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『金色のガッシュ!!(9)』平成最高の激熱バディもの漫画の感想(ネタバレ注意)

 

謎の魔界の建造物が登場する9巻です。(前巻のレビューはこちら

石板編はいよいよ決着し、ゾフィスの本も燃やされました。

清麿・ガッシュたちの誰がか良き王になるという決意も新たに、清麿たちは日常へと帰っていきます。

次の大きなエピソードであるファウード編に向けて、徐々に伏線も張られ始めてきますが、大きなエピソードの合間にある日常的なエピソードも面白いですね。

改めて読み返すと、石板編が終わって閑話休題的なエピソードを挟みながら徐々にファウード編に向けての伏線を広げていく構成はかなり秀逸なものであると感じさせられました。

日常を描きながら次への期待を煽られるというか、そんな気がします。

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本作の概要

シェリー・ブラゴペアとゾフィスの戦いも決着し、長かった石板編も大団円を迎えました。

幕間というわけでもないと思いますが、長らく緊張感のあるエピソードが続いたので、日常的なエピソードや短めの人間・魔物ペアとの戦いのエピソードが懐かしく感じられます。

また、そんなエピソードを挟みながらもファウード編に向けての伏線も貼られ始めていて、謎の魔界の建造物がゼオンとともに登場したり、その建造物やバオウ・ザケルガに纏わる何かを知っていそうな魔物アースが登場したり、ますます今後が楽しみになってくる内容になっています。

本作の見所

ゾフィスの悪あがき

シェリー・ブラゴペアに敗れたゾフィスですが、敗北した後も一筋縄ではいきません。

いや、一筋縄ではいかないというか、単なる嫌がらせのような感じなのですが、どうやらこのままではシェリーの親友ココにはゾフィスと一緒に悪事を働いていた記憶が残ってしまうようです。

「やさしい心に戻ったココちゃんは、オレと犯した数々の悪行を思い出し、その罪に一生苦しめられる」

自分のしていたことが悪行だという自覚はゾフィスにもあったようですね。

ともあれ、ココへの罪の意識の置き土産。

これがある限りシェリーにとっては本当の勝利たり得ません。

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(「金色のガッシュ!!」161話より)

必死でココの記憶を消すようにゾフィスに訴えるシェリー。

考えてみれば、これも心をコントロールすることに他ならないわけなのですが、要は時と場合ということなのでしょう。

それにしても、最後には敵の力に頼らざるを得ない状況ってのは一番厄介な状況ですよね。

しかし・・

「魔界に帰った後も・・オレから逃げ続ける生活を送りたいか?」

ブラゴのゾフィスの図星を付いた静かだけど迫力のある強迫に屈して、ゾフィスはココの記憶を消すことを約束しました。

「私の命にかえても、あなたを王にする!!! 必ず・・」

シェリーがゾフィスに勝てたのはブラゴがいたからですが、そこまではシェリーとブラゴの間に利害の一致がありました。

ですがブラゴにはシェリーの親友ココのことまで面倒を見る義理はなく、自分のことだけを考えていたらさっさとゾフィスの本を燃やしてしまった方が合理的だったはずです。

それがシェリーに及ぼす悪影響のことなど考えずに、弱い人間とパートナーにならなければいけないことに愚痴をこぼすような、ブラゴはそんなキャラクターだったように思います。

それが今回はわざわざゾフィスを脅してココの記憶を無くさせることに協力しています。

つまり、ココの記憶を取り戻せたのは自身の利益を度外視したブラゴのおかげなのですね。

だからこそ、シェリーはそんなブラゴを王にすることで恩返ししたいと考えているのだと思います。

ですが本当にココの記憶を取り戻せたのはブラゴだけのおかげなのでしょうか?

いや、ブラゴは初登場時に比べると優しさも兼ね備え始めた王たる風格を持つキャラクターに成長してきていますが、それには間違いなくシェリーが影響を与えていたと思います。

そう考えると、やっぱりココを助けることができたのは、シェリーの存在があったからという所が根本なのですね。

シェリーがいたからこそ、ブラゴが動いたわけですから。

やっぱり、シェリー・ブラゴペアの関係性って清麿・ガッシュペア並みに興味深いものに感じられるような気がします。

魔界の良き王

レイラ・・

良いキャラだったのにここで退場です。

自ら本を燃やすことを選択し、魔界に帰ってしまいます。

自分から本を燃やすといえばコルルのことが真っ先に思い出されますが、とはいえコルルの時のような哀しい感じではありません。

もちろん、別れは哀しいものでしょうけど、そもそもレイラは1000年前の魔物で現在の魔物の王様を巡る戦いの参加者ではありませんし、地球にいたらむしろ立場が微妙なものになってしまいますし、だから単に魔界に帰るというだけだからだと思います。

レイラは人間パートナーのアルベールの心が操られている時から、真のパートナーというものに固執していて、最後にはその想いが通じて良いパートナーになれそうだったので残念ですね。

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(「金色のガッシュ!!」162話より)

