『幸せカナコの殺し屋生活(1)』凄くライトな殺し屋漫画の感想(ネタバレ注意)
殺し屋が登場するフィクション作品は数多いですが、こんなにライトな殺し屋が主人公を張っている作品は『幸せカナコの殺し屋生活』くらいなのではないでしょうか?
ブラック企業から退職しての転職先のホワイト企業がまさかの殺し屋さんって展開は、なかなか風刺に富んでいるような気もしますね。
当然、殺し屋さんって犯罪なのですが、ブラック企業よりホワイトな印象に描かれているのが興味深いです。
『幸せカナコの殺し屋生活』の主人公はタイトルから分かる通り殺し屋のカナコなのですが、ポンポン軽い感じで人を殺していくわりには、人を痛めつけたり追い詰めたり、それこそ人が死ぬシーンなどが描かれているわけではないので、そういう作品が苦手な人でもライトに楽しみやすいギャグ漫画になっています。
フルカラーで描かれるちょっとドジな殺し屋・西野カナコの活躍が楽しい四コマ漫画です。
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本作の概要
主人公の西野カナコはブラックすぎる職場から退職したOLさんです。
そして再就職のために面接を受けた企業は、なんと殺し屋さんでした。
最初は逃げ出そうとしますが、意外にもホワイトな待遇にまさかの殺し屋としての才能に、なし崩し的に転職してしまいました。
本作の見所
ホワイトな殺し屋さん
平成の後半になり、ブラック企業という言葉を聞くことがとても増えました。
過労死などの社会問題に対して世間が敏感になってきたこともあり、最近では随分と改善傾向にあるものの未だにブラックな常識がまかり通っているような企業はあるようですね。
『幸せカナコの殺し屋生活』の主人公・西野カナコはそんなブラック企業に勤めるOL・・だったけど辞めて転職活動をしていました。
「おい、うち殺し屋だぞ? お前人殺せんのか?」
パワハラで病んでいたカナコは知らず知らずの内に殺し屋さんで面接を受けていました。
どうやら・・というか当たり前ですが普通に募集を出していたわけではないようで、そこにたどり着いているだけで殺し屋としての素質があると判断されているようですが、さすがにカナコは引き気味で逃げようと考えるのですが・・
「うちは初任給60万円から。勤務時間は10~19時、土日休み。昔は複利厚生も無かったが・・今は完備。時代だな」
しかし、これだけ聞いたらとてつもなく魅力的なホワイト企業。
ホワイトすぎて怪しすぎるまである・・って殺し屋さんなんだから当然か。(笑)
殺し屋の才能
入社テストはカナコの前の会社の上司を撃つこと。
「ムリムリムリムリカタツムリ!! 私に人殺しなんて!! 確かに前の上司は私を奴隷みたいに扱っては何かあるたびに罵声を浴びせたり体に触ったりするクズ野郎だったけど。あー!! 指が勝手にー☆」
そして、その内心とは裏腹に引き金を引く指は軽い。
初めての殺しに気分が悪くなっているのかと思いきや、人を殺して飲むお酒が美味しいと宣い、なんの訓練もしていないのに銃を扱え、気配を殺す技術にも長けているカナコは殺しの天才というように認定されました。
やったことのないものに対して、実は才能があるなんてことは誰にでも可能性のあることであって、前向きな理由で転職なんてする人なんかはそういうものを探していたりするのだと思いますが、まさか殺しの才能とはって感じですね。
人には言えない
最初は抵抗がありそうだったのに、むしろ積極的に殺しに勤しもうとするカナコは本当に殺しの才能があるのでしょうね。
かなり幸せそうに見えますが・・
その仕事を友人や親に話すことはできません。
現代社会において、どんな仕事をしているのかはその人を示す最も大きなバロメーターのひとつになります。
それを人に言えないっていうのは、今は色々誤魔化せて幸せでも後々に響いてきそうな気もしますよね。
目立つ殺し屋
裏社会では”K"という凄腕の殺し屋の存在が噂され始めているようですが、どうやらそれはカナコのことらしいです。
カナコはそれを喜んでいますが・・
「殺し屋が目立ってどうすんだ。社長はカンカンだぞ」
ですよね~
そんな展開は予感していました。(笑)
「西野、お前は伝説になれ」
しかし、この展開は予想できませんでしたね。
怒りを通り越して、リスクがあってもカナコの成長が楽しみというように不愛想な社長は思うようになったようです。
いや、殺し屋の中でも外れた存在って物語的には格好良いって思ってしまいますけど、『幸せカナコの殺し屋生活』はギャグだからなぁ~(笑)
警察の手
カナコが前の会社の上司を射殺した件は、射撃の後を誤魔化すように頭がつぶれた飛び降り自殺に見せかけられているようですが、それを疑っている刑事が今巻ラストに登場しました。
しかも、どうやらカナコには一目惚れしてしまった模様。
恋する刑事と焦るカナコと、どんな展開になっていくのか面白そうなところだと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
殺し屋というギャグにするにはなかなか不謹慎なテーマを取り扱っている漫画ですが、不謹慎ではあっても面白いと思ってしまったので、こうしてレビュー記事を書いています。(笑)
ブラック企業には耐え切れずに退社してしまったのにホワイトな殺し屋さんで幸せを掴むという、ブラック企業に対する「殺し屋以下なんじゃね?」って警鐘が含まれていそうな所が不謹慎だけど面白かったと思います。