『くーねるまるた ぬーぼ(4)』三姉妹になって姦しさが増す最新巻の感想(ネタバレ注意)
『くーねるまるた』も新シリーズになって早くも4冊目になりました。
3巻目ではどっしりマルタと妹のちゃっかりラケルの二人が姦しかったのが印象的でしたが、そこに二人の姉であるしっかりエリザが加わって、ポルトガル人の三姉妹が日本の食事や文化に触れていく作品って感じが一層強くなっている気がします。
というわけで、表紙の通り3巻はエリザとラケルの二人が主役って雰囲気になっていますね。
しっかり者の姉の登場にマルタとラケル(特にラケル)はかなり緊張気味ではあるものの、普通に良いお姉さんで、仲の良い三姉妹って雰囲気が素敵だったと思います。
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本作の概要
各話のタイトルに食べ物の名前が少な目(といっても多いですけど)なのが印象的な4巻。グルメ漫画ではありますが、マルタやラケルほど食い意地がはっていないマルタの姉エリザがメインだからでしょうか?(笑)
本作の見所
薬膳カレー
三姉妹の長女エリザの登場と、黙った日本に来たことを追及される末娘のラケルに、板挟みのマルタ。
そんな少々気まずい状況の中に、友人とはいえ赤の他人が紛れ込んでしまったら居場所が無いし帰るに帰れないですよね。
このエピソードでは、ラケルに連れてこられたけど居場所が無い由佳が気まずく夕飯を作っています。
そうして作られた薬膳カレーも美味しそうですが、マルタたち三姉妹のやり取りが面白いエピソードです。
エリザとガーデニング
「でも・・同じ研究者としてはどうしても思ってしまうんです。せっかく学んだ学問の道を捨ててしまって本当に良いのかしらって・・」
そういえばマルタは都市工学の研究者でしたね。
エリザのセリフで思い出しましたが、どうやらエリザはマルタのことも心配しているようです。僕も長男なので分かりますが、下の兄弟がどうしてるのかって無関心なように見えても意外と心配なものです。
このエピソードではエリザの心配と、その心配が小さくなるまでが描かれているという感じでしょうかね?
エリザとわらび餅
手作りわらび餅を前田さんと三姉妹で作るエピソードですね。
僕も子供の頃にわらび餅を作ったことがありますけど、意外と難しかった記憶があるのですが、このエピソードを読む限りそこそこお手軽に見えます。
そして美味しそう・・
いざ実食という時になってマルタとラケルが量の多い方の皿を巡って争っていますが、三姉妹でカルタで決着を付けることになります。
まあ、結果的にエリザが勝利するのですけど、その後二人の妹に自分の分のわらび餅を一個ずつ分け与える姿にホッコリさせられますね。
いいお姉さんや~
海鮮おこげ
ラケルがエリザをもてなすために作ったのは・・
「ラケルの特性握り寿司だよ!」
日本人的な感覚だと握り寿司って職人技のイメージが強いですけど、外国人的には酢飯に生魚が乗ってたら握り寿司なのかもしれないと思わされるラケルの特性握り寿司ですが、生食用ではない魚が乗っていたりする危険な代物が登場しました。(笑)
美緒子の提案でメッチャ美味しそうな海鮮おこげへと化けましたが、なかなかヤバイせんすですね。
だけどお姉さんにも美味しい握り寿司を食べさせてあげたいというラケルの心遣いが素敵だと思います。
ガパオ風ガーリック牛丼
牛丼ってあまり海外には無いんでしょうか?
その辺はよく知りませんけど、ラケルは日本で牛丼を食べるのを楽しみにしていたようです・・が、お持ち帰りした牛丼がマルタとエリザの長話で冷めてしまいました。
そんな牛丼に不満そうなラケルのために、マルタが冷めた牛丼をアレンジしたメニューを作り上げます。
この辺の応用はさすがマルタですね。
ラケルの食べたかった日本の牛丼とは別メニューになってしまいましたが、それでも美味しくてラケルの機嫌も直ったようです。
ちょっと試してみたいと思わされるメニューですね。
岐阜・東濃編
一週間休暇を取ったエリザのために三姉妹で岐阜へと小旅行に行く長編ですね。
日本文化に触れて楽しむ三姉妹が姦しいエピソードですが、気になるのは柳家というお店が描かれている点。
どうやらこの店、一見さん断りの有名店だそうですね。
マルタは何を食べる時も美味しそうですし、以前はもやしラーメンとか貧乏くさいご飯を食べていたこともありますが、こちらは結構な高級店となります。
いつも美味しそうにご飯を食べるマルタですが、それ以上に驚きの反応が大きかったのが印象的だったような気がします。
普通に食べてみたいと思いました・・というか、思わない人はいないでしょうね。
姉も来た!
エリザを中心に描かれたオマケ四コマです。
微笑ましい姉妹の日常が本編以上に色濃く描かれていて、僅か4ページではありますがとても楽しい漫画になっていると思います。
タピオカミルクティー
タピオカは近年本当に流行ってますね~
モチモチしてて白玉みたいって思ったりもするのですけど、だからこそ日本人の舌には合っているのかもしれませんね。
僕も割とタピオカは好きですが、お店にはなかなか人が多いですし、いい年した男が一人で購入するのは少々恥ずかしかったりもするのでなかなか飲めなかったり。(笑)
そして、これはマルタがタピオカ粉の代わりに片栗粉を使ってタピオカミルクティーを作るというエピソードです。
かなり手間はかかりそうですが普通に美味しそうな印象を受けました。
あんず飴
お祭りの屋台の食べ物ってどう思いますか?
そんな飛びぬけて美味しいわけでもなく、衛生的にも怪しいところがあって、人ごみの中では食べづらくすらある。
だけど風情があってメッチャ美味しく感じてしまうし、用意した屋台の食べ物を片手に見る花火は綺麗なものですよね。
それがお祭りの屋台というものでラケルもとても楽しみにしていたようですが生憎の雨で花火は中止に。
ラケルは落ち込みますが、そんなラケルのために屋台ご飯パーティーが開催されます。
こういうことができる場所があるのも、友人がいるのもとても素敵なことだと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
エリザは帰国してしまったのでレギュラー化はしないのかもしれないところがちょっと残念です。
笑明館の面々とのやり取りも面白いんですけど、前作で読みつくしてしまった感じもあるので、三姉妹が登場するエピソードがやっぱり新鮮に感じられるような気がするからです。
人は友人と過ごす時、家族と過ごす時、仕事をしている時、状況に応じて様々な顔を持っているものですが、妹といる時、姉といる時とで前作ではあまり見れなかったマルタというキャラクターが見られて良いですね。