『ソードアート・オンライン(21)』アクセルワールドと繋がりだす予感のする最新巻の感想(ネタバレ注意)
川原礫先生の『ソードーアート・オンライン』と『アクセルワールド』の2大シリーズが同じ世界観の中の過去と未来の物語であろうことは、両方読んでいて気付いていない読者はいないことでしょう。
というか、かなり前にも一度この2作品はぼんやりとリンクしていて、関係性があるのは明らかでした。
まあ、両方とも既にかなり大きなシリーズに成長しているので、どっちかしか読んでいないという人もいるかもしれませんけど。
しかし、『ソードーアート・オンライン』の今巻のラストではかなり明確に『アクセルワールド』とのリンクをほのめかすキャラクターが初登場しました。
これは、もしかすると『ソードーアート・オンライン』の新シリーズの中で『アクセルワールド』に繋がる伏線や、伏線の回収が行われる可能性すらあるのではないでしょうか?
どっちかのシリーズしか読んでいない人も、今の内にもう片方を読んでおいた方が良いかもしれませんね。
いやはや、この件は今巻のほんのエピローグの一幕でしかなく本編とはあまり関係が無いのですが、あまりに驚いたので最後の最後に本編のことが頭からふっとんでしまいましたよ。(笑)
?
本作の概要
突如としてALOに異変が発生し、強制的に謎のゲーム、ユナイタル・リングが開始されてしまいます。
どうやら、ALOだけではなくシノンのいるGGOなど、様々なゲームで同じことが起きているようです。
しかも、ステータスや所持品も一部を残して初期化されてしまい、キリトもレベル1になってしまいました。
始まったユナイタル・リングはどうやらサバイバルゲームのようで、今までの『ソードーアート・オンライン』のように剣や魔法での戦闘は控えめ。今巻のキリトたちは珍しく生産に精を出しています。
まあ、これも必要に迫られたからなんですけどね。
新章の始まりということで、次巻以降へと繋がるような伏線が多く張られた内容になっているという印象を受けました。
本作の見所
ALOにいるアリス
アリシゼーション編を読んでいる時、こうしてアリシゼーション編のキャラクターがALOにいる姿は想像できませんでした。
現実世界でもロボットの体でコミュニケーションが取れるので、それに比べたら驚きは小さいのかもしれませんが、アリスがアリスの姿形でキリトたちと一緒にいるのが何だか感慨深く感じてしまいます。
竜騎士を目指しているという理由で種族は猫妖精族を選んだとのことですが、何となく猫っぽさのある女の子なので、とても似合って見えますね。
キリト・アスナ・アリスの3人で始まる新章
突如として訪れたALOの異変。SAO事件を思い出させる警告の後、アインクラッドの浮遊城のフロアが分断され、自由落下してしまいます。
必死にログハウスを守ろうとした結果、何とか完全な破壊は免れたもののログハウスに設定されているらしきHPが減り続けています。早く何とかしないと、ログハウスが消滅してしまうということで、修復のための材料集めから新章が始まります。
レベルやステータスなどの設定も初期化されてしまい、キリトたちが急激に弱体化してしまいました。全てが初期化されてしまったわけではありませんが、高レベルの装備が残っていても、重くて装備もできない状況です。
「ステータスが初期値になってもそのまま装備できるような救済措置が働いてたんじゃないかと思うんだ」
ストレージにしまっていた装備を改めて装備することはできないが、異変発生時に装備中だった装備に対しては救済措置が働いているのではないかというキリトの推測。ゲーム慣れしたキリトの推測が流石ですね・・と、言いたいところですが、装備を解除してパンイチになってから気付いてしまった所がおまぬけです。(笑)
というわけで、今巻キリトはずっとパンイチです。メタい事を言うと、小説という媒体だから辛うじて格好良さを保っていましたが、やっぱりパンイチです。
ともあれ、この新しく始まったゲームの正体についてもキリトの推測が働きます。
「もしかしたらこれ、サバイバルゲームなのかもな・・」
一瞬「ふ~ん」と流しかけましたが、考えてみれば『ソードーアート・オンライン』に登場するゲームで戦闘がメインではないゲームは初めてですね。
いや、それこそSAOは究極のサバイバルではありましたが、ジャンル自体がサバイバルだったわけでは無いはずです。
作中でも言及されている通り、これはSAOを再現したゲームなのだと思われます。
さすがに死ぬことはないものの、ゲーム内で死んだら二度とログインできない仕様になっているのだとか。
しかし、だとしてもあまりにも悪趣味なゲームですが、ALO以外にも多くのゲームを巻き込んでいることから相当大きな力が働いているのは間違いない所です。
ゲームの攻略もですが、この新しく始まったサバイバルゲーム、ユナイタル・リングがそもそも何なのかという謎も気になる所ですね。
シリカ・リズベット・ユイの活躍
シリカ・リズベットのコンビやユイについては、意外と本編でガッツリと出番があるのは久しぶりな気がしますね。
ユナイタル・リング編は今後も既存キャラ新キャラ含めて多くのキャラクターが登場しそうな予感があるので、この出番がガッツリある感じがどこまで続くのかは分かりませんが、この3人の出番が無くなること自体は無さそうな気がします。
まず、サバイバルゲームで生産が重要度が高そうなことから、生産職プレイヤーであるリズベットはそもそも活躍が見込める舞台ですし、リズベットと仲の良いシリカも同時に目立ってきそうです。
ユイの場合はリズベットのように役割的な目立つ要素は思いつきませんが、今回まるで1人のプレイヤーのような状態になっていることから、キリトたちと同じ立場で活躍させてあげようという作者の意図が働いているのではないかと推察されます。
この推察が正しければ、今後も活躍して然るべきですよね?
