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『シャドーハウス(1)』影と人形の不思議な物語の感想(ネタバレ注意)

 

シャドーハウスは、貴族の真似事をする顔のない一族のシャドーと、世話係であり、シャドーの顔となる人形のツーマンセルが織りなす不思議な物語となります。

ちょっと他では聞いたことの無い不思議なあらすじを目にして、興味を惹かれて読んでみました。

シャドーとは何者で、生き人形とは何なのか?

謎多き物語ですが、レトロな雰囲気が魅力的な作品でした。

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本作の概要

貴族のまねごとをしているシャドー一族。

そんなシャドー一族の少女であるケイト・シャドーに仕える生き人形のエミリコが主人公の物語となります。

顔が無く、良くない感情以外は表向きに分かりづらい主人の元で失敗を繰り返しつつも、距離を縮めていく不思議な主従に注目ですね!

本作の見所

第1話 ケイトとエミリコ

「仕える身としては、ケイト様のさりげない仕草から何をしてほしいのか読み取らないと」

序盤のエミリコのセリフですが、このシャドーハウスという漫画がどういう作品なのかを象徴しているようなセリフなのではないかと思いました。

一応、怒ったり良くない感情の時にシャドーの体からはすすが出るようですが、それで分かるのは良くない感情だけ。

後の感情は言動や仕草から読み取るしかないですからね。

そういうわけでケイトの顔をよく見ようとするエミリコですが、一方のケイトはそれを嫌がります。

見えないにも関わらずこれ如何に?

・・と疑問に思いましたが、見えないからこそ見られたくないということなのでしょうね。

第2話 壊れた人形は

シャドーは明らかに不思議な存在であることが分かりますが、生き人形が何なのかは今のところまだよくわかりません。

「"生き人形"は正確に人を模して作られてているから」

「シャドー一族は顔が見えないから判別が難しい。その顔の替わりが貴女たち"生き人形"なの」

ケイトのこのセリフから、シャドーのために作られた人形なのだということが読み取れますが、文字通りの人形なのか否かは微妙なところです。

普通にお腹を空かせたり、頭をぶつけて痛がったりと、普通の人間にしか見えません。

一方で、エミリコは空腹で不調をきたしているのを壊れたせいだと思ってしまっていたり、自分の体に油をさす場所がないか探してみたり、痛みを感じることを不思議がったりする描写もあって、そういう部分は人形っぽいです。

だから"生き人形"ということなのかもしれませんが、エミリコ・・というけ生き人形がどういう経緯で、誰がどのようにして生み出されたものなのかは非常に気になる所ですよね。

第3話 説明書

エミリコの部屋には掲示板のようなボードがあり、そこにエミリアの説明書が貼られています。

「これは私が最初から知っていることです」

最初というのは、作られて意識を持った時に最初から知っているという意味でしょうか?

だとすれば、エミリコにシャドー一族のことを教えたのはこの説明書のみであり、教育者のような存在もおらず、少なくともエミリコ自身は自分の作成者とかのことも知らないということなのでしょうか?

面白いのはエミリコ自身にも、まだ読めない文字があって全ての説明書の内容を把握しているわけでは無いという点。

今後エミリコが成長していく過程で、この説明書の内容が明らかになる形で謎が解明されていくような展開も多々ありそうですね。

第4話 すすだるま

シャドーからは良くない感情の時にすすが出るとのことですが、寝ている間にもすすが出るようです。

そのすすを掃除するのはエミリコの役目ですが・・

見守るケイトの足元にもぞもぞと蠢くすすがっ!?

ケイトが無感動にそれを踏み付けるのにエミリコは気付きませんが、こいつが一体何なのかも気になりますね。

そして、暇を持て余したケイトが集めたすすを使ってすすだるまを作っているのが面白いです。

感情が分かりにくいキャラクターなだけに、こういう手慰み的な人間っぽい行動を取っているのを見ると安心するというか、愛嬌が少し増したような気がしますね。

しかし・・

「おはよう、いつもより遅かったわね」

ケイトから字を教わるのを喜んでいたエミリコのために、1時間早起きして掃除することを約束していたのに、エミリコは寝坊してしまいます。

早起きして待っていたのか、大量に体からすすが出ている上にすすだるまを大量に作っているケイト。

怒りの感情だけはメッチャわかりやすいですね。(笑)

