魔法陣グルグル。懐かしの漫画、書評シリーズ【その1】9巻
ニコピョン族が魔境に進出する第9巻です!(前巻の書評はこちら)
ニコピョン族。
ウニョラー。
トッピロキー。
ヒッポロ系ニャポーン。
はい。文字化けしているわけじゃないので「戻る」ボタンを押さないでくださいね。(笑)
魔法陣グルグルには、何だかよくわからないけど声に出して読みたくなるような変わった言葉が度々登場しますが、その多くはこの第9巻から生まれていると思います。
魔法陣グルグルに限らず衛藤ヒロユキ先生の作品には、何が面白いのかがわからないけど何故か面白いと感じてしまうような謎の個性がありますよね。
ちなみに、この記事を読んでいるアナタ。
上述の言葉を文字化けだと思いましたか?
予言しますが、思った人は魔法陣グルグル未読ですね?
知らない人には「なんじゃこりゃ、文字化け?」となるような言葉ですが、知っている人には「あ~アレね」とスグにわかるほど印象に残っているはずの言葉だからこのように予言できるのですが、特に意味も持たないような言葉にそれほどのインパクトがあるのは凄いですよね。
ともあれ、魔法陣グルグルの分岐点的なエピソードであるアラハビカ編のはじまりです。
いつもの魔法陣グルグルとはちょっと違った雰囲気の物語にも注目ですよ!
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本作の概要
魔物と人間が一緒に暮らすアラハビカの町。
トマやキタキタおやじとも再会し、比較的平和な冒険を続けますが、謎の少女の登場でニケの隣を奪われたとククリは思ってしまいます。
魔物との戦闘でグルグルを描くククリは心ここにあらずで、グルグルの失敗を通り越して悪魔になってしまいました。
これは超展開かと思いきや、確かに今までにもその伏線はありましたね。
ニケたちは悪魔になったククリに振り回され続けます。
そんな中、カヤとレイドがアラハビカに現れ、彫像に見せかけた3つ目のネジを回します。そして・・
ついに、魔神の眠るパンフォスの遺跡が復活しました。
本作の見所
ニコピョン族とナナコナ
ニケも強くなりましたね。
水晶ババアとの戦いでしっかりと活躍しています。
そこで、お頭との盗賊修行を思い出しますが・・
ニケはいつも何かを思い出す時に余計なことも多い出しますね。(笑)
ニコピョン族戦いの踊り
ククリの名付けた部族名に、ニケの考えた踊り。
アッチ村の呪われた村人を超えた踊りもそうでしたが、ニケの踊りの才能はとてつもないですね。(笑)
そして、水晶ババアに認められたニケたちニコピョン族は、魔境の長の娘・ナナコナと出会うのですが・・
なかなか可愛らしいキャラクターですが、人間と結婚したいだとかキープだとか言っているからククリがちょっと不機嫌になってしまいました。
これも今後の影響の少なからず影響しているのでしょうね。
アラハビカの町と再会
魔物のカッコをしないと買い物もできないアラハビカの町。
それを知らないニケたちは幻を見せられてしまいますが、トマと再会したことでアラハビカの町の秘密を知ります。
コパールで手に入れることができなかったネコ耳ローブを手にしたククリが嬉しそうですね。
トマとの再会だけではありません。
「すごくいい踊り子がこの町にいるのだ!」
アラハビカの月次のおまつり。ナナコナがニケたちの期待を煽りますが・・
ここであの踊り子と再会します。
「さあ魔物も人間もごいっしょに!」
何だか良いことを言っているキタキタおやじ再びですね。
さすが、後に魔物とも間違えられたりするだけのことはあります。(笑)
パンフォスの遺跡の謎と3つのネジ
「そろそろオレたちのやるべきことを見つけないと!」
アラハビカの町で買い物し続けるククリに、珍しくまじめなことを言って注意するニケ。
雑貨屋の店主に「パンフォスの遺跡」のことを。
デリダからは「3つのネジ」のことを聞きます。
いよいよ、アラハビカの冒険が始まりますが、今までの魔法陣グルグルよりも謎めいている感じがして良いですね。
青とうがらし
雑貨屋の店主から遺跡の謎を解く重要なアイテムを貰うために、ニケとククリはホナスの泉から青とうがらしを取ってくるお使いクエストに取り掛かります。
途中現れた人獣グエンチャとの戦闘にも勝利し、青とうがらしを見つけ、荷車の運転手を助けるために魔法使いデリダに助けを乞います。
相変わらず魔法陣グルグルは変なおやじが毎度登場しますよね。(笑)
そして帰宅途中の荷車の中。
ニケとククリは青とうがらしを食べてしまいます。
ウニョラー。
トッピロキー。
あまりの辛さに理性を失ったニケとククリは凶暴な別人に変身してしまい、アラハビカの町で大暴れします。
トマの店も破壊して大惨事ですね。
トマとアダムスキーがニケたちを捕まえ、「ヒッポロ系ニャポーン」で2人の呪いを解いたことで事態は収拾しました。
ともあれ、雑貨の店主から1つ目のネジを貰ったニケたちの冒険は一応成功ということでしょうか?
