『インターステラー』時の流れの無常さを感じさせられるSF映画の感想(ネタバレ注意)
2020年のGWは、長いわりに帰省も旅行どころか遊びに行くことすらままならない何だか寂しいGWでしたね。
コロナ影響による緊急事態宣言での外出自粛。僕は自分自身のことをかなりのインドア派だと思っていましたが、この状況になってはじめて実は結構外出への欲求も高かったことを思い知らされました。
同じような人、結構いるのではないでしょうか?
ともあれ、僕はこの長い長い外出できないGWを普段あまりしないことをして過ごしていました。
普段あまりしない料理に挑戦してみたり、社会人になってからはあまりしていない長編ゲームにハマってみたり・・
それからアマプラでSF映画を観まくったり。
というわけで、本記事ではたくさん観た映画の中から特に好印象だった『インターステラー』という映画を紹介していきます。
3時間近い大作で、作中での時間経過も非常に長い作品ですが、それがあっという間に感じられるほど飽きることなく観ていられる名作だと思います。
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本作の概要
異常気象に悩まされる近未来の地球。トウモロコシ農場を営むクーパーの娘マーフは自分の部屋の本棚から勝手に本が落ちる現象をポルターガイストだと思い込んでいたが、クーパーはそれが何者かによる重力波を使ったメッセージであることに気付きます。
そのメッセージが指し示す座標には昔なくなったはずのNASAが秘密裏に活動している基地があり、そこでは土星の近くにあるワームホールを使って別の銀河に新天地を求める研究が行われていました。
そこで元宇宙飛行士だったクーパーは既に先駆者が到達していて入植が期待できると信号が送られている惑星を目指すクルーになることなるのですが、いつ帰還できるのかも分からない、そもそも帰還できるのかも分からない旅路にマーフが猛反発します。
そして、クーパーはマーフと和解できないまま出発することになります。
本作の見所
時間経過の違いから生じるヒューマンドラマ
宇宙に行って戻ってきたら凄く時間が経過していて浦島太郎状態になるということは、実際の物理法則に則った話であり頻繁にSF作品でも取り扱われるところなので知っている人も多いところでしょう。
『猿の惑星』あたりは顕著な例でしょうか?
光の速度が絶対的なものであるとすれば時間の流れは相対的なものであるはずというアインシュタインの相対性理論のことは僕も詳しくは知りませんけど、とはいえとても興味深いテーマなので全く聞いたこともないとか、それをテーマにした作品に触れたことが全くないなんていう人は少ないのではないかと思います。
さて、この『インターステラー』でも時間の流れはとても重要なテーマになっています。・・が、しかし、主人公のクーパーは最初そこまで大きな時間の違いを想定していなかったのではないかと思われます。
クーパーの旅立ちに怒るマーフを宥める際に、冗談めかして戻ってきたら同い年になってるかもといったことを言っていましたが、クーパーがマーフに与えた腕時計で戻ってきたらその時差を比べてみようと提案していたのがその根拠です。腕時計で比較できる時間の差なんて1日以下ですからね。
しかし、実際にはクーパーの時間は地上とは全く違った速度で進むことになります。
超大質量ブラックホールのガルガンチュアの近くにある水の惑星では、たった1時間滞在するだけで地球では7年の時が経過する。
そんな水の惑星に着陸船で到着したクーパーは、しかしまるで山脈のような大津波に巻き込まれて数時間の滞在を余儀なくされます。
そして、宇宙船のエンデュランスに戻った頃には23年の時間が経過しており、仲間のロミリーはかなり年を取った姿に変わっていました。
何の成果もない数時間が23年もの時間に相当するとは、幼い子供を地球に残してきたクーパーからしてみればとてつもなく大きかったのは間違いありませんね。
『インターステラー』の面白いところは、クーパー達の側からはコミュニケーションを取ることができないが、地球からのメッセージはクーパー達に届くという点で、数時間前までは子供が成長し、いつの間にか祖父になっていたり、いつの間にかマーフとも同い年になっていて冗談だったはずが本当になってしまっていました。
更にブラックホールの特異点を観測するために50年の時間を重なてしまったり、親子の時間がどんどんとズレてしまっていくのが寂しいというか、孤独を感じさせられます。
それでクーパーは最後には年老いたマーフと再会することになるのわけですが、そこには何とも言えない感動がありました。
人類滅亡に抗うための新天地の探索という壮大な物語なのですけど、個人的にはこのクーパーとマーフの織りなすヒューマンドラマとして観ていて面白いと感じました。
ポルターガイストの正体
『インターステラー』は宇宙を旅する壮大なSF映画ですが、序盤にちょっとホラーっぽい要素がありましたよね。
それはマーフの部屋の本が勝手に落ちて、それが何かしらのメッセージを帯びていそうでマーフが幽霊がいると怖がっていたというところ。
優秀だけど変わった子供として描かれていたマーフだけに、よくある子供にだけ見える何かが見えているとか、そういうことなのかと思っていましたし、物語が進んだ後もこれがとても重要な伏線であったことに気付いていませんでした。
しかし、ここでマーフが幽霊だといっていた誰かが一体誰なのか。そして、クーパーがマーフに与えた腕時計。この二つはとても重要な伏線になっています。
終盤でかなりの超展開があってそれらの伏線は回収されることになりますし、予想できる人はそうそういないようなものでもありますし、正直なところ「なんでやねん!」とツッコミたくなるような展開ではあります。
ここに関しては、これから『インターステラー』を観てみようって人がいたら知らない方が良さそうなので珍しくネタバレは避けますが、しかし、SF映画としてはツッコミどころはあっても、クーパーとマーフの織りなすヒューマンドラマとしては何だか胸がなるような展開だったと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
本ブログの他の記事を読まれている人には、どちらかといえば二次元作品の方を好まれる人が多いと思います。まあ、漫画やラノベ、映像作品であってもアニメのレビューばかり書いているブログですからね。(笑)
触れたあとに共有したいと思うような作品に二次元作品が多いからなのですが、僕自身基本的に自分が好きなのは二次元作品だと思い込んでいるのも紹介する作品にも偏りが生まれてしまう理由なのかもしれません。
それでもなお、この『インターステラー』という作品には観た後に誰かと共有したくなる何かがありました。
実のところ、僕の洋画作品における好みはドンパチやるアクション系だったり、SF作品だったとしても近未来の社会を描いたようなタイプの作品だったりするので、『インターステラー』は該当しません。
子供の頃は好きでしたけど、宇宙を描いた作品ってどんな名作でもどこか説得力の欠けるところがあると感じてしまって、安っぽく見えるようになってしまったからです。
説得力という意味では、これだけ推した『インターステラー』だって子供だまし感は否めません。
しかし、『インターステラー』という作品の魅力はSF作品における宇宙というテーマにあるのではありません。いや、そこはそこで興味深くはあるのですけどね。
やっぱり人類の未来と孤独を天秤にかけたヒューマンドラマでもあるところが、この作品の魅力なのではないかと思います。また、序盤にマーフが遭遇したポルターガイストが壮大な伏線になっている物語構成も驚きがあって良かったです。
人によっては寂しいと感じさせられることになる可能性もある作品ですが、刺さる人には本当に刺さると思うので、一度ご覧になってみたはいかがでしょうか?