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『しらたまめぐり』ゆる~く卓球を楽しむ漫画の感想(ネタバレ注意)

 

しらたまめぐりは1巻完結の卓球漫画です。

そういえば、スポーツ漫画の中でも卓球漫画ってかなり定番ですよね。

漫画家されやすいスポーツって、そのスポーツそのものの人気と完全に比例関係にはないと思いますが、やっぱり最速の球技という分かりやすい競技の特徴や、一見スポーツできなさそうなキャラクターでも活躍させやすいのが卓球漫画の多い理由なのでしょうか?

そういうわけで、卓球漫画の主人公って一癖ある個性が卓球の才能に繋がっているようなケースが多いと思うのです。

その才能を武器に、全国大会を目指したりとか、そういう展開は定番ですよね。

しかし、しらたまめぐりの場合はそういう定番の卓球の漫画とは少々異なります。

超本格的に卓球をやって、厳しい練習に耐えながら大会での優勝を目指すとか、そういう話ではなく、もっとゆる~く卓球を楽しむような作品で、もちろん主人公の白坂光希にも卓球で勝ちたいというような思いが芽生えたりもしますが、基本的には卓球の楽しさがテーマになっています。

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本作の概要

主人公の白坂光希は引っ込み思案な人見知りの少女。

高校生になって新しい環境にビクビクしていますが、ひょんなことからたどり着いた卓球場でクラスメイトの玉澤杏珠と出会います。

実は幼少期に祖母から卓球を教わっていた光希は、成り行きに流されてしまいながらもこの卓球場への入会を決めます。

本作の見所

何だか怖そうなクラスメイトと卓球場

学生にとって、進学やクラス替えで新しい環境に身を置くのは最も緊張する瞬間だと思います。

そんなに親しくない人だったとしても知っている人がいたら安心してしまったりね。

本作品の主人公である白坂光希は、人並み以上にそういうところで緊張してしまう性質のようで、高校に入学してちょっと怖そうだとはいえクラスメイトにまでビビってしまっています。

