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囲碁界に期待の新星登場! 最年少でプロ棋士になった仲邑菫(小学四年生)とは?

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囲碁界に期待の新星・仲邑菫(なかむら すみれ)新初段が誕生しました!

今まで最年少のプロ棋士といえば藤沢里菜女流本因坊の11歳6か月でしたが、それを大幅に更新した2019年4月付で10歳0か月での入段となります。

現時点では9歳ということで完全に子供ですね。

記者会見の様子を見ても、ただただ可愛らしい子供にしか見えません。

お隣将棋の世界の作品ですが、マジもんのりゅうおうのおしごとじゃんとか思った人は僕だけじゃないはず。(笑)

しかし、囲碁の世界において若い天才は後に大成する可能性を大いに秘めているもので、今後が楽しみであることには違いありません。

プロ入り記者会見の翌日である本日(2019年1月6日)には井山五冠との記念対局も行われているそうで注目度の高さが伺えます。

 

本記事では仲邑菫さんがどのような棋士なのか、彼女を採用した英才推薦制度とは何なのかについて、公式の記者会見映像から読み取った内容を纏めたいと思います。

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仲邑菫さんとは?

父親がプロの囲碁棋士(仲邑信也九段)、そして母親も高段者というサラブレッドです。

記者会見の中で、逆コミのハンデ付きで仲邑菫さんと対局した張栩名人が、仲邑菫さんの棋風や棋力について語ってくれています。

棋風については、小さい子供とは思えないくらい落ちついていて、盤上にしっかりと構想を立てていて、難しい場面での対応力も高いとのこと。

特に中盤以降には張栩名人ですら自分と対等くらいのレベルであると感じるほどの強さを見せていたらしいです。実際、序盤でほぼ逆コミ分は追いついていたのに結果は引き分けだったようです。

張栩名人は良い笑顔で「恐ろしかったです」と言っていました。

張栩名人っぽいコメントですね。(笑)

なにより興味深いのは、小学生時代の井山五冠とも逆コミで対局している張栩名人が、仲邑菫さんを当時の井山五冠よりも上をいっていると評価していること。

多少のリップサービスは含まれているかもしれませんが、これが本当なら日本の囲碁界の今後はマジで楽しみになってきますね。

今後については張栩名人も本人の努力次第と仰っていますが、数年後には女流タイトルは狙えるレベルになるのではないかということ。

ちなみに、この仲邑菫さんと張栩名人の対局の記録係をしたのが何と小林覚九段だったとのこと。

45年ぶりの記録係だったようです。(笑)

そして、小林覚九段の目から見ても仲邑菫さんは張栩名人に引けを取らない打ち回しで、「静かに、堂々と、柔らかく、そして短い時間でも慌てることも無く冷静に対応していた」とのことで、大物だとも感じたようです。

記者の「世界を狙えるというのは男女問わず言われていることなのか?」という質問に対して張栩名人と小林覚九段が回答を譲り合っている一幕があり、ちょっと面白かったのですが、張栩名人によると「本人もそのつもりがあり、女流に限らず目指せる才能はある。努力次第だけど」と感じているようです。

日本棋院囲碁チャンネルで約50分の記者会見の様子が全編公開されていますが、本当に興味深い話ばかりでした。

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仲邑菫さんへの一問一答のインタビュー概要

プロになった感想は?

緊張した様子で「頑張ります」と一言。ちらちらとお母さんの方を窺っているのが可愛らしいですね。

いつからプロの囲碁棋士になろうと思ったのか?

「ハッキリとは覚えていません」とのこと。それだけ小さい頃から目指していたということでしょうか?

最初に囲碁に興味を持ったのは?(両親への質問)

父親が囲碁棋士でいつも勉強していて、母親も囲碁ができるので打ち始めたのがキッカケで、3歳から始めてスグに9路盤で終局までできるようになったようです。

友達とはどんな遊びをするのか?

休み時間にボール遊びをしているようです。

どんな性格なのか?(両親への質問)

とても気が強く負けず嫌いだとのこと。ただし、気が強すぎて性格が悪いな~と思うこともあると母親が笑いながら言っていました。おいおい・・(笑)

マチュア高段者の母親を抜いたのはいつ?(母親への質問)

1年半ほど前にペア碁でチームを組んでいた時には母親の手に対して指摘するようになっていたようで、その頃なのではないかということでした。

囲碁のどんなところが魅力?

首を傾げながら「勝った時が嬉しい」とのこと。やっぱり母親の方をちらちら見ていて可愛らしいですね~

AIは使っているか?

回答に困っている仲邑菫さんに代わり、父親の仲邑信也九段が回答しましたが、検討にはやはりAIを使っているようです。

アルファ碁の登場から早3年、幼い頃から囲碁AIを使って勉強していく世代には今までと違った感覚が身に付くのではないかと当時から思われていましたが、早くも幼い頃から囲碁AIを使って勉強してきた世代がプロの舞台に上がってきたという感じですね。

好きなテレビ番組は?

両親があまり見ないようで、テレビが無いようです。

囲碁の勉強時間は?

