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『天気の子』100%の晴れ女が世界を救わない物語(ネタバレ含む感想)

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映画『天気の子』より

 

新海誠監督の最新作天気の子がいよいよ公開されたのでさっそく観てきました!

前作の君の名は。がちょっと普通ではないレベルのヒット作になったこともあって、かなり期待のハードルが上げられていた作品だと思いますが、これだけはハッキリ言っておきます。

『天気の子』が間違いなく新海誠監督の最高傑作だと!

まだ公開されたばかりなので最終的な評価がどのような形になるのかは定かではありませんが、個人的には少なくとも君の名は。の時よりも面白いと感じました。

最低でもあと2回は観に行こうって思うくらい。

君の名は。が比較的キャッチーで古典的なテーマの作品だったのに対して、天気の子にはもっと真新しい何かがあったように感じられたのがその最大の理由です。

だから目が肥えた人ほど天気の子の方が観ていて新鮮に感じられるのではないかと思います。

しかし、一方でかなり賛否の分かれそうな結末が待っています。

それは事前情報でも言われていたことですね。

二者択一のどちらを選んでも完璧なハッピーエンドになるわけではない。どちらを選ぶべきなのかは人によって考え方が違いそうなところで、しかしご都合主義で両方を選ぶような展開にもならない。

それが賛否の分かれるところなのだと思います。

さて、本記事ではそんな天気の子の見所を紹介していきたいと思います。

ネタバレが過分に含まれているので、まだ観ていなくてネタバレを嫌う人はご注意ください。

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『天気の子』の見所

家出少年の森嶋帆高

主人公の森嶋帆高は、どこかの島から家出した東京にやって来た16歳の少年となります。

どこの島から来たのか、そもそも何で「絶対に帰りたくない」という思いを抱えて家出してきたのか、この辺は作中でも一切語られていません。

恐らくですが、これはあまりにも普通のことなのであえて説明されなかったのではないかと思います。

さすがに、帆高ほどバイタリティーのある家出をする少年は珍しいと思いますが、何かちょっとしたことで親や自分の置かれた環境に対して反抗的になるのは、帆高くらいの年頃ならある程度は誰にでも経験のある普通のことだと思います。

つまり、家出の理由はかなりしょうもなかった可能性は無きにしも非ず。(笑)

しかし、それがあえて説明されなかったことによって、帆高は普通のどこにでもいる等身大の男子高校生という雰囲気で描かれつつも、どこか影のある主人公らしさもあったのだと思います。

陽菜や夏美などの女性キャラクターのことを思春期の少年らしくちょっとエロい感じの目で見てしまったり、それに気付かれた時の初心な反応が印象的でした。

君の名は。立花瀧と比較すると、どちかといえば格好良さよりも可愛らしさが際立つタイプの少年なのではないかと思います。

個人的には、陽菜の弟の小学生である天野凪と帆高の関係が地味にツボでした。

最初は姉に近づく帆高を毛嫌いしている様子だったのに男同士徐々に打ち解け、小学生であるにもかかわらず女心の機微に詳しい凪のことを年上であるはずの帆高が『先輩』と呼び出すのは面白かったです。

そういえば、帆高はもうすぐ18歳だと年齢を偽っていた陽菜(実は中学生)に対しても年上に対する振る舞いを見せていたり、前述したとおり小学生の凪のことを『先輩』と呼んでみたり、実は一番年上なのに誰よりも弟感が強かったのが興味深いですね。