野良ネコにすら怯えるほどの人見知りである光希が、帰宅中に野良ネコや工事中の道を避けて知らない道に。

そこには卓球場がありました。

昔、祖母に教えてもらった卓球に思いをはせる光希ですが・・

「ま・・でも・・本気でやる事はないかな・・」

楽しい思い出だったが、確かにここまで光希を見る限り、本気でスポーツに打ち込む姿は想像できませんね。

しかし、その卓球場にはちょっと怖い感じだと思っていたクラスメイト・玉澤杏珠がいて、光希を入会希望者と勘違いして猛アプローチしてきます。

どうやら第一印象は怖い感じのクラスメートだった杏珠ですが、まったくそんなことは無かったようですね。

ゆるいラリーと卓球場の人々

さて、よくある卓球漫画の展開だと、例えば杏珠がもの凄い実力者で光希は1点も取れない。しかし、光希も祖母との卓球の経験を思い出して一つ意趣返しして見せる。

そんな展開が予想されそうですが、ここで杏珠は全ての玉を光希にとって返しやすい場所を狙ってラリーを続けられるようにします。

これはスポーツ漫画において主人公をその世界に引き込んだキャラクターのテンプレ的にはかなり珍しい部類で、とにかく光希を楽しませてあげようという配慮が伺えますね。

この時点で、杏珠の好感度は爆上げです。

ちなみに、僕は現実の卓球場というものを知りませんが、本作品における卓球場では老若男女様々な人々が卓球をプレイしていて、何だか楽しそうな雰囲気です。

楽しくはありつつも張り詰めた雰囲気のある漫画も良いですが、こういう雰囲気も良いと思います。

おばあちゃんのリボン

そんな感じで出会った光希と杏珠ですが、光希が祖母から勇気が出ない時は思い出しなさいと貰った思い出のリボン。

なぜか同じものを杏珠が持っていて、お互いに驚かされることになります。

「何で!? 作ったの・・あたしのばーちゃんだし・・」

いや、実は最初は光希と杏珠ってはとこ同士だったりするのかなぁと思いましたが、どうやらそういうわけではないようです。

卓球場に通うジジイの仁さんによると、どうやら光希と杏珠の祖母はそれぞれ同じ卓球場に通っていて、とても仲が良かったようですね。

何か、こういう世代を超えて偶然友人になるってのも何かほんわかした気分になります。

シングルマザーと卓球

実は、光希は幼い頃に母親が祖母に光希にはもう卓球をやらせないでほしいと話をしています。

これだけ聞くとあまり良い親という感じはしませんが、離婚したばかりで幼い子供を抱えるシングルマザーなのだと考えると分からなくもありません。

ともあれ、それで家計のこともありますし光希は母親に対して少々遠慮気味だったりします。

「卓球、また・・やらせてほしいんだ。学校の部活と違ってお金がかかるし・・用具も持ってないから一から買わないといけないし・・」

しかし、今回は卓球場に通いたい。卓球を始めたいと母親に相談します。

そして、母親は特に反対することも無く、というかむしろ嬉しそうに賛成します。

かつて余裕がなくて、それで光希に色々と我慢させてしまっていると自覚していたことが伺えますね。

ダブルスコンビ結成

光希で杏珠でダブルスを結成するようですが、昔ちょっとかじったことがあるとはいえほぼ初心者の光希。

シングルスよりも制約の多いダブルスの動きにてんてこ舞いになってしまっています。

「俺らはとにかく楽しくやりてーんだ。本気で楽しむ。そんな感じだな、練習も試合も」

「ダブルスなんてのは特にそうでさ、お互いの息が合ってようやくたのしくなってくるモンなんだ。頭カタくして空気悪くしちゃー勝てるモンも勝てなくなる」

仁さんにセリフ、何か年の巧って感じで良いですよね~

しかし、光希は性格的にこういうの苦手そうです。

実際、この後行われる練習試合では十全に楽しみ切れていなかった節があります。

「チャンスボールは絶対打つ事! 頼んだよ!」

杏珠にそう言われていた光希ですが、練習試合中にミスを連発して、失敗を恐れて楽しむようなプレーができていませんでした。

それに対して少々不機嫌になってしまう杏珠ですが、この経験を経て「もう逃げない」ことを心に決める光希。

割とゆる~く卓球を楽しむ漫画ですが、ガチの勝負の世界と同様に、失敗を恐れることが楽しむ上でも障害になるのだという所が興味深い所ですね。

卓球ガチ勢の小学生

ゆる~く楽しんで卓球をしているのだとしても、やっぱり試合は楽しいものです。

というわけで、杏珠とダブルスを組んで大会に出場することになった光希でしたが、杏珠を敵視する小学生に絡まれてしまいます。

どうやら高校生の杏珠には劣るものの卓球ガチ勢の小学生女子・結城陽芽歌が仁の孫である航太と親しい杏珠と・・

顔は知らないらしいけどミツキという女(まあ光希のことなんですけど)に対して敵愾心を抱いているようですね。

ともあれ、光希がこのダブルスの弱点として集中的に狙われ、後半には持ち直して良い勝負になるものの負けてしまう結果となります。

主人公がそうやって小学生に負けてしまうような展開はスポーツ漫画の中でも珍しい気がしますが、そこまでガチでやっているわけではないからそれはそれでリアリティがあるし、そうはいっても悔しさは隠せない光希もなんか青春だな~って感じがしました。

総括

いかがでしたでしょうか?

部活ものの作品ではないので、幅広い年齢層のプレイヤーが登場しましたが、それだけに一生涯楽しめる競技としての卓球が描かれた珍しい漫画だったのではないかと思います。

1巻完結で綺麗に纏まっていて読みやすい作品です!

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