第5話 空腹

前話での失態を取り繕おうと空腹をこらえて仕事するエミリコ。

「昨日、寝坊した失敗を取り戻そうとして朝食もとらずに働く時間にあてていたでしょう?」

仕事しながらこっそりパンをちぎって食べている所をケイトに目撃されていたエミリコでしたが、余計に失敗が増えるからとケイトに注意されてしまいます。

自分のパンが多すぎるからとエミリコに分け与えようとするケイトですが、それを受け取るのはいじきたないと嫌がるエミリコ。

いや、エミリコは真面目にやろうとしているだけなのですが、受け取ってもらえない善意にケイトがイラっとしている雰囲気が伝わってきますね。

「あのねエミリコ。貴女は私の"顔"でしょ。自分がおいしそうに食べてる所。私、見てみたいの」

表情は見えませんが、ケイトは結構良いヤツ感が出てきたような気がします。

第6話 鏡

エミリコに自分の服を着せて遊ぶケイト。

「実は"生き人形"にシャドーの服を着せるのは禁止事項なのよね」

禁止と言いつつエミリコを着せ替えゴッコを楽しんでいたケイトは、見た目からは分かりにくいですが随分とエミリコに気を許しているのかもしれませんね。

しかし、この遊びを通してなぜ禁止事項なのかも理解したようです。

いわく、人形の方が完全な存在に見えてしまうからなのだとか。確かに、同じ服装をしていたら顔の無いシャドーの方が虚像っぽく見えてしまいますからね。

「私はケイト様の鏡です」

自分を仕立てたのはケイトだとフォローするエミリコでしたが、最後に余計なことを言ってしまうのはご愛敬ですね。(笑)

第7話 別の顔

窓の掃除をしている時に、エミリコは初めて自分以外の生き人形の顔を見ます。

この時点で、エミリコとケイトを含めて生き人形と仕えるシャドーが一つの家(?)に住んでいるらしいことが判明します。

人の良さそうな上の階の住人に、睨みつけてくる女の子。

同時にパンを運んでくる顔を隠した人形との違いについてエミリコは考えますが、個人的にはこの顔を隠した話さない人形には、生き人形にとって良くない何かを意味しているのではないかと推測しています。

第8話 部屋の外には

部屋の外の掃除の日。

エミリコは初めて部屋の外に出ます。

上の階の生き人形であるミアに案内されるまま部屋の外へ行くと・・

そこは多数の生き人形が掃除用具をひっさげながらうろついています。

7~8話を読むまで、実はエミリコとケイト、そしてパンを運んでくる人形と、大きな家に非常に少人数で住んでいるいるような家なのだと思っていましたが、マンションというわけではないのでしょうけど、実はそういうたくさんの一家が住んでいる、とてつもなく巨大な家なのかもしれませんね。

第9話 すす取りの間

掃除の中、すすで汚れる体を綺麗にするための「すす取りの間」では、体についたすすを吹き飛ばします。

それに興味を持ったケイトが自分も入りたがるのですが・・

ケイトの体中が吹き飛ばされる怖い想像をしてしまうエミリコ。

「・・すすは出るけど、すすで出来ているわけじゃないわよ」

当たり前と言えば当たり前ですが、真っ黒なシャドーであるケイト。

そういう想像をしてしまうのもわからなくはないですよね。(笑)

第10話 落ちない汚れ

随分と親密になってきた感じのするエミリコとケイトですが、そんな時にエミリコは、どうやらケイトが大事にしているらしいぬいぐるみを咄嗟に雑巾代わりに使ってしまいます。

「他のものは何をしたって構わないけれど・・ここにあるものは私の大切なものなの!」

かつてないほどの怒りを見せるケイトは、大量のすすをまき散らします。

そのすすの汚れが全く落ちないあたり、怒りの大きさが分かりますね。

「触っては駄目なんて一言も説明していなかった私が悪かったの。怒りすぎたわ」

しかし、ついカッとなって怒ってしまっただけらしいケイトの方から謝ってきました。

冷静になった後にこうしてちゃんと謝れる子、好きですよ。

それにしても、ケイトの怒りが収まるのと同時に全く落ちなかった汚れが落ちるのも面白いですね。

第11話 お披露目前の二人

お披露目ってのが貴族の子女っぽいですよね。

恐らく、お披露目前は外に出たらダメとかそういう設定なのだと推測しますが、エミリコが窓の外に落下してしまったことにより、ケイトは部屋の外に出ます。

そして、そこでは生き人形のミアと、その主人らしいシャドーのサラと出会います。

しかし、ミアの様子が以前の様子とは違っていて、エミリコの挨拶にも応えてくれません。

まるで、サラ・シャドーの表情を代弁するかのように表情を動かすのみなのです。

サラに顔があったら、まるで双子のように見えることは間違いありません。

それにしても、なるほど納得ですね。

シャドーと生き人形の本来の関係ってこういうことなんだということが、ちょっとだけ見えてきましたね。

第12話 汚しながら

ケイト視点のエピソードですが、何だかシャドーの郷の深そうな部分が垣間見えます。

朝起きたらすすだらけ。

何を触っても汚すばかり。

そして何でもピカピカに掃除する生き人形のエミリコが眩しく見える。

シャドーハウスは、生き人形であるエミリコ視点の話なので、どちらかといえば生き人形って何だという部分の方が気になってしまっている所があるのですが、一気にシャドーのことも気になってきました。

体からすすが出たり、顔が無かったり、何かとデリケートな性格だったり、哀しい何かがありそうな気がしています。

総括

いかがでしたでしょうか?

1巻は基本的に、シャドーのケイト・シャドーと、ケイトに仕える生き人形のエミリコの紹介というか、世界観の頭出しといった内容でした。

とても不思議で、十分に魅力的な世界観だと感じました。

シャドーとは何者で、生き人形とは何なのか?

この物語がどういう方向に進んでいくのか?

今のところ全く推測できませんが、今後の展開が楽しみですね!

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