100%の晴れ女の天野陽菜

天気の子の舞台は東京で、東京に住んでいる人ならば見覚えのある景色が随所に見受けられましたね。

馴染みの深い人が日本で一番多い舞台といえますが、しかし現実の東京都は少し様子が違っています。

それは、異常なほど『雨』が降り続いているということ。

天気の子における東京では、なかなか晴れない異常気象がずっと続いているのです。

そして、そんな異常気象の中で役立つとある能力を持っている少女がヒロインの天野陽菜となります。

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陽菜

ねえ、今から晴れるよ 

それは、祈りを捧げることで局地的に天気を晴れにする不思議な力。

予告で何度も繰り返し聞いた陽菜のセリフですが、本編を観て作品に入り込んでいる状態で聞くと、シンプルだけど力のあるセリフだなぁって思います。

1年前に病気の母親の完治を願って廃ビルの屋上の鳥居で陽菜はお祈りをしました。

その結果、陽菜は天気を晴れにする能力を手に入れたわけです。

しかし、母親は結局亡くなってしまい、どうやら片親だったらしい陽菜は弟と二人暮らし。

中学生なのに生活費のために、年齢を偽って水商売にまで手を出そうとしていました。

ちなみに、陽菜は帆高にもずっと「もうすぐ18歳」だと年齢を偽っていましたが、この時点で実はもっと若い可能性を示唆する伏線が貼られていました。

陽菜と帆高の最初の出会いは、ハンバーガーショップで店員をしていた陽菜が、飢えて水ばかり飲んでいる帆高に内緒でハンバーガーを差し出した時。

そして、陽菜がバイトを首になって、その上で水商売にまで手を出そうとしていることを知って、帆高は「自分のせいなのでは?」と不安になるのですが・・

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陽菜

別に、君のせいじゃないけど・・

ここで陽菜は若干気まずそうな表情を見せます。

最初は同世代の帆高に水商売に手を出そうとしているところを見られたことに対する気まずさなのではないかと思っていたのですが、陽菜が年齢を偽っていたことが分かった後に考えてみれば、恐らく陽菜がバイトを首になった原因は単に年齢を偽っていたことがバレたからだったのではないかと思います。

つまり、帆高は全く関係なくて、だからこそ気まずそうにしていたのかもしれませんね。

ちなみに、勘違いだったとはいえ自分を助けようとした帆高を最初は罵倒していたのになんで一瞬で掌を返したんだと疑問に感じた人は少なくないと思います。

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陽菜

信じられない! 気持ち悪い! 最悪!

わりとサバサバとした性格っぽい陽菜にしては強烈な罵倒ですが、これは単に混乱していただけなのではないかと思います。

弟と二人暮らしという特殊な生活の事情が無ければ間違っても水商売に手を出したりしなさそうな女子中学生が、同世代と思われる少年にそんなところを目撃されただけでも混乱しそうなものなのに、拳銃の発砲なんて非日常な場面に遭遇したら、そりゃあ愚痴を誰かにぶつけたくもなりますよね。

そして、仮にも自分を助けようとしてくれた人間を罵倒してしまったことに多少の後ろめたさを感じたのかもしれません。

だからこそ不自然なほど掌を返したような反応になったのではないかと思います。

ともあれ、そうして知り合った帆高と陽菜ですが、帆高の提案で陽菜は晴れ女のお仕事をすることになります。

言葉にすると水商売以上になんとも怪しいお仕事ですが、雨が降り続ける東京において陽菜の天気を晴れにする能力は『100%の晴れ女』と呼ばれ意外にも話題となり、陽菜も自分の能力で喜ぶ人を見て満更でもない様子です。

しかし、実は陽菜が天気を晴れにすることには、とある犠牲が必要でした。

天気の巫女の犠牲の上に成り立つ快晴

天気の巫女とは、人の切なる願いを空に届ける人間のことで、つまりは天気を晴れにする願いを空に届ける陽菜も天気の巫女ということになります。

そして、『天気の巫女には悲しい運命がある』というのは、夏美がとある神社の神主から取材で聞いた話で、そのことは陽菜にも伝えられたようです。

天気を晴れにする仕事をしている時の陽菜は、そのことに全く気付いていませんでしたが、徐々に薄くなっていく自分の体にどこかの時点では気付いていたようですね。

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陽菜

ねえ、帆高はさ、この雨が止んでほしいって思う?

東京の異常気象は徐々にエスカレートしてきて、尋常ではないほどの豪雨、夏なのに雪が降ったり、誰もがうんざりしていたに違いありません。

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帆高

・・うん

だから帆高も深く考えずに陽菜の問い掛けに肯定してしまいます。

天気の巫女が人柱となることで異常気象は元に戻る。

実は陽菜が快晴を祈ることは、自ら人柱への道を歩んでいることに他ならない行動でした。

賛否の分かれる結末

『異常気象の終わり』と『陽菜の無事』。

天気の子の結末では、この二つが天秤にかけられることになります。

そして、帆高の雨が止んでほしいという肯定を聞いたからか、東京は久しぶりの快晴となり、代わりに陽菜がいなくなってしまいました。

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帆高

俺はただ、もう一度あの人に会いたいんだ!

これもまた何度も予告で聞いた帆高のセリフですが、天気の子の終盤は警察から逃げながら陽菜を探して走り回る帆高が描かれることになります。

そしてその終着点は、物語の初めにあった廃ビルの屋上にある鳥居。そして、気付けば帆高は空の上にいて、そこで陽菜と再会することになります。

帆高は陽菜に一緒に帰ろうと問いかけますが・・

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陽菜

でも、私が戻ったら、また天気が・・

陽菜は自分が戻ることで再び異常気象が発生することを気にしています。

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帆高

もう二度と晴れなくたっていい! 青空よりも、俺は陽菜がいい! 天気なんて、狂ったままでいいんだ!

