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『本好きの下剋上(3-1)』本好き貴族のコミカライズ版の感想(ネタバレ注意)

 

本好きの下剋上の第二部、第三部のコミカライズ版が始まっていたことは知っていましたが、第三部の単行本の方が先に発売するというのはちょっと意外でしたね。

第三部のコミカライズ版を描かれているのは、第一部のコミカライズ版を描かれていた鈴華先生に代り、波野涼先生となります。

個人的には、本好きの下剋上はコミカライズ版から入った作品であり、原作小説を読んでいる時も頭の中では鈴華先生の絵柄でキャラクターが動いていたりします。

それ故、別の先生が描かれるということに若干の不安もあったのですが、どうやらそんな不安は杞憂だったことが読後わかりました。

ちなみに、僕は本好きの下剋上という作品の大ファンではありますが、実は原作小説でも第三部以降は馴染むのに少し時間が掛かったことがあります。

というのも、貴族っぽい長い名前のキャラクターが数多く登場したり、彼らの貴族らしい人間関係が複雑だったりしたこともあって、雰囲気が掴みづらかったからなのですけど、その点コミカライズ版だと小説よりイメージが掴みやすくて良いですね。

僕は、基本的には原作至上主義なんですけど、文章だけでは表現されない機微をコミカライズ版では補完されるものだと考えています。

文字と絵には、それぞれの良し悪しがありますからね。

その点で本好きの下剋上の第三部のコミカライズ版はとてもありがたかったです。

そういえば、第一部のコミカライズ版のサブタイトルも原作と違っていましたが、第三部のサブタイトルも原作では『領主の養女』だったところが『領地に本を広げよう!』に変わっていますね。

そこまで好きな作品じゃない場合は気にならなかったかも知れませんが、好きな作品だとこういう遊び心的な部分も何か良いって思ってしまいます。

あっ、だけど原作小説を読まずにコミカライズ版だけ読んでいる人はご注意ください。

第二部を読んでからじゃないの話が全く繋がらないはずなので、原作を読んでからにするか、第二部のコミカライズ版の完結を待ちましょう。

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本作の概要

本好きの平民の子供であるマイン。

大きな魔力を秘める身食いであり、神殿と下町を行き来する青色神官になったのは第二部での話。

しかし、そこで貴族のいざこざに巻き込まれ、領主の養女となって家族と縁を切ることを決意したマイン。

貴族としてローゼマインと新たに名乗ることになったマインですが、本好きの行動原理は全く変わっていません。

とはいえ、上手く立ち回っているように見えても実はかなりの不安を抱えているローゼマインは、下町の親しい人たちには励まされ続けているようです。

本作の見所

貴族の家族

下町を離れ、貴族のローゼマインとなったマイン。

下町とは違う整頓された雰囲気の貴族街で、ローゼマインは母親(という設定)になるエルヴィーラや、3人の兄たちと出会います。

エルヴィーラは髪型に特徴があるのと登場頻度の高さもあって原作を読んでいる時でもイメージしやすいですが、3人の兄たちは三男のコルネリウスを除いてしばらく設定すら忘れがちだったのですけど、コミカライズ版なら忘れなさそうですね。

いや、実際に長男のエックハルトと次男のランプレヒトに関しては、実はローゼマインと初対面ではないにも関わらず、ローゼマインだって覚えていませんでしたから、きっと印象が薄いのですよ。(笑)

下町の髪飾り

ローゼマインにとっては2回目の洗礼式。

その祝いにとフェルディナンドがローゼマインに手渡したのは・・

「・・これを作ったのトゥーリと母さんだ。ならこの簪部分を削ってくれたのは父さんかもしれない」

別れた家族がローゼマインのために作ったと思わしき下町の髪飾り。

しかし、あまりの喜びにローゼマインは泣き出してしまいます。貴族が人前で泣くのは良くないのだと思われますが、周囲の慌てようがなかなか面白かったですね。

いや、ローゼマインが周囲を振り回す性質なのは第一部から相変わらずの部分ですが、第三部以降はそれにかなり拍車が掛かってくるので、この程度はたいしたエピソードではないんですけど、思わずもらい泣きしてしまいそうな良いエピソードだと思います。

ローゼマインを慰めるフェルディナンドが、面倒くさそうではありつつもちゃんとローゼマインの保護者をしているあたりが微笑ましいですね。

洗礼式と領主の養女

フェルディナンドと、領主ジルヴェスターの策略により、どうやらローゼマインは必要以上に洗礼式で聖女的に振舞ってしまったようです。

その場にいる全員に対して祝福を行うローゼマインの魔力に驚く貴族たちに、ローゼマインの方も驚いています。

「ちょっとちょっと何この騒ぎ。もしかして事前に通達していないの? というかわたしにも事前にいろいろ教えてよ!」

まあ、貴族のことを何も知らないローゼマイン的には教えられたことを淡々とこなしているだけなのでしょうし、そこに普通ではない何が混じっていても気付けませんよね。(笑)

