あるいは 迷った 困った

漫画、ラノベ、映画、アニメ、囲碁など、好きなものを紹介する雑記ブログです。

ヒカルの碁 鑑賞会 漫画編! 懐かしの漫画、書評シリーズ【その2】6巻

 

ついにプロを目指しはじめる院生編が始まる6巻です。(前巻の書評はこちら

何とか院生試験に合格したものの思うような成績を残せないヒカルと、新初段シリーズでは敗北したものの更に前に進む意思を見せつけるアキラに注目です!

ヒカルが追いかけてアキラが突き放す。

そんなヒカルの碁の構図が出来上がってきました。

?

本作の概要

勝利しなければ院生試験に合格できない。

そう勘違いしているヒカルと佐為は既に置石分のリードが無くなった局面に焦りを覚えますが、実は力を見ることだけが目的だった試験。

ヒカルは何とか合格し、院生になることができました。

ヒカルの失言のせいで院生たちにはアキラのライバルなのかと誤解・警戒されたりもしましたが、なかなか思うような成績は残せません。

ヒカルにとってはずっと格上だと感じていた海王中囲碁部の岸本ですら院生ではずっと2組だったと知り、ヒカルは自分が本当に上に行けるのかと不安を覚えることになります。

そんな中、アキラの新初段シリーズがあることを知り、ヒカルはそれを観戦するのですが・・

アキラに触発されたヒカル。

不安が消えたのかはわかりませんが、前に進もうという決意は新たにできたということでしょうか?

本作の見所

院生試験

名門囲碁部である海王中学の副将並と評価されたヒカルや、強キャラとして描かれていた加賀や三谷のことを院生師範が「雑な打ち方」「たいしたことない」と評価するのを最初読んだ時はビックリした覚えがあります。

これがプロを目指すということなんですね。

置石を三つ置いて始まった試験ですが、すぐにハンデ分は追いつかれてしまいます。

「だから手にあせりがでる 無理がでる」

ヒカルを見守る佐為のモノローグですが、昔読んだ時は「いやいや囲碁なんていつだって同じように打てるものじゃないの?」とか思っていました。

しかし、ある程度囲碁を打てるようになった今ならわかりますが、こういう精神状態は明らかに打ち方に影響を受けますね。

まして、絶対に負けられないと思っている状況で格上に追いつかれたヒカルにまともな打ち方は難しかったのではないでしょうか?

ともあれ、結果的には力を見るだけで勝利する必要は無く、何とか院生試験には合格することができました。

アキラのライバル

「アイツはオレと戦いたくてムリヤリ三将になったんだよ」

本当にヒカルは失言王ですね。意外と、慎重な時は慎重な気もしますけど。

いきなり院生内で目立つことになってしまったヒカルの対局結果をみんな気にしていますが、院生初日の結果は2連敗。

「これで塔矢のライバル?」

和谷や伊角さんにもレベルが違いすぎるとダメだしされてしまいました。

わかっているだけにヒカルも悔しかったでしょうね。

岸本の実力

更なるヒカルを気落ちさせる出来事が発生します。

海王中学はアキラは別格だとしても他のメンバーも強いのだと力説するヒカルですが、ひょんなことから院生時代の岸本の話を耳にすることになります。

ずっと2組にいて、一度1組に上がってきたことがあるブラックコーヒーばかり飲んでいた院生。

岸本が、「全然強くなかった」と和谷や伊角さんの歯牙にもかけられていない実力だったと知り、ヒカルは本当に自分が院生の1組になれるのかと不安になってしまいました。

確かに、ずっと強者だと思っていた人でさえ通用しない世界に挑戦するのは怖いものですよね。

アキラの起爆剤

「碁は技術だけじゃない わずかしかない技術の差の間で精神面や気迫が大きく関係して勝敗は決まる」

佐為も院生試験時に同じようなことを言っていましたが、これも今なら実感できるセリフですね。緒方先生良い事言います。

そして、今のアキラにはその気迫が欠けていると指摘する緒方は、アキラにヒカルが院生になったことを教えます。

「ならボクは彼なんかには手のとどかないずっと遠い所まで行ってやります」

ヒカルの実力は見限ったはずのアキラですが、やっぱり最初の敗北があるからか気にはなっているのでしょうか?

