水平思考クイズの『ウミガメのスープ』って何? 飛躍的な思考を身に付けよう!
皆さんは、水平思考クイズの『ウミガメのスープ』って知ってますか?
思考の跳躍が重要になってくるゲームなのですけど、論理パズルとはまた違った趣があって、とっても面白いゲームなんですよ。
まあ、普段は思考が跳躍しまくっている割に、僕は苦手なんですけどね。(笑)
爆発的に流行したゲームってわけでもありませんが、知る人ぞ知るマイナーなゲームで、実はかなりの昔から親しまれています。
本記事では、そんな『ウミガメのスープ』や水平思考について語っていきたいと思います!
急に思いついてゆる~く語っているだけなので、ゆる~くお付き合いいただけたら幸いです。
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ウミガメのスープとは?
いわゆる水平思考力を試すシチュエーションパズルゲームのことで、出題者は「〇〇は〇〇である。何故か?」と、特定のシチュエーションに対する何故を問いかけます。
そして、このシチュエーションは問題だけ聞くと普通ではない状況であるにも関わらず、解答には「なるほど!」とスッキリできるようなものが用意されていることが常となります。
これだけなら論理パズルと何が違うんだと思われるかもしれませんが、面白いのは問題の中に問題を解くためのヒントが含まれていない所。
論理パズルの場合、必ず問題の中に問題を解くためのキーが含まれており・・というか含まれていなかったら失題ですけど、『ウミガメのスープ』の問題にはあえて問題を解くためのキーが含まれていません。
じゃあ、どうやって解くの!?
そう思われるかもしれませんが心配ありません。
解答者は出題者に対して「Yes」か「No」で答えられる質問であれば何でもしても良く、出題者はそれに応えなければいけません。
如何にして出題者から問題を解くためのキーを引き出すことができるか?
そのためには何を質問したらよいのか?
それを考えることに面白さがあるわけです。
論理パズルの場合だと単なるギブアップでしかない行為が、最大の魅力になっている所が興味深いですね。
で、何でそのゲーム名が『ウミガメのスープ』なの?
はい。由来を知らなければ意味不明ですよね。
これは、このゲームが流行しだすキッカケとなったポール・スローンの書籍の翻訳版のタイトルが、例題として出題されたQ1になぞらえて『ポール・スローンのウミガメのスープ』と翻訳されたことに由来するのだと思われます。
原題を直訳したタイトルではなく、原題には『ウミガメのスープ』とは一言も記載されていないのが面白いですね。
つまり、『ウミガメのスープ』というのは水平思考ゲームの日本での通称ということになります。
ウミガメのスープってこんな感じです
男がレストランに入り、メニューから「ウミガメのスープ」を頼んだ。それを一口食べた彼はレストランを飛び出し、持っていた拳銃で自殺してしまった。
なぜだろう?
これが最も有名な『ウミガメのスープ』の問題となります。
この問題に対して回答者は、例えば・・
こんな感じで質問していって、少しずつ答えに近付いていくわけなのですね。
まあ、例題にしてはかなりの難問で、上述した質問だけでは解答にたどり着けないのですけど、それだけに良い質問ができた時にも回答できた時と同じくらいの快感があるんですよね。
逆に「それほとんど答えじゃん!」ってくらい良い質問をしているのに、なぜか解答にたどり着けないなんてこともありますけど。(笑)
あと、実はこの『ウミガメのスープ』の問題もそうですが、ちょっとダークな感じの解答が多い傾向がるのも特徴だったりします。(分からなかったらダークな方面に思考を持っていくと解答に近付けるかも!?)
ちなみに、最近とあるゲーム実況者さん達が『ウミガメのスープ』をプレイしている動画を投稿されているので、それを見たら何となくどんなゲームなのかは分かると思います。
いや、ゲームといえば囲碁の記事くらいしか書いていない僕ですが、普通にTVゲームも好きなので、特に上記の動画に出てる人達(キヨ、レトルト、牛沢、ガッチマン)のゲーム実況動画ってよく見てるんだけど、久しぶりに『ウミガメのスープ』をプレイしている人達を見て懐かしくなったのが、本記事を書こうと思ったキッカケだったりします。
水平思考と垂直思考の違いとは?
水平思考と対になる垂直思考(論理的思考のこと)であれば、大抵の人はピンとくると思います。
しかし、水平思考という言葉自体を知らない人も多いのではないでしょうか?
恥ずかしながら、僕も二十代半ばまでは知りませんでした。
さて、まずは水平思考について説明する前に、垂直思考(論理的思考)についておさらいしておきましょう。
簡単に言えば、「AはBである。そしてBはCである。故にAはCである」という三段論法に代表される筋道立てた思考方法のことを垂直思考(論理的思考)と言います。
「A=B」と「B=C」という二つの等式があって初めて「A=C」という答えにたどり着くという思考方法ですね。
この思考方法は、前述した通り筋道立てた考え方なので、誰にでも理解しやすく納得感のある答えを得ることができるのがメリットとなります。
しかし、一方で「A=B」と「B=C」というような前提がある場合にしか「A=C」という新しい発想には至れない。すなわち、斬新な発想が生まれづらいという欠点もあります。
そんな垂直思考(論理的思考)の欠点を補うのが水平思考で、「A=C」という答えを得るのに「A=B」や「B=C」という前提が必ずしも必要では無いという特徴があります。
「A=B」や「B=C」という前提なしに、一気に思考を飛躍して「A=C」という答えを出せるので、「A=C」どころか「A=D」のような別の発想にまで思い至ることができ、その分だけ斬新な発想が生まれやすいのです。
そんなの論理的じゃない!
