『ラブひな(4)』現代お約束ラブコメの原点とも言える作品の感想(ネタバレ注意)
ふと思ったのですが、未成年の飲酒シーンが表紙になっているとか時代がかっていますよねぇ~。
ともあれ、東京大学の物語はここから再スタートとなります。
なんというか、最初・・といっても浦島景太郎の場合は3度目ですが、不合格から傷心旅行という流れは予定調和だったのではないかと思っています。
あまりにも展開が早いですし、恐らくこの再スタートからが作者の描きたかったものなのではないかと感じるんですよね。
実際、ラブコメ的に浦島景太郎と成瀬川なるの関係性は徐々に良好になっているものの、浦島景太郎にはこれまであまり成長が見られませんでしたから。
今後、浦島景太郎の目標のようになってくるキャラクターであり、まるで浦島景太郎の上位互換のような瀬田記康も初登場し、最後まで読んだことのある立場から言えばこの辺からいよいよ『ラブひな』らしくなってきたという気がします。
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本作の概要
傷心旅行からひなた荘に帰ってきた一同。
来年も東大を受験するのか否か。そんな悩みを抱えつつもひなた荘での日常が再開されます。
瀬田記康やサラ・マクドゥガルといった新キャラも登場し、ますますラブコメらしく賑やかな感じになってきて、そんな中再び東大を目指す物語が再スタートします。
本作の見所
温泉たまご
乙姫様・・じゃなくって乙姫むつみからのプレゼント。
空飛ぶカメの温泉たまご。こと、たまちゃん。
のちのちカオラ・スゥとのマッチングが目立つようになってきますが、確かに美味しそうな名前ですよね。(笑)
最初読んだ時は「なんで登場したんだろう?」と不思議なキャラクターでしたが、振り返ってみれば『ラブひな』という漫画の一要素としてなくてはならない・・とまでは言わないまでも、いるだけで何だか『ラブひな』っぽいなぁと思わせる感じのキャラクターだと思います。
女の子らしく
今巻の青山素子は可愛らしいですね。
「今からしばらくモトコちゃんの方が女のコっぽくしてみる・・っていうのは?」
いつものように不埒な浦島景太郎を懲らしめようとするもののマグレ勝ちされてしまい、浦島景太郎の言うことを聞く流れになってしまいました。
それに対する浦島景太郎の提案は、なかなか粋なものだと思います。
「私のようなデカい女がニッコリ笑っても不気味なだけだーっ」
しかし、なかなか女の子らしく振舞うことができずに、姿見の前でくるっと回ってニッコリする青山素子。
不気味なだけだと自虐していますが、ぶっちゃけかなり可愛らしいシーンだと思います。
なんというか、普段は凛としているけど実は女の子らしくしたいと思っているらしいことが垣間見えて、結局このエピソードでは青山素子らしい姿に戻ってしまうわけなのですが、新たな一面が見えたような気がします。
浦島景太郎のバイト
スーツ姿でバイト探しをする浦島景太郎。
そんな奴いるのかとも思いますが、浦島景太郎らしい気もしますね。
それにしても、ただのバイトなのに面接を落ち続けるとかどんだけなんだか。(笑)
恐らく、スーツが原因なんじゃないのかなぁ~と思います。
スーツが適切ではない職種なのにスーツでバイトの面接に来る人って、良くも悪くも空気が読めていない感じがしますからね。
しかし、受験生として勉強しているかラブコメしているかばかりの浦島景太郎がバイトしようとしているエピソードは、新しい展開に感じられて面白かったと思います。
再出発
受験、失敗、再出発という流れは予想できたところですが、この再出発までには少し時間が掛かります。
「そうですね。東大のことはもう・・。だいたい僕みたいのには手の届かない存在だったのかもしれないし」
僕には浪人した経験が無いのでわかりませんが、次の受験に向けていきなり切り替えられる人もいれば、そうではない人もいるのかもしれませんね。
まあ、浦島景太郎の場合は受験の失敗もですが成瀬川なるのこともあったところが微妙に共感できませんけど。(笑)
受験とは切り離そうよと思わなくもないですが、そもそもの受験のキッカケがやくそくの女の子だったので仕方が無いのかもしれませんね。
それを聞いた成瀬川なるが、怒るというよりは哀しそうな反応をしているのが、何だかんだで成瀬川なるも浦島景太郎のことを受験戦争を一緒に戦う戦友のように感じていたんだろうなぁと思わせます。
瀬田記康とサラ・マクドゥガル
瀬田記康は『ラブひな』に登場する男性キャラクターの中ではかなり好きかもしれません・・って『ラブひな』にはあまり男性キャラクターは登場しませんけど。(笑)
ハイスペックだけど浦島景太郎と同じく受験で3浪していたり、嫌味なところの無いキャラクターですよね。
そして、今後主人公である浦島景太郎にとっての指標になっていくキャラクターという意味では、ある意味ヒロインたち以上に重要な役割を担っているとも言えます。
成瀬川なるの憧れた先輩である瀬田記康ですが、実は彼にとってのヒロインは浦島景太郎の叔母である浦島はるかだったりします。主人公とメインヒロインのラブコメに勝るとも劣らない展開を見せてくれるので、その辺は今後の見所の一つだと思います。
そして、瀬田記康が面倒を見ている少女サラ・マクドゥガル。
何故か赤松健先生の漫画に登場する金髪の女の子の苗字は大概マクドゥガルだったりマクダウェルだったりと似通っていますが、そういう枠を意識しているのかもしれませんね。
ひなた荘のキャラクターは全て中学生以上なので、意外と貴重な子供キャラクターですね。
総括
いかがでしたでしょうか?
『ラブひな』はラブコメなので、やっぱりヒロイン枠のキャラクターが魅力的なものです。
今巻で初登場した瀬田記康は男ですが、後に第二の主人公といっても過言ではないような立ち位置になってくる重要なキャラクターで、個人的には結構好きなキャラクターだったりします。
浦島はるかとの関係も面白く、今後気になるポイントですね。(次巻のレビューはこちら)