魔法陣グルグル。懐かしの漫画、書評シリーズ【その1】14巻
人気・爺ファンタジーの活躍する14巻です!(前巻の書評はこちら)
いよいよクライマックスが近付いてきましたね。
シリーズ屈指の変なおやじ率の高さを誇るのが特徴の巻ですが、ギリが復活したり、新天地・ピグナピナ大陸に上陸したり、ニケは勇者の拳と水の剣を手に入れたり、久々にジュジュとトマが冒険に絡んで来たり・・
非常に盛沢山な内容となっています。
そんな重要なエピソードの印象を上回るほどの存在感を誇る爺ファンタジー。メイン級のキャラクター以外では唯一新装版で表紙を飾ることになった程の人気キャラクターですが、本記事を書くにあたって改めて読み返してもやっぱり面白いジジイ達でした。
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本作の概要
レフ島で止まった時間から脱出したニケとククリ。ちょっと不思議な冒険は終わり、物語は本筋に戻ってきます。
そもそもニケたちの目的は魔王ギリを倒すことでしたが、ついにその魔王ギリが復活し、魔物達の活動も活発化してきました。
魔王ギリが復活したことで物語は加速します。
ニケは勇者のあかしである勇者の拳を手に入れ、3つ目のキラキラである水の剣も手に入れました。
パンフォス以来、久々の大型ダンジョンであるジタリの遺跡編にも注目ですね!
本作の見所
ギリの復活
「ギリってダレ?」
ニケは旅の目的を忘れつつあるようですが、ついに魔王ギリが復活したそうです。
13巻でレフ島に向かいニケたちの前に現れたデマが復活の最後の儀式を行ったそうです。レイドとかカヤとか、昔からいるキャラにやらせてやれよと思わなくもないですが、彼らは失敗しすぎたのでしょうね。
しかし、既に復活しているというのにニケには復活を食い止める方法に心当たりがあるようです。
そう、『ほしの飾り』ですね。ミウチャの家に伝わる失敗を一度だけやり直せるアイテムです。
レフ島での失敗をやり直しているので、『ほしの飾り』を持っているミウチャの父は『ほしの飾り』をニケに託したことも忘れています。
ニケはそれとなく『ほしの飾り』が隠されたミウチャの父がヅラを外すように仕向けるのですが・・
「やっぱ人間正直なのが一番ですよね!」
「かくしごとやごまかしはよくないねえ」
しかし、真顔ではぐらかされてしまいました。
ミウチャの父のこの自分のことを棚に上げた発言、かなり好きかもしれません。
「あいたくなったら、ヅラをそっとめくるの・・」
そしてククリは今までの冒険の一部も無かったことにするのは避けたいと思っているらしく、『ほしの飾り』を手に入れようとするニケを止めます。
しかし、うっとりしながら詩的な表現で結構エグイことを言っているのがとても面白いです。何か、ククリってニケとは別次元の方向のボケを、ボケるつもりもなく発揮する所がありますよね?
ギリの復活パーティと爺ファンタジー
バトーハの塔で登場したヴィヴィアン。ドラゴンに乗って格好良く登場しますが、調子に乗ってヨンヨンに飛び移りながら「ギリの復活パーティ」という重要なキーワードを自慢げに語り、挙句にドラゴンに置いて行かれるという一瞬の内に色々とやらかしてしまった愛すべきキャラクターですね。
というわけで、魔物だらけのギリの復活パーティに潜入することになったニケたち。魔物の群衆の中、そのまま突入してOKなキタキタおやじが相変わらずです。
そして、ここでそんなキタキタおやじもかくやと言う変なおやじ達が登場します。
爺ファンタジー。
『月刊Gファンタジー』をオマージュしたパーティですね。パーティというより、個人的にはユニットだと思っていますけど。(笑)
「あまりに強すぎて無敗のまま60年、運命に導かれすぎた四人の男たち」
導かれすぎたとはうまい!
衛藤ヒロユキ先生のセンスが遺憾なく発揮されていますね。
かっこいいやつら
爺ファンタジーはジタリの遺跡への案内役的な役割で登場したキャラクターだと思われますが、運命に導かれすぎただけあってかなりの戦闘力を持っています。
空中で入れ代わり立ち代わり『かっこいいポーズ』を決める技。『かっこいいやつら』でククリの失敗したグルグルで倒しそこねた魔物を撃退してしまいます。
そして、ジタリの遺跡のカギをニケたちに託す爺ファンタジー。
爺ファンタジーはジタリの遺跡には行かないらしく、ここでいったんお別れです。
「おじいさんたちは遺跡に行かないの?」
ククリは疑問に思いますが、どうやら爺ファンタジーの面々は「死神」を恐れているらしいですね。
「オレたちにはつねに死の匂いがつきまとうのさ」
格好良いセリフですが、要は年だからというわけですね。(笑)
いやはや、連載当時は色物っぽいキャラクターであまり好きになれなかった感じなのですが、何度も読み返すうちにジワジワと面白いと思うようになってきたキャラクターだったりします。
人気の理由もうなずけますね。
元祖変なおやじも負けていません
誰のことかわかりますよね?
