『マリア先生は妹ガチ勢!(1)』英語教師と男子生徒の秘密の関係の感想
『マリア先生は妹ガチ勢!』は、『八雲さんは餌づけがしたい。』で有名になった里見U先生の最新作となります。
本作品の存在には全く気付いていなかったのですが、『八雲さんは餌づけがしたい。』の最新6巻の巻末で紹介されているのを見て、同作者の作品が同時発売されていることを知って購入しました。
『〇〇は〇〇』みたいなタイトルの作品は、タイトルから何となく内容が推察できることが多いのですが、本作品はちょっと予想ができません。
ともかく『八雲さんは餌づけがしたい。』が結構面白いので、それなりに期待して読んでみました。
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本作の概要
天然の白髪に三白眼。般若と恐れられる少年・半田慎太郎は、実は真面目な苦学生でした。
贔屓なのか、気があるのか、それとも家庭の事情を鑑みているのか、そんな半田くんに親身になってくれる英語教師のマリア先生。
マリア先生は、日本とアメリカのハーフの25歳。
半田くんとの出会いは入学式で、その時はいきなり泣き出して気絶してしまうという事件がありました。
そんな2人が主人公の『マリア先生は妹ガチ勢!』ですが、それだけだとどんな話か想像できませんよね?
マリア先生はなぜ泣いたのか?
なぜ半田くんに親身になっているのか?
ギリギリセーフなのかアウトなのかわからない先生と生徒の関係に注目です。
本作の見所
マリア先生の秘密
強面の主人公・半田くんは深代高校の入学式で出会った英語教師・マリア先生に突然泣かれてしまいます。
半田くんは、母親が体調が悪いこともあって学費や生活費のためにアルバイトをする苦学生。しかし、般若のような外見が災いしどんなバイトもクビになって、夜の店くらいでしか働くことができません。
そしてまさかの勤め先がイメクラのボーイです。
それこそよく雇ってくれたなぁという感じですね。(笑)
そんな半田くんに、苦学生向けの大学の資料を探して提供したり、個別指導したり、他の生徒に対するよりも妙に優しいのがマリア先生です。
厳しいけれども筋が通っていて男女ともに人気が高いマリア先生が、なぜ半田くんにだけ優しいのか?
入学式ではなぜ突然泣き出し気絶してしまったのか?
半田くんの言うように「知り合いに似ていて驚いた」程度では、泣くことはあっても倒れることはないでしょう。
しかし、怖がっているのかと言えばそうでもなさそうです。
理由不明の優しさ然り、ほほを染めたり好意的な節すらあります。
かと言って、惚れているのかと言えばその必然性がありません。
そして、その理由が判明するできごとが発生します。
個別指導中、離籍したマリア先生に半田くんが後ろから声を掛けた時、入学式の時と同じようにマリア先生は突然泣き出し、気絶してしまったのです。
「会いたかったの・・お兄ちゃん」
保健室で目覚めたマリア先生は、寝ぼけて半田くんに抱き着きます。
第1話はこのセリフで終わってしまいますが、なるほどマリア先生は半田くんに兄を重ねていたのだということがわかります。
しかし、どう考えてもそれだけではなさそうですね。
兄妹契約
半田くんは兄扱いされて困惑しています。
そりゃあそうですよね。
寝ぼけて言ったセリフだということは確実ですが、それでも「何でお兄ちゃん?」って普通はなります。
目覚めた直後のマリア先生の取り乱し方も相当ですよね。
小学生が先生に「お母さん」って言ってしまうのと同種に恥ずかしさでしょうけど、生徒に「お兄ちゃん」って・・
同種でもかなり格上の恥ずかしさなのではないでしょうか?
