『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(9)』トナカイはちょっと美味しそうかも(ネタバレ含む感想)
飯テロにならないグルメ漫画である『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』の9巻目。
9巻には目立って「コレは凄い」と思わされるほどの雑食は登場しませんが・・というかそう感じてしまうこと自体が麻痺しているのかもしれませんが、この一冊の目玉というのはいなかった印象です。
しかし、その分9巻では登場する雑食の数が多い。
雑食プレゼンバトルのエピソードでは、人によって興味をそそられる雑食に違いがありそうで面白そうですよね。
また、季節イベントも雑食が絡むだけでなかなか恐ろしい感じになっていて面白いです。
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本作の概要
見た目は普通の食材ですがただ普通よりデカかったり、お馴染みの昆虫食にはついに昆虫の王者が登場し、増えてきた雑食仲間たちがプレゼンするちょっぴり毒のある雑食の数々。
相変わらず新たな世界へと読者を誘おうとする圧が凄いものの、全く誘われる気にはならず、しかし興味だけは惹かれる面白い漫画です。
本作の見所
巨大シジミ
お酒を飲んだ翌朝のアルコールの残った体に染みるシジミ汁ですが、桐谷さんが今回取り出してきたのはシジミという馴染みの深い食材。
しかし、桐谷さんが意気揚々と取り出してくるシジミが普通のシジミであるわけがありません。
シジミといえば島根県の宍道湖のシジミが有名ですが、桐谷さんのテンションを上げるシジミは沖縄のマングローブ産の巨大シジミでした。
貝殻の部分を合わせた大きさとはいえ通常のシジミの200倍近い重さがあり、まさに圧巻なシジミです。通常よりオーバーサイズな同名の食材は無くはないですが、それにしたって大きいですよね。(笑)
それにしても、大きな野菜とかならまだ何とか生理的に受け付けそうな気もするものの、グロテスクなところもあるけど小さいからそこまで気にならないシジミが巨大化してしまったら・・
正直食指は動かないですね。(笑)
とはいえ、榊先生の反応からはシジミ感は無いもののホタテっぽくて美味しいらしいです。まあ、貝殻の大きさに比して身は驚くほどの大きさというわけでもありませんでしたし、本作品に登場する雑食の中ではおとなし目の食材だったのではないかと思います。
スイカと言えば・・
小学生。昆虫採集。カブトムシ。そしてスイカ。
いきなり何を言っているのかといえば、何故かカブトムシを捕まえた時にその餌としてスイカが定番ですよねということなのですけど、桐谷さんはこれをカブトムシに付け合わされたスイカという料理と捉えてしまっています。
本作品では何度も昆虫食が登場していますが、馴染みのない昆虫であればまだ「あ~そういう食材もあるのか」と思えるものの、カブトムシのような馴染みのある昆虫だと拒否感が倍増しになりますよね。
カブトムシの場合はちょっとゴキブリっぽいのもキツイですし、そもそも甲羅っぽい羽根の部分の食材感の無さが強い。桐谷さん曰くエビの尻尾みたいらしいですが、その例えを聞いてもやっぱり美味しそうには聞こえませんね。
桐谷さんはエビの尻尾っぽい味にテンションが上がっていますが。(笑)
雑食プレゼンバトル
たくさんのちょっぴり毒のある食材が登場します。
タピオカドリンクかと思えば神経毒を持つカエルの卵ドリンクだったり、普通に美味しい野草の天ぷらかと思えばあえて毒草が混ぜられていたり、おどろおどろしい雰囲気のコウモリには感染症や狂犬病のリスクがあったり、何だか怖いですよね。
僕はタピオカドリンクは好きですけど、飲めなくなるからやめろって思いました。(笑)
まあ、普通に食べている食材の中にも冷静に考えたら、最初に食べようと思った人すげ~なって思えるようなものもありますし、生まれた環境によっては胃が受け付けないような食材もあったりするものですから、こういった雑食もいざ食べてみたら美味しかったりするのかとも思ってしまいます。
まあ、僕にはその度胸が足りませんが。(笑)
侵略!! 外来種鍋
料理の中には一種のコンセプトがあるようなものもありますよね。季節を感じられるような料理なんかはその代表格ですし、親子丼のように文字通り親子の食材を使った料理もコンセプト料理であると言えるでしょう。鶏卵と鶏肉で親子ってね。
