『ラブひな(2)』現代お約束ラブコメの原点とも言える作品の感想(ネタバレ注意)
ついに受験本番の2巻です。(前巻のレビューはこちら)
ついに・・というか、意外と早かったですね。
『ラブひな』は全14巻。
そして2巻で受験本番。
2巻では結果は出ていませんが、メタい推理をすると結果が見えてしまいます。(笑)
あくまでもラブコメでありながら受験生のピリピリとした雰囲気があるのが興味深い内容になっています。
大学受験を経験したことのある人なら、大なり小なり共感できる部分があるのではないでしょうか?
他の試験とは違う。人生においても重要な局面となり得る大事な試験の緊張感は、その試験の難易度とは無関係に精神にくるものがありますよね。
ラブコメ作品の主人公とメインヒロインがそんな状況に置かれているというのは、ある意味特殊な状況なのではないかと思います。
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本作の概要
1巻ではなかなかひなた荘に受け入れてもらえない浦島景太郎でしたが、何だかんだで住人の女の子たちからは受験を応援してもらえるようになった浦島景太郎。
受験に向けてピリピリ緊張感を持って勉強しているそんな中、ひょっとしたら成瀬川なるがやくそくの女の子である可能性が浮上してきます。
そして、その答えが出ないまま受験の本番を迎えることになります。
本作の見所
喧嘩と東大
ラブコメ主人公のお約束。
ちょっと常識的に「それはやめとこうよ」とツッコミたくなるような行動を不可抗力であれ、不可抗力風であれ、何故か取ってしまうのはどうしてなのでしょうか?
今回、浦島景太郎は成瀬川なるの日記帳を覗き見してしまいます。
「人の着替えのぞいてヘラヘラしてても、こーゆーことはしない奴だと思ってたのに!!」
日記といえばその人の内面そのものです。
場合によっては着替えをのぞかれるよりも恥ずかしいですし、人としての人格を疑う度で言えば日記をのぞく人の方が高いような気がします。
内容がたいしたことがないとか、そういうことすら関係ありませんよね。
しかし、そういうことを平気で・・というわけではなくても、何故かやってしまうのがラブコメ主人公たる所以です。
そういうわけで成瀬川なるが口を聞いてくれなくなったところで模試の成績も散々。
成瀬川なるに勉強を見てもらったお陰で成績が向上したのだとお礼を言うついでに謝ろうと画策していただけに、自業自得とはいえ浦島景太郎はだいぶ追い詰められてしまいます。
荷物をまとめてひなた荘を出ていこうとする浦島景太郎は最後に東京大学を見納めに行くのですが・・
「やっぱりここにいたんだ」
そんな風に成瀬河なるには見透かされてしまっていました。
こういう仲直りの流れは非常に『ラブひな』っぽい感じがしますが、年上のダメ男に対して「しょうがないなぁ~」という感じで接する成瀬川なるが意外と良い味を出していると思います。
センター試験
センター試験の直前、ひなた荘の前原しのぶに問題を出してもらって試験に備える浦島景太郎と成瀬河なる。
大抵の人はセンター試験の直前なんて一人で黙々と勉強しているものだとは思うのですが、こういうのも楽しそうですね。
いや、当事者真っ只中の受験生だとそうは思えないかもしれませんけど。
しかし、ここで衝撃の事実が明らかになります。
「そう言えば俺、去年のセンター通ってたんだ」
なんと浦島景太郎は昨年度のセンター試験には通っていたようです。
二浪して成績が落ち続けていることは言及されていたと思いますが、まさかセンター試験に通るほどだったとは・・
当然、東京大学の足切りラインなんて偏差値50以下では突破できないはずですし、マークシートだからと言ってそう簡単な話ではないはずです。
必要科目数も多いですしね。
それにしても、壮行会なんて楽しそうなことをしていますが、受験生の二人がどことなくピリピリしているあたりは少しリアルだと思います。
そして、成瀬川なるはもちろん、浦島景太郎もセンター試験を突破します。
浦島景太郎にいたっては直前の模試で偏差値49だったとは思えませんね。(笑)
バレンタインデー
浦島景太郎は受験生であると同時に女子寮の管理人です。
住人たちとはそれなりに親しくしていて、義理チョコの1つや2つ貰えないわけがありませんよね。
「よしっできたぞ。景太郎特製バレンタインチョコ’99スペシャルビター風味アーモンド入り」
バレンタインチョコを貰ったことが無いからダミーのチョコを自作してしまうとは、なんて残念な男なのでしょうか・・
というか、二十歳過ぎでバレンタインチョコを貰ったことが無いとか逆にリアリティが無さすぎます。(笑)
むしろ高クオリティのチョコレートを自作できる手腕を活かすことができればもっとモテそうですよね。
とはいえ、こういう浦島景太郎というキャラクターは嫌いではありません。
受験本番
そして、割と速い展開ですが東京大学の2次試験が始まります。
「私もかなり胃にきてるの。初めての受験なんだもん。緊張くらいするわよ」
模試で全国トップの優等生である成瀬河なるも胃薬をがぶ飲みするくらいに緊張しているのが印象的ですね。
やはり、受験の緊張感は他の試験とは違うものです。
しかし、普通であれば地味になるはずの試験中のシーンでも、浦島景太郎がドタバタラブコメの主人公っぷりを発揮しているのがかなり面白いです。
いや、だいぶ笑い事ではなく、浦島景太郎はガチで涙目になっているのですが、こういう所が『ラブひな』らしいと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
模試で全国トップを取ったこともある秀才である成瀬川なるが、胃薬をがぶ飲みしているシーンは地味に記憶に残っています。
大学受験って独特な緊張感がありますからね。
同じくらい、あるいは大学受験以上に難しい試験だって世の中にはたくさんありますが、社会人になった人がそれらを受けたところで正直なところそこまでの緊張感は無いですからね。僕も、職業柄定期的に資格試験を受験していますが、ぶっちゃけ緊張感は皆無です。(笑)
高校受験だって厳しいですが、ある意味義務教育の延長というか、それほど頑張らなくても進学校に合格することはさほど難しくありません。
しかし、大学受験になるとその辺の事情はかなり変わってきていたように記憶しています。
勉強のできるできないとは無関係に襲う独特の緊張感は、経験者なら忘れられないと思います。
さて、そんな緊張感を乗り越えて浦島景太郎と成瀬川なるの受験の結果の行方はどうなるのか?
その結果は次巻に持ち越しです。(次巻のレビューはこちら)