そして、シェリーもブラゴを必ず王にすると誓っていましたが、清麿・ガッシュペアとその仲間たちもまた良き王になることを誓い合います。

「この戦いのシステムが、仲間という言葉をなくしてしまっておるのじゃ・・」

ナゾナゾ博士の回想エピソードでナゾナゾ博士も言っていますが、魔物の王様を巡る戦いは勝者が1人というシステム上仲間という概念が入り込む余地は本来ありません。

しかし、清麿・ガッシュペアにとってやさしい王様になるという目標は手段であって根本の目的ではありません。

やさしい王様のいる魔界を作ること」こそが清麿・ガッシュの本当の目的であるはずです。

つまり、そこにいる王が必ずしも自分である必要は無いわけですね。

同じ志を持つ魔物の誰かが王になれば良いわけで、だからこそそんな同じ志を持つ人間・魔物ペアであれば仲間になり得るのです。

こういう関係を成立させることができたのは、清麿・ガッシュペアが目的と手段をかなり明確に自覚しているキャラクターだったからなのではないかと思います。

謎の建造物とゼオン

石板編が終わって、ちょっとした日常のエピソードや、以前のような単発の魔物との戦闘エピソードが今巻には多々見られますが、次の大きなエピソードであるファウード編に向けての布石というか、伏線も貼られ始めています。

個人的には、『金色のガッシュ!!』の中ではファウード編が好きなので今からワクワクしています。

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(「金色のガッシュ!!」167話より)

現時点で正体不明であるガッシュに似た魔物であるゼオン

そんなゼオンが驚愕する突如現れた魔界の建造物らしき謎の物体。

この建造物が何なのか。

ゼオンがどのようにストーリーに絡んでくるのか。

今後はその辺に注目ですね。

恵のイジワル

久々の日常的なエピソードにも目を向けてみましょう。

清麿はそろそろ慣れていますが、ティオのパートナーである大海恵は超人気のアイドルで、清麿のクラスメイトのスズメも熱狂的なファンでしたね。

ウマゴンのパートナーであるサンビームの引っ越しの手伝いに清麿がスズメを呼んで、ガッシュがティオを呼んだのですが、忙しいはずの恵みがたまたま暇だったらしくついて来たわけです。

スズメからしたら、友達の手伝いにやってきたら大ファンのアイドルが一緒というとんでもない状況ですね。

しかし、どうやら清麿に気があるらしいスズメは、清麿とやけに親し気な大海恵のことが別の意味で気になって仕方がないようで、その様子がちょっと面白いです。

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(「金色のガッシュ!!」168話より)

そんなスズメに気付いた大海恵が珍しくイジワルしているのも興味深いです。

大海恵が異性的な意味で清麿を意識している様子はあまりなく、あくまでも同じ志を持つ仲間として描かれていたような気がしますが、もしかしたら多少なりとも意識しているのかもしれませんね。

個人的には日常的なエピソードの中ではかなり記憶に残っているエピソードでした。

2つの脅威

今巻で登場するエリー・アースペアとの戦いでは、突如現れた魔界の建造物らしき物体意外にももう一つのファウード編でキーワードとなるバオウについても触れられます。

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(「金色のガッシュ!!」170話より)

バオウとはバオウ・ザケルガのことでしょうけど、アースのセリフから魔界の建造物らしきものはそもそも建造物ではないらしいことが窺えます。

この辺のエピソード、連載当時時はアースがばら撒く伏線の答えがずっと気になって仕方が無かったことを覚えています。(笑)

ガッシュに似た魔物であるゼオンが関わって来そうな状況で、ガッシュの技であるバオウ・ザケルガを思わせるキーワードの登場。

何だかワクワクしますね。

ちなみに、エリー・アースとの戦いでは清麿・ガッシュペアはかなり苦戦しますが、ガッシュが友達になったテッドの助けも合って何とか退けます。

「貴公にはあの魔界より現れたものの強大さが、わからぬからだ!!」

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(「金色のガッシュ!!」171話より)

アースはバオウと建造物を脅威と呼び警戒していて、その内のひとつであるバオウ(ガッシュ)を倒そうとしているわけですが、その理由はガッシュの方が倒しやすそうだからというもの。

そのアースの選択を非難するテッドのセリフが胸を打ちますね。

ともあれ、この戦いの中でかなり今後の展開に関連する大事な情報が現れたような気がします。

何かに気付いたキャンチョメ

金色のガッシュ!!』を最後まで読んだことがある人なら知っていると思いますが、実はキャンチョメって清麿・ガッシュペアの魔物の中ではかなり聡いというか、賢い魔物だったりします。

お菓子ばかり求めるアホっぽさや臆病なところが前面に出ていますけど、実はそれだけではないのです。

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(「金色のガッシュ!!」176話より)

今回もどうやら、魔界の建造物らしき何かの正体について、真っ先に気付いた様子。

この正体については次巻のお楽しみですけどね。

オマケページ(ガッシュカフェ)

今回のガッシュカフェはコーラルQとスギナの2体ですね。

なんかパッとしない組み合わせだなぁ~と思っていたら・・

「僕とお前、「花がない魔物」なんだよ」

植物を操る魔物なのに花がないとはこれ如何に?(笑)

「わかるか? 僕達の回はツナギなんだ。ハシ休め休憩、どうでもいい回」

いや、僕も実は全巻レビュー記事を書くために最近読み返したばかりなのに「スギナって誰だっけ?」という状態になってしまったので、相当空気な組み合わせではあると思うのですが、こういう自虐ネタも面白いと思います。(笑)

総括

いかがでしたでしょうか?

閑話休題というか、幕間というか、大きな石板編というエピソードが終わってちょっと懐かしい感じのする日常的なエピソードが多かったのが印象的な9巻ですが、一方でファウード編に向けて徐々に布石が貼られ始めていますね。

最終的にはガッシュゼオンの因縁が明らかになってくるファウード編に注目です。(次巻のレビューはこちら

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