そして、雑食大好き桐谷さんの作るコンセプト料理は一味違います。
アライグマに雑草、ムラサキイガイにブラックバス。名前だけ聞くとどういうコンセプトなのか分かりづらいですが、どれも外来種という共通点があるそうですね。そして、それらをぶち込んだ外来種鍋というのが桐谷さんたちの作った鍋料理のコンセプト。
昆虫鍋とかにならなかっただけまだ食べられそうな気もしますが、発想が一味違っていて面白いです。(笑)
クリスマスと言えば・・
クリスマスと言えばサンタクロース。
サンタクロースと言えばソリを引くトナカイ。
そして桐谷さんが今回料理するのはトナカイです。ジビエ系の食材は雑食と言っても普通に美味しそうというか、食べて見たくなるものが多いような気がしますが、トナカイもまた普通に食べてみたいとは思います。
しかし、そういう食材では主に調理過程をおどろおどろしい感じにするのが本作品の特徴ですよね。トナカイもまたサンタクロースの相棒としての可愛らしいイメージを一気に壊しにかかっていて、それがまた『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』らしくて良かったです。
お正月と言えば・・
外来種鍋もコンセプト料理でしたが、このエピソードで登場する花札おせちもそんな感じですよね。
花札のこいこいで勝利したらおせちを食べられるというルールのゲームが開始されるのですが、勝利した時の手札にあやかった料理を食べられるということで、手札によってはかなり雑食感のある料理になるのが面白いです。
花札のことはほぼ知らない僕でも知っている有名な猪鹿蝶という役なんて前2つのジビエは良いですけど最後のインパクトが大きすぎますよね。同じ昆虫食でも、蝶々の羽根の食材感の無さはずば抜けている気がします。
総括
いかがでしたでしょうか?
飯テロにはならないグルメ漫画。古今東西の雑食をとことん楽しむ『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』も次でいよいよ巻数が二桁に突入します。
食欲をそそられて「飯テロじゃん!」って文句の一つでも言ってしまいたくなるようなところがグルメ漫画の魅力の一つであることは間違いありませんが、その要素を自ら捨てているような作品であるにもかかわらずここまで続いているのが驚きですね。
まあ、食欲がそそられないかわりに、それ以上の好奇心がそそられる作品になっているからこそなのではないかと思います。
次巻予告を見てもピラニア茶漬けなるこれまた好奇心をそそられる食材が出てきそうですし、まだまだ楽しませてくれそうな漫画です。
『昭和オトメ御伽話(5)』痛くて甘い御伽話の最終巻の感想(ネタバレ注意)
大人っぽくなった常世が表紙の『昭和オトメ御伽話』の最終巻ですが、痛い時間がかなりのスピードで経過していきます。
1巻で要約された「これは俺と彼女が死ぬまでの痛くて甘い御伽話」という捉えようによってはバッドエンドを彷彿とさせるようなフレーズに、毎巻ドキドキしながら読み進めていて、4巻目のラストではかなりの不安を煽られました。
そんな不安が最終巻でも長く続いて、まさに痛い物語なのですけど、ただ痛いだけではない結末が素敵な漫画でした。
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本作の概要
パーラーの開店準備をしていた常世を襲ったのは結核で、そこから仁太郎たちの協力の元に常世の闘病生活が始まります。
あまりにも長くてツラい闘病生活に自死を選んでしまいそうになるほど苦悩する常世でしたが、本当にツラさはそれを乗り越えた後で、徴兵された仁太郎が戻ってこない常世にとって病気以上にツラい生活が始まります。
あの時一緒に死んでおけば良かったと思ってしまうほどツラくて長い時間の末に訪れる結末に注目です。
本作の見所
結核の常世
前巻のレビューで常世はいったいどんな病気なんだと予想したりしていましたが、なるほど結核といえば盲点でした。いや、当時であれば盲点どころか不安な時に真っ先に脳裏を過ってもおかしくないような病気なのかもしれません。
ともかく、歴史上の有名人の死因としても度々上がるような結核に常世は罹ってしまったということです。
当時の結核に対する感覚というか、認識レベルは正直なところよく分からないのですが、イメージ的には若くして癌になったようなものと同じくらいのものでしょうか?
