あるいは 迷った 困った

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『ラブひな(3)』現代お約束ラブコメの原点とも言える作品の感想(ネタバレ注意)

 

傷心旅行な3巻です。(前巻のレビューはこちら

東京大学の受験生を描いた『ラブひな』ですが、漫画的にもそうそう簡単に合格できる大学ではなかったようです。

当たり前ですね。(笑)

しかし、浦島景太郎はともかく全国模試トップの成瀬川なるまで不合格になる展開はさすがに予想できませんでした。

それが日本の最高学府の厳しさなのかもしれませんね。

?

本作の概要

ついに東京大学の受験結果が明らかになります・・が、日本の最高学府がそんなに甘いわけもなく、直前までたいした成績を出せなかった浦島景太郎が不合格になってしまうのはある意味予定調和だったのかもしれません。

そして、まさかの成瀬川なるの不合格。

2人の受験生が揃って傷心状態になり、それぞれ別々に傷心旅行に繰り出すのですが、同じ雑誌を見ていたことが原因で行き先で何度もバッタリ巡り合い続けます。

傷心の時に喧嘩をしたことで少々険悪な感じですが、何だかんだで以前より距離が近付いてきている感じもします。

しかし、乙姫むつみという浦島景太郎によく似たところのある浪人生仲間の登場が、近付きそうでなかなか近付けない原因になっているのが面白いところです。

本作の見所

受験の結果

おまえ試験大丈夫だったんかい!

いや、最終的には不合格になるんですけど、2巻で散々ドタバタして一度は諦めかけていた1日目はバッチリだったという驚きの展開。(笑)

「もーなんかメチャクチャ調子良くてこのままいけば合格も夢じゃないですよ!!」

一度はどん底の精神状態で試験に臨んでいただけに、出来が良ければ嬉しいですよね。

しかし・・

「それ私じゃないよ。大体十五年前って言ったら私2歳じゃん。約束なんてできるわけないよ」

成瀬川なるが約束の女の子である。

その誤解(実は満更誤解でもないのはもっと後のネタバレですが)が精神的に力になっていた浦島景太郎は、それが誤解であることが判明した時点で精神的に弱ってしまいます。

「精神的に弱すぎでは?」と思わなくもないですが、意外とテスト中の精神状態って結果に影響するものなので、そういうものなのかもしれません。

結果、浦島景太郎の受験は失敗に終わりました。

落として上げて、また落として。

考えてみたら相当浮き沈みの激しいキャラクターですよね。浦島景太郎って。

傷心の成瀬川なる

東京大学の受験なんて、どんなに頭が良くてもそんなに甘いものではないのだとは思います。

とはいえ、全国模試でトップになるほどの才媛である成瀬川なるまで不合格になる展開は予想できませんでしたね。

浦島景太郎も、自分が落ちても成瀬川なるは当然合格しているものと思い込んで接しています。

もっと素直に喜んで欲しいとか、自分だけ春から東大生だからって冷たくしないでとか、成瀬川なるの学力を信じ切っているが故の言動ですね。

しかし、だからこそ落ちてもともとみたいな成績だった浦島景太郎以上にショックは大きかったかもしれません。

初めての受験と初めての不合格というのも、良くも悪くも落ちることに慣れた浦島景太郎に比べるとショックが大きくなる原因だったかもしれませんね。

それにしても、ここで未成年である成瀬川なるの飲酒シーンがあります。

今でも別にダメってわけではないようなのですが、それでも少なくとも少年向けの漫画にしては珍しいですよね。

これも時代なのかもしれません。

気付かない2人の傷心旅行

傷心旅行って今時やる人いるんでしょうか?

僕のあずかり知らないところでは、いるのかもしれませんね。

浦島景太郎も、成瀬川なるもそれぞれ別々に傷心旅行に出かけることになるのですが、お互い同じ雑誌を見て旅先を決めているため、あちこちで遭遇しまくっている内にいつの間にか合流している感じがちょっと良いですね。

喧嘩中とはいえ、偶然知り合いに旅先で会ったのだからもっと仲良くしたら良いのにとも思うのですが、なかなかそうならないもどかしさがラブコメ的です。(笑)

また、最初の新幹線内での遭遇時にはお互い眼鏡をかけていなかったことですぐには気付かないのですが、そこではお互いちょっと好印象の第一印象を抱いているあたりが面白いです。

本当の初対面の時はわりと険悪だったのに・・って。(笑)

意外と紳士というか当たり前

連載当時は過激な漫画だと思っていた『ラブひな』ですが、今の同系統の漫画に比べるとそうでもないような気がします。

その代わり、妙なところでリアリティがあるのが興味深いですね。

旅館で同室になってしまった時、絶対に手を出すなと牽制しつつも何があっても良いようにといそいそと備えてしまっている成瀬川なるの様子が、ドタバタラブコメというよりは普通の恋愛もの作品のヒロインっぽいような気がします。

「なーんだこいつ・・。結局何もしなかったんだ。意外と紳士なとこあるじゃん」

起きているならまだしも、寝ているところで何かをしたら犯罪です。

なので浦島景太郎が紳士なのだというよりも当たり前のことなのですが、自らを縛り上げないと自制が効かないなんてむしろ紳士じゃないような気がします。(笑)

ともあれ、喧嘩している状態から始まったはずなのにこの傷心旅行で浦島景太郎と成瀬川なるの距離はかなり近づいたようなきがしますね。

乙姫むつみの登場

浦島景太郎とよく似た浪人生。

童顔で東大受験生で三浪していて、その上東大受験をしているのに偏差値が50しか無かったり、ドジで間の悪いところも浦島景太郎と同じですね。

ここまで同じだと、もの凄く意気投合するか同族嫌悪に陥るかのどちらかになりそうですが、浦島景太郎と乙姫むつみの場合は前者になったようですね。

一応成人組の2人がドタバタしている中で唯一未成年の成瀬川なるが一番しっかり者みたいになっているのが面白いですね。

ちょっとお姉さんぶったりしているのに、だけど頼りない。

それはそれで魅力的なキャラクターだと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

傷心旅行では初登場した乙姫むつみの天然と浦島景太郎自身の天然の相乗効果もあって、いつも以上にラブコメ的トラブルが発生していた印象ですね。

次巻ではまた舞台をひなた荘に戻して、成瀬川なるも浪人生となった新たな『ラブひな』が始まります。(次巻のレビューはこちら