魔法陣グルグル。懐かしの漫画、書評シリーズ【その1】12巻
僕にはとてもできない第12巻です!(前巻の書評はこちら)
ククリの好きな食べ物と言えばチョコレートですよね。
魔法陣グルグルがゲーム化された時、チョコレートがMP回復のアイテムになっていたのを覚えています。
しかし、意外にも原作中でチョコレートを好んでいる描写はほとんどなく、今までは番外編の短編に一度出てきたきりだったはずです。
というわけで本編でチョコレートを好んでいるのは実はこの12巻くらいな気がします。
そんなチョコレートを求める冒険が、エットルの森の花の国での花の王女との出会いに繋がっていきます。
花の王女プラナノを子供役としたニケとククリの子育てエピソードに注目です!
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本作の概要
エルエル族の村から旅立つことになったニケたち。
今度はチョコレートを求めて・・というわけではないはずですけど、エットル村に向かって旅立ちます。
そして花の国ではキタキタおやじのせいで赤ん坊の姿になってしまった花の王女・プラナノを育てることになったニケたち。
まるで父親と母親になったかのような状況に照れつつも、しっかり自分に都合の良い教育を施していたニケはさすがにちゃっかりしていますね。(笑)
本作の見所
ラカンの日記
魔法陣グルグルでは最初から伏線のつもりで貼られているような伏線以外を後から回収するようなことは稀なのですが、まさかのラカンさんが登場します。
ラカンと言えば、きりなしの塔でニケたちを助けてくれた「ラカンの日記」の人ですね。
ニケたちのきりなしの塔の冒険話を聞いて嬉しそうです。
にけやの話もしたんですかね~
エットル村とチョコレート
「めでたいものはなんですぞ」・・じゃなくて、
「あまいものな~んだ?」
チョコレートの名産地、エットル村。ギップルによるとこの問いかけでチョコレートを売ってくれるはずだったのに、何故か強面の店主に追い返されてしまいます。
どうやらチョコレートの材料が採れる森に入れなくなってギスギスした雰囲気になってしまっているようですね。
元石切り職人でガテン系の店主、結構「素」でああな気もしますが。
娘のメルシィちゃんも見た目は可愛らしいけど性格は荒いですからね。
「きっとキッチンに「怪力お茶のフタ開けババア」がいるんだわ」
それにしても、キッチンから聞こえてくるメルシィの声に対するククリの解釈が、ある意味センスの塊ですね。(笑)
ぼくにはとてもできない
12巻って何気に名言が多いですよね。
「ぼくにはとてもできない」
これは、ニケのセリフの中では屈指の知名度を誇るのではないでしょうか?
また、使い勝手も良いので僕もたまに言いますし、同世代くらいの人が仕事中に無茶振りされた時、冗談で言っているのも見かけたことがあります。
そんな時、「あっ、こいつ魔法陣グルグル知ってるな」って、ちょっと嬉しくなりますよね。
ちなみに、このセリフは単品ではなくニケの花の王女に宛てた手紙の一節だったりします。
心に響かない、ムリヤリ書かされた読書感想文などと花の精霊たちに散々言われていますが、普段の一人称が「オレ」なのに、手紙では「ぼく」になっているのと、無駄に目が綺麗なあたりが心がこもっていないように感じられる一因になっていそうですね。
花の王女
お笑い用のヒゲメガネ。
力士のようなまわし。
めっちゃ美人なのにおかしな格好をしている花の王女・プラナノにニケのツッコミが炸裂します。
繊細だという触れ込みの花の王女に何てことをするんだと周りはザワつきますが・・
「そうですか。おしえてくれてありがとう」
どうやら変な格好をしていただけで、プラナノはまともな性格の持ち主のようですね。しかし、繊細であること自体は前評判通りで・・
「バッタになれ~っ!!」
突然踊りだしたキタキタおやじに驚いて、キタキタおやじをバッタに変えてしまいました。
しかも、力を使い果たして赤ん坊になってしまいます。
ニケとククリの子育て
何だか読んでいて恥ずかしくなるようなエピソード。
いや、もっと進んでいるような話には他作品でも触れてきているわけなのですが、魔法陣グルグルという本当に子供の頃から知っているキャラクターが夫婦ゴッコでラブラブしている姿は、何だかくすぐったく感じてしまいます。
これって僕だけでしょうか?
