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ヒカルの碁 鑑賞会 漫画編! 懐かしの漫画、書評シリーズ【その2】1巻

 

ヒカルの碁 鑑賞会。

棋士の藤澤一就先生とタレントの戸島花さんが毎回ゲスト棋士を迎え、3年かけてヒカルの碁のアニメ全話を棋譜解説付きで鑑賞していった公式番組ですね。

ただアニメを鑑賞するのではなく、アニメに登場した棋譜の解説、ゲスト棋士とアンケ機能を使っての対局、などなど魅力的なところの多い番組でしたが、アニメの鑑賞会という性質上いつかは終わってしまいます。

そういうわけで惜しまれつつも終わってしまった本番組ですが・・

それだけに、まさかの2週目の開始に喜んだ人も多いのではないでしょうか?

見たことが無い人も、本当に面白い番組なので興味があったら是非チェックしてみてください。

ch.nicovideo.jp

さて、勝手に鑑賞会の名前を借りている本記事は、そんな「ヒカルの碁 鑑賞会」をリスペクトして、ヒカルの碁の漫画版を1巻から順に書評していこうというものになります。

本家に倣って棋譜解説コーナーも付けたいと思うのですが、僕程度の棋力では当然藤澤先生のような素晴らしい解説は不可能なので、そこはLeelaZero先生に助けてもらうことにしました。

まあ、もちろん本家の鑑賞会には全く敵わないとは思うのですが・・

しかし、この記事には1つだけ本家には無い強みがあります。

それは、漫画版なのでアニメでは放送されていない北斗杯編まで追って行けるという点。

なのでそこまで行けるように頑張ります!

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本作の概要

第1巻ということで多くの出会いがあります。

ヒカルと佐為。

ヒカルとアキラ。

そして、ヒカルと囲碁の出会いですね。

囲碁が好きで、囲碁が打ちたくてしょうがない幽霊である佐為のために、渋々ながらも囲碁を始めるヒカルが、徐々に囲碁に惹かれていくに注目です。

本作の見所

ヒカルと佐為の出会い

何故かヒカルのじいちゃんの家にあった古い碁盤に宿った平安貴族風の幽霊。

囲碁好きの幽霊である藤原佐為は、神の一手を極めるために1000年の時を超えてヒカルの前に現れました。

しかし、ヒカルは最初囲碁に興味がなく、囲碁を打つつもりがありませんでした。

囲碁を打てない佐為の悲しみがヒカルの体調に影響を及ぼし、仕方なくヒカルは囲碁を打つようになります。

最初はいやいやだったのですね。

佐為と塔矢行洋の出会い

佐為は直接的にはヒカル以外の人間と出会うことはありません。

しかし、ヒカルを通して色々な人と出会っていくことになります。

塔矢行洋との出会いは佐為にとって、ヒカルとの出会いに次ぐ大きな出会いだったのではないでしょうか?

実は、主人公のライバルキャラである塔矢アキラより先に登場していた塔矢行洋ですが、今巻では顔見世程度の登場です。

現世にも凄い碁打ちがいると知った佐為はとても嬉しそうでした。

ヒカルとアキラの出会い

佐為に囲碁を打たせるためにやって来た碁会所に一人だけいた子供。

塔矢アキラとヒカルは出会います。

この時、佐為に打たせたがために後にヒカルはとんだストーカー被害に見舞われることになるのですが、ともあれ実は既にプロ並みの実力であるアキラに、ヒカル(佐為)は勝ってしまいます。

アキラは佐為の指導碁じみた打ち方に高い壁を感じ、しかしヒカルが「一度も対局したことが無い」ということを知り、ヒカルのことが気になって仕方がないようになってしまいます。

そりゃあ、アキラじゃなくても一度も対局したことが無いって人が、それこそ一桁級くらいの強さでもビックリするのに、まさかの本因坊秀策クラスの強さですからね。(笑)

後日、ヒカルを見つけたアキラは二度目の対局をするのですが、そこでも一刀両断にされてしまいます。

しかし、実はここでアキラを一刀両断するしかなかったほど追い詰められていた佐為は既にアキラのことを認めていたことでしょう。

ちなみに、ここでのエピソードは後に番外編として佐為視点で描かれています。

ヒカルと囲碁の出会い

子供囲碁大会で、子供たちの真剣さに触れ、佐為に挑むアキラの真剣さに触れ、ヒカルも少しずつ囲碁に惹かれていきます。

ちなみに、この真剣さに触れるエピソードは両方ヒカルの失言から始まっています。

真剣じゃないから失言するのかと思いきや、ヒカルは真剣になってからも失言しているのでこれは単にヒカルの性格なのでしょう。

そんな失言王なヒカルですが、塔矢行洋の打ち方を格好良いと感じたり、中学の創立祭で詰碁の問題を自分で解こうとしてみたり、明らかに囲碁に対して興味を持ち始めていますね。

本作の棋譜 教えてLeelaZero先生!

