『ポーション頼みで生き延びます!(4)』やっぱり腹黒系女子が可愛い最新巻の感想(ネタバレ注意)
2019年の1月はFUNA先生の関連作品が同時に4冊も発売される、まさにFUNA先生祭りですね!
本記事で紹介する『ポーション頼みで生き延びます!』の原作最新巻と、コミカライズ版の3巻。
そして『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』の原作最新巻と、コミカライズ版の3巻。
この2作品とそのコミカライズ版は、今までも同時発売でメディア展開されていますが、こういう一気にファンを楽しませてくれる展開のされかたは好きです。
個人的には、コミカライズ版で原作ではちょっと昔のストーリーをおさらいしてから原作小説の最新巻を読むのを定番の流れにしています。
こういうなろう系の異世界転生・転移ものの小説は勢いがある1巻が一番面白くて、その後が微妙な作品も多いのですが、FUNA先生の作品は安定して面白いので安心して読めるのが良いですね。
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本作の概要
手違いで異世界に転生し、思い描いた通りのポーションを生み出すチート能力を手に入れた少女・カオルは、女神様の御使い様として異世界で名を馳せます。
伴侶探しが目的なのであまり目立ちたくないカオルですが、都合良く、そして腹黒く御使い様としての名声とチート能力を駆使して生き抜いていくところは変わっていません。
腹黒いけど、何だかんだで苦しんでいる人を見捨てられないのはカオルの良い所ですね。
この異世界では万能薬扱いされている長命丹を作る薬師との商人としての駆け引きを繰り広げたり、貴族のお家問題に巻き込まれたり。
そして突如温泉に入りたがったカオルが目星を付けてやってきた地では、盗賊問題に悩まされる村があり、盗賊を退ける方法を村人に伝授したりと、トラブルは絶えません。
戦わない無双系主人公カオルの活躍が留まることを知りませんね!
しかし、カオルは自分自身ではなく他の人物に活躍させる術に長けてけたような気もします。
本作の見所
魚を食べたいカオル
何故か異世界転生もので魚を食べたがる主人公って定番の一つになっていますよね?
「刺身盛り合わせ、お任せで!」
カオルもその定番を遵守しようとします。しかし、どうやらこの世界には魚を生で食べる習慣が無いらしく、刺身と言っても全く通じません。
海の魚の寄生虫は人体では長時間生存できないとか、何故か寄生虫事情に詳しいカオルが面白いですが、煮魚を嗜むことはできるもののカオルはお目当ての刺身にはなかなかありつくことができません。
生魚を調理しようとしていることが発覚して宿の厨房を借りることもできず、結局屋外で調理することになったカオルでした。
いや、僕は生魚はあまり好きではないのでこの気持ちはわかりませんが、好きな人がずっと食べてなかったらやっぱり恋しくなるのでしょうか?
こう定番ネタになっているということは、やっぱりそういうことなのだろうと思っています。それに僕も、煮魚なら恋しくなるかもしれません。
王太子フェルナン
1巻以降ちょくちょく登場するものの、今のところなかなか物語の本筋には絡まない王太子フェルナン。
今回も登場しますが、そのサブタイトルが「あの人は今・・」なのが郷愁を感じさせます。(笑)
「カオルだ! アルファかベータか知らんが、そんなのはどうでもいい。とにかく、接触して、我が国に連れて帰るぞ。すぐに出発の用意を!」
王太子フェルナンをウザがったカオルが咄嗟に名乗った姉妹設定の偽名が嘘であることは流石にもうバレているようですが、このカオルを連れ戻そうとする王太子フェルナンの行動が上手くいくことは将来的にも無さそうです。
地の文でもフラグが立ちまくっていますしね。(笑)
便利な店 ベル
忙しくなりすぎず、少し黒字になる程度を目指した店。
専門店には劣るけど何でも揃う便利な店・・って明らかにコンビニを意識した店ですね。
そういうわけで、便利すぎて想定外の大繁盛!
24時間営業か!?
これは失敗したか?
・・みたいな展開になるのかなぁと思っていましたが、そういうわけではなかったようです。
ですが、チート能力は持っているけどやり過ぎて失敗しがちなカオルは、今回もやっぱり失敗しています。
「あの、ここ、ヘモルトの種、ありませんか?」
来店した少女の要求に、何も考えずに答えてしまったのが失敗。本来、そうそう手に入らない植物の種などを次々と出してしまいます。
「それは、うちが『便利な店』だからだッッ!」
なんであるのだと驚く少女に、そう返すカオル。
流石に様子がおかしいのに気付けよとツッコみたくなるような言動は、この手のライトノベルのお約束ですね。(笑)
信じる者は救われる
目つきは悪いけど意外と腹黒くないカオルは、相手が善人であれば御使い様として、ポーション頼みのチート能力を行使することを厭いません。
便利な店に長命丹という万能薬扱いの薬の稀有な材料があると聞いた貴族の使いが『便利な店』にやってきますが、一度は言葉巧みに追い返してしまいます。
しかし、後から女神の眼のエミールとベルに問題の貴族を調査させ、助けるに値するか否かを品定めしているあたりは流石ですね。
カオルの能力には目立つ以外のデメリットは無いので、一見すると問答無用で善意を与えた方がカオル的には楽なはずです。
それをわざわざ労力を割いて調査するとは・・
正直、カオルのことをかなりの腹黒キャラだと思っていましたが、必ずしも腹黒なだけではないのかとも思いました。
マリアル女子爵
今巻で一番好きなエピソード。
処分されそうになっている馬のカルロスの依頼で、お家問題を抱えるマリアル女子爵の手助けをするというものですが、動物たちの協力を以ってマリアルを騙そうとするアラゴンの家を呪われているように見せかけたりと、間接的に追い詰めていくのが面白いですね。
そして、最後にはマリアルが自分自身でアラゴンを追い詰めていきます。
考えてみれば、このエピソードでカオル自身はあまり多くのことはやっていなくて、あくまでもマリアルが自分自身で解決しているのが良いですね。
あくまでもちょっと手助けするだけというのがマジで女神の御使い様的だと思います。
あと、挿絵に描かれている、アラゴンを追い詰めて生き生きとしているマリアルの表情が最高ですね。最初、カオルかと勘違いしてしまったくらい、良い目をしています。(笑)
温泉と盗賊
今巻のカオルは、やっぱり自分では極力手出しをせずに助言を与えていくスタイルのようです。
盗賊に強請られている村に助けを求められ、しかしカオルによる手助けのほとんどは村人への助言が大半で、盗賊を撃退したのも基本的には村人でした。
腹黒っぽいカオルですが、やっぱり面倒そうな方法で村人にとってより良い、自分たちがいなくなってから同じことが起きても対処できるようにしていこうとしている辺りが善意的です。
ひょっとすると御使い様と言われ続けて、本当に御使い様になることに目覚めたのでしょうか?(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
何だか御使い様としての立ち居振る舞いが板に付いてきたカオルちゃん。
利用する時は利用する強かさは可愛いらしいですが、一方でちょくちょくやらかす所も変わっていません。
FUNA先生の書くヒロインはみんな、可愛らしくもちょっと毒のある部分もあり、それが魅力的に感じさせるスパイスになっていて良いですね。
FUNA先生は3作品も同時に刊行されているので続刊は少し先になるかもしれませんが、ずっと楽しみにしています!