『いじめるヤバイ奴(3)』こんな修学旅行の学園もの作品は初めて見た!(ネタバレ注意)
相変わらずヤバさ全開の作品ですね。
『いじめるヤバイ奴』は早くも3巻目です。
なんというか、面白いっていうのとは違うんですけど何故か続きを読みたくなってしまう何かがある作品ですよね。
感動したとか、スカッとしたとか、キャラクターが魅力的とか、読みたいと思う作品に対する感想のほとんどはこのいずれかに集約されますが、『いじめるヤバイ奴』の場合は純粋な興味で読んでいるという部分が大きいような気がします。
いや、いじめに興味がある訳ではなく。念のため。(笑)
いじめるのをやめたいいじめっ子。
いじめを強制するいじめられっ子。
強制させられているわけではない本物のいじめっ子。
いじめるのをやめたいいじめっ子を好きなヤンデレ娘。
大抵の場合、主要人物のキャラクター属性を並べ上げたら、フィクション作品でよく見かける構図が読み取れるものですが、『いじめるヤバイ奴』の場合は全くそうはいきませんね。
マジでヤバイやつしかいないよ・・
だからこそ強烈な個性を放っているのが興味深い作品ですが、1巻の時点でも相当だったのに個性が強まってきているのがマジでヤバイ作品だと思います。
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本作の概要
いじめられっ子の白咲さんにいつも追い詰められているいじめっ子の仲島くん。
そんな状況から仲島くんを助けようとする救世主・青山さんが2巻で登場しましたね。
何やらヤバイ感じで仲島くんの味方なのか敵なのかがよく分かりませんでしたが、一応ヤンデレ的な感じではあるものの仲島くんに好意を持っていて、相対的に白咲さんのことを敵対視しているようです。
そんな感じでヤバイ奴らが増えてきた状況で始まったのが修学旅行。
一見真面目な生徒ばかりの学校なので不良が絡んでいったら、不良とは違った怖さのヤバイ奴だらけで引かれてしまうという展開が面白いです。
本作の見所
修学旅行のいじめ
仲島くんのいじめの失敗に対する罰は、基本的に白咲さんの自宅で行われます。
しかし、修学旅行では罰があるとしても、セキュリティの強固な白咲さんの自宅に行くことはできません。
つまり、修学旅行は仲島くんにとって白咲さんの側で心休まらない時間が増えるのと同時に、白咲さんの本性を周囲に知らしめるチャンスであるともいえるわけですね。
いつも以上に張り切ったいじめを実行し、その上で「いじめを辞める」宣言をすることで白咲さんに罰(というボロ)を出させる。
そんな作戦を青山さんと立てているのですが、それ故修学旅行の行き先に事前に来るなど徹底した準備を実施しています。
「あの平和な感じ。どっかのぼっちゃん学校だろ」
ちなみに、仲島くんたちの学校は比較的真面目に見える感じの学校のようですね。
フィクション作品の定番。「現実にはこんなこと無いだろ!」っていう感じですが、不良校に絡まれるシーンもあるのですが・・
「「ヤバイ奴」御一行、京都上陸」
まあ、仲島くんたちの方があきらかにアンタッチャブルというか、そんな感じですからね。
ぶっちゃけ暴力しか武器の無い人間ほど弱い人間はいないですし、一番ヤバいのは賢いサイコパスですよ。
女子トークが怖い
学園もの。修学旅行とくれば、就寝前の恋愛トークは定番ですよね。
「白咲さんは好きな人とかっているの?」
実は黒幕だとはいえ、対外的にはいじめられている白咲さんは触れづらい存在のはずですが、そこに青山さんが爆弾を投下します。
白咲さんが仲島くんに自分をいじめさせているのは、実は白咲さんが仲島くんを好きだからなのではないかと思っている青山さん。
それは確かに考えられる可能性の中でも説得力のあるもののひとつなのですが・・
この女子トークの怖さは正直実際に読んでみないと分からないのではないかと思います。
なぜなら、仲島くんがヤバイ奴だと言及しているところがある以外は、セリフだけを切り抜いてみると本当に普通のことしか言っていないからです。
「しかも最近よく目が合ってさ~。私のこと好きだったりしてぇ~」
こんな感じの普通の恋愛トーク的な応酬。ちょっと牽制する様子があるのもある意味では普通のこと・・なのですが、白咲さんと青山さんの牽制は、セリフだけなら普通なのに周囲を震え上がらせるくらいに怖いんです。
加藤くんと青山さん
肝試しならぬいじめ試し。仲島くんは白咲さんに一矢報いるための策として頑張っていますが、その黒幕は白咲さんを殺そうとしている青山さん。
青山さんの殺意がどこまで本物なのかは定かではありませんが、白咲さんを嵌めて崖下に突き落とそうとしている時点でかなり本物っぽいです。
そんな現場を加藤くんに目撃されてしまった青山さんは咄嗟に誤魔化して、加藤くんと揉めることになりますが、そんな2人をなんの躊躇いもなく崖下に突き落とす白咲さんが怖いです。
青山さんは入念に下準備して白咲さんを突き落とそうとしていましたが、この準備の中には少なからず覚悟も含まれていたと思います。
そういう意味では白咲さんの方がサイコパスとして一枚上手に見えますね。
ちなみに、加藤くんは青山さんと違って仲島くんのいじめの真相を誤解していますが、何故か誤解したまま青山さんと噛み合って協力関係のような感じに・・
「愛する仲島が無残に傷つけられた時青山、お前一体どんな顔するんだろうなぁぁ~」
なるかと思いきや、加藤くんは仲島くんをやっつけつつ青山さんに一泡吹かせることを考えているようです。
複雑に絡み合った勘違い構造が、どのように発展していくのかが興味深いですね。
いじめっ子探偵
加藤くんと青山さんが原因となり失敗に終わったいじめ試し。
仲島くんに対する白咲さんのお仕置きは待ったなしの状態です。
「この旅行においてお前はもういじめをできなくなった」
その上、仲島くん以外のいじめが問題と学校の世間体に対する恐怖が原因となって、見回りが強化されることになり、仲島くんはいじめをできなくなってしまいます。
白咲さんの怒りを買っている状態でこれは仲島くんにとっての大ピンチです。
「いじめクソ野郎共に自分の犯した罪の重さをわからせてやんだよ!!」
自分のいじめのために、他のいじめっ子を捕まえようとする仲島くん。
あまりにもらしくない行動に対する先生のツッコミが面白いですが、ここで発動したいじめっ子探偵がどのように活躍するのかが今後の見所ですね。
総括
いかがでしたでしょうか?
いじめるために、いじめ犯人を捕まえようとする衝撃の展開になってきて、ますます先が読めなくなってきましたね。
僕もかなり漫画・小説をはじめとするフィクション作品に触れてきていて、お約束的な展開でなくとも何となく先が読める方だとは思うのですが、『いじめるヤバイ奴』に至っては全く先が読めません。
いじめっ子探偵の結末はどうなるのか、そして仲島くんは白咲さんにいじめを辞める宣言をすることができるのか、まだまだ先が楽しみですね。