やっぱり最初の重要な対局ということで、ヒカル(佐為)とアキラの1局目を選びました。

元ネタは本因坊秀策(黒)と本因坊秀和(白)の対局で、本作ではヒカル(佐為)の黒番として描かれています。

結果は黒2目勝ちでした。

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まずは序盤。

小目の連打からコスミ。いわゆる秀策流ですね。

コミがある現代だと黒番の秀策のコスミは足が遅い。ハサミの方が足が早いみたいなことを佐為が言っていますが、LeelaZero先生はハサミは候補手に入れていません。

まあ、AIはあまりハサミを打たない印象があるので、この辺は棋風でしょうか?

また、コスミも最初候補手に入っていて勝率も他の手と変わらなかったのですが、探索の時間を延ばすと最終的に候補から外れてしまいました。

コスミに打つくらいならケイマするというのがLeelaZero先生の候補手です。

このケイマは最近増えてきたイメージのある手で僕も時々打ちます。

確かに、序盤に小目からコスむのは手厚い感じがする反面かなり足が遅そうで不安になりそうな打ち方である気がしますし、ケイマの方が少し働いている気がしますね。

この位置でコスむとしても中盤以降の状況次第といった感じでしょうか?

ちなみに、僕ならこの局面、右下のハサミと右上からのヒラキを兼ねたような手を右辺に打ちますが・・

この辺りはどこに打ってもLeelaZero先生の勝率が下がるようです。

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アキラが、最善でも最強でもない、はるかな高みから力量を計っていると言った手。

個人的には何とも中途半端な位置に見える手ですが・・

指導碁を受けたことが無いので指導碁的な手というのがどういう手なのかわからないのですが、こういう手が指導碁的なのでしょうか?

中央からボウシするか、上辺を守るか、白の判断が分かれそうな位置なので、相手の判断を見るという意味で指導碁的ということなのだろうと僕は捉えました。

ちなみに、この手もLeelaZero先生の候補手にはなく、もう一路踏み込むか、逆にもう一路控えるかの手が候補手として挙がっていて、実は僕も同じようなことを考えていました。

そういう意味でもこの黒の手は悩ましい位置にあったのだと思います。

本当かな・・

しかし、この局面はアキラがヒカル(佐為)の力量に驚く場面で、当然ヒカルの黒番が優勢であり、LeelaZero先生も黒の若干優勢を示しています。

僕としては、中央白模様が良い感じだし、右下の白が取られているとはいえ右辺黒をシボったりの役に立ちそうなので、白持ちな局面なのですが・・

まあ、LeelaZero先生や佐為の方が正しいのでしょう。

総括

いかがでしたでしょうか?

ヒカルの碁は何度読んでも面白い名作です。

「いや~でも囲碁ってよくわからないし」という人も、どうか敬遠しないでください。

囲碁が好きな人がこの作品を好きなのではなく、

この作品を好きな人が囲碁を好きになるのですから。

もちろん、最初から囲碁が好きで本作品を読む人もいるとは思いますが、これほどのヒット作の読者の大半が最初から囲碁を知っていたとはどうしても思えませんし。

実際、本作品の連載中には囲碁をやる人がかなり増えました。

僕も、最初はヒカルの碁の影響で囲碁を覚えた友人から教わることで囲碁を覚えました。

当時初心者の友人から教わったルールには、今とのなっては出鱈目な部分が多々あったということが明らかになっていますが(笑)、それでも本作品が無かったら僕に囲碁を教えてくれた友人は囲碁に興味を持たなかったかもしれませんし、僕も今囲碁をやっていなかったかもしれないと思うと、ある意味感謝してもしきれない作品だと思っています。

ヒカルの碁に、囲碁に出会えて良かった!

(次巻の書評はこちら