あるいは 迷った 困った

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『ラブひな(6)』現代お約束ラブコメの原点とも言える作品の感想(ネタバレ注意)

 

再び受験生の物語っぽくなってきた6巻です。(前巻のレビューはこちら

6巻は3つの意味で転換点的なエピソードがあったと思います。

1つ目は、浦島景太郎と成瀬川なるの関係性の進展。非常に仲が良くなって、あまり初めてという気もしませんが初デートのエピソードがあります。

1巻で初めて出会った頃はかなり険悪な感じで、そこから大きな変化をあまり感じさせずに仲良くなっていく様子の描写は秀逸でしたね。

2つ目は、いよいよ受験生らしさが本格化してきた点です。浦島景太郎の成績も向上してきて、そういえば『ラブひな』って東大受験をテーマに据えた漫画だったなぁと思い出されてきます。

そして3つ目。それは乙姫むつみとの再会です。進展気味になっていた浦島景太郎と成瀬川なるの関係に一石を投じるという意味でも、同じく東大を目指す受験生仲間が増えたという意味でも、『ラブひな』という作品全体の雰囲気に対する大きな刺激になっているのではないかと思います。

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本作の概要

今更感があるけど実はそうでもない浦島景太郎が成瀬川なるをデートに誘うエピソードを軸に、再び受験が始まるのだという雰囲気が濃厚になってきます。

そんな中、受験生仲間で浦島景太郎とよく似たところのある乙姫むつみとも再会することになりますが、何故かひなた荘のことに詳しい乙姫むつみ。

本人もそれが何でなのかを覚えていませんが、実は乙姫むつみが浦島景太郎のやくそくの女の子だった可能性が浮上してきます。

本作の見所

成瀬川なるのデート

今までも、喧嘩は多いものの既にかなり相性の良い関係に見えた浦島景太郎と成瀬川なるですが、意外と2人きりでデートみたいなエピソードはありませんでした。

予備校仲間の灰谷による阿漕な商売で神奈川ネバーランドのチケットを手に入れた浦島景太郎は、最近成績が向上してきてテンションが上がっていることもあって成瀬川なるをデートに誘おうと奔走します。

しかし、このエピソードで印象的なのは浦島景太郎ではなくどちらかといえば成瀬川なるの方。

「私のこと誘ってくれたら行ったげたのになー」

浦島景太郎は成瀬川なるを誘いたいのに、他のひなた荘の面々が自分が行きたくてドタバタしている中、ひとり一歩引いた位置から俯瞰している様子の成瀬川なるですが、それなのに一番満更でもなさそうなところが面白いですね。

「それって・・私のコト、デートに誘ってるの? 景太郎君♡」

二十歳前後の男女としては年齢差のある2人ですが、小悪魔的な年下は可愛らしいですよね。

というか、成瀬川なるのこれまでのキャラクター性からすると意外な一面だと思いますが、違和感はなくてただただ可愛らしいと思います。

僕の場合、『ラブひな』においてはメインヒロインよりその他ヒロインの方が好きというそこそこありがちな現象に陥っていますが、このシーンのいたずらっぽい笑顔の成瀬川なるはかなり良かったと思います。

乙姫むつみとの再会

好きなキャラクターが青山素子とカオラ・スゥであることは5巻以前のレビューでも言及していますが、もう一人だけメインヒロインの成瀬川なるより好きなキャラクターがいて、それが乙姫むつみでした。

フィクション作品における女性キャラクターの好みと、実際に好きな女性の好みには実のところかなりズレがあるのですが、乙姫むつみのようなおっとり系お姉さんタイプは実際に好きな女性のタイプに近かったり・・

すみません。話がおかしな方向にズレました。(笑)

今はカオラ・スゥ押しですが、初めて読んだ時は乙姫むつみが超好きだったので・・

なので、そんな乙姫むつみの再登場はとても嬉しかったです。

しかも、どうやらレギュラー入りっぽい感じですしね。

浦島景太郎と成瀬川なるの2人と合わせて東大受験生仲間3人が、ライバルでありながらも同じ目標を持って楽しくワイワイやっているシーンは、不思議とノスタルジックに感じられるような気もします。

実は頭が良い乙姫むつみ

さて、そんな乙姫むつみは本当に浦島景太郎によく似ていて、前回の受験では直前の模試でも偏差値50程度だったようです。

頭が悪いわけではありませんが、良くもないという成績ですね。

そして、今回は名前を書き忘れてZ判定。

「まあ何とかなるのではないでしょうか?」

こういう物事をあっさりと受け止められる人って、男女問わず素敵だと思います。

しかし、名前の書き忘れで点数が付かなかった模試を自己採点してみると、全国トップの成績を取ったことのある成瀬川なる以上の高得点。

まさかの結果ですが、要領の悪さが原因で本番で力を発揮できないようですね。

やくそくの女の子

そんな乙姫むつみがひなた荘にやって来るのですが、何故か住人ですら知らない隠し通路を知っていたり、本人も不思議に思う出来事が発生します。

そして、何かを思い出した浦島はるか。

どうやら、子供の頃に乙姫むつみはひなた荘にいたことがあり、しかもその時に浦島景太郎と面識がある可能性がある。

とりあえず浦島はるか以外では成瀬川なるだけがそのことに気付き、しかも乙姫むつみが浦島景太郎のやくそくの女の子である可能性に行き当たります。

一度、成瀬川なるがやくそくの女の子ではないとなった時点でうやむやになっていたやくそくの女の子問題が、ここにきた再び浮上してきましたね。

総括

いかがでしたでしょうか?

一応ラブコメなんですけど、やっぱり受験生的なエピソードの部分が面白いと思ってしまいます。

僕が最初に『ラブひな』を読んだのが、自分が受験した時期に近かったから共感しやすかったからなのかもしれません。まあ、受験のレベルが全く違いますけど。(笑)

そして、浦島景太郎のやくそくの女の子の謎についても進展がありそうなところ。

この昔の思い出も絡んだ三角関係じみた関係がどのように変化していくのかが今後の見所ですね。(次巻のレビューはこちら