あるいは 迷った 困った

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『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには(2)』望まず挑まれ続ける男の内心が描かれる漫画の感想(ネタバレ注意)

 

TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツにはの2巻。一見するとコンビニ店員と聞いていイメージする姿そのままの川端強が、タイトルの通り誰も勝てないくらいに強くて様々な格闘家から付け狙われるというありそうで無かった作品ですね。

ちなみに、2巻の表紙を飾っているのは川端強ではなく、川端強の強さに迫る格闘家の一人である星崎愛之助ですね。まあ、コンビニ店員と聞いてこれをイメージする人はいないでしょうから分かると思いますけど念のため。(笑)

結構面白いんですけど、なぜか電子書籍でしか販売していないので発売していることを見逃しそうになることが玉に瑕なんですよね。

それに、書籍として販売している作品よりは知名度が落ちそうな気もしますが、強い主人公が大活躍するというよりは、強い主人公の謎に迫っていくような構成が個性的で面白い漫画なので、もっと広く知られて人気が出てほしいと思う漫画のひとつだと思います。

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本作の概要

少林拳リュウ・シェン。

洪家拳のバン・ウンチョウ。

太極拳のゲン・ロウラン。

八極拳のリョ・ジーフェイ。

陳神美が呼び寄せた中国拳法の達人たちの名は四拳勢。

誰と戦っても危なげのない川端強ですが、この強敵たちを相手にどう立ち回るのかが見所です。

本作の見所

今巻の川端強

1巻の時点では川端強の内面はかなりベールに包まれていましたが、なぜか最強であること以外は本当に普通の青年であることが明らかになっていきます。

もしかしたら自分に好意を持っているのではないかと思っていた陳神美が中国の諜報員であることを知って静かにショックを受けながらも他人にはそんな姿を悟られまいとしているところなんか、まさしく今どきの草食系男子っぽいと思います。

そう考えると、一回だけは挑戦を受けるけどそれ以降は受け付けないと約束させる川端強のやり方にも一定の納得感がありますよね。

美大を目指す浪人生である川端強は、要は静かにそっとしておいて欲しいだけなのだと思います。

星崎愛之助のように格闘技が・・戦うのが好きなのであればまだしも、普通の青年なら誰彼構わず戦いを挑まれたら鬱陶しいことこの上ありませんしね。

「どこまでもふざけやがって。これ以上人のプライベートに介入してくるなよ」

能力があることと好き嫌いは別。川端強にとってプライベートに介入されることが何よりも苦痛であることが窺えるセリフですね。

ちょっと謎めいたところがあるも何も、川端強は単に見ず知らずの戦いを挑んでくる者たちにできるだけ干渉しないようにしているだけなのだと思います。

しかし、川端強にかなり強行に干渉してこようとする中国四拳勢の面々には徐々に厳しい態度を見せるようになります。

四人の内二人。洪家拳のバン・ウンチョウと太極拳のゲン・ロウランは、いずれも1巻で川端強が戦った相手よりは良い勝負をしていたものの今巻の内に敗れてしまいます。

修行の末に男性にとって最大の弱点となる金的を失ってしまったバン・ウンチョウを相手にした時には、合理的に容赦なく金的を狙っていくスタイルの川端強は最初金的が効かないバン・ウンチョウに驚く・・というよりも呆れていましたが・・

「川端さん! さすがにそれ以上はまずいですよ! 怪我じゃ済まない」

星崎愛之助が止めなければかなり危なかったほどの猛攻で、弱点の有無など関係ないほどにバン・ウンチョウを痛めつけてしまいます。

「勝手に人の居場所を荒らして、理不尽なこと言ってくる奴が嫌いなだけです」

繰り返しますが、最強であること以外は普通の青年である川端強。

考えてみれば、そんな川端強に挑んでいくものはちょっと常識外なレベルで川端強のパーソナルスペースを侵害しているわけで、川端強がちょっとキレ気味になっているのも気持ちが分かりますね。

そして、中国四拳勢の中でも最も老獪そうなゲン・ロウランは川端強とかなり良い勝負を繰り広げるのですが・・

「まさかその若さでここまで内功を鍛えてる者がおるとはな。恐れ入ったわい」

自ら早々に負けを認めてしまいます。

老獪だからこそ、川端強の実力を見抜くのも早かったということなのでしょうか?

ともあれ、川端強が太極拳を使っていることは1巻の時点で明らかになっていましたが、それ以上に圧倒的な実践経験の数が川端強を強者たらしめているとゲン・ロウランは指摘するのですが、その上でリョ・ジーフェイであれば渡り合えるのではないかとも言っています。

中国四拳勢の中では際立って冷静に見えるゲン・ロウランの見立て。

川端強とリョ・ジーフェイの戦いがどのようなものになるのかが楽しみですね。

今巻の星崎愛之助と夢丘照

1巻ではほぼ語り部主人公っぽさのあった星崎愛之助の出番は、表紙を飾っているわりに今巻ではちょっと少なめ。

その代わり星崎愛之助のライバルであった夢丘照が大活躍しています。

1巻では川端強に敗れたことで格闘技を辞め、オタクにジョブチェンジして体もたるんでしまい、戦えるようにはまったく見えません。

それだけに夢丘照の役割は最初に川端強の強さを示すためのかませ犬でしかなく、以降はほぼ登場しないものだと思っていました。

それが今巻では、巻き込まれる形だったとはいえ中国四拳勢のリュウ・シェンと五分に戦って結果は引き分け。

この展開には少々驚かされました。(笑)

動けるデブどころではないくらい動ける照。

そりゃあキモオタ風の太っちょになってしまったとはいえ、もとは空手の大学日本一を争うほどだった実力者なのだから当然と言えば当然の結果だったのかもしれませんね。

爆笑するって感じでもないのですけど、今巻の戦闘シーンでは一番読んでいて面白かったような気がします。

今巻の陳神美

本作品の紅一点。相変わらず可愛らしいですねぇ~

諜報員であることが川端強にバレてしまって冷たくあしらわれ、微妙にショックを受けているところも良いと思います。

そして、1巻にも『盛り盛りチンさん』というオマケイラストが載っていましたが、今巻にも幕間にとても綺麗な陳神美のイラストが描かれています。

本編での出番が少ないのは残念でしたが、とても魅力的なキャラクターだと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

2巻では特に、望んでもいないので強者に挑まれ続けることに鬱屈としている川端強の内心が印象的だったのではないかと思います。

中国四拳勢との戦いもかなり嫌そうでしたね。(笑)

地味に行き着く先が読めない漫画ですが、川端強がいつまで無敗であり続けるのかが注目すべき点なのではないかと思います。

ゲン・ロウランとの戦いには勝利したものの、割と良い勝負感がありましたしね。