学校に行っている時で6時間くらい。休みは9時間くらい勉強しているようです。

わかっていましたが天才ほど努力しているというのが分かる時間ですね。

ちなみに、こういうインタビューって早く回答しようとして早口になったり噛み噛みになったりする人もいますが、仲邑菫さんはどの質問もスグには答えずに考え込んでいるように見えるのが印象的でした。

この質問も父親に促されて首を横に振っていて、また代わりに仲邑信也九段が回答しましたが、これは緊張というよりは自分の発言に慎重になっているからなのではないかと感じられました。

普通の子供なら何も考えずにポンポンと何でも答えそうなところでこれは、相当賢いことが伺えますね。

何歳までにタイトルを取りたいか?

「中学生の内にタイトルが取りたい」とのこと。

これは是非とも達成して欲しいと期待してしまいますね!

将来どんな棋士になりたいか?

「井山先生みたいになりたい」とのこと。

他の女性のプロ棋士で、同じようなことを言う棋士はあまりいないような気がします。

現在の女性のプロ棋士と言えば例えばリーグ入りを目指すとか、そういった所がトップレベルの水準であり、「井山先生レベルを目指すなんて恐れ多い」とか言う人が多そうな気がします。

それだけに、かなり発言に慎重そうな仲邑菫さんがそう言った背景には、かなりの自信の裏付けもあるのかもしれませんね。

英才推薦制度とは?

記者会見によると、院生の制度に当てはまらない将来有望な棋士を発掘するために、今年度から新たに作られた制度だとのこと。(院生に適用されないわけではない)

世界に通用する棋士の発掘囲碁の普及の2つを目的にしているようですね。

男女関わりなく、ナショナルチーム関係のプロ棋士が力を見て採用するという仕組みになっているようです。

ちなみに仲邑菫さんの場合、井山裕太五冠、張栩名人、許家元碁聖、高尾九段、山城九段、小林覚九段というそうそうたる審査員が、満場一致で採用すべきと判断されたようですね。ちなみに、平田智也先生も審査員として声が掛かったようですが荷が重いと断られたようです。

また、小林覚九段の話しぶりからすると、そもそも仲邑菫さんを早くプロのステージに上げさせるために英才枠の創設を急いだ経緯があるようで、そこまでさせる仲邑菫さんの才能には本当に期待してしまいます。

ただし、特別採用ということで正式な棋士として認められているわけではないようで、正式な棋士と認められるためにはハードルがあります。

  1. 五段になること。
  2. 女流タイトルを取ること。
  3. リーグ戦に入ること。
  4. 若手棋戦で優勝すること。

・・と、なかなか高そうなハードルが設けられています。

とはいえ、他の棋士と同じ土俵で戦っていくことにはなるようで、正式な棋士との差がイマイチよくわからない所がありますね。対局料や必要に応じて支払われる謝礼も変わらないようですし。

創設されたばかりの制度ということで、何だかモヤっとしているような所もありそうな印象ですが、小学生の子供をプロ棋士として迎えたからには責任を持ってちゃんと育てて欲しいですね。

少なくとも、日本棋院仲邑菫さんが小学生であるということも鑑みて取材依頼は必ず広報を通すようにと周知していて、大事にしようとしていることが伺えます。

そんな感じで、新年早々1月5日(囲碁の日)に鳴り物入りの入段が発表された仲邑菫さんは、まさに囲碁界のニューヒロイン。シンデレラガールと呼ぶに相応しいのではないでしょうか?

藤沢里奈先生との比較

現在の女流棋士のトップと言えば藤沢里菜先生、上野愛咲美先生、謝依旻先生のお三方といった所でしょうが、何かと共通点の多そうな藤沢里菜先生とは今後も比較されることが多くなっていくような気がしますね。

  1. 最年少記録を更新しての入段。
  2. 父親がプロ棋士
  3. 女流棋士である。

ざっとこんな感じで藤沢里菜先生と共通項のある仲邑菫さんですが、今後の実績次第とはいえ例えば趙治勲九段と井山五冠のように、記録の面で比較されていきそうな気がします。

仲邑菫さんは中学生の内にタイトルを取りたいと答えているので、それが達成されれば藤沢里菜先生の持つタイトル獲得の最年少記録(15歳9か月)が更新されることになりますね。

まあ、あくまでも未来に起こるかもしれない可能性の一つでしかないのですが、そんな可能性が一つ誕生しただけでも囲碁ファンとしては嬉しいですね。

総括

近年では囲碁AIの台頭や井山先生の七冠達成と国民栄誉賞など、囲碁界ではこれまでに無かったくらい大きな話題が続きました。

そして、今後これらに並ぶくらい大きな話題が発生し得るとしたら、将棋の藤井聡太先生に並ぶくらいのエースの登場か、例えば女性初の七大タイトル挑戦といった女流棋士の活躍くらいなのかなぁと思っていたらこのニュースです。

女流の天才棋士の誕生。

囲碁ファン的には実力が全くの未知数の仲邑菫さんですが、男性のトップと混じって戦えるような棋士に育って欲しいと期待しています!

今後の動向にも随時注目したいですね。

あと、願わくば仲邑菫さんが将棋の藤井聡太先生のように、囲碁界を一般的にも注目されるのに一役買ってくれたら嬉しいと思います。