これが主人公である帆高の最終的な選択。

『異常気象の終わり』と『陽菜の無事』を天秤にかけ、後者を選択したわけですね。

そして、その結果として雨は三年間も止むことはなく今でも降り続けているようで、水没して水の街になった東京が描かれています。

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陽菜

あの夏の日、あの空の上で私たちは、世界の形を、決定的に、変えてしまったんだ

これもまた予告で繰り返し聞いた陽菜のセリフですが、要するにこれはクライマックスのシーン。空の上での選択と、その結果水没してしまった東京のことを言っていたんですね。

そして、これが賛否の分かれる結末ということだったのだと思います。

君の名は。のような作品が好きな人には好まれやすそうな方が選択されていますが、一方で「たった一人の犠牲で天候が正常になるのであれば・・」と考える人も少なくないと思います。

作中の登場人物でいえば、須賀圭介は後ろめたそうにしつつもそのようなことを言っていましたね。

誰だって自分が大事で、人柱となる当事者から遠ければ遠い人間であるほど、通常は「たった一人の犠牲」に思考が寄っていくものです。

僕の場合は、こういう賛否の分かれる結末そのものが興味深い、そして面白いと思ってしまうタイプなので、正直なところどっちの結末だったとしてもあまり評価は変わらなかったと思います。

とはいえ、帆高のキャラクター性からして陽菜を犠牲にする選択をするのは不自然な気がするので、こちらの方が結果的には良かったのではないかとは思っています。

君の名は。』とのクロスオーバー

前作君の名は。でも前々作言の葉の庭とのクロスオーバーがありましたが、天気の子ではわりとガッツリと君の名は。とクロスオーバーしています。

立花瀧

まずは、陽菜の天気を晴れにするお仕事の最後の依頼人の立花富美が、君の名は。の主人公の立花瀧の祖母でした。

そして、そんな立花富美の住む家に恐らく帰省中と思われる立花瀧がいました。

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今日、迎え盆をやるんだろ? 手伝おうと思ってさ。それにしてもずいぶん若いお客さんだね。君たち、ばあちゃんの友だち?

少し成長している姿の立花瀧は、クロスオーバーのキャラクターにしては登場時間も長くてセリフも多く、探すまでもなく君の名は。を観た人ならスグに立花瀧の登場に気付けると思います。

宮水三葉

帆高が陽菜の誕生日プレゼントの指輪を購入したショップの店員が宮水三葉でした。

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帆高

あの・・こういうのって、もらって嬉しいと思いますか・・?

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三葉

君、ここで三時間も迷ってたもの。私だったら凄く嬉しいと思う。きっと大丈夫、喜んでくれますよ!

ガッツリと瀧が登場した後だったので、もしかしたら三葉もどこかに登場するのではないかという目で観ていたので、意味深な感じで顔が隠れていたショップ店員が「もしかしたら三葉なのでは?」と思ったら案の定でした。

瀧は成長している感じがするもののあまり変わらない感じだったのに対して、三葉はかなり大人の女性って感じの雰囲気になっていましたね。

その他キャラクター

その他にも君の名は。のメインキャラクターは勢ぞろいで登場しています。

とはいえ、瀧と三葉はかなり分かりやすく登場していたのに対してかなり気付きづらい登場の仕方だったので、エンドロールを観て初めて気付いた人も多かったのではないかと思います。

僕は宮水四葉は見つけられましたが、勅使河原克彦名取早耶香には気付けませんでした。

どうやら勅使河原克彦名取早耶香はフリマのシーンに登場していたようですね。

分かりやすく瀧が登場した後だったら「もしかしたら」という目で気付けたかもしれませんが、フリマのシーンの時点ではクロスオーバーとかを意識して観れていなかったので仕方ないですね。

2回目観るときには探してみたいと思います。

宮水四葉については、これもクロスオーバーの可能性を意識して観ていなかったら気付かなかったと思いますが、終盤で瀧や三葉も登場した後だったので気付くことができました。

ちなみに、君の名は。とは関係ありませんが、公開前から話題になっていたソフトバンクのお父さんには気付けませんでした。

観た後に答えを知りましたが、気付けた人は凄いと思います。(笑)

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