あるいは 迷った 困った

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『ラブひな(9)』現代お約束ラブコメの原点とも言える作品の感想(ネタバレ注意)

 

なかなか東大には行けない9巻です。(前巻のレビューはこちら

紆余曲折ありつつも東大になんとか合格し、入学手続きすらも波乱の連続で、ようやく東大生になった浦島景太郎でしたが・・

東京大学にはなかなか行けない展開が浦島景太郎っぽくて楽しいです。

また、浦島景太郎の触発されて東大を目指そうとするしのぶや、姉である鶴子が初登場した素子がメインとなるエピソード。それに瀬田記康と浦島はるかの大人な恋愛模様も描かれています。

この辺からひなた荘の住人がメインとなる話が増えてくるのも『ラブひな』という作品の特徴ですが、今までとは違う新鮮なところが見られるのが魅力的だと思います。

 

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本作の概要

ついに東大生になった・・けどなかなか東大には行けない浦島景太郎。

素子以上に武士っぽい素子の姉の登場によって、なんだか可愛らしく見える素子。

東大に合格した先輩たちに触発されて東大を目指したくなったしのぶ。

そして、瀬田記康の浦島はるかへのプロポーズから始まる大人の恋愛模様

今までの浦島景太郎や成瀬川なるが中心だった『ラブひな』とは違った雰囲気の内容になっています。

本作の見所

東大に行けない浦島景太郎

なんとか入学手続きもできて晴れて東大生になった浦島景太郎。

毎朝自分が東大生になったことを再確認して喜びに浸っていますが、入学式の当日に武道館の玉ねぎにつぶされて骨折してしまい全治三か月の大怪我。

あのおっとりした乙姫むつみですら一瞬顔色を変えてしまうほどの大事故。

武道館の玉ねぎにつぶされたとは改めて言葉にすると凄まじいですね。(笑)

ともあれ、何とかして浦島景太郎を東大に行かせまいとする神(作者)の意思を感じます。

そして、入院した浦島景太郎はお見舞いに来た成瀬川なるに・・

「す、好きだーっ成瀬川!!」

とうとう告白してしまいました。「あれっ、まだだったっけ?」って一瞬思いましたが、確かにまだでしたね。

今巻では浦島景太郎や成瀬川なるがメインとなるエピソードはこれくらいですが、他のキャラクターがメインとなるエピソードの裏側で告白の返事をめぐってやきもきする二人の姿が描かれています。

素子の姉とドタバタコメディ素子

素子といえば良くも悪くも潔癖さのあるキャラクターで、軽薄で不甲斐ないところのある浦島景太郎には最も厳しいところがある印象でした。

しかし、意外にもそういう潔癖さの仮面を取ってしまえば浦島景太郎に次ぐレベルくらいでドタバタコメディ向きのキャラクターになっているところが面白いキャラクターでもあると思います。

そして、そんな素子を上回るのが素子の姉の鶴子が現れたことで、素子のそういう一面が見えやすくなったような気がします。

以前からそういう傾向は垣間見えてもいましたが、今巻ではそういう意味での輝きが増していたように思います。

神鳴流では女は結婚すれば継がなくても済むんだ。この一両日中だけでいいから口裏を合わせてくれ、頼む!!」

こういうその場しのぎな言動もドタバタコメディ主人公である浦島景太郎に通じる部分があると思います。

「剣を忘れ・・一人の女として生きていくのだっ」

こういう極端なところも。(笑)

だけど、こういうギャップこそが魅力的なキャラクターだと思うんですよね。

東大に行きたいしのぶ

ラブひな』はラブコメであると同時に受験漫画をテーマにした漫画でもあります。

ですが主人公とヒロインの受験は終わってしまいました。

しかし、実は完結する最後の最後まで受験はテーマの一つであり続ける作品でもあります。

浦島景太郎や成瀬川なるに憧れて、しのぶが東大に行きたいと思い始めるのがその始まりとなります。

家事は得意ですが成績はそれほどではないしのぶに浦島景太郎が家庭教師する。

これは成瀬川なるに対する瀬田記康の関係にも似ていて、逆に言えば浦島景太郎が瀬田記康のように格好良く変化していく伏線にもなっていますね。

また、非常に可愛らしいキャラクターではあるもののひなた荘の住人の中では、疾走した浦島景太郎を追いかけていく以外では目立ったところの無いしのぶがメインになった初めてのエピソードであるような気もします。

というか、素子といいしのぶといい、メインになったとたんにドタバタコメディっぽさが増してくるのが面白いですね。(笑)

別にキャラ崩壊しているわけでもない自然な範囲なんですけど、こういうギャップがあるとキャラクターが光って見えますね。

視点が変わっているからかもしれませんが、相対的に浦島景太郎が格好良く見えるのも興味深いです。

大人の恋愛模様

ラブひな』のキャラクターにメイン度があるとしたら、浦島景太郎と成瀬川なるが最上位。それにひなた荘の住人と乙姫むつみが続き、瀬田記康やサラ、浦島はるかがいる感じでしょうか?

しかし、意外と終盤にかけて徐々に重要度が増してくるのが瀬田記康と浦島はるかの二人。

恐らくですが、主人公の浦島景太郎とヒロインの成瀬川なるの延長線上にいるキャラクターとして重なる部分があるからこそ、こういう風に描かれているのだと思います。

他のキャラクターよりは年長者ですが、それにしたって年齢の割に落ち着いた女性の浦島はるかがドタバタラブコメのヒロインっぽくなっている姿は、素子やしのぶ以上にギャップが大きいかもしれません。

かつて瀬田の恋人だった頃の写真を見られて照れているところなどは、大人のキャラクターだからこそ見られる姿だと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

いつになったら浦島景太郎は東大に通えるのか。

らしい展開が面白いですが、それ以上にひなた荘の他のキャラクターがより深堀され始めているのが興味深いですね。(次巻のレビューはこちら