あるいは 迷った 困った

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『天国大魔境(1)』謎だらけだけど既に面白い漫画の感想!(ネタバレ注意)

 

石黒正数先生と言えば、個人的にはそれでも町は廻っているのイメージが相当強いです。

絵が非常に個性的で目に付くので、他の作品も書店では度々見かけていましたが、実は件のそれでも町は廻っているがあまり肌に合わなかったこともあって、石黒正数先生の作品はそれでも町は廻っているの5巻くらいまで読んで以来は読んだことがありませんでした。

そういうわけで天国大魔境も何か発売していることには気付いていたもののスルーしてしまっていました。

しかし、この度天国大魔境このマンガがすごい! 2019のオトコ編1位になったことで、久々に石黒正数先生の作品に興味を持った次第です。

はい。自分がミーハーなのは分かっています。(笑)

だけどそのお陰で出会うことができた作品は数多く存在するので、自分的にはミーハーで良かったと思います。

今回も、このマンガがすごい! 2019のお陰で天国大魔境という面白い作品に出合うことができました。

色々と謎が多い漫画で、普通そういう類の作品ってじわじわと面白くなっていくことが多いと思うのですが、結論から言うと天国大魔境は1巻の時点で既に面白いです。

前半を読んでいる時、「あれ、これってどういう話なの?」とよく理解しきれていない自分がいたのですが、気付けば作品に引き込まれて一瞬で最後まで読み切ってしまいました。

最後まで読んでも実はまだ良くわからいのですが、続きが気になって仕方のない自分がいます。

本記事では、そんな天国大魔境の魅力を紹介したいと思います!

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本作の概要

大きな壁に囲まれた謎の施設と、その壁に外側があるということを知らない、何かしら特殊な能力を持った子供達。

そして、荒廃した外の世界を天国を目指しながら旅するマルとキルコ。

日本に何があって、こんな荒廃した世界になったのか?

荒廃した世界に住む化け物は何なのか?

大きな壁に囲まれた謎の施設と子供達は何者なのか?

マルはなぜ天国(謎の施設のことと思われる)を知っていて、探しているのか?

そもそもマルとキルコは何者なのか?

キルコの持っている光線銃はどこで手に入れたものなのか?

・・などなど、様々な謎がひしめき合った物語になっています。

また、謎なのかどうかもわからない。「何でそんなシーンを入れたの?」と疑問に思うようなシーンもあって、全く興味が尽きませんね。

本作の見所

謎の施設と子供達

不思議な謎の施設。そこにいる子供たちには施設を囲む壁の外の存在すら教えられていないようです。

単行本の裏側のあらすじに「閉ざされた天国」と記載されているので、ここがマルの目指す天国であると推察されますが、ここがどうして天国と呼ばれるのかは今のところ謎です。

ミミヒメという女の子は未来予知(?)のような能力を持っているようですし、他の子供も運動神経が人間離れしていたり、いつも不思議な雰囲気の絵を描いていたり、普通の子供というような雰囲気ではありません。

そして、閉ざされた世界で大人たちが壁の外をひた隠しにしているのかと思えば、聞いたらあっさりと外の存在を教えてくれたりする。

今のところ、この謎の答えに繋がりそうな手掛かりらしいものはありませんが、早く答えが知りたくて仕方がありませんね。

外からたすけに来てくれる2人

ミミヒメには外から2人の人間がたすけに来てくれるイメージが見えるそうです。

その内の一人がトキオという施設の男の子にソックリらしいですが、これは恐らく外の世界にいるマルのことでしょうね。(マルはトキオの髪が伸びたようなキャラデザ)

ここではマルとトキオがソックリなことが何を意味しているのかという謎が生じますが、それ以上にミミヒメが「たすけに来てくれる」「たすけ」という言葉を使ったことの意味の方が気になりますね。

やはり、この謎の施設はそこから出ていくことが「たすけ」になるような場所なのでしょうか?

キルコの光線銃

使用者であるキルコ自身が「謎の光線銃」と言っているので、このオーバーテクノロジーっぽい光線銃にも何か謎が秘められているかと思います。

しかし、このよくわからない銃を使って・・というか実は使えないのを誤魔化しながらも盗賊を制圧するキルコはなかなか格好良いと思います。

怪物とマルの能力

マルとキルコが止まった旅館。夜中にヒルコという化け物が現れました。

この化け物のことを自分の息子だと思っている女将さんが、この化け物に攻撃しないようにマルとキルコの邪魔をします。

そして、この女将さんが本当にこの怪物とコミュニケーションを取れているようになった所で・・

女将さんが化け物に殺されてしまいます。

う~ん、信じていたものに殺されるとは、やりきれない話ですね。

「あいつ殺してくる」

そしてマルが化け物と組み合って・・

何か謎の能力のようなもので化け物のコア(?)のようなものを破壊して化け物を倒しました。

いや、説明が下手かもしれませんが、そうとしか言えないのですよ。

一体、マルのこの能力は何なのか。謎が増える一方ですね。

キルコの正体

「警護対象以上の感情はありませんから!」

旅館で女将さんに2人の関係を勘違いされた時、キルコはそれをキッパリと否定します。その発言を受けてなのか、布団の距離を離したりとマルが少々拗ねたような態度を見せていたので、マルがキルコに気があるのは何となく気付いていました。

しかし、マルの告白に対するキルコの返事がまさか、「僕、男なんだ」だとは・・

確かに、キルコの存在もまた謎めいていますよね。ですが「もしかしたらコイツ男じゃね?」と漠然とでも感じた人は多いのではないでしょうか?(僕もそうでした)

体は女の子のものだけど、脳みそは男のもの。

考えてみれば、その伏線らしきものは多数ありました。

一人称が「僕」なのもそうですし、トイレや露天風呂のドアや仕切りが壊れていて、マルに恥ずかしい姿を見られても、見るなと言って怒りつつもそこまで恥ずかしがっていないのもサバサバしていて男っぽいですね。

それに、キルコの年齢に対する曖昧さが、実は体の持ち主の女性の年齢と脳みそが入っている男の年齢の違いからくるものだと考えたら辻褄が合います。

キルコが鏡に映る自分と顔を赤らめながら口づけしようとする描写もありましたが、女性の体を手に入れた男がやりそうなことですね。(笑)

そして、極めつけは頭にある縫い痕。

答えを聞いてから思い返せば伏線が多数散りばめられていたのですね。

まあ、キルコの脳が男のものだったところで、それ自体が「いったいどういうことなの?」という新たな謎になってしまいますけど。

総括

いかがでしたでしょうか?

1巻は謎の頭出しといった所でしょうかね?

ある程度の推測ができるものの、解釈が多岐にわたりそうな絶妙な謎が散りばめられていて、先が気になって仕方がありません。

例えるなら、あとちょっと考えたら解けそうな問題の解答をさっさと見てしまいたくなる時のような気持ちで、否が応にも期待が高まります。

個人的には、最近は忙しいこともあって何も考えずに気軽にサラッと読めるような類の作品ばかりを読んでしまっていたところがあるのですが、たまにはこのような謎めいた作品も面白いものです。

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