そういえば作中通してでも、アキラがここまで熱くなっているのってヒカルに対してだけな気がしますね。

ともあれ緒方の目論見通り、ヒカルの存在はしっかりとアキラにとっての起爆剤になったようです。

アキラの新初段シリーズ

逆コミ5目半の新初段シリーズ。

かなりのハンデ戦ですが、アキラは新初段シリーズで座間王座と対局します。

この対局がヒカルの目にも留まると考えているアキラは、見せつけるように積極的に打ち続けます。

「オレにはわかる塔矢」

「おまえはオレに「ここまで来い」って言ってるんだろ?」

いや、近づけさせないとか言ってたけど・・

本当のところ、アキラは徐々にヒカルのことを気にしていくことにはなるのですが、この段階でヒカルのことをどう思っているのかって未だによくわからないんですよね。

sai騒動の後にはヒカルと接点が無いわけですしね。

ともあれ、ヒカルの存在が起爆剤になったアキラの対局が、今度はヒカルを発奮させることになりました。

こういうライバル関係って良いですね。

本作の棋譜 教えてLeelaZero先生!

今回は河野臨初段(黒)と森田道博八段(白)の新初段シリーズでの対局が元ネタとなる、アキラと座間王座の対局となります。

今回この記事を書くために調べるまで知りませんでしたが、河野臨先生の棋譜も使われていたのですね。

(図1)

f:id:Aruiha:20181016215536p:plain

毎回のことですが、僕が気になっている局面より作中でポイントとなっている局面があればそちらを優先して取り上げています。

右上のホウリ込みは記者の「強手!」のセリフで印象に残っていました。

ちなみに、作中ではアキラが押している形勢だと描かれていますが、LeelaZero先生はかなり白持ちのようですね。(勝率75%超)

しかし、僕の感覚的にも作中で描かれているように白がツライような気がします。

右上の白は後一手かけないと部分的に一眼しかできないし、だからと言って手をかけるのは効率が悪い。非常に悩ましい局面だと思います。

とはいえ黒の形も気持ち悪い。僕程度だと正直どっちも持ちたくない形勢という感じですね。

右上に一手いれるのはツライとは思うのですが、LeelaZero先生はおそらくそう考えていないから白優勢と見ているのでしょうね。

実際、候補手を見ても中央に頭を出すのが絶対無理になった状況を見極めて右上に手を入れています。

人間と違って欲張らない所は欲張らないのがAI流なのでしょうか?

(図2)

f:id:Aruiha:20181016221840p:plain

左下の黒のヨセの手を座間王座は「甘いな」と咎めて左辺の黒を攻めます。

アキラの手は、最有力ではないもののLeelaZero先生の候補手と一致していますが、確かに白は左辺を攻めれるなら必ずしも手を入れる必要は無さそうですね。

というか、個人的には左辺の黒がだいぶ不安なので左辺に手を入れる手を選んでしまいそうです。

かと言って、黒がヨセた位置に白からヨセられてもかなり大きいので悩ましい所なのでしょうか?

ちなみに、LeelaZero先生は下辺の白と右辺の白を分断しようという強烈な手を第一候補にしていました。

いやはや、終盤ですがあちこちに綾が残っており、どっちが優勢でも安全に打とうとしたらスグにひっくり返りそうな局面ですね。

総括

囲碁部を諦めてまでなった院生で思うような成績を残せないヒカルですが、アキラの対局に触発されたヒカルがどのように成長していくのか?

それが今後の見所ですね。(次巻の書評はこちら