ヒカルの碁 鑑賞会 漫画編! 懐かしの漫画、書評シリーズ【その2】3巻
みんなが大好き(?)なダケさんが登場する巻です。(前巻の書評はこちら)
囲碁を打つ上でのマナーについて、実のところ普段ネット碁しか打たない僕はよくわかっていません。
例えば、黒番は右上隅から打つのがマナーだとか最近まで知りませんでした。
ですがこの程度のことは知らなければ勉強させてもらう程度の些細な問題です。
三谷やダケさんのやったことは知らなかったでは済まない許されないことです。だから、三谷やダケさんがいくら好きでも良い子はマネしちゃダメですよ!
人の良い筒井でさえ、最初はそういうことをする三谷のことを嫌っていましたしね。
こういうのって、例えバレなかったとしても虚しいだけです。
今巻にはズルする人や、強者に目隠し碁を強要する人など、暗い面を持つ碁打ち達が登場します。
強者を妬む気持ちやズルしてでも勝ちたい気持ちってのもわからなくもないですが、例えば佐為のように真っ直ぐに囲碁を好きでいたいものですね。
?
本作の概要
海王中囲碁部のギスギスが最高潮になります。
しかし、ヒカル(佐為)という目標がある塔矢アキラは部長の岸本に百害あって一利なしとまで言われても、ヒカル(佐為)と互角に戦えるのは自分だけだと、囲碁部に残る覚悟を示します。
一方ヒカルは、葉瀬中囲碁部で大会に出るための部員探し。
ズルはするけど実力のある三谷を何とか囲碁部に引き入れようと画策します。
そして、大会でアキラとヒカルは再会します。
本作の見所
塔矢の目隠し碁
プロ級のアキラの実力が素人にも感じ取りやすいシーンですね。
一方で碁打ちの暗い部分が現れたシーンでもあります。強い人を妬む気持ちはわからなくもないですが、恥をかかせるためだけに先輩の権限で目隠し碁を打たせるなんて、ひどいものです。
「コイツらのイジメを増長させたのもアンタ自身よ!」
しかし、日高先生の言うことにも一利あります。イジメられる側にも問題があるという考え方はあまり好きではないのですが、この場合は周りを顧みないわりに挑発には乗ってしまうアキラにも確かに問題がありましたね。
その辺は流石の塔矢アキラもやっぱり中学生という感じでしょうか?
「あんたは海王の生徒なんだから堂々と囲碁部にいなさいってこと!」
アキラさえいなければこんな問題は起きなかったという日高先輩ですが・・
いや、めっちゃいい先輩ですね。日高先輩の言葉を聞いた後のアキラの表情も少し晴れやかになっています。
それにしても、目隠し碁では下手くそ相手の方が難しいというのはナルホドと思いました。
塔矢の覚悟
「彼と互角に対峙できるのはボクしかいない!!」
アキラのことを海王中囲碁部にとって百害あって一利なしと言い切る岸本に、アキラが宣言したセリフです。
たぶん、アキラ自身がヒカル(佐為)には及ばないと気付いているのに、それでも「不遜でも自惚れでもない」と言い切れるの凄いです。
明らかに格上だと思っている相手に、自分なら互角に戦えると言っているわけですからね。どれだけの覚悟があったらこんなことを言えるのでしょうか?
個人的に作中でアキラが一番格好良いシーンだと思っています。
一方ではストーカー扱いされてしまっていますけど。(笑)
三谷のズルとダケさんのズル
整地のごまかし。対局中に石をずらす。
碁会所で小遣い欲しさに整地をごまかし賭け碁に勝利し続ける三谷をヒカルは見つけます。今すぐ止めさせようと佐為に促されて三谷を止めようとしますが・・
既にバレていた不正行為。碁会所の亭主に頼まれたダケさんが自らも不正を使い三谷を懲らしめ、賭けていた1万円を奪い取ります。
中学生にとって相当な金額であろう1万円を奪い取ったダケさんが悪役風ですが、三谷に非があるのでしょうがないですよね。
しかし、これは流石にやりすぎとダケさんとヒカル(佐為)が対局し、今度はダケさんを懲らしめ、三谷から賭けで奪い取った1万円を取り返します。
結果的に、ズルをした人間は両方とも後味の悪いことになってしまいましたね。
僕はネット対局しかしないのでこういう類の不正とは無縁ですが、最近ではソフト打ちのような問題もあります。
いずれにしても囲碁が好きであれば好きであるほど、このような不正は虚しいだけだと思うのですが、どうして不正をする人が出てきてしまうのでしょうか?
