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ヒカルの碁 鑑賞会 漫画編! 懐かしの漫画、書評シリーズ【その2】4巻

 

ネット上に現れる無敵の棋士。saiの初登場!(前巻の書評はこちら

インターネットに潜む最強の棋士って格好良いですね。

そういえば2016年末から2017年始にかけてのアルファ碁Master無双の時、saiのことを思い出した人が多いのではないでしょうか?

僕も思い出しました。同時に、もし『ヒカルの碁』の連載前にアルファ碁Masterが登場していたら、『ヒカルの碁』は、特にsaiの在り方は現在のものと違った形になったのではなかろうかとも思いました。

アルファ碁Master無双事件の後にsaiを登場させたとしても、インパクトは相当下がってしまうでしょうからね。

それにしても、最強の囲碁AIに対して佐為ならどんな反応をするのだろうと・・想像が膨らみます。

それしか無かったとはいえ対戦相手の見えないネット碁にも馴染んでいたりと、現代的なものに対しての適応力も意外と高いので、ヒカルに囲碁AIを使わせるようにねだったりしたかもしれませんね。(笑)

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本作の概要

アキラの念願の対局が囲碁大会で果たされました。

アキラの部内でいじめられてまでヒカル(佐為)と対局したがっていることを知ったヒカルは、佐為に打つようにと指示します。

こういう所、意外と良い奴なヒカルですが、対局中に自分が打ちたくなって佐為の指示を無視した手を打ち始めてしまいます。

結果、アキラが大激怒する事態が発生してしまいますが、後のことを考えるとこれで良かったのかもしれませんね。

ともあれアキラはヒカルを追いかけていたことを回り道だったと後悔し、さっさとプロ試験を受けることになってしまいました。

一方、ヒカルは筒井さんと訪れた囲碁のイベントでネット碁の存在を知り、それで佐為に対局させてあげることができるのではないかと思いつきます。

ネットに潜む最強棋士saiの登場です!

本作の見所

アキラVSヒカル(佐為 ※途中まで)

「打ってみればわかる」

ヒカルの対局を見た尹先生がアキラに伝えたヒカルの様子ですが、尹先生もアキラを気遣って本当のことは言えないようですね。

まあ、3巻であれほどの覚悟を見せたアキラに、「見てきたけど、全然弱かったよ」とは言えませんよね。

そしてそのアキラの覚悟を、岸本と日高の会話をたまたま聞いてしまったことでヒカルも知ることになります。

「佐為・・おまえ打て」

自分で打ちたかったはずのヒカルが、アキラのために佐為に打たせることを選びました。

「おまえにどれくらい追いついてるんだろう?」

しかし、途中まで打ち進め佐為が長考している間に、ヒカルはふと思うことになります。

アキラと自分の差を試してみたい。

アキラの覚悟を知らなかったら試せていたことを、ことここに至って試してみたいとヒカルは思ってしまいました。

そして佐為の指示を無視して打ち始めてしまいます。

まあ、強い人と打ちたいというのは自然なことなので当然の流れですよね。

「ふ、ふざけるなっ!!」

しかし、アキラには作中でも最大の怒りをぶつけられることになってしまいました。

以前の対局で神の一手を垣間見たとさえ感じたヒカルのあんまりな打ちまわしに、いつもは冷静なアキラが感情をあらわにします。

結局ヒカルは敗北し、筒井や三谷も海王中メンバに勝つことはできずに葉瀬中の大会は終わってしまいました。

saiの登場

本作中でも、saiがネット碁で無双しているシーンが印象に残っている人が多いのではないでしょうか?

姿形のない幽霊である佐為が、インターネットの中にsaiとして確かに存在しているというのが何だか不思議ですね。

正体不明の打ち手に世界中の人が興味を持って注目しているのに、当の佐為は楽しげに対局を繰り返している。

今ほど気軽にインターネットに触れることのない時代背景にあってこのような物語を描けるとは・・

ほった先生、流石だと思います。

ヒカルの碁を読んでネット碁を知った人って意外と多いのではないでしょうか?

ちなみに、僕はヒカルの碁を読んでいたから人と対局したいと思い始めた時にすぐネット碁に思い至ることができました。

いや、今なら当然のように思いつく話だと思いますが、当時はそこまでネット碁も一般的ではなかったのですよ。

しかし、このsai登場による世界中の人々のソワソワが、十数年の時を経て現実になるとは思いませんでしたね。

アルファ碁Master。

ヒカルの碁でsaiに魅せられた人々と同じワクワクを体験させてもらいました。

saiとアキラの邂逅

囲碁のイベントで、和谷のsaiが本因坊秀策のような棋風で、子供かもしれないという推測を聞いてアキラは、ヒカルではないと否定しつつもヒカルのことを思い浮かべます。

saiがいるかもしれないとネットに接続するアキラに気付いたヒカルと佐為が、アキラに対局を申し込みます。

「もしかしたらわかるかもしれない」と佐為はアキラを一刀両断にした棋譜をなぞります。

アキラは何度も「まさか」と呟きます。

saiが、囲碁大会で幻滅したヒカルであるわけがないという思いと、もしかしたらヒカルかもしれないという思いがせめぎ合っているのでしょうね。

結局この対局はアキラが超序盤に投了したことで、後日再戦することとなりました。

本作の棋譜 教えてLeelaZero先生!

今回はアキラの念願。ヒカル(佐為)との対局の棋譜です。

元ネタは本因坊秀策(白)と村瀬弥吉(黒)の1860年の対局の棋譜となります。

またまた本因坊秀策の棋譜となりますが、佐為ではなくアキラの方が本因坊秀策の棋譜になっているのが面白いですね。

秀策のコスミをはじめとした本因坊秀策のような打ち方をするヒカル(佐為)に対抗するために、アキラが本因坊秀策の棋譜を勉強したことの現れでしょうか?

(図1)

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ちなみに、この対局は図1の場面から元ネタと分岐します。

佐為が指示した13-四(上辺白にツケる手)が元ネタルートで、ヒカルが打った11-八(中央に展開する手)が分岐ルートです。

どちらもLeelaZero先生の候補には無い手ですが、少なくともヒカルの選んだ手の方が黒の勝率は下がるようです。若干黒優勢のところから五分になってしまいました。

上辺の黒が不安定な形に見えるのでそこを強化したいヒカルの気持ちはわかりますが、確かに左上の白にも上辺の白にも響かない中途半端な位置にあるような気がします。

そういう意味では、佐為の打った手よりLeelaZero先生の候補手であるオシの方が上辺黒の強化という意味では良さそうな気がします。オシの2路上のノゾキが気持ち悪くはありますが・・

今回の棋譜は、ここから先元ネタから分離してしまうので手順がわからないのですが、佐為がオサエようとした場所を1間に飛び出されて、LeelaZero先生の候補手だった位置にもマガられ、そのまま上辺の黒を攻められながら大きな白地が作られてしまうような展開になっているように見えます。

好点を両方とも打たれてしまったということでしょうか?

ヒカルがアキラと対等に対峙できるようになるのは、まだまだ先になりそうですね。

総括

3巻の総括でも似たようなことを書いたと思いますが・・

果たしてアキラはヒカル(佐為)と対局することができるのでしょうか!?

さすがに約束したので打てるのでしょう。ヒカルも流石に今回は途中から自分で打ったりはしないと思われます。

saiが誰なのかはアキラにはわからないはずですが、それでもアキラの念願が叶う形となります。

5巻はsaiとアキラの対局に大注目ですよ!

(次巻の書評はこちら