だとしたら自身が結核だと知った常世も、それを知った仁太郎も、パーラーの開店準備で幸せだったところから突き落とされたような気持ちだったのではないかと思います。
朝になっても目を覚まさないかもしれない恐怖
最終巻の序盤の中心は常世の闘病生活で、なかなかに痛々しい時間が続きます。
結核は不治の病ではない。最初は前向きに闘病生活が開始されるのですが、それが長引くほどに常世の精神は徐々に不安に侵されていくようになります。
自らが棺に入って焼かれるところを仁太郎が止める・・という夢で朝目が覚める。それで目が覚めるなら良いけど、もしかしたらもう目を覚ますことは無いかもしれないという恐怖は、病気そのもの以上に常世を蝕んでいっているように感じられました。
そしてついには自ら命を絶ってしまいかねないような精神状態になってしまうのですが、常世が死ぬなら自分も後を追うと言う仁太郎の意思が強いことを知ってとても混乱してしまいます。
しかし、そこから先の仁太郎がファインプレーで、一緒に死ぬというマインドから一緒に生きるというマインドに常世を誘導していきます。
「俺もほんまはな、今やりたいのは一緒に死ぬことやない。一緒に生きることや」
自死を選んでしまいかねない様子の常世の精神状態は、将来への期待を意図的に見ないようなものになっていたのではないかと思います。そんな常世に、これからやりたいことを次々と聞いていくのはある意味で残酷な行為なのかもしれませんが、しかしそれが常世に仁太郎と一緒に生きたいと思わせることに繋がりました。
仁太郎の徴兵とからたち姫の痛くて甘い御伽話の結末
前巻のレビューにて、常世が倒れるまでの幸せな展開がこれから始まる暗い展開の前振りのように感じられると言及しましたがまさにその通りの展開になっています。
しかし、仁太郎の徴兵からの展開は予想外でした・・というか、時代背景から考えてそれを予想していなかったのはあまりにも想像力が足りていませんでしたね。(笑)
仁太郎が徴兵され、そして予定された時期になっても戻ってこない。そして仁太郎の帰りを心待ちにした常世の元に戻ってきたのは仁太郎の訃報でした。
僕には病気と闘いながらも長期間安否の分からない恋人の帰りを待ち続けた挙句、その訃報を告げられた女性の気持ちなんて想像することもできませんが、常世が再び自死を選んでしまうほどの苦痛を伴うことには想像に難くありません。
実際、仁太郎によって昇汞水が砂糖水にすり替えられていなかったら常世の命はありませんし、結論から言えば常世は生き延びているので実感はしづらいものの、常世は確かに自殺を実行しています。
最後の結末を考えたら仁太郎はまたもやファインプレーすぎますよね。
もし仮にここで常世が死んでいたら、その時点での常世は痛みから解放されたのかもしれませんが、結論から言えば仁太郎はその後更に時間が経過してから生きて戻ってくるわけで、その時に仁太郎を襲う痛みはそれこそ想像を絶しますし、本当なら二人にあったはずのそこからの幸せすら無くなってしまっていたわけですからね。
そういうわけで本作品のラストはハッピーエンド、長くて痛い時間が続きましたが、最後にはこれから仁太郎と常世の二人が死ぬまで寄り添って生きていく物語が始まるのだと思います。
「これは俺と彼女が死ぬまでの痛くて甘い御伽話」とは、不穏な響きこそあったものの痛い痛い時間の後にある幸せのことを意味していたわけですね。
昭和オトメナインも終わりです
「こうして全世界にたくさんの野球狂を創り出し、一年後無差別級世界一決定戦で戦わせるの」
・・なんて、まるで打ち切り漫画のような超展開だけどオマケ漫画なら許されますよね。(笑)
本作品のファンであっても10人が10人ともこの表紙裏のオマケ漫画を読んでいるわけではないと思いますが、そんな表紙裏のオマケ漫画にまでちょっとしたストーリーがあったのが面白かったです。
総括
いかがでしたでしょうか?
