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『殺人無罪』犯罪コーディネーターとは面白そうになってきました!(ネタバレ注意)

 

真実を殺す弁護士。法曹界の異端と呼ばれる聖沢ウタが活躍する殺人無罪の2巻目です。

評判はそこそこのようですが個人的には結構好きな漫画です。

かなり特殊だけど法廷もの作品なので、まさか犯罪コーディネーター なんてものが登場するとは驚きでしたけど。(笑)

犯罪コーディネーターといえば、やっぱり金田一少年の事件簿の高遠遙一が思い浮かぶところですが、殺人無罪に登場する犯罪コーディネーターはマジシャンではなく検事です。

真実を殺す弁護士に殺意を操る検事。

いよいよ面白くなってきたような気がします。

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本作の概要

早川湊斗による殺人。そんな展開で幕を閉じた1巻でした。

被害者女性を守るためとはいえ、加害者男性を殺してしまったのはさすがに真実かと思われたのですが、そもそもそれが真実ではなかったようですね。

めずらしく真実を語ることで早川湊斗の無罪を勝ち取る聖沢ウタでしたが、その後は真実を殺すことでうまく罪から逃れる悪者を罪に問うたりしています。

また、殺意を操る犯罪コーディネーターの検事も登場し、新たな展開を予感させます。

宗教の教祖の裁判という短めのエピソードも収録されていますが、これもなかなか面白かったです。

本作の見所

早川湊斗の真実

早川湊斗は、なんというか面倒くさい容疑者ですよね。

「法廷は真実を話す場所だろ!? オレは嘘をつくつもりはない!!」

正直であることは良いことですが、早川湊斗の場合は如何せん正直すぎる。

実は、早川湊斗自身には殺人の記憶すら無いのですが、殺意を持っていたのは確か。それを理由に自分が犯人だと主張しだす始末なので弁護する側は大変ですよね。

実際こんな風に、記憶も無いのに自分が犯人だと主張するような人間っているのかと、ちょっと興味がありますね。

いるのかもしれないいし、いないのかもしれません。

そして、この場合早川湊斗を弁護している聖沢ウタにとって幸いだったのは、早川湊斗が犯人ではないというのが純然たる事実だったことなのかもしれません。

仮に、もし本当に早川湊斗が真犯人なのだったとしたら、弁護するのはマジでままならなかったような気がします。

真実の上書き

株式会社ライフデイズ。代表取締役の三澤健は、早川湊斗が容疑者となった殺人事件の犯人・・というわけではなく、意図的に事件を引き起こすキッカケを作った人物となります。

「こなしてもこなしても終わらない仕事がある。それはもっと働けるということだ。喜びだよこれは!!」

現代の闇。典型的すぎるブラック企業の経営者ですね。

搾取する経営者。最低ですね!

しかも、辞めようとする社員の転職先には圧力をかけて転職できないようにして、逃げ場所を無くしてしまう。

そんな行いの証拠のメールのコピーを元に脅迫されたことが、殺人事件を引き起こすキッカケを作った動機となるようです。

自分の手は汚さずに邪魔者を排除する経営者。最低ですね!

しかし、この三澤健を罪に問うことはできません。

殺人事件の真犯人は神田瑞樹という女性であるというのが「真実」だからです。

早川湊斗ではありませんが、この「真実」を曲げて三澤健を有罪にすることは、何かしらの誤認が無い限り不可能でしょう。

何より、早川湊斗の無罪を主張する際に弁護士の聖沢ウタは、神田瑞樹が真犯人であることを主張しているわけですからね。

そんな状況であるにも関わらず、三澤健を有罪にしてしまったことは、その手法の良し悪しにさえ目をつむればさすがの一言です。

神田瑞樹が真犯人であることが「真実」なのであれば、その「真実」を上書きすれば良い。

表現は格好良いですが、要は本当のことが分かっていながらそれを捻じ曲げてしまっているわけなので褒められた手法ではありません。

しかし、これで三澤健という卑怯な悪者が罰せられることになるかと思えばなかなかのカタルシスを感じずにはいられません。

犯罪コーディネーター

三澤健という悪者が罪に問われることになりましたが、しかし三澤健は黒幕ではありません。

「無実の罪で人が裁かれるなどあってはならない。私は真実に殉じたい」

検事であり、犯罪コーディネーターでもある杉浦稔侍。

そのセリフだけ切り取ってみれば、非常に正義感の強い検事という感じです。

しかし、杉浦稔侍が殺人事件の黒幕である犯罪コーディネーターであるということと、その際に取った手法を鑑みると、非常に意味深なセリフに感じます。

「殺意に罪名はありません」

要は、杉浦稔侍は嘘を付いていないんです。

確かに真実に殉じようと行動していて、それはまあ普通の検事のそれらしいものだったりします。

しかし、犯罪コーディネーターとしての杉浦稔侍の手法は、少なくとも今回の場合は殺意をうまく操ったものでした。

そして、殺意に罪名はない。つまり無実なんですよね。

なんというか、ずる賢い考え方ですが、うまくやればスマートにも見えます。

犯罪コーディネーターと聞くと、金田一少年の事件簿の高遠遙一が真っ先に思い浮かびますが、ああいう感じのスマートさがあるキャラクターなのではないかと思います。

検事という法に携わる人間が犯罪コーディネーターとして活動しているという事実が、今後の聖沢ウタの弁護活動にどう影響してくるのかが興味深いところです・・というか、今巻ラストでの聖沢ウタ逮捕にも杉浦稔侍が関わっていそうな予感がします。

パンダウィ教祖の裁判

早川湊斗が容疑者となった殺人事件はシリアスな感じでしたが、パンダウィ教祖の裁判はどちらかといえばコミカル成分強めなエピソードで、これはこれで面白かったです。

前巻でいうところの、覚醒剤取締法違反で逮捕された元野球選手の裁判のエピソードのような面白さがあるような気がします。

数々の奇跡を起こして信者たちに信望されているパンダウィ教祖の天現寺龍斗こと山田裕太郎。

最初はまさに怪しい宗教団体の教祖って感じで、とある目的のために死刑すら恐れていなさそうな様子で、これは弁護が難しそうです。

僕には弁護士の知識は当然ありませんが、何となく弁護対象の被告人が非協力的な状況というのが最も困るのであろうことは予想できますし、聖沢ウタもそれは同じだったと思います。

しかし、そんないかにもな教祖様が、聖沢ウタの弁護によって徐々に丸裸にされていく様子はなかなか面白かったです。

徐々に信者たちの目が覚めていく・・というか冷めていくのが可哀想でしてが。(笑)

シリアスなエピソードとコミカルなエピソードの両方が繰り返されるのも殺人無罪の面白いところだと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

聖沢ウタの逮捕という衝撃の展開で幕を閉じた2巻ですが、一体なぜ逮捕されたのか、この逮捕はそもそも正当なものなのか、そして早川湊斗の会った情報屋の言う「あいつ」とは誰なのか。

今後の展開が気になるところですね。