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『大蜘蛛ちゃんフラッシュバック(4)』一さんと大蜘蛛ちゃんが徐々にリンクしてきている4巻の感想(ネタバレ注意)

 

相変わらず行き先不明だけど面白い大蜘蛛ちゃんフラッシュバック

植芝理一先生の作品は絵も内容も独特の魅力がありますよね。

前巻ラストの失言はそれなりに説得力のある方法で誤魔化しつつも、実の母親を見る目は相変わらずなのでなんとも先行きが不安な物語です。

とはいえ、今巻では一(にのまえ)ちゃんと大蜘蛛ちゃんが重なるというか、一(にのまえ)ちゃんがキッカケでフラッシュバックすることが多かったような気がします。

相当なマザコンの実ですが、そういう感じで大蜘蛛ちゃんに重なる一(にのまえ)ちゃんに惹かれていくことになる展開になるのかもしれませんね。

その方が健全ですし。(笑)

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本作の概要

大蜘蛛ちゃん漫研時代の先輩山田さん。週刊連載している漫画家で大蜘蛛ちゃんとも意気投合しているので実は若干不安そうですが、どうやらお互い恋愛的な関係を望んでいるわけでは無さそうで実からしたら安心という感じでしょうか。

一方の実は、一(にのまえ)ちゃんが気になり始めている様子で、もしかしたら今後の物語の展開のより中心に近い部分に一(にのまえ)ちゃんが来るようになってくるのかもしれません。

そして、今巻ラストにはついに、一(にのまえ)ちゃんに実の母親が人気漫画家の大蜘蛛綾であるという秘密が明かされることになります。

本作の見所

母親の過去話

前巻ラストで、つい山田さんが大蜘蛛ちゃんの二番目に好きな相手だったという実が知らないはずのことを、大蜘蛛ちゃんの前で口走ってしまった実。

人間知らないはずのことを知っている人間って一番警戒の対象になり得るもので、さすがの大蜘蛛ちゃんも息子に対して怪訝な表情でしたね。

「ねえ! どうして知ってるの!? 実!」

珍しく詰問口調の大蜘蛛ちゃん。

それに対する実の言い訳は、大蜘蛛ちゃん本人が酔っている時に実に話したのだというもの。

詰問している相手の責任にしてしまう高等テクニックです。(笑)

僕には酔って記憶が無くなる感覚は分かりませんが、他のエピソードでの酔っている大蜘蛛ちゃんの様子を見る限り、記憶が無くなってもおかしくなさそうな酔いっぷりで、それが分かっているからこそ実はそれを言い訳に使ったし、大蜘蛛ちゃん本人も疑問に思わなかったのかもしれませんね。

「そっか・・。ごめんね実。母さんそんな話をして・・。反省する」

なんというか、自分の両親のそういう話ほど聞きたくないものはありません。

自分が酔っている時に、息子に若い頃の恋愛的な話をしていると思って照れている大蜘蛛ちゃんが地味に可愛いですね。

「あ・・いいんだよ。おれ、母さんの高校の頃の話聞くの好きだし・・」

しかし、実の反応はちょっと思春期の高校生男子としては特殊な気がします。

一(にのまえ)ちゃんがキッカケのフラッシュバック

あえてだと思いますが、もともと大蜘蛛ちゃんともキャラが被るところのあった一(にのまえ)ちゃん。

それがいよいよキャラクターが重なるような印象が強くなってきました。

フラッシュバックした大蜘蛛ちゃんの面影を一(にのまえ)ちゃんに見るような展開はもともとありましたが、二人乗りしている一(にのまえ)ちゃんを実が母親と勘違いするといったエピソードも、それがキッカケでフラッシュバックするというのも、実は一(にのまえ)ちゃんが大蜘蛛ちゃんフラッシュバックの最終的なメインヒロインになるのではないかとまで思わせます。

そして、ひょっとしたら一(にのまえ)ちゃんと大蜘蛛ちゃんが似ていることに、大蜘蛛ちゃん本人も気付きかけているような気がします。

「鈴木くんと一緒にいると、いっぱい漫画のアイデアが湧いてくるみたい」

一(にのまえ)ちゃんのこのセリフ。実は特に何とも思っていないようですが、又聞きした大蜘蛛ちゃんは何かに気付いた様子です。

実のSF的なフラッシュバックとまではいかないまでも、過去の自分がフラッシュバックしているのかもしれませんね。

息子の体育祭

そういえば大蜘蛛ちゃんは、人気漫画家の大蜘蛛綾としてサイン会で会ったことがありました。

というわけで、自分の母親が人気漫画家であることを知られたくない実には体育祭に来ないように言われてしまっています。

ザコンの実にしては珍しですが、秘密が絡んでいるので仕方がないのかもしれません。

サングラスにマスクという不審者じみた出で立ちになってまで息子の体育祭に行きたい大蜘蛛ちゃんが可愛らしいですね。いや、可愛らしいという年齢でもないはずなんですけど。(笑)

あまりの暑さで汗だくになっている大蜘蛛ちゃんを見て、実が新たなフェチに目覚めているあたり、マジでマザコンだと思います。

ついに秘密がバレる!?

有名人の子供って、もしかしたら両親のことを隠そうとするものなのかもしれませんね。

思春期の子供にとって、例えば普通の友達であれ両親を見られることは何故か恥ずかしかったりするものですし、それが有名人ともなれば一般人よりもはるかにその人となりが分かるものですし、ましてや漫画家なんて描いている作品によってはその子供はかなり気まずかったりするのかもしれません。

しかし、締め切り前なのに体調を崩してピンチの大蜘蛛ちゃんを助けるために、実は助っ人に一(にのまえ)ちゃんを呼びます。

ついに実の母親が人気漫画家の大蜘蛛綾であることが同級生の一(にのまえ)ちゃんに明らかになり、いよいよ今後の展開が楽しみな感じになってきました。

総括

いかがでしたでしょうか?

めっちゃいいとおろで、もの凄く気になるところで、続きは次巻になってしまいました。

フィクション作品において主人公が何かしらの隠し事をしているのは珍しくもありませんが、その秘密が明かされる瞬間というのは読んでいて楽しい瞬間の筆頭ですよね。

今巻のラストはまさにそういうシーンで終わっていて、だからこそ次巻が今まで以上に楽しみな気がします。