『八雲さんは餌づけがしたい。(9)』29歳になった未亡人が体重を気にし始める漫画の感想(ネタバレ注意)
『八雲さんは餌づけがしたい。』の9巻目ですね。
漫画のキャラクターが年を取ることって割と大きなイベントだって気もしますが、9巻目にして八雲さんがサラッと1歳年を取りました。
29歳になったということで気付きましたが、30代になってから結婚を意識する人も多い世の中において20代で未亡人というのは実は相当若いということに気付かされます。
これは僕自身年を取っているから感じることなのかもしれませんけど、アラサーって全然若いですよね?
むしろ女性としての魅力が一番高い時期であるような気もして、『八雲さんは餌づけがしたい。』はそういう女性の魅力が現れている作品なのだと思っています。
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本作の概要
餌づけが趣味の未亡人の八雲さんが1歳年を取り、20代最後の年を迎えました。
それと同時にお腹の贅肉が気になりだしたお年頃。積極的に運動しはじめた珍しい八雲さんが見られます。
また、八雲さんの大和くんに対する餌づけが食べ物に留まらず手編みのマフラー(腹巻に変わりましたが)にまでエスカレートしている点にも注目です。
本作の見所
真夜中のハッピーバースデー
「この年になると自分の誕生日うっかり忘れちゃってさぁ」
というわけで29歳になった八雲さんですが、実際問題あんまり忘れないような気がする誕生日。僕も誕生日だからといって子供の頃のようにはしゃぐことこそなくなりましたし、気にした素振りを見せることこそありませんけど、だからと言って忘れることはさすがにありません。
しかし、毎日ご飯をご馳走になってお世話になっているとはいえ、ご近所のアラサー女性の誕生日を覚えている男子高校生というのは・・意外と大和くんはマメな性格をしているのかもしれませんね。
ケーキを買おうと可愛らしい店に入って、店員さんの可愛らしい服装に目を逸らしながら注文する大和くんというのもレアな気がします。
あなたのための冬支度
「とはいえ29歳の私は冷えますので体がぽかぽかするようなメニューにしましたよー」
29歳になって何かを始めてみようと考えてみたり、9巻の八雲さんには年齢を気にした様子がいつもより多い気がします。
僕はどちらかといえば大和くんタイプで、冬でも薄着で平気な性質なのですが、しかしだからといって今回登場するようなぽかぽかするメニューは大好物です。
しかし・・
「俺これ食ったことないっす」
大和くんはもつ鍋は食べたことが無いようですね。
考えてみれば、居酒屋の定番メニューのもつ鍋ですけどあまり家庭的なメニューではありませんし、未成年だと食べたことが無いって人も多いのかもしれません。というか僕自身がそうでしたし。
しかし、いつもに増して良い食べっぷりの大和くん。食べ盛りの子供が食べるイメージのメニューではありませんが、実は意外と合っているのかもしれないと思いました。
なんでもない日のツーショット
このエピソードでは大和くんの写真が撮りたい八雲さんと逃げる大和くんという珍しい構図が見られます。
「いいですよいいですよどうせ私は趣味のおばさんですよ」
写真が苦手だけど野球雑誌とかで撮られるのは仕事みたいなものと言われて拗ねる八雲さんというのも珍しいですよね。
まあ、さすがにいい大人なのでこれは冗談だったらしいですが、自撮りするフリして盗撮しているあたり大概この二人も仲が良い。
そして、そんな珍しい姿を見たからか大和くんが根負けして最後には一緒に写真を撮っていました。
暗くなるのが早いから
30代を過ぎると、いくら食事にだけ気を使っていても体形の維持は難しくなってくるものです。
なぜなら気付かない内に筋肉量が減ってきているから。
これは、そんなニュースを目にした八雲さんが運動を始めるというエピソードですね。
「てゆーか体が重い! なまってるなぁ!」
これまで八雲さんが継続的に運動しているような描写はほぼ無かったと思います。どんなアスリートだってずっと運動してなかったら体がなまるものですし、普通の女性である八雲さんは言うに及ばず。そりゃあ体が重いですよね。
まあ、29歳くらいならそういう状態から体が軽くなるのにそう時間は掛からないはずですけど。
それで大和くんも一緒に走ったりしていたのですが、それを大和くんの先輩に見られてしまいます。
八雲さんの知らない所でママ活扱いされている大和くんがちょっと面白いです。
大きいことはいいことだ!?
『八雲さんは餌づけがしたい。』には珍しい下ネタ全開のエピソードです。(笑)
初めてのアレでナニが入らないとか何とかという女子トークから始まるのですが、実際問題女子高生同士の会話でこんな話題になることってあるんでしょうか?
さすがに僕は女子高生だったことは無いので分かりませんし、ちょっと知り合いにも聞けませんよね。(笑)
漫画に登場するような男子高校生がするようなエロトークも、少なくとも僕の周りでは全くではないもののほぼ無かったので、あまりイメージがわかない部分ではあります。
とはいえ、男子がそういう部分で気にしているようなことがあるのと同じで女子には女子の悩みがあるということなのかもしれませんね。
とはいえ、西原ルイの最後の行動は犯罪ですし、大和くんは怒っていい。(笑)
ひとりぼっちのお留守番
大和くんが合宿中なので料理のし甲斐がないという八雲さんのエピソードですね。
自炊している人は多少共感してくれると思いますが、一人分の食事の料理って何だか作り甲斐が無かったりするものです。コスパも悪いし料理している感も薄くなる感じ。
だからたくさん食べる人にたくさん作るのを喜んでいる八雲さんの気持ちって分からなくもないんですよね。
それで旦那さんの墓参り用にお弁当を作ったりしていたわけなのですが、それでメニューが居酒屋のメニューっぽくなってしまし、大和くんが帰ってきた日も切り替えられていないというのがちょっと面白かったです。
しかし、もつ鍋もそうでしたが意外と居酒屋メニューって子供が食べても美味しい気がするのに、なんで家庭では作られない・・って、単純に手間の問題か。
サンタクロースは夜なべをして
どのような間柄であれ、それなりに親しくしているのであればクリスマスプレゼントを渡すくらいのことをしても良いと思います。
とはいえ・・
「て・・て・・手編みのマフラーって、めっちゃ重いんじゃない!?」
犯罪じゃないかとか、キモかったとか、自己嫌悪に陥る八雲さんですが、既に大概な気がするので気にしなくても良いのではないかとも思えますね。(笑)
それに、それに気付きつつも大和くんにあげたいと思っているのであれば、大和くんはそれを無下にするタイプだとは思えませんしね。
そもそもマフラーをあげただけで犯罪にはなりません。
まあ、犯罪的ではありますけど、29歳くらいだったら男子高校生から見ても女性として十分に魅力的に見える年齢ですし、貰ったら普通に嬉しいのではないかと自分が高校生だった頃を思い出して想像してみました。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
毎巻、絵柄やストーリーに対してかなりの賛否が存在する作品ではあるのですけど、個人的には安定して面白い作品のように感じられます。
中身が無いといった意見もあるようなのですが、そういう部分も含めての日常が描かれているのだと個人的には解釈していて、当たり障りのないようなエピソードが読んでいて心地良い作品なのではないかと思っています。
というわけで、引き続き続きも楽しみにしています!