・・って、だから水平思考の話をしているにも関わらず怒る人もいるかもしれませんが、実際に日常茶飯事で水平思考に対して怒っているような人っているんです。(笑)
なぜなら、思い返してみて下さい。
みなさんは常に論理的な思考だけをして生活をしていますか?
例えば、仕事で直感的には正しいと思う自分の考えがあるけど、論理的に説明できなくて上司に怒られたような経験はありませんか?
僕はありあす。(笑)
こういう筋道なく答えだけがある状態って、要は無意識に水平思考になってしまっているということなんです。
日本人は物事が筋道立っていないのを気持ち悪がる人種ですから、水平思考的な飛躍した発想を嫌うわけですね。
ただし、これを聞いて「じゃあ自分の飛躍した斬新な発想を聞いて怒る人は間違っているんだ」などと勘違いしてはダメですよ?
この筋道立っていない部分が水平思考の弱点であることは純然たる事実ですからね。
要は斬新で飛躍的な発想にも答え合わせが必要で、「A=C」という答えがあるということは「A=B」であり「B=C」でもあるはずだとあたりを付け、それを証明する必要があるのですね。
・・と、ここまで説明した所で何か思い出しませんか?
そうです。
この水平思考の考える手順って、まさに『ウミガメのスープ』そのものなんです。
問題の中には問題を解くためのキーが存在しない。
だから解答者は「こういうことなのか?」と答えの想定を置いて、その答え合わせのために質問するわけですね。
水平思考が登場する作品
かなり珍しいですが、水平思考や『ウミガメのスープ』がテーマになっているフィクション作品も存在します。
僕がパッと思いつくのは2作品だけですが、紹介しておきますね。
どちらも水平思考に興味を持てるキッカケになるような面白い作品ですよ。
αシリーズ(特等添乗員αの難事件)
松岡圭祐先生の『Qシリーズ(万能鑑定士Qの事件簿)』の主人公である凜田莉子は、高度な論理的思考を駆使する鑑定士でした。
それに対して、その姉妹シリーズである『αシリーズ(特等添乗員αの難事件)』の主人公である浅倉絢奈はラテラル・シンキング。つまり、水平思考の天才という添乗員です。
どちらの主人公も元々はハッキリ劣等生という人種だったところ、その才能を見出した人物がいて、努力でその能力を開花させたという点が共通しています。
凜田莉子の場合はその感受性豊かな性格を生かした勉強法を伝授され論理的思考を身に付け、浅倉絢奈の場合は元々飛躍的な思考をする人物だったところを水平思考に昇華させました。
ちなみに、この両姉妹作品はクロスオーバーしている所もあり、それぞれの主人公同士にも接点があります。
論理的思考と水平思考には、もちろんそれぞれにメリット・デメリットがあると思いますが、この両主人公同士の絡みではそれぞれの思考方法のそういう部分が上手く表現されていてとても興味深かったです。
元より論理的思考や水平思考といった思考方法そのものをかなり深堀したミステリー作品ですが、それもあって個人的には『αシリーズ(特等添乗員αの難事件)』が水平思考という思考方法の存在を知るキッカケであり、興味を持って調べている内に『ウミガメのスープ』というゲームの存在を知るキッカケにもなりました。
ラテラル ~水平思考推理の天使~
乙野四方字先生の『ラテラル ~水平思考推理の天使~』。
タイトルからして水平思考をテーマにした作品であることは明らかですよね。
乙野四方字先生の作品は『ミニッツ』を読んで知っていたので、こういう思考勝負的な作品は合っている先生だということは分かっていました。
だから、その乙野四方字先生が『ウミガメのスープ』をテーマにした作品を書いていると知った時には一瞬で興味を持ったことを覚えています。
こういうアナログゲームをテーマにした作品はそれなりにあって、例えば人狼なんかは定番だと思いますが、『ウミガメのスープ』をテーマにした作品を僕は他に知りません。(知ってたら教えて~)
それだけに非常に貴重な作品で、1巻完結なので『ウミガメのスープ』を知らない人が水平思考に興味を持つキッカケとしてはなかなかの良書なのではないかと思います。
ちなみに、タイトルにある「水平思考推理の天使」は作中でウミガメの天使を名乗っていて、『ウミガメのスープ』を知らない人なら「なんでウミガメ!?」ってなりそうなところ、知っている人なら「やっぱり『ウミガメのスープ』がテーマなんだ」ってなります。
僕は知っている状態で読んだので後者の反応でしたが、知らない人が読んだ時に実際どういう反応をするのかはちょっと興味深いところだと思います。
本記事を読んだ人なら、全員後者の反応になると思いますけどね。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
僕が『ウミガメのスープ』を初めて知ったのは『特等添乗員αの難事件』を読んで水平思考に興味を持ったころなので既に7~8年前になります。
論理パズルと違って、ちゃんと楽しもうと思ったら一人じゃ難しいゲームなので、友人の少ない僕には実のところ、悲しいことに継続的な趣味にするには微妙なゲームだったりします。(笑)
とはいえ、たまに触れると凄い面白いゲームだと思いますし、その問題に触れてみるだけでも非常に興味深かったりします。
『ラテシン』というサイトでは気軽に多種多様な『ウミガメのスープ』の問題に触れることができるので、のぞいてみると面白いと思いますよ。
また、『スローンとマクヘールの謎の物語』という任天堂DSのゲームなら一人でも楽しめますしね。