まあ、あくまでも僕の勝手な予想ですが、今巻においてはこの3人の重要性がそこまで高くなかったような感じたので、ユナイタル・リング編でキーとなるキャラクターを頭出ししたということなのかなぁ~と思っているわけですね。
生産を頑張るキリトたち
いつもは戦闘、レベル上げ、ダンジョン探索・・といったファンタジーらしいことをしている印象の強いキリトたちですが、今回はサバイバルゲームということで珍しく生産を頑張っています。(キリトはパンイチです)
丸太を集めたり、木板を作ったり、いつもの『ソードーアート・オンライン』とは雰囲気が違いますが、これはこれで面白いですね。
個人的にはアスナが木材に詳しい一面を見せているのが地味にツボりました。
あたかもちょっと勉強している人なら常識くらいの感覚で木材について語っていますが、正直木材オタク認定しても差し支えないレベルではないでしょうか?
最後は戦闘でSAOらしい感じ
サバイバルしてるキリトたちも新鮮な感じがして良いとは思いますが、『ソードーアート・オンライン』はやっぱり戦闘ですよね。
キリトがALO統一トーナメントの準優勝者であることに気付いたプレイヤーによる不意打ちから戦闘が始まります。
結論から言うと、運よくこのタイミングでユイたちとも合流し、パンイチだったところから上質な鉄の装備を身に付けることになったキリトがあっさり勝利しました。
そういうわけで戦闘シーンが好きという人には少々物足りない感じだったかもしれませんが、ユナイタル・リングが本当に疑似SAOなのであれば、生産ばかりではなく今後は間違いなく戦闘も激化していくことが推察されます。
SAOでは命が掛かっているだけに多くのプレイヤーは慎重に行動していた印象がありますが、ユナイタル・リングは命が掛かっていません。つまり、下手をすればSAO以上に激化していくかもしれませんね。
意味深な新キャラ・神邑樒
エピローグに滅茶苦茶意味深な新キャラが登場しました。
意味深にアスナに声を掛けるのは、帰還者学校への転校生である神邑樒。
『アクセルワールド』のヒロインである黒雪姫の母親の旧姓と同じ名字で、その容姿も黒雪姫に近いものがあります。
年齢的には神邑樒は黒雪姫の母親だとして不自然ではないくらいのはずですし、神邑樒がイコール黒雪姫の母親、そうでなくても何かしら関連する人物だと見てまず間違いないでしょう。
これは、いよいよ『アクセルワールド』に続く物語としての『ソードーアート・オンライン』が見えてくる展開が期待されますね。
それに、帰還者学校に転校してくるということはSAO生還者でもあるはず。もしかするとSAO内でキリトやアスナと関係したことのある人物である可能性もあるかもしれませんね。
死んだと思われたアルゴ登場
SAO事件以降、全く登場していないことから死んだと思われていたアルゴがエピローグに登場しました。
本編というよりは『ソードアート・オンライン プログレッシブ』に登場していた印象の強いキャラクターですが、どうやら生きていて帰還者学校に転校性としてキリトの元にやってきたようです。
個人的には非常に好きなタイプのキャラクターで、ぶっちゃけアスナより好きなので、これは嬉しい展開です。
それにしても、アルゴが神邑樒と同時に転校してきたことには何か意味があるのでしょうか?
その辺も気になる所ですね。
総括
いかがでしたでしょうか?
『ソードーアート・オンライン』は面白いとは思うものの、今現在そこまで続きを気にしているような作品ではありません。
長く続いている大きなシリーズには新鮮さが無いという弱点があるので、それはそんなものだとは思うのですが、今回ばかりは最後に新鮮な驚きもあって、続きが気になって仕方のない自分がいます。
『ソードーアート・オンライン』のみならず『アクセルワールド』の続きまで気になってしまっている。(笑)
まあ、ちょっと『アクセルワールド』と関係しそうなキャラクターが登場したというだけなので、すぐにこれがどうなるというものでもないのだとは思いますが、こういう別タイトル作品間のリンクみたいなのは大好きなので、否が応にも期待してしまいますね。