『パパと巨乳JKとゲーム実況(1)』ゲーム実況が結ぶ親子の絆(ネタバレ含む感想)
2010年前後が黎明期で、2010年代半ばに流行し、そして現在は流行こそ収束したもののゲーム実況鑑賞が趣味のひとつとしてそれなりに定着しつつあります。
実はそれなりにスキルが必要なはずのゲーム実況ですが、一見お手軽そうにみえることもあって実際にやってみようという人も少なくなさそうですね。実際、動画サイトを紐解けば尋常ではない数の零細実況者が活動しているのが分かります。
僕も気質的に、ゲーム実況が流行したのが学生時代であれば興味を持っていたような気がしますが、残念ながらゲーム実況が流行し始めたのは僕が社会人になった直後くらいだった気がします。
実際、黎明期の頃から活躍していたゲーム実況者って僕より少し年下くらいの人たちが多い気がするんですよね。
前置きが長くなりましたが、『パパと巨乳JKとゲーム実況』は実際にそんなゲーム実況をやってみて人気になったオジサンの物語になります。
妻子持ちの普通のオジサンがゲーム実況するギャップで人気になるような話かと思いましたが、ボイスチェンジャーで女の子のフリをして人気になる話みたいですね。
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本作の概要
50歳にして長年勤めた大企業からリストラされてしまった父親を、ゲーム実況者として人気が出てきた娘がゲーム実況に誘うという物語になります。
将来的には50歳くらいでもゲーム実況が何なのかを知っている人が多くなってくるでしょうけど、現代において50歳という年齢は「ゲーム実況何それ美味しいの?」って感じの年齢のはずです。
そんな50歳の、しかもどちらかといえばバリバリに働いていたタイプの男がゲーム実況者として人気者になっていくギャップが楽しい作品です。
本作の見所
世代を感じる実況ネーム
十代半ばの女の子に対する勝手なイメージですが、父親や男兄弟に対して一歩距離を置きたがるものなのではないかと思います。
僕の妹もそうでした。(笑)
いや、女の子に限らず思春期くらいの年頃は何故か家族と一緒に仲良くしている状況を恥ずかしいと感じてしまうものなのかもしれません。
だからこそ、それくらいの年頃の子供が親子で仲良くしている姿は微笑ましく見えるものですね。
「パパ、私とゲーム実況しよ」
意外とお父さんっ子な女子高生のリサがリストラされてヒマ(転職活動中)な父親をゲーム実況に誘うというストーリーは、そういう意味で微笑ましくも見えます。
「冒頭の自己紹介は別録りするから実況ネーム考えて」
ゲーム実況に限らずネット上で活動する人は本人特定を避けるために何かしら別名を持っているものですね。例えば、僕はあるいはと名乗っていますがそれもそういった類のものです。
ペンネームのようなものですけど、ペンネーム以上に個性的なものがあって面白いですよね。
個人的には、ゲーム実況者のレトルトさんの名前が凄いと思います。レトルト食品を連想させる一般的な単語ですが、今や検索するとレトルト食品より先にゲーム実況者のレトルトさん関係のページばかりが表示されるので、知らない人がレトルトと検索するとビックリしそうで面白いですよね。(笑)
ともあれ、リサの父親も実況ネームを自分で考えるのですが・・
「・・じゃあ南ちゃんで・・」
なるほど、自分の好きなキャラクターが由来と思われる別名は時たま見かけますが、まさにそのケースですね。
考えてみれば、場合によっては性別や年齢を隠していたとしてもある程度推測できそうな要素ではあります。
まあ、南ちゃんという実況ネームでしかもボイスチェンジャーで女性の声で実況しているとあれば、さすがにそれの元ネタが30年以上前のアニメだと紐付けられる人は少ないのかもしれませんね。
身近な視聴者
インターネット上での活動において、多くの人はいわゆる身バレを恐れるものです。一見オープンに見えるような活動者でもどこかで一線を引いているのが常で、逆に必要以上に活動者のプライベートを詮索するような言動もマナー違反だというのが暗黙の了解になりつつありますよね。
しかし、不特定多数に対してその活動を発信している以上は、自分の知人友人が知らずにその活動を見ていたり、場合よっては気付いたりしている可能性は小さくないものと思われます。
「・・実は・・会社の人が私たちの実況を見ているらしくてな・・思い出したらその・・恥ずかしくなってしまって・・」
転職に成功したリサの父親ですが、どうやら再就職先の面接官の一人がゲーム実況のファンで、ゲーム実況を趣味として始めたと面接で話したリサの父親に興味を持ってしまったようですね。というか、面接でゲーム実況が趣味と話すとはなかなかの度胸ですよね。(笑)
しかも、どうやらリサの父親の実況を視聴しているらしい。(もちろんリサの父親が南ちゃん本人だとはつゆ知らず)
ちなみに、リサも同じような状況に陥って恥ずかしさを感じているようですが、不特定多数へ情報を発信しているわりに身近な人物に知られることを恥ずかしいと感じるこの感情って何なんでしょうね?
総括
いかがでしたでしょうか?
ゲーム実況を題材にした作品って今までありそうで無かった気がするので、ゲーム実況好きの人は手に取ってみてはいかがでしょうか?
僕もゲーム実況を見るのは好きで、トップ4の動画あたりはよく見ているのですが、だからこそ本書に興味を持ったところがあります。
そういえば、トップ4のガッチマンも妻子持ちのゲーム実況者という意味では本書のパパと同じですね。実況スタイルやホラー耐性は違いますけど。(笑)
父親と思春期の娘の交流という意味で意外とハートフルな一面もある良作だったと思います。