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『図書館の大魔術師(2)』とっても高品質な漫画の最新刊の感想

 

漫画に対する感想には色々あります。

面白いとか、感動したとか、ワクワクするとか・・

しかし、図書館の大魔術師という漫画に対しては、そういうありきたりな感想の前に、もっと別次元の思いを抱きました。

何というか、ものすごく高品質な漫画であると感じたのです。

まず、絵が上手い漫画は山ほど存在しますが、そんな中でも異彩を放つレベルで図書館の大魔術師を描いている泉光先生の絵が上手いです。しかも丁寧で、どのページを開いても緻密に描き込まれた絵が視界に飛び込んできます。

モブキャラまで緻密に描き込まれていて、それに見合った個性がちゃんと表現されているのも凄いですよね。

ストーリー、キャラクターの個性は比較的シンプルなもので、他の漫画、例えば『ONE PIECE』といって有名作のように斬新なストーリーや個性的なキャラクターが売りの漫画と違って、読み進める内にいつの間にかグッと引き込まれていくような魅力があります。

普段僕がよく読んでいる漫画が「毎日食べたい大衆食堂の味」なら、図書館の大魔術師は「素材の味を生かした高級レストランの味」といった感じでしょうか?

それぞれにそれぞれの良さがありますが、たまにはこういう高品質な漫画も良いものです。

ちなみに、1巻は完全に序章という感じの内容でした。(それで面白いのだから恐れ入ります)

2巻になっていよいよ物語が動き始めます。新キャラも続々と登場してきて、見所満載ですよ!

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本作の概要

シオは故郷の村を離れ本の都・アフツァックを目指して旅に出る。旅の目的は3つ。憧れの中央図書館の見学。カフナになるための司書試験を受験、そして7年前に出会い、シオの運命を大きく変えてくれた司書・セドナに会い、借りた本を返すこと。旅の途中、たくさんの仲間と出会い、ついに憧れの地にアフツァックへ!! そして司書試験の第1次、通称“悪夢の筆記試験”が幕を開ける──。

※出版社書籍情報より引用

アフツァックを目指して旅に出たシオは、その道中で様々な人と出会います。

姉の結婚相手であるラコタ族を嫌う少女・チャク。

クールビューティを目指すドジっ娘・ミホナ。

チビだけど強かで賢い少年・アルフ。

飼い主に虐待されていたシトラルポルのネズミ・ウイラ。

新キャラが畳み掛けるように登場してくるのに、その誰もが個性的で魅力的なのが凄いですね。

そして、ついにアフツァックにたどり着き、カフナ(司書)の試験が始まります。

一見すると弱々しい雰囲気のある主人公シオですが、ここまで読んだ人にはシオの芯の強さは既に周知の事実でしょう。

今後、シオがどのように試験を突破していくのかが楽しみですね!

