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『ココを異世界とする!(1)』異世界に憧れるオタク少女の現実の物語の感想

 

何らかのアクシデントで異世界転移したり、死んだ後に異世界転生したり、何かと最近はやりの異世界転生ものの作品群。

そんな異世界に憧れる、ちょっと拗らせた女の子が描かれているのが本作ココを異世界とする!となります。

いわゆるオタクの世界を描く作品って、既に一つのジャンルとして確立されつつあるとは思うのですが、そういう意味でココを異世界とする!は一番現代の流行に乗ったオタクを描いた作品ということになるのでしょうか?

異世界に転生しない異世界もの(?)。

異世界ものの作品が好きな人は是非ご一読を!

ちなみに、異世界転生ものの作品がどんなものなのかがわからない人は、以下の記事を見てみてくださいね。

 

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本作の概要

人生何事も腹八分目がポリシーの、ちょっと人生を悟った笑わない男子高校生・八坂雄大は、異世界に召喚される勇者に憧れる女の子・城ケ崎言ノ葉が屋上から飛び降りようとしているとの勘違いから出会うことになります。

異世界に行けないなら、現実世界を異世界に作り替えちゃうと・・とか!?」

雄大の何気ない一言が言ノ葉に「現実世界」をファンタジーっぽく楽しむ「異世界創世部」の設立を思いつかせ、雄大は設立メンバーとして巻き込まれることになります。

本作の見所

村人A症候群

屋上から飛び降りようとしているかのように見える言ノ葉を助けようとした雄大

それは勘違いだったのだが、では言ノ葉は何をしていたのか?

「アッチの世界に行こうとしてたのよ」

どこまで本気なのか、自分は異世界召喚待ちの勇者なのだと言う言ノ葉。

「どこへ行こうが村人Aは村人Aなんじゃねーか?」

憧れを口にする言ノ葉に、どこへ行こうが主人公になれるのは主人公になれる奴だけなのだと言う雄大に、「村人A症候群」なのではないかと指摘します。

村人A症候群とは、リスクを回避することばかりを考えて楽しいことが起こる機会を逃してしまうことを指しているとのことですが、意外となるほどと思わされました。

異世界とは全く関係のないセリフですが良いことを言いますね。

後悔って意外とこういう所から生まれるのかもしれないと思いました。

メンバー集め3人目

言ノ葉と雄大の2人で始まった「異世界創世部」ですが、言ノ葉は更に仲間集めを試みます。

文芸部の部誌に異世界ものの小説を乗せていた作者アンメイツ。

「読者を一瞬で異世界へ誘うアンメイツは間違いなく優れた魔法使い」

「・・言い換えれば」

「主人公をひき殺して異世界へと誘うトラック運転手!!」

例えはヒドイですが、読んでいて本当に異世界に飛ばされた感覚になるような作品を書く魔法使いのようなアンメイツを仲間にしようと探しに行きます。

そして多目的室で出会った先輩の美少女・雛森夏目。

極度のアガリ症でタブレット端末で喋るような変わった女の子ですが、雛森さんの書く小説を読んだ言ノ葉は彼女がアンメイツだと気付きます。

夏目という名前もアンメイツのアナグラムですしね。

それにしても雛森さん、めっちゃ僕好みのキャラクターです。

ごちそうさまです!

イタい小説

異世界が好きとかイタくね?」

僕はもういい大人なのでわからないですが、やっぱり現代の中高生にもオタクに対するあたりの強さってあるのでしょうか?

いや、僕が中高生の頃はオタクも普通に馴染んでたような気もしますが・・

雛森さんの書いた小説を「イタい小説」だといって批判する人たち。

何であれ、例え本当にイタいものだったとしても、人が一生懸命に作り上げたものを馬鹿にする人って最低だと思います。

それに本当に良いものって、最初はイタいものだと捉えられがちだということを知らないのでしょうか?

確かに、いわゆる「俺TUEEE」「チート」に「ハーレム」などなど、最近はやりの異世界ものの作品にはある意味で幼稚な部分があるのを否定するつもりはありませんが、だからと言ってそれが好きな人を笑顔で否定するなんて・・

例え自分に理解ができないものに対してでも寛大でいられる人間でありたいものですね。

そういう意味では、言ノ葉はそこのところが良くわかっていそうですね。

異世界の魅力について語っているが、それを理解しない人を否定するつもりはなく、ただただ自分が好きなものを貫いているだけ。

「アタシはただ言いたかっただけ」

「どんなにバカにされても」

「アタシの"好き"は誰にも汚させないって」

「そんだけ!」

同じ異世界オタクでも言ノ葉と雛森さんはだいぶタイプが違いますね。

「私はずっと好きなものを書き続ける」

しかし、言ノ葉の言ったことは無意識に雛森さんも感じていたのでしょう。「イタい小説」を書くのを止めるように言ったクラスメイトに対して、タブレット越しではない、しっかりとした自分の言葉で宣言することができました。

総括

いかがでしたでしょうか?

最後はちょっと異世界ものの作品を理解しない人に対する愚痴っぽくなった部分もありますが(笑)・・

ともあれ、今巻は「異世界創世部」の設立を決めた所と、メンバー集めがメインだったので、本格的な活動はまだまだこれからといった感じですね。

序章の1か月後の話を見る限り、あと1人はメンバーがいる感じでしょうか?

今のところ、登場人物のキャラクターも定まりきっていない印象で、本作品がどのような方向に進んでいくのかは未知数なところがあるのは否めませんが、流行に乗った面白い切り口のテーマなので、続刊も期待したいと思います。

どんな活動をしていくことになるのか、今後が楽しみですね!

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