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『将棋めし(4)』美味しいだけじゃない。厳しい世界が垣間見える最新巻の感想

 

最近、将棋の漫画が本当に増えてきたような気がするのは、やっぱり藤井聡太先生の効果でしょうか?

あちこちで何度も言っていることですが、囲碁ファンとしては羨ましい限りです。

藤井聡太先生の人気は凄まじいもので、最近は比較的落ち着いてきたものの、一時期は一局一局が注目の的でランチのメニューまでにスポットが当たっていましたね。

しかし、藤井聡太先生ほど注目されることこそ記憶にはありませんが、囲碁でも将棋でも対局中の食事はファンにとってかなりの注目ポイントだったりします。

注目度の高いタイトル戦では、その地方の特産品やホテルの料理をアピールしたりするので、もともと食事はファンに対してアピールすべきポイントだったという事情もあるのでしょうけど、食事は意外と個性が見えやすい部分なので、普段遠い存在であるトップ棋士の人間的な部分が垣間見えて面白いですよね。

そして、将棋めしはそんな対局の合間の食事にスポットを当てた珍しい将棋漫画となります。

グルメ漫画と言っても良いくらいお腹が空く漫画ですが、将棋漫画としてもかなり本格的な作品だと思います。

ちなみに、本作品の作者である松本渚先生は、本作品以外にも盤上の詰みと罰という将棋漫画も描いています。

こちらも女性の棋士が主人公の漫画ですが、相当面白いのでおすすめですよ!

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本作の概要

将棋漫画とグルメ漫画の2つの顔を持つ将棋めしですが、今巻はいつもより将棋成分が強めの内容となります。

そもそも主人公の峠なゆたが玉座というタイトルを取得する所から始まった本作品ですが、今巻でその玉座の防衛戦が始まります。

思うような対局ができずに、食事の味もわからないようになってしまうほど精神的に追い詰められているなゆた。

まさか、グルメ漫画のリポート担当の舌がいかれてしまうとは・・(笑)

いや、笑い事ではないのですけど、それだけ将棋の世界が厳しいのだということなのでしょうね。楽しい、美味しいことばかりではないと、本作品はそう言っているのでしょう。

本作の見所

陣屋カレー

将棋の勉強のために玉位戦の検討室に訪れたなゆた。

どうやら目的は関係者に出される陣屋カレーで、終始カレーが食べたくて仕方の無さそうな様子でした。(笑)

多様な付け合わせが用意されていて、美味しそうである前に楽しそうなカレーですが、調べたら実在するようですね。

神奈川県秦野市鶴巻温泉にある旅館。陣屋旅館で囲碁や将棋のタイトル戦の対局者とその関係者のみに振舞われるカレーとして有名らしいのですが、現在は宿泊者向けとしてルームサービスのメニューには存在するそうです。

ルームサービスメニュー - 鶴巻温泉 元湯 陣屋 旅館

いや、なにこれ写真を見ただけで超美味しそうなんだけど!

カレーにとって付け合わせはおまけで、あまり拘ろうとは思わない性質ですが、これだけ色鮮やかに目を惹かれるとどうしても食べてみたくなりますね。

しかし、宿泊者向けな上にカレーにしては中々のお値段。残念ながら食べられる機会はそうは無さそうです。

幼い日のなゆた

両親に憧れてプロ棋士を目指すことになったなゆた。

小学生にして単身東京の父親の元へやって来ます。(小学生の押しかけ弟子、どっかで聞いたような・・)

そこで後に兄弟子となる壮谷憲司と出会います。

既にプロ棋士である壮谷と飛車落ちで対局するなゆたですが、そこではプロの壁を思い知らされます。

そして、その対局を最後に壮谷と対局する機会は無かったようなのですが・・

玉座戦の防衛戦という大舞台で再び対局することになりました。

しかし、僕には囲碁はともかく将棋のハンデの大きさはあまりピンとこないのですが、飛車落ちでプロ棋士と指せるというだけでなゆたは相当な才能の持ち主なのではないでしょうか?

玉座戦の敗北

将棋にしても囲碁にしても、タイトルを持っているトップ棋士は誰しもとてつもない実力者であることは間違いありません。

そして、それは将棋や囲碁を知らない人ほど、例えば名人と聞いただけで誰も敵わない実力者を想像するのではないでしょうか?

しかし、将棋や囲碁のファンならわかると思いますが、タイトル保持者とその他トップ棋士の差は正直あって無いようなものです。

しかも場合によっては、贔屓目に見ても挑戦者側の方が格上に見えてしまうことも少なくありません。

明らかに格上の挑戦者を迎える。

このプレッシャーの大きさは想像に難くありません。

そして、峠なゆた玉座の防衛戦がまさにそのような状況となりました。

兄弟子である壮谷竜王。保持しているタイトルは壮谷の方が格上ですが、玉座戦なのでなゆたが上座となります。

更に、女性であるが故の注目もされているなゆたにとって、これはプレッシャー云々以前にある意味恐怖ですよね。

想像以上に苦しくなる局面に、食事の味もわからなくなってしまうほどなゆたは追い詰められてしまい、結果1局目は敗北に終わりました。

そのまま体調まで崩し、寝込むことになってしまうとは・・

一応、現実の将棋の世界にはプロ棋士になった女性すら存在しないような状況。プロ棋士になってタイトルホルダーになったなゆたはハッキリ言って歴史に名を残すレベルで出世しているのですが、それでもここまで追いつめられることになるほど将棋の世界は厳しいのですね。

いや、そこまで出世してしまったからこその厳しさもあるのかもしれませんけど。

なゆた復活

なゆたが玉座を奪った相手である宝山、その宝山の同期である黒瀬の励ましもあり復活したなゆた。

1局目では食事のメニュー選びでも負けていたなゆたですが、2局目ではそこで一本取ります。味覚も完全には復活していないようですが、ソースの効いた串カツを美味しいと感じているようで、調子も悪くないように見えます。

このまま完全復活なるか、続きが楽しみですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

一度は完全に落ち込んでいたなゆたですが、今巻の最後には持ち直しましたね。

復活したなゆたの防衛戦がどうなるのか、続刊に期待です!

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