哀しいものです。
ともあれ、もうズルはしないと約束した三谷は囲碁部に入部することとなりました。
囲碁大会再び
ヒカルが三将と聞いて、自分も三将になりたがるアキラですが、名門囲碁部では特に実力順にすべきと考える尹先生は最初、アキラを大将に指名します。
しかし、そもそもヒカル(佐為)と対局するために囲碁部に入ったアキラは自分を三将にするように食い下がります。
「この大会一度きりでいい!!」
大会が終わったら囲碁部を去ると尹先生に訴え、とうとう三将になることができました。
塔矢アキラが中学の囲碁部の大会に出ているというだけでもビックリなのに、しかも三将になっている。ヒカルはもちろん他の中学の生徒も驚いています。
アキラにとっては念願の大会ですが、周りは迷惑そうですね。
さて、自分で打つ気満々のヒカルですが、アキラは果たして佐為と対局できるのでしょうか?
本作の棋譜 教えてLeelaZero先生!
3巻って目ぼしい棋譜が無いんですよね~
というわけで今回は岸本(黒)とアキラ(白)の対局。
元ネタは不明ですが、こういう元ネタ不明の対局の棋譜も「ヒカルの碁 碁ジャス☆キャラクターズガイド」には結構載っています。
(図1)
白が黒の星のカタをついて、黒が下がった場面。
白のカタツキも黒の受け方も非常に珍しいように感じました。
両方ともLeelaZero先生の候補手にも無かった手ですが、白の手がマズいと思っているのか、僅かに白が高かった勝率がここで五分になりました。
そして、黒の受けた手を持ってまた白に勝率が傾きます。
つまり、LeelaZero先生のこの応手に対する評価は低いということなのだと思いますが、確かにあまり良い感じはしません・・が、特に黒の意図がよくわからないので何とも言えませんね。
あえて言うなら右辺の二子と右下下辺との連携が切れるのを嫌ったのかなぁと予測しますが、だとすると消極的な感じがします。
どっちかのオシか、下辺方面へケイマあたりが思いつく場面ですが、それではダメだったのでしょうか?
一応それならLeelaZero先生の候補手とも一致します。
(図2)
右下の白、何をやっているのかがよくわかりません。
このツケもサバキを求めたものにしても僕程度の棋力では上手くいくビジョンが見えません・・と思っていたらLeelaZero先生も同意見。白の評価が一気に下がってしまっています。
また、この後の攻防も白黒ともに甘く見える手が多いような気がしました。
まあ、僕程度には計り知れない理由があるのかもしれませんが、LeelaZero先生の評価も微妙だし、よくわかりません。
ちなみに、この対局はアキラが岸本を圧倒するシーンのものですが、LeelaZero先生の評価値的には図2の局面以降ずっと黒良しになっています。
作中での描写と強いAIであるLeelaZero先生の評価が逆になっているのが面白いです。こういう対局が他にもあるのか興味があります。
(図3)
終局図ですね。
上辺の攻防で黒の大石が仕留められ、白の中押し勝ちとなりました。
右下では消極的に見える手を打っていた黒ですが、上辺では逆に白の勢力圏に踏み込みすぎたのが敗因だったのでしょうか?
LeelaZero先生の評価も上辺に突入するまではずっと黒が良かったので、上辺の攻防が勝敗に影響したのは間違いないでしょう。
総括
ついにアキラの念願が叶ってヒカルとの対局になりましたね。
しかし、果たしてヒカル(佐為)と対局できるのでしょうか?
(次巻の書評はこちら)