そういうわけで、嫌いではないもののちょっと苦手なエピソードだったりします。
しかし、そんな夫婦ごっこの間に実はちゃっかり自分たちの都合の良いようにプラナノを教育しているあたりはさすがですね。
踊る3人の変態
光でプラナノを早く咲かせるために、ニケは覚えたての光魔法・カッコいいポーズを決めるのですが、そこにバッタになったキタキタおやじと、以前プラナノにバッタにされたオジサンが近寄ってきます。
まあ、虫は光に集まる性質がありますからね。
しかし、珍しくニケが格好良いシーンなのですが、ニケの周りではバッタが卵になり、おやじ達が少しずつ羽化していく、何だか壮絶な光景が繰り広げられます。
「グルグル史上最低の光景」と銘打たれているだけのことはありますね。
「ねえ・・生命ってすばらしいわ・・」
「そうね・・目がくさるほどにね・・」
花の精霊たちもそう言ってますが、これは完全に他に言葉が無くて出てきたセリフですね。(笑)
プラナノ復活!
壮絶な光景の中、ともあれプラナノは復活しましたが・・
どうやら元のお淑やかで繊細そうな雰囲気は無くなっています。どちらかと言えばワイルドで格好良いお姉さんといった感じです。ルンルンをもっとワイルドにした感じといえば伝わりやすいでしょうか?
戦闘的な性格になっていたプラナノは難なく魔物達を撃退するのですが、これまた格好良いんですよね~
そして、そんなプラナノもまた僕が好きなキャラクターの一人です。
ジュジュ、クルジェ、プラナノ(復活後)が魔法陣グルグルの中の個人的スリートップなのですが、ジュジュ以外はあまり活躍しないのが残念でなりません(´・ω・`)
ブリはテリヤキにかぎるのよ!!
レイドに連れ去られたククリはバトーハの塔の中で再びワンチンの具象気体に相まみえます。
そこで語られる話は最強のグルグル「恋するハート」の核心に迫るようなものでした。
結婚予定のミグミグ族2人が訪れたバトーハの塔での夕食。
ブリはテリヤキよりソテーが良いという旦那(予定)に対して、嫁(予定)は・・
「ブリはテリヤキにかぎるのよ!!」
本当にそう思っていたのか、自分の料理が認められなかったことが悔しかったのか、怒りを旦那(予定)にぶつけることになります。
その結果、旦那(予定)は意図せず封印されることになってしまうのですが、どうやらこの魔法こそが「恋するハート」だったようです。
マジかっ!(笑)
それにしても、「ブリはテリヤキに限る」。
個人的にはその通りだと思うのと同時に、何とも耳に馴染んで忘れられないセリフだと思っています。
今巻におけるクルジェちゃん
11巻で初登場したクルジェですが、今巻でも少しだけ登場します。
地の力で動く「くるじぇ丸」という移動手段を提供してくれます。
地の力で動くのは良いのですが、それがまるで遊園地の遊具のようになっていて恥ずかしいという乗り物ですね。
「コインいっこいれる」
コインを入れるのがまた遊具感を増長させていますね。しかし、このセリフがクルジェって感じがしてめっちゃ好きです。
その後、エットルの森の入り口にもクルジェがやってくるのですが、ちょっとイメチェンされていて格好良くなっています。
衛藤ヒロユキ先生のセンスが流石ですね。
こういうカッコ可愛い女の子キャラクター、結構好きです。
総括
いかがでしたでしょうか?
プラナノ(復活後)が格好良かったですね~
ワンチンも久々に登場し、ククリのグルグルに対する理解が増してきた所で今巻は終わりましたが、次巻以降も楽しみですね。
当時は、新しいキラキラのエピソードあたりが次に来ると予想していましたが、実はまるでゼロ年代のライトノベルのようなちょっと不思議な箱庭型の物語が待っています。