もちろんキタキタおやじです。
今巻には爺ファンタジーやら水の王にと変なおやじが多いから張り合って・・というわけでもないのでしょうけど、キタキタおやじもいつもより目立っているような気がします。
いつの間にか登場して、いつの間にかいなくなるのはいつものことですが、よくよく考えると今巻では爺ファンタジーの出番中は退場して、いなくなったら再登場するということになっています。
ギリの復活パーティに置き去りにされたキタキタおやじが、爺ファンタジーの出番中はニケたちの元に向かって走っているシーンだけが描かれているのが面白いですね。
そして、その途中で何故か変質していき・・
「ひとは、誰かになれる」
キタキタおやじが何になったのかはわかりませんが、爺ファンタジー退場直後によくわからないことを叫びながら再登場しました。
「不快だった」
ニケのドライな感想が面白いですね。
何となく、キタキタおやじが面白いのって周りの反応のせいもあると思います。
オズミの泉
偶然スビナ族の信仰する勇者像と一致したキタキタおやじが勇者だと勘違いされ、勇者が水浴するオズミの泉につれていかれます。
スビナ族は泉の主を呼び出し・・
当然キタキタおやじは勇者ではないので、泉の主にビンタされ怒ったスビナ族にニセ勇者扱いされてしまいました。
いやはや、強運な所もありますがキタキタおやじは基本的に不幸体質ですね。(笑)
その後、ニケやククリもオズミの泉で水浴びすることになるのですが、ククリがスビナ族から借りた服がこれまた可愛い。
個人的にはエルエル砂漠できていた砂漠ルックな感じのククリが一番好きなのですが、露出度高めのククリも珍しくて良いと思います。
この露出度は、恐らく2巻のダメージメケメケのローブ以来ではないでしょうか?
「露出度アップでうれしいぞカワイイゾ」
ギップルに心の声を吐露されたニケですが、気持ちはわかります。
ちなみに、それを聞いたククリは最初は恥ずかしがって着替えようとするのですが、どうやら気候的に暑いらしく、しばらくはスビナ族の服のままでいるようですね。
アラハビカのジュジュとトマ
そして久々のジュジュとトマの登場です。
アラハビカで別れたジュジュとトマの再登場も嬉しい所ですが、少ないながらもアラハビカの描写があったのが嬉しい。
退屈でトマに『気になる言葉』を送り続けるジュジュが可愛いですね。
鳥を意識した帽子を被っているファッションも好きです。
そんな時、ピグナピナ大陸から来た商人の荷物の中にあった不思議な箱。
それは魔族・ドンカマーで、ジュジュを連れて飛んで行ってしまいます。
何故か嬉しそうなのがこれまた可愛い。
鳥のようなドンカマーに乗っていけるのが嬉しいのか、退屈を紛らす冒険の予感に嬉しそうにしているのか、あるいはその両方なのか・・
いずれにしても連れ去られたジュジュを助けるため、トマとアダムスキーも旅立ちます。
トマの活躍
今巻は魔技師としてのトマが珍しく活躍しています。
ピグナピナ大陸にやってきた時の乗り物もそうですが、ジタリの遺跡では新・魔導メガネでジタリの遺跡の歴史を紐解いたり、怖がりながらも様々な道具でタテジワネズミを撃退したり・・
トマ最強説が浮上していました。(笑)
ジタリの遺跡と囚われのジュジュ
そして今巻のジュジュはとにかく楽しそうです。
ドンカマーにジタリの遺跡まで連れ去られたジュジュは、敵を煽ったりして怒らせながら、囚われのお姫様役を満喫しています。
「パンフォスの遺跡ではみんなでククリちゃんを助けたけど、今回はみんながわたしを助けに来るのね♡」
当初はクールでミステリアスな雰囲気のあったジュジュですが、意外と俗っぽく女の子らしい憧れも持っているのですね。
それをキタキタおやじがジタリの遺跡の外を飛んで現れ、あっさり助け出されそうになるのを無かったことにするシーンはめっちゃ好きです。
魔物達から要求されている宝箱の封印を解くどころか、挑発し続けるジュジュでしたが何故か魔物に捕まったキタキタおやじを人質にされてしまいます。
ジュジュの思っていた盛り上がりとは違うようで不満そうですが、最後のキタキタ踊りと称して見せつけられたキタキタおやじの踊りが嫌で、魔物の要求を飲むことにしたようです。
キタキタおやじはジュジュの想像する物語をとことん邪魔するようですね。(笑)
「そうそうこれを待ってたのよ!」
「おそかったじゃないニケ君・・」
そして、ついにニケ・・ではなくトマの作ったニケの人形が登場します。
格好を付けたのに思い通りになっていないジュジュも可愛いと思います。
勇者の拳と水の剣
そして、ジタリの遺跡では勇者だけ使える魔法のアイテム・勇者の拳を手に入れます。
世の中に「おかしい」と言える勇気、つまりツッコミを力に変えるようなアイテムでニケにぴったりですね。
勇者担当の天使リリックにより、ニケのことが全て記録されることになるのですが・・
せっかちなリリックのせいで、名前は「ああああ」になり、勇者の拳の名前は「恥ずかしの拳」になってしまいました。(笑)
この天使、最終巻でもやらかしますが魔法陣グルグルらしいキャラクターですよね。
そして、勇者の証である勇者の拳を手に入れたニケは一旦オズミの泉に引き返し、水の王から水の剣を得ます。
ついに三本目のキラキラですね。
そして水の王も爺ファンタジーの陰に隠れてあまり目立ちませんが、変なおやじ枠のキャラクターですね。
髭にアフロ、大阪のおばちゃんのような柄物の水着。
火の王、地の王、そして水の王と自然界の王は変なおやじしかいないのでしょうか?
次巻には風の王も登場します。
どんな奴なのかは次巻をお楽しみに!
総括
いかがでしたでしょうか?
いよいよ、魔法陣グルグルにも終わりが見えてきましたね。
名残惜しいようですがあと2冊。
今巻でジュジュやトマが合流してきて喜んでいましたが、実はクライマックスに向けてメイン級のキャラが集まりだしているということだったのですね。
こういうクライマックスに向けての盛り上がりは、どんどん先に読み進めたくなる半面、一抹の寂しさが拭えないのも事実です。
しかし、この書評レビューは今までのペースで最後までやっていきますよ!(次巻の書評はこちら)