最初は同作者の前作である『大正処女御伽話』と同じ世界観の物語というところから興味を持って、前作のキャラクターの登場に一喜一憂したりしていたものですが、結論から言うと前作がどうとか関係なく本当の面白い漫画だったと思います。
僕は基本的に不幸なこととか痛々しいは物語よりはハッピーな物語の方が好きな人間です。感情移入しやすいタイプなので、だったらハッピーに感情移入できる方が当然嬉しいのが当然という話ですね。
『昭和オトメ御伽話』は正直なところ不幸な部分や痛々しいところの多い物語なので、そういう意味では僕好みの作品ではないのかもしれません。しかし、そういった痛々しい部分を乗り越えていこうとする作品でもあるので、その先にある幸せもチラチラと垣間見えるところがあって、それが本作品の魅力であり、痛々しくても楽しんで読み進められた理由なのではないかと思います。
大正、昭和ときたので次は平成、そして令和・・といくのかどうかは分かりませんけど、もしそんな作品が描かれるのであれば是非読んでみたいと思うくらいには『大正処女御伽話』『昭和オトメ御伽話』の二作品は良かったと思います。
『焼きたて!!ジャパン~超現実~(1)』懐かしいノリが健在のスピンオフの感想(ネタバレ注意)
『焼きたて!!ジャパン~超現実~』が書店に並んでいるのを見かけた時、一瞬かつて週刊少年サンデーで連載されていた『焼きたて!!ジャパン』が表紙を変えて再版されているのかと思いましたが、どうやらLINE漫画上で連載されている完全なスピンオフ作品のようです。
あまりスピンオフ展開向けの作品ではないような気もしますが、「なるほどそうきたか」と思わされるような世界観でスピンオフ作品にしてしまっているのが面白い作品だと感じました。
ちなみに、作画は元祖『焼きたて!!ジャパン』と同じく橋口たかし先生なので、当時読んでいた人は読んでいて懐かしい気持ちになるのではないかと思います。絵柄だけではなく、独特のノリが当時を思い出させてくれます。
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本作の概要
日本独自のパンである通称『ジャぱん』を作ることを目指す『焼きたて!!ジャパン』という漫画・アニメ作品が連載・放送されていた現実が舞台で、『焼きたて!!ジャパン』に憧れてパン職人になった少年が、フィクションのように華やかではない現実のパン職人にウンザリしているところから始まるスピンオフ作品となります。
主人公の弘見大作と小作(シャーロット)と同じく『焼きたて!!ジャパン』に影響されてパン職人になったコスプレおじさんとか、原作のキャラクターである河内恭介・・らしきキャラクターが登場するところも面白いです。
本作の見所
そもそも『焼きたて!!ジャパン』とは?
『焼きたて!!ジャパン』とは、2002年から2007年の間に週刊少年サンデーで連載されていたパンに特化した料理漫画で、テレビアニメ化されるほどの人気作でもありました。
日本の食卓にあまりにも浸透しているのにフランスパンやドイツパンは存在しても日本パンは存在しない。そんな日本のパンである通称『ジャぱん』を目指してパン職人になる少年が主人公の物語となります。
料理漫画といえば、食べた時のリアクション芸が一種のお約束のようになっていますが、なるほど絵とセリフのみで味を表現するというのはこういう所に行きつくのだろうと思わされますが、数ある料理漫画の中でも『焼きたて!!ジャパン』のリアクションはあまりにも個性的なもので、本作品の象徴でもあります。
そのリアクションのぶっ飛び具合は是非原作を読んで確かめて欲しい。なぜなら、あまりにもぶっ飛びすぎているが故に僕程度の筆力ではそのぶっ飛び具合を伝えきれないから。(笑)
時には1話から数話かけてリアクションのみが繰り広げられたり、リアクションの後遺症がいつまでも残っていたり、何より最終話の最後の最後をぶっ飛びまくりのリアクションで締めているあたりが本作品がリアクション漫画であることを象徴しています。
太陽の手とリアクション芸
さて、そんな『焼きたて!!ジャパン』が連載されていたりアニメ放送されていたという現実の世界・・という設定の世界が『焼きたて!!ジャパン~超現実~』の舞台となります。
