あるいは 迷った 困った

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天使とアクト!! ロミオとジュリエットな最終巻の感想。

 

ついに終わってしまった・・・

絵良し。ストーリー良し。キャラクター良し。

三拍子揃った名作だったと思うのですが、ついに最終回。

終わらせ方も、余計なものを付け足さずに綺麗に完成されたものでした。

ファンとしては、たとえ終わらせる時期を逸してしまったとしても、もう少しこの作品に触れていたかったというのが正直な思いです。

とはいえ、最初から計算されていたかのような最終章は満足なものでした。

 

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本作の概要

お互いにお互いが好きであることに気付き、付き合うことになった凰生為人と春坂なり。

しかし、2人の関係が公に知られたことでスキャンダルとなり、なりを守るためにアクトが声優を引退。

そこから最終巻は始まります。

あと1冊という状況でこの波乱。

これで綺麗に纏まっているところが凄いです。

ここでは、最初から最後までロミオとジュリエットな最終巻の見所を紹介します!

本作の見所

引退して声優という仕事が好きだったことに気付くアクト

他人の感情の機微に鈍感、というよりあまり気にしない性格のアクトですが、自分の感情に対しては本当に鈍感な性格なのかもしれません。

「俺は・・声優って仕事が、大好きだったんだ」

野心は見せていても、アクトが声優という仕事が好きだという描写は、恐らく初めてだったのではないでしょうか?

読者的には、あそこまで真剣になれるものが嫌いなわけがないとわかっていた点だとは思いますが、アクトは声優を辞めて初めてそのことの気付きます。

失って気付くというのは、誰にでもままあることではありますが、実のところ本当に気付ける人は少ない気がします。

気付くと傷つくから気付きたくないという防衛本能が働く感じですね。

そういう意味でアクトは、素直じゃないようでいて意外と素直な性格だったのかもしれませんね。

今巻のアクトは今までと違って何かと素直なように感じます。

アクトと父親

アクトの父親。

厳格な父親のイメージですが、厳格ではあっても息子想いで何というか好感が持てるオジサンでしたね。

アクトが主演を務めたシュガーガールの声を着信ボイスにし、部下が総集編の放送があることを報告しなかったことに怒ったり・・

最初は声優になることを認めていなかったが、シュガーガールの収録現場を撮影した番組に映る「見たことのないくらい楽しそうなアクト」「自分の道を自分で見つけたアクト」を見て誇らしかったとのこと。

しかし、大事なもののためとはいえ、そんな声優を辞めてしまったことにアクトの父親は檄を飛ばします。

「凰生家の人間なら、何も捨てるな!」

「大切なものは、全部守り抜け!!」

ああ、まじかっけ~ですよ。このオジサン。

そしてアクトにも「戻りたい」という思いが芽生えます。

やっぱり今巻のアクトは素直ですね~

しかし、戻ったところで誰が今のアクトを使うのかと、アクトは葛藤します。

ロミオとジュリエット

突然のオファー

スタジオ・ユニバースの大作アニメ映画「ロミオとジュリエット」のロミオ役。

スキャンダルのこととは関係なしに、役にマッチした声優ということで直接アクトのオファーが来ます。

しかも、ジュリエット役は春坂なり。

そもそも、なりのロミオと、アクトのジュリエットで始まった本作品。

アクトにとっては運命的な配役ですね。

しかし、ここでなりと共演なんてしたら、また彼女を傷つけてしまう。

アクトは弱気になりますが、なりは檄を飛ばします。

それでも、あまりにも大きな役で、失敗した時のリスクも大きいと悩みますが・・

「大切なものは、全部守り抜け!!」

らしくもなく弱気になり、失敗した時のリスクのことばかり考えてしまっていたアクトだが、そこで父親の言葉を思い出します。

アクトはロミオ役を引き受けることになりました。

一番の思い出の場所

大役を引き受けたものの引退してブランクのあるアクトは必至で練習します。

ここで協力してくれる声優仲間が大勢いるなんて、アクトには意外と人望があったようですね。

アクトは声優という仕事に対して真剣なので、そういう所に惹きつけられたということなのだと思っています。

そして収録前夜、アクトとなりは最初にロミオとジュリエットを演じた体育館の上に立ちます。

始まりと終わりのシンクロ。

こういうの良いですね~

収録。なりの隣に立つアクト

突き刺さる周囲の視線を感じながらもアクトは、なりと自然な掛け合いを演じます。

「じゃあ、見合うだけの男になってやる」

ロミオのセリフがアクトとシンクロします。

「ああロミオ・・どうしてあなたはロミオなの・・?」

超有名なジュリエットのセリフですね。

アクトが政治家の息子だから、アクトとなりの交際の印象がより悪くなったという事実とともに、このセリフもなりとシンクロします。

「このロミオは・・こいつにしかできない・・」

共演者の俳優のセリフですが、アクトとなりにとって「ロミオとジュリエット」は実力云々以前の色々な意味で、ハマり役だったのかもしれませんね。

アクトとなりのスキャンダルをネタに紛れ込んできたマスコミさえも、その演技で黙らせます。

アクトの演技は、周りの共演者にも良い影響を与え・・

そして収録は終わります。

原作の「ロミオとジュリエット」とは異なるハッピーエンド。

しかしこのハッピーエンドが、アクトとなりとシンクロするかは観る人の反応次第です。

波乱の完成披露試写会

キャスト発表の場で、ジュリエット役の春坂なりに対してロミオ役が凰生為人だと知った観客は大ブーイングです。

そのまま帰ろうとする観客、ペットボトルを投げつける観客もいる中、アクトはスキャンダルのことを謝り、なりのことを思う気持ちは変わらないこと、アクトのことを嫌ってもロミオという男のことはしっかりと観てほしいことを懇願します。

しぶしぶという風で最後まで観た観客は、最後に大きな拍手をします。

アクトとなりの演技は、しっかりと観る人に伝わったということでしょう。

映画は大成功しました。

ロミオとジュリエット」のハッピーエンドが見事にシンクロしましたね。

総括

ロミオとジュリエットで始まった物語がロミオとジュリエットで終わる。

こういう原点回帰の構成って、どうしたって感慨深いものがあります。

願わくば、ロミオとジュリエットの収録に向けたシーンや、収録、完成披露試写会後の世間の反応。

この辺りをもう少し掘り下げて欲しかったような気もしますが・・

物語が明らかにクライマックスに向かっていたので、スッキリと畳みかけて終わらせた方が良いという判断だったのでしょうか?

もっと長く本作品に触れていたかった。

しかし、間違いなく本作品は名作で、終わりも素晴らしかった。

何とも複雑な気持ちですが、作者のひらかわあや先生の次回作には是非期待したいです!