小学生にとって先生は自分の守護者という意味で親と同じなので、まあそういう間違いもあるのかもしれませんが、生徒に兄を重ねるような人は普通いないでしょうからね。
こうなってしまっては説明が必要でしょう。
半田くんは困惑はしていても不快には思っていないようですが、場合によっては気味悪がられても仕方のない状況ですから。
「すまない 私は教師失格だ」
というわけでマリア先生は、ボロボロと泣きながら理由を話します。
どうやら半田くんはマリア先生の兄にめちゃめちゃ似ていて、マリア先生はその兄のことを恋愛感情的な意味で好きなのだとか。
そして、海外の仕事でろくに会えない兄にそっくりな半田くんに声を掛けられ感極まってしまったというのが真相だとのことです。
兄に似た半田くんを贔屓していなかったと言えば嘘になるとマリア先生は謝りますが・・
「俺をお兄ちゃんって呼んでください」
まさか半田くんのイメクラのバイトが役に立つとは。
年下の兄と年上の妹のイメージプレイが始まるのですが、半田くんに妹に接するかのように呼び捨てにされて鼻血を出しているマリア先生は思っている以上の変態かもしれませんね。(笑)
いや、漫画のキャラクターなら可愛いんですけど、現実にいたら普通にヤバい人かと・・
グレイトフル・デッド・マリア先生
真面目な顔をして半田くんとのイメージプレイの概要書を提出してくるマリア先生が可愛いけどシュールですよね。(笑)
半田くんへの指導の報酬という形だが、半田くんに拒否権の余地を与えているあたりは理性的です。
しかし、普段クールなのに半田くんに顔を近付けられたり、マリア先生が子供の頃の写真の再現をしてみたりなど、過度に近づきすぎたり身体的接触が合ったりした時のいわゆる生娘的な反応がかなり危ない人になってしまっています。
そして、その後。
「私が刺激になれるためのカリキュラムを作成してみたんだがどうだろうか」
超真面目な反省と改善策。良くも悪くもギャップがありすぎて面白いですね。(笑)
マリア先生の思い出グルメ
中々に大掛かりな「やりたいこと」を準備してきたマリア先生。
教師として遠慮した雰囲気は出しつつも、全く遠慮のないマリア先生が、だけど可愛いです。
半田くんもお世話になっているとはいえなかなか付き合いが良いですね。
キャンプ中にテントの中で兄と一緒にカップラーメンを食べる再現。
恋愛感情的な意味で好きだということを除けば、普通に良い思い出ですよね。食べたのが美味しいご馳走とかじゃなくて、何でもないカップラーメンだというのがまた良いですよね?
こういうノスタルジックなことをしたくなるマリア先生の気持ちは、ちょっとわかります。
密室エマージェンシー!
進路相談室でお兄ちゃんプレイ中、風紀を乱す者は教師であっても見逃さない風紀委員長・清瀬あやかが入室してきてしまいました。
咄嗟に掃除用具ロッカーに隠れる半田くんとマリア先生ですが・・
みなさんは掃除用具ロッカーに入ったことはありますか?
僕は小学生の頃に遊びで入ったことはありますが、小学生の体でも狭いです。
そこに大人2人。
半田くんとちょっと接触しただけで取り乱してしまうマリア先生の様子がもうだいぶヤバいです。
物音を立ててしまい、猫がいると勘違いした清瀬さんにロッカーを開けられてしまうのですが・・
「夜叉が・・金色夜叉が来る・・」
浮かび上がる般若のような半田くんの形相に清瀬さんは気を失ってしまい事なきを得ました。
しかし、結果として学校の七不思議が一つ増えることになってしまいました。(笑)
ちなみに、この清瀬さんは続刊でも出てくるかもしれないですね。
明らかに風紀的にはよろしくないことをやっている半田くんとマリア先生との絡みが期待できます。
抱かれるホンネ
休日、半田くんはコンビニで少女漫画を立ち読みして号泣するマリア先生と遭遇します。
この先生、こんな涙もろくて情緒不安定なのによく普段クールで厳格な教師をやってられますね。まあ、ある意味大人らしいです。(笑)
ちなみに、この日はお兄ちゃんプレイは無しです。
「・・いや 大丈夫だよ。今日はもう満足した」
マリア先生のセリフが意味深ですよね。
何となく、兄に似ているとか関係なしに半田くんに惹かれているのではないかと勘繰ってしまいます。
総括
いかがでしたでしょうか?
ひとまず1巻はとても面白かったものの、個人的には2巻以降は少々不安な気がしています。
というのも、設定的なインパクトは大きかったものの、あまり長く続けられるタイプの話では無さそうな気がしているからです。
短く終わらせていたら名作だったであろう作品が、ダラダラと長く続いてしまっていることで微妙な作品になってしまっていることが稀によくありますが、本作品がそうならないことを祈っています。
2~3巻くらいで綺麗に短く纏まったら普通に面白い作品だと思うので。
ちなみに、同作者の『八雲さんは餌づけがしたい。』も最新巻が同時発売していて、こちらも相変わらず面白いですよ!