漫画の世界に憧れて何かを目指すようなことは現実世界のあるあるだと思いますが、まさにそんな現実通り『焼きたて!!ジャパン』に憧れてリアクション芸人・・じゃなくてパン職人になったものの、華やかだったフィクションの世界とかけ離れた現実にウンザリしている何だか世知辛い現実から物語は始まります。
そんな舞台設定からどう面白くしていくのかと気になっていたら、主人公の大作と妹の小作の父親が初登場時から子供たちの作ったパンのリアクションで日本の大物ヒロミ・ゴウになっていたり等、本家に負けず劣らずのぶっ飛びリアクションで懐かしい気持ちにさせてくれます。
本家の『焼きたて!!ジャパン』でも序盤は料理漫画としての色の方が強く、まあ料理漫画なので当たり前ですが、いずれにしても最初からリアクションがぶっ飛んでいたわけではなく徐々にぶっ飛んできたところがあります。しかし、『焼きたて!!ジャパン~超現実~』では本家の良いところを継承しようという動きがあるからか最初からリアクションがぶっ飛んでいる。
いきなり大作と小作が融合して一人の人間になったりSFチックなリアクションまで登場したり、版権的に怪しいリアクションの存在が仄めかされたり、わりとやりたい放題です。(笑)
そして、本家の要素はリアクション芸だけではなく主人公の妹が太陽の手の持ち主だったり、主人公の大作は熱湯で手を温める力技の持ち主だったり、本家の主人公である東和馬と同じ能力が登場するのも懐かしいですよね。
原作っぽいキャラクター
スピンオフ作品に本家のキャラクターが登場することは珍しくありません。とはいえ主人公クラスは稀で、なるほどこの立ち位置のキャラクターをメインで登場させるのかと思わされることがしばしばです。
しかし、『焼きたて!!ジャパン~超現実~』の場合は本家が作品として登場する世界観という都合上、本家のキャラクターが登場することはあり得ません・・が、原作っぽいキャラクターは登場します。
師匠ポジのキャラクターである松代健。本記事を書くにあたって少し調べたら、いつの間にか年下になっていて驚いたキャラクターなのですけど(笑)、そのポリシーに憧れたパン職人がまさに松代健って感じのコスプレ姿で登場します。
なるほどと思わされる原作リスペクトですが、本家が作品として登場する世界観であるにも関わらず登場したのが恐らく本家のキャラクター本人と思われる河内恭介です。
「なんやて!」という当たり障りのないセリフが特徴的な本家の準主人公で、度重なるリアクションで心身ともに変貌を遂げていき、最終話ではダルシム化して最後を締めたほどのキャラクターです。はい、本家を知らない人には何を言っているのかサッパリですよね。(笑)
ともかく、そういう世界観の設定を飛び越えて登場してきそうなキャラクターの筆頭ではあるのですけど、いきなりのそういうキャラクターの登場が『焼きたて!!ジャパン』ぽくて面白かったです。
総括
いかがでしたでしょうか?
料理とリアクションといえば、近年では『食戟のソーマ』を思い出すところです。洋服が弾けるリアクションが進化していくのが独特でしたが、ことリアクションのぶっ飛び具合でいえば『焼きたて!!ジャパン』に軍配が上がると思います。
そんな『焼きたて!!ジャパン』のリアクションは『焼きたて!!ジャパン~超現実~』でも健在で、相変わらずぶっ飛んでるなぁ~というのが率直な感想です。
そんな懐かしくも新しい漫画。存在すら認知していなかったのですけど個人的にはとても続きが楽しみです。
『幽遊白書(9)』短めだけど濃密な名作の感想(ネタバレ注意)
憂鬱そうな仙水忍の表情が印象的な『幽遊白書』の文庫版9巻目。戸愚呂弟と並んで『幽遊白書』のラスボス二大巨頭って感じですが、どちらもどこか哀し気だったり儚げだったりする部分があるのに共通点がありますよね。
これは他の著作も含めて冨樫義博先生の特徴である気もしますが、王道バトル少年漫画の作品のラスボスとしては珍しいような気もします。まあ、そういう部分に個性があるのが魅力なのですが。