ラブラブ大作戦とその結果
カヤのセンス。嫌いじゃないです。
グルグルは心の影響を受けやすいと考え、ククリの心を不安定にする作戦としてカヤが考えた作戦ですが、なるほどククリには有効そうですね。
しかし、「運命の女神」の登場でカヤの作戦とは違った形でククリの心は乱され、更にはカヤの思惑を超えた結果となりました。
「勇者様のとなりを取らないで!!」
失敗を通り越して悪魔になってしまったククリ。
予言の石板やイエタ村の歌は、この伏線になっていたのですね。
しかし、伏線はあったもののククリが悪魔になるなんて予想はしていませんでした。
昔読んだ時、良くも悪くも「こんな超展開になって大丈夫なの?」と不安になった覚えがあります。
まあ、20年以上も後にこんな記事を書いている時点で、僕にとっては大丈夫だったということなのですけどね。(笑)
キタキタおやじの活躍
キタキタおやじVS人獣グエンチャ。
魔法陣グルグルの戦闘シーンの中でも地味に好きなシーンです。(笑)
しつこく踊り続けている内に体が鍛えられて戦士レベルの戦闘力を身に付けているキタキタおやじ。
キタキタ踊りの力を妄信している節のあるキタキタおやじですが、まさか現実になるとは・・
あと、地味にニケが「オヤジ逃げろ~っ!!」とキタキタおやじを心配するセリフを発していて、一応ちゃんと仲間として認識しているんだなと思ってほっこりしてしまいました。
「いえ 私はなにもしておりません」
「キタキタ踊りの力です!」
しかし、全くブレないキタキタおやじは一層のこと尊敬にすら値しますね。(笑)
悪魔ククリの暴走
マンガの内容を変えてしまうほど大暴れするククリ。
悪魔ククリの不思議な力にニケとキタキタおやじは翻弄されつくします。
見かねたキタキタおやじが大人として、ニケに腹を括ってククリの気持ちを受け止めるように指図します。
一通り大暴れしたククリはニケを連れて飛び立ってしまいました。
「今まで二人が避けてきた問題が、ここでいっきに出たのだよ」
「「魔境」とはそういう所だ。ウソはつけん!」
「そうですな。今だからこそ解決すべきことなのでしょう」
デリダとキタキタおやじ。大人が子供たちを見守るようなことを言っていますが、この2人初対面です。
格好良い大人の顔を見せたと思ったらお互い「誰ですか?」って・・
こういうシュールなシーンが本当に好きです。
また、大人らしくニケとククリを見送ったキタキタおやじが、悪魔ククリの力とは言え速攻で話に合流してきて、更に速攻で置き去りにされるのも面白いですね。
アラハビカとパンフォスの遺跡
悪魔ククリに連れられて上空から見たアラハビカの町は、ミグミグ劇場の魔法陣の形になっていました。
アラハビカの町そのものがネジを巻いたオモチャで、町にあった彫像がネジそのものだったのです。
そして、先にそのことに気付いたカヤがネジを回し・・
ついにパンフォスの遺跡が姿を現しました。
町そのものが遺跡の上で演じられた劇だったというのは全く予想できませんでしたが、実に面白い展開ですよね?
今までの魔法陣グルグルにも無かった展開で、昔読んだ時もワクワクしたのを覚えています。
総括
いよいよ全く先の読めない展開になってきましたね。
悪魔になったククリとパンフォスの遺跡。
今までの魔法陣グルグルならパンフォスの遺跡を攻略してボスを倒してという展開が予想できましたが、悪魔になったククリの存在が今まで通りにはいかないことを示しています。
ちなみに昔読んでいた時、最も次巻を待ち遠しく感じていたのは間違いなく9巻と10巻の間だったのを覚えています。
それくらい先の気になる展開なのではないでしょうか?(次巻の書評はこちら)