本作の見所

異民族との文化の違いと相互理解

旅の途中の出会いって良いですね。

滝の町ハムセ。

シオは、異民族であるラコタ族を嫌う少女・チャクと出会います。

姉の結婚相手であるラコタ族に頭を殴られたり、舌を出して馬鹿にされたりして怒っているのだとか。

「異民族同士の結婚なんてうまくいくはずないのに・・」

姿形が違うのが気持ち悪い。行動が理解できない。

シオもまたチャクからしたら異民族であり、チャクは「どーせ私が悪者なんでしょ・・」と拗ねてしまっています。

しかし、シオは・・

「チャクは正しい!!」

・・と、異民族を嫌悪するチャクの感覚を正しいと言ってのけます。

チャクの持つ感覚は、ともすれば人種差別にも繋がるようなものですが、生物として自分の知らないものを嫌悪するのは、そもそも正しい感情なのだとシオは教えます。

そして、知らないのであれば知れば良い。

町の図書館でシオは、チャクとラコタ族の文化について勉強します。

そこでチャクは、頭を軽く殴ることも、舌を見せることも、実は友好の証。ただの挨拶であったことを知ることになります。

何というか、ハッとさせられるエピソードでした。

僕に異民族を嫌悪するような感覚はありませんが、それは単に日本という平和な国でそういう感覚が良くないものだと教えられて育ったからに過ぎません。

異民族を嫌悪する感覚自体は正しいもので、むしろ生物として持っていなければいけないもので・・

しかし、その上で相手を理解しようとすることが大事なのだと、教えられたような気がします。

ミホナとの出会い

1巻に登場したセドナは、ヒロインというよりも憧れ・尊敬の対象という感じで、『ONE PIECE』でいうシャンクス的な立ち位置のキャラクターだと思っています。

というわけで、ヒロインらしいヒロインが不在の図書館の大魔術師でした。

そんな所に初登場したミホナ。

恐らく彼女が図書館の大魔術師におけるヒロイン的な立ち位置のキャラクターなのだと推察されます。

登場後、最初の数ページはヒロイン的な雰囲気は全く無く、シオと同じくカフナ(司書)を目指す高飛車なライバル的なキャラクターなのかと思われました。

いや、カフナ(司書)を目指す同志であること自体は間違いないのですが、漫画のキャラクターとしての役割は恐らくライバル的なものでは無さそうです。

どうやらシオとの初対面シーンでのキャラクターは演じられたもので、本来のミホナは高飛車なクールビューなどではなく、愛嬌のあるドジっ娘だったのですね。

「・・フ、どうやらお遊戯受験じゃないみたいね」

こんな感じで格好を付けていますが・・

「キマったーー!! 今私クールビューティーだったわよね・・!」

内心ではこんなことを考えています。

しかし、演技力自体は高そうなのですが、すぐにボロが出てしまうような愛らしい所があります。

何となく、この役者な感じが『ドラゴンボール』のミスターサタンを思い出させますね。ミスターサタンが可愛らしい女の子の萌えキャラになったら、ミホナのような感じになるのではないでしょうか?

読者にいけ好かない感じのキャラクターだと思わせておいて一瞬で覆す感じ、嫌いじゃないです!

漫画一冊分も登場していないミホナというキャラクターですが、既に語り尽くせないくらいの魅力を発揮してくれている気がします。

いや、僕が好きなタイプのキャラクターだからそう思うだけかもしれませんけど。

今のところ、図書館の大魔術師で断トツで一番好きなキャラクーです。

アルフとの出会い

ミホナと同じくカフナ(司書)を目指す同志の1人。

チビだけど、それを利用するほど強かで賢い少年アルフ。

言うなればカフナ(司書)を目指している時点でミホナもアルフもライバルであることには違いないのですが、アルフの方は漫画のキャラクターとしての役割的にもライバルキャラである気がします。

現時点では、3人の中で一番優秀そうに感じられますね。

また、優秀なだけではなく、大変な状況でも物事を的確に判断できる冷静さももっています。

どちらかと言えば、考えるより先に体が動くタイプのシオと、冷静なアルフ。

典型的な主人公とライバルの構図ですね。

「なんか二人とも受かりそうにないけど、せいぜいがんばりなよ」

別れ際のアルフのセリフもいかにもライバルのセリフって感じです。

このセリフだけ切り取ると、何だか生意気なヤツという感じがしますが、それまでの言動からそう感じさせないのが凄いですね。

カフナ(司書)の試験の始まり

シオはアフツァックにたどり着き、ついにカフナ(司書)の試験の一次試験が始まります。

内容自体はただの筆記試験なのですが、大量の問題を三日かけて解かせるというもの。ペース配分、睡眠時間など、どのように解いていくのかという戦略も問われる厳しい試験。

過酷な試験に精神を病む者、早々に一抜けする一部の優秀者がいるなか、シオは中々に苦戦しています。

一時は眠りに落ちてしまうシオですが、今までのことを思い出して目覚めます。

目つきの変わったシオが、どのように試験を乗り越えていくのか?

それは続刊のお楽しみということとなります。

総括

いかがでしたでしょうか?

正直な話、古き良き物語を読んでいるような感覚もあって、図書館の大魔術師に対しては続きが気になるとか、早く続刊が出て欲しいとか、そういう思いはあまりありません。

僕は普段、こういうちょっと高品質な感じの話は小説で読みたい派で、どちらかと言えば漫画にはもっとライトでお手軽な感じを求めているからです。

しかし、図書館の大魔術師は続刊が発売したら間違いなく購読することになります。

高級レストランのような、たまに食べに行きたくなるような漫画。

僕にとっては、それが図書館の大魔術師です。

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