魔界の扉編に冨樫義博先生の次回作である『HUNTER×HUNTER』を彷彿とさせるところがあるというのは8巻のレビューでも触れましたが、いよいよそういう雰囲気が強くなってきました。
仙水忍自身も能力的には王道的な感じですけど、性格的には『HUNTER×HUNTER』っぽさがあるのが興味深いところ。
最後の仙水忍は別として、強いから勝利するという単純な構造になっていないのが魔界の扉編の真骨頂ですよね。
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本作の概要
力では劣っていてやり方次第で浦飯幽助たちを貶めることのできる人間は存在するということを幻海のエッジの聞いた諭し方で認識することとなった浦飯幽助たちですが、不思議な能力を持つ人間に次々と翻弄されていきます。
また、相手が妖怪ではなく人間であるが故にトドメを躊躇ってしまうなど、今までにない葛藤があるのも興味深いところ。
そして、そんな不思議な能力を持つ人間を配下に魔界の穴をこじ開けようとする黒幕である仙水忍もついに登場します。
本作の見所
首謀者が似合う幻海
さて、前巻で浦飯幽助を誘拐した上で桑原、蔵馬、飛影を呼び出した三人の学生。その首謀者が明らかになるのですが、まさかの幻海がそこで登場します。
蔵馬は途中から薄々気付いていたと言っていましたが、読者的には割と驚き予想外の展開でした。まあ、説明されてみれば三人の学生は能力を見せつけるだけで相手を害するような様子はありませんでしたし、「試す」という表現がピッタリの戦い方をしていたように感じられます。
そして、そういうことをしそうなキャラクターの筆頭が幻海なのは間違いありませんし、それに効果もありそうですね。
指定した言葉を口にしたら魂を抜かれる。
相手の影を踏んで動きを止める。
触れた相手の姿だけではなく性格や記憶までコピーする。
そういった能力は確かに使いようによっては力だけが強い者にも有効なものに思えます。
何というか、力が全てだと謳っていた暗黒武術会編の戸愚呂弟とは対極に位置するような能力ですが、そういうキャラクターが登場してきたことで暗黒武術会編とは違った面白さが出てきた感じがしますよね。
しかし、登場してきたキャラクターはそういうトリッキーな奴らですが、魔界の扉編の背景にあるのは戸愚呂弟以上の力であるとも言えます。
魔界の扉を開けようとしている奴らがいて、もし魔界の扉が開かれたらB級妖怪である戸愚呂弟以上の力を持つA級、S級の妖怪が脅威として控えているのです。
そんな両極端な脅威が混在しているところに魔界の扉編の面白さがあるような気がします。
はじめての殺人
不穏な表題を付けてみましたが、浦飯幽助が今まで戦ってきたのは基本的に妖怪であり、人間ではありませんでした。喧嘩はしていましたし、幻海の後継者選考会や暗黒武術会編におけるDr.イチガキTとの試合では人間と戦っていますが、少なくとも幻海の後継者選考会は殺し合いという感じではありませんでしたね。
そういう意味ではDr.イチガキTとの試合のみが唯一の例外だったような気がします。いや、正確には幻海のおかげで相手を殺すにまでは至りませんでしたが、初めて人間を殺さなければいけないかもしれない事態への葛藤が描かれていたエピソードだと思います。
そして、魔界の扉編では敵対勢力が人間であり、しかも厄介な能力を持っていたりするので相手を殺さざるを得ない状況に陥るような場面も出てきます。
9巻に登場するドクターの能力を持つ神谷実も浦飯幽助にとっては非常に厄介な相手でで、実力的には勝利するだけなら難しくなさそうなもののトドメを刺さざるを得ない状況に陥ります。
しかし、結果的に幻海がトドメを刺された後の神谷実を蘇生したため浦飯幽助は殺人者になることはありませんでしたが、浦飯幽助の手を汚させないようにしたのがDr.イチガキTとの試合の時と同じ幻海であるところが良いですね。
次元刀
浦飯幽助、蔵馬、飛影の3人に比べると、最重要のメインキャラ4人の中では実力的に見劣りする感が否めない桑原ですが、魔界の扉編においてはかなり重要なキーパーソンにもなっています。
元より霊気の剣という特徴的な技を使っていますが、どうやら桑原には次元そのものを切るような能力が潜在していたらしく、魔界の扉にある