ともあれ、そうして行われた泊付けとともに、ローゼマインが領主ジルヴェスターの養女となることが正式に発表されました。

ぶっ倒れるローゼマイン

ジルヴェスターの息子であるヴィルフリート。

原作最新巻の時点では随分と成長して落ち着いた感じになってきていますが、この頃のヴィルフリートはかなりヤンチャな子供です。

ローゼマインと同年齢の兄という設定なので忘れがちですが、そういえば実際にはローゼマインより1歳年下なのですね。

というわけで、フェルディナンドにも庇ってもらえないままヴィルフリートに連れ回されてぶっ倒れるローゼマイン。

ローゼマインの虚弱体質を知らない人間がローゼマインに無理(といっても普通の人間にとっては全く無理なことではない)なことをさせて、ぶっ倒れるローゼマインに驚かされる展開は本好きの下剋上のお約束の1つになっていますが、幼い子供にとってはかなりトラウマものなのではないでしょうか?

まあ、それがローゼマインの保護者達の狙いという所が面白いところなんですけどね。(笑)

ローゼマインの護衛騎士

原作の方では結婚してから出番がグンと減ってしまったブリギッテ。

地味に好きなキャラクターなのでコミカライズ版で見られて嬉しいキャラクターの1人なのですけど、思った以上に美人さんに描かれていて良かったです。

原作でもかなり大柄な女性として描かれていて、ガタイの良さに悩んでいるような描写もあったので、コミカライズするにあたってもっと違ったキャラデザも考えられるキャラクターだったと思うのです。

それが、確かに女性としてはガタイが良さそうな雰囲気を残しつつもキッチリ美人さんになっていて、個人的には第三部のコミカライズ版1巻の中では一番キャラデザが気に入ったキャラクターだったりします。

神殿長就任

ローゼマインがどんどん権力者になっていく~

第二部では神殿ですらローゼマインにとって複雑な居場所でしたが、第三部以降はローゼマインにとって落ちつける居場所になっていきます。

本来いたいば所から離れた場所ですらそういう居場所になっていくというのが何だか複雑ですが、とにもかくにもそんな神殿の神殿長に就任することになったローゼマイン。

「わたくしの図書室を荒した方ですね?」

いや~

本のことになると人が変わり、こんな怖い表情もできるローゼマイン、はっきり言ってメッチャ好きです。

第二部で神殿の図書室を荒した青色神官に気付き、次は無いと脅しをかけるローゼマイン。聖女聖女と言われているけど、本が絡むと悪魔にもなるなこの娘。(笑)

これもフェルディナンドの教育の賜物だと言い訳するちゃっかりしている所も良いですね。

「図書室のカギを! さあ!」

そして、洗礼式も就任式もやりきったからさっさと鍵を寄越せとフェルディナンドにせがむローゼマインはうって変わって無邪気な表情。

たった数ページの間に何通りもの表情を見せてくれるローゼマインは、さすがは個性的なキャラクターが数多く集う本好きの下剋上という作品の主人公といったところでしょうか?

変わらないマイン

第三部ではかなりキーとなる貴族の隠し部屋。

ローゼマインが唯一、一部の下町の人達と今まで通りに接することのできる貴重な安息の場所となります。

そこで久しぶりにルッツやベンノやギルと今まで通りに接するシーンが、第三部の中ではトップクラスに好きなシーンかもしれません。

「ちょっとでいいので叱ってください」

何だかどM発言を繰り出すローゼマインですがそれには事情があります。

「何か失敗した時は叱らないで、笑顔で切り捨てられそうで、怖いんです・・」

だれも叱ってくれない怖さというのは確かにあるかもしれませんね。

叱ってくれるというのは関心がある証拠で、それすらないというのは不安なことなのかもしれません。

そういえば、これから忙しさや貴族のわずらわしさにどんどん苦労することになるローゼマインですが、ここまで直接的で精神的な不安を口にするのは意外と珍しいかもしれませんね。

立場が変わっても何も変わっていないローゼマインに、涙腺が刺激されてしまうシーンでした。

ただし、手に入れた権力はちゃっかり行使していこうとしているあたりはローゼマインはしっかり者だと思います。(笑)

総括

いかがでしたでしょうか?

昨年(2018年)の後半は本当に本好きの下剋上づくしでしたが、毎月関連書籍発売が途切れたので少々久しぶりだと感じました・・が、そうはいっても2か月程度しか経ってないのですね。

いやはや本好きの下剋上の勢いは衰えませんね!

来月(2019年3月)には原作最新巻の発売も予定されていますし、そう考えると1月も何かしら発売してたら一体何カ月連続になっていたことか・・

本好きの下剋上はその内容の面白さもありますが、こうして絶え間なく楽しませてくれるところも良いですね。

とにもかくにも、今は原作最新巻の発売を楽しみにしています!

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