが、ファウードのような巨大な力が故郷を襲うとあっては冷静ではいられなかったのかもしれませんね。
それに、リオウが今までにない強敵だったこともあるかもしれません。
決死の清麿が犠牲となって、ザグルゼムで強化されたバオウ・ザケルガをリオウに直撃させますが、それでもリオウは倒れないくらいだったのですから。
(「金色のガッシュ!!」215話より)
それよりも清麿が倒されたあとのキレたガッシュも気になるところです。
リオウですら見たことの無い輝きを見せるガッシュの赤い本と、体に異変が起きるガッシュ。
この後すぐに仲間たちが現れてリオウには逃げられてしまいますが、この時ガッシュに何が起きたのかが気になるところですね。
清麿の死
相当なダメージを負っていることは明らかでしたが、心臓が止まり、ティオのサイフォジオを連発してもなかなか復活しない清麿。
「私が王様になるまで一緒に戦おうと言ったではないか!!? あれは嘘なのか!? 私はまだ王様になってはおらぬのだぞ!!」
しかし、何とかガッシュの呼びかけで心臓が動き始めた清麿。
予断を許さない状況ではあるものの、そこはさすが主人公補正ですね。(笑)
(「金色のガッシュ!!」216話より)
心臓は動き始めたものの息は吹き返していない清麿に人工呼吸しようとする大海恵がちょっと嬉しそうで、しかしモモンに先を越されるところがちょっと面白いです。(笑)
圧倒的ゼオン
焦っていた節があるとはいえ清麿を一度は死の淵にまで追い込むことになったほどの強敵リオウですが、ファウード編では最初から暗躍している節のあったゼオンにはなすすべもなく敗北してしまいます。
「紫電の眼光、白銀の髪・・まさか・・王族に生まれし雷・・雷帝ゼオン!!」
そのリオウがゼオンの出自を少しネタバレしてくれています。(笑)
また、清麿・ガッシュが全く敵わなかったリオウを圧倒してみせたことで、そのポテンシャルの高さも見えてきましたね。
(「金色のガッシュ!!」219話より)
また、一体どのような形でファウード編に絡んでくるのかが興味深いところだったゼオンですが、どうやらファウード編でラスボスポジションにおさまるようです。
関わってくるだけでまさかラスボスになるとは思っていなかったので、連載当時は驚いた記憶があります。
オマケページ(ガッシュカフェ)
今回のガッシュカフェはロップス、リーヤ、ウマゴンの3体ですね。
マスコットトリオとでも言ったところでしょうか?
ウマゴンと同じく言葉が喋れないロップスが、文字表を使って人間パートナーである名前を伝えたことが明かされ、それでは同じ方法を使えばウマゴンも本名をサンビームに伝えることができるのではないかというエピソードとなります。
これは、文字表を使ってウマゴンが格好良い本名をついにサンビームに伝えることになるのか?
そう思いきや、どうやらウマゴンは既にウマゴンという名前に愛着があるようで、サンビームにウマゴンと呼ばれると嬉しいと伝えます。
なるほど、サンビームにとってウマゴンはやはりウマゴン。今さら本名を伝えるのは無粋なのかもしれませんね。
総括
いかがでしたでしょうか?
かなり成長しているはずの清麿・ガッシュペアですら大苦戦し、清麿に至っては一度は心臓が止まるまで痛めつけられたリオウ。
そんなリオウを圧倒するデュフォー・ゼオンペアが想像以上に強力であることが明らかになりました。
ファウード編においてはラスボスの風格のあったリオウですが、そこにゼオンが加わったことで先行きが見えなくなってきた感じがしますね。
面白くなってきました。(次巻のレビューはこちら)