『私、能力は平均値でって言ったよね!(9)』メーヴィスが力を付けつつある最新刊の感想(ネタバレ注意)
女の子の冒険者パーティ。『赤き誓い』の4人組がいつもの如く大活躍する『私、能力は平均値でって言ったよね』の最新刊です。
毎巻わかりやすいテンプレ展開の本作ですが、「ザ・テンプレ!」とでも言うべきような作品群の中では一番面白いと思っています。
こちらの記事でもザ・テンプレだけど面白いと紹介させていただきました。
意外と尖った部分も少なくて何で面白いのか説明するのが難しい作品で、上記リンクの記事でも上手くおすすめできていませんが、とにかく爽快で面白いのだとしか言いようが無いのが歯がゆい限りです。
そして、その面白さは今巻でも衰えていません!
個性的になっていくナノちゃん(ナノマシン)。他の3人の足手まといになりたくないメーヴィス。自重が甘くなってきているマイル。
その辺が今巻の見所でしょうか?
アニメ化企画も進行しているとのことで、続報が楽しみな作品です。
?
本作の概要
ドワーフの村を護るための普通の個体よりも強いオーク、オーガの群れとの戦い。
アカデミーの研究員、エルフのエートゥルーとシャラリルからの採取の護衛依頼。
などなど、いつもの『赤き誓い』無双ですが、若干マイルが自重を忘れ気味になっています。
森を挟んで隣国の国王は、前巻で女神マイルの忠告を信じられずに戦争を仕掛けようとしますが、それも結果はお察しの通りですね。
『赤き誓い』の仲間の中ではどうしても実力が劣って見えるメーヴィスの頑張りにも注目です!
本作の見所
ナノマシンの暴走?
ドワーフたちとのオーク、オーガの群れとの戦いは、大方の予想通り『赤き誓い』の活躍で大勝利します。
このエピソードでは、何というかナノちゃん(ナノマシン)が何だか可愛かった。
メーヴィスが剣を振るう時に張り切ってみたり、オーク、オーガが現れた次元の裂け目についてメーヴィスに言い当てられてヤケクソになったり、マイルに更に詳しい説明を問い詰められたり・・
何かこういう人外キャラとも、それ以上に「キャラクターなの?」と言いたくなるようなナノちゃんが個性的になっていくのは読んでいて楽しいものがありますね。
「黙秘すると、要求が増えるよ?」
「・・・分かりました。約束は約束ですからね。たとえそれが、弱みに付け込んだ卑劣な手段により為されたものであったとしても・・」
「何よソレ!往生際が悪いよ!」
こういう掛け合い、めっちゃ好きですわ~
ギルドマスターの貫禄
通常のものよりオーク、オーガのことをギルドマスターに報告することになった『赤き誓い』。『邪神の理想郷』『炎の友情』のおまけとして目立たないようにしていた『赤き誓い』でしたが、ギルドマスターにはそれなりに真実を報告するようです。
マイルが収納から取り出した大量のオークとオーガに驚くのは毎度の流れですね。
しかし、ゴラセンという名の初老の男がギルドマスターを差し置いて危機感を煽っていき、ギルドマスターが立場無く置いてけぼりなのが面白いですね。
こういう、本来偉い立場の人が置いてけぼりになっていく様は何だか可愛らしくて好きだったりします。
「・・あの・・、ギルドマスター、儂なんだけど・・」
いや、可愛らしいじゃなく可哀想の間違いでした。(笑)
青い流星
女の子4人組パーティである『赤き誓い』は、新しい場所に行くと他の冒険者に舐められたり侮られたりして、それを実力はある程度隠しつつも流れで見返していくのが本作品の王道パターンになっていますが、今回その侮ったりの役割を担う冒険者が『青い流星』。
剣士3人、弓士と魔術師が1人づつの、男5人のパーティですね。
エルフのエートゥルーとシャラリルからの採取の護衛依頼を共同で受けたパーティ同士、最初は良い顔をして『赤き誓い』に近付いてきたのに、いざ依頼開始されたら自分たちの都合の良いように『赤き誓い』を使おうとするいけ好かない冒険者です。
しかし悪人ではなく、意外にも優秀でいざとなったら『赤き誓い』を自分たちが盾になって守ろうとする所もある良い人たちでした。
実際、戦闘でメーヴィスがピンチになった時、彼らがいなかったら危ない状況だったようです。いや、いなくてもマイルが何とかした説が濃厚ですが・・
そういうわけで、最初は『青い流星』に塩対応していた『赤き誓い』も、ある程度は『青い流星』を仲間として認めることになったようです。
どうやら、今まで『赤き誓い』の出会ってきたハンターが両極端だっただけで、『青い流星』はその小狡い部分も含めて典型的なハンターだっただけだとのことで、その『青い流星』との共同任務は『赤き誓い』にとっても勉強になったようですね。
『青い流星』のリーダー・グラフの言う判断ミス、『戦場において、女性兵士を前線に出すと破綻が生じる』は、『赤き誓い』がハンターとして活動していく上で今後も発生する可能性の高い判断ミスのはずです。
それを自分たちの実力不足だとして「まだまだだ・・」と謙虚な姿勢でいる『赤き誓い』の向上心はさすがですね。
マイル、採取でも大活躍
マイル、何だか自重が緩くなってきてないですか?
「え? いえ、探索魔法にそう表示されていましたから・・」
「表示って何やねん!」とツッコミたくなるようなマイルのセリフ。
次々と採取物を見つけて、一見するとそうだとはわからないはずの銅鉱石を視認で特定したりと、採取でも活躍しまくるマイルの答えがコレでした。
しかも、その探索魔法の使い方を説明しようとしだします。さすがにレーナに止められてしまいましたが、あまり目立たないように気を付けていたマイルはどこに行ってしまったのか・・
まあ、戦闘に関連する能力じゃないからガードが甘いのかもしれませんけど、どうやらこの世界観においては十分にヤバい能力だったらしいですね。
また、その見つけた地中深くまで埋まった銅鉱石を一気に収納魔法に片づけたりと(これは氷山の一角だったことに気付かなかっただけかもしれませんが)、留まることを知らないマイルでした。
女神化現象
やっぱりマイルの自重が緩くなってきてないですか?(再)
いや、前巻の続きと考えればしょうがないのかもしれませんが、最初は普通とは程遠い高い能力に文句を言っていたマイルも、何だかんだ便利に使うようになってきました。結構前からかもしれませんけど。(笑)
悠々と隣国の国王の前に現れた女神マイルは、いつもの如く圧倒的な力を盾に警告するのですが、いやはや・・
テンプレ化されてきた展開とは言え、こういうのを読んでいたらスカッとしますね。
こういうテンプレ作品には安易な展開に文句を言うアンチも多いですが、たまには悪くないものですよ?
メーヴィスの強化
『赤き誓い』のパーティメンバー。
マイル、レーナ、ポーリン、そしてメーヴィスの4人の内、明らかに実力が劣って見えるメーヴィス。
主人公のマイルは別格として、レーナとポーリンの2人は魔術師としてマイルの提唱するメソッドで、序盤から飛躍的に実力を伸ばしていましたが、剣士であるメーヴィスはそう簡単にはいかなかったという事情でもありますが、最年長なのに一番お荷物になっているというのはさすがに思う所があるようです。
『青い流星』との共同任務でも大怪我してしまいましたしね。
そういうわけで今巻のラストはメーヴィスの修行エピソードでした。
そして、かなり無理なこともした修行の中でどうやら何かを掴んだらしいメーヴィスが他の3人と合流するための道中、巻き込まれた騒動の中で修業の成果を発揮しようという所で今巻はおしまいです。
今まであまり目立った活躍の無かったメーヴィスが、次巻以降は大きく活躍していくことが予想されますね。
総括
いかがでしたでしょうか?
何でなのか、こういうテンプレ展開ゴリ押しの作品って最初は面白くても続刊を追うごとに飽きていくことが多いのですけど、『私、能力は平均値でって言ったよね』は何故か全く飽きません。
実際、あとがきにも記載されていますが、なんと米国Amazoneライトノベルの部で本作品が上位を独占しているらしいですね。
やはり、それだけの魅力が本作品にはあるということなのだと思います。
続きが気になるとか、そういうことはあまり無いんですけど、続刊が出たら間違いなく購入する予定です。
そういえば今巻ではポーリンとレーナが若干空気だったので、またこの二人の活躍を読んでみたいような気がします。
マルセラのエピソードもまた入れて欲しいですね。
ちなみに、これからFUNA先生の『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』『ポーション頼みで生き延びます!』の原作それぞれ4巻と、コミカライズ版のそれぞれ3巻の発売が畳み掛けで控えています。
こちらもめっちゃ楽しみにしています!