『幽遊白書(6)』短めだけど濃密な名作の感想(ネタバレ注意)
『幽遊白書』の文庫版は表紙が格好良いですよね。背景以外はカラーですらないのに、敵も味方も一言映える絵って感じがします。
6巻目の表紙は戸愚呂弟でとても格好良いですが、しかし戸愚呂Tとの戦闘はまだ先です。(笑)
ついに明らかになる覆面選手の正体。浦飯幽助の不在に伴いそんな覆面選手の活躍が増えている所。最初に黒龍波をかまして以降は何かとハブられ気味だった飛影の復活。それにまさかの妖狐の姿に戻った蔵馬。
などなど、浦飯幽助以外の主要キャラの活躍が目立つ内容になっていますね。
えっ、桑原はどうしたのかって?
彼もしっかりと活躍を見せています。格好良い姿とシリアスな中にある笑いの両方を見せてくれています。(笑)
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本作の概要
桑原の活躍もあり魔性使いチームとの試合に勝利した浦飯Tはついに準決勝に進出します・・が、覆面選手から浦飯幽助の呼び出しがあります。
そこで覆面選手の正体が幻海であることと、一度外れた覆面の下にいた若い女性も同一人物であったことが明らかになります。
また、準決勝では浦飯幽助が不在の中で他のメンバーの活躍が描かれています。
本作の見所
桑原の活躍
悪運が強かったり、精神的なところで戦闘力が大きく上下したり、『幽遊白書』の中では珍しくシリアスな中にもギャグっぽい戦い方を見せるキャラクターの桑原ですが、魔性使いチームとの試合でもやってくれました。
浦飯幽助と陣のバトル好き同士って感じの試合の後に、間違ってはいないけど格好悪い勝利を選ぼうとする吏将と満身創痍の桑原の試合が始まるのですが、あとのことは浦飯幽助たちに託すような意味深な言葉を残しつつ最後の力を振絞るかのような戦いを桑原は強いられます。
しかし、雪菜の登場で雪菜に気付いた桑原が吏将にカウンターの一撃。満身創痍だったはずなのに、そして吏将は一応強敵ということだったはずなのに、いとも簡単に勝利してしまいます。
こういうギャグっぽい戦いも、数多くの戦いの中のひとつとして描ける武術会という舞台だからこそかもしれませんが、桑原らしいような気もしても面白かったと思います。
それが浦飯Tが準決勝に進めるか否かという物語的にも重要な局面だったというのがまた面白いですよね。
飛影の活躍
準決勝の裏御伽Tとの対戦は見所が多いですよね。1回戦で黒龍波を放って以降出番の無かった飛影の久しぶりの試合も見所のひとつです。
今回の魔金太郎との戦いもそうですが、本当はピンチだったとしても飛影は何故かいつも余裕ぶっているのでピンチに見えない所が面白いところですよね。
飛影の繰り出す技に併せて進化していく魔金太郎。
飛影が万全ではないとはいえ、相手の特性が必ず相手を上回っていくようなものである限りかなりのピンチなのだと思うのですが、飛影曰くかなりイメージの悪い妖気の剣でかなり余裕のありそうな勝利をもぎ取ります。
妖気の剣といえば霊気の剣を使う桑原を思い出しますが、それをイメージが悪いと使うのを躊躇う飛影がちょっと面白かったですね。
なんというか、意外と桑原のことを意識しているというかなんというか、少なくとも無関心ではないのだということが窺えます。
蔵馬の活躍
蔵馬も相当な実力者で、飛影と同じくピンチでも余裕な態度は崩さないタイプのキャラクターです・・が、考えてみれば意外といつもピンチな状況に陥っていますよね。(笑)
どちらかといえば二枚目な感じで女性人気の高そうなキャラクターですけど、実は男らしいところもあってバトル漫画のキャラクターとして普通に格好良いと思っていて、個人的にはかなり好きなキャラクターだったりします。
なかでも裏御伽Tの裏浦島との試合は、暗黒武術会編の試合の中でもかなり強烈に印象に残っています。
裏浦島の策略でどんどん若返っていって、赤ん坊以前、つまりは妖狐である前世の姿にまで戻ってしまった蔵馬。
変身ヒーローもののような圧倒的な強キャラになってしまったような感じで妖狐になった蔵馬が超絶格好良いと感じたのを覚えています。
こういうバトル漫画のメイン級キャラクターで、圧倒的に強キャラ感を出すキャラクターは珍しくありませんが、妖狐になった蔵馬のような大物感のあるキャラクターは意外と珍しいような気がします。
『幽遊白書』の他のシーンを読んでいる時とは違った感情が揺さぶられるような気がして、なかなか興味深い見所だと思います。
幻海の活躍
乱童編で初登場した際にはここまで重要人物になるとは思っていなかった幻海ですが、暗黒武術会編では、戸愚呂兄弟の古い知人として、そして浦飯幽助の師匠としてかなり重要な役どころを担っていますよね。
6巻でいうと、最後の試練を浦飯幽助に与える際の掛け合いが個人的にはとても好きです。
いつも通りからかい半分の性悪なやり取りを見せつつも浦飯幽助を信頼している様子の幻海と、喧嘩っ早いわりに意外と情の深い浦飯幽助の二人が、いわゆるバトル漫画におけるパワーアップのシーンであるはずなのに何故だかしんみりしてしまうのが不思議です。
もっとこう派手にバーンとパワーアップみたいなのも嫌いではありませんが、こういうのも良いと感じさせられます。
そして、浦飯幽助に自らの力を継承させ弱体化した幻海はそのまま裏御伽Tとの試合に合流し、死々若丸と対戦するのですが、弱体化してなお老獪な強さを見せるところがとても格好良いです。
総括
いかがでしたでしょうか?
僕がこの6巻辺りのエピソードに触れたのはアニメ版の方が先でしたが、幻海の連戦シーンでは幻海のことをとても格好良いと思いましたし、何より妖狐化した蔵馬にワクワクした記憶があります。
そんな見所の多かった6巻ですが、次の7巻はいよいよ戸愚呂Tとの試合開始ですね!
戸愚呂弟が圧倒的な以外は未知数な戸愚呂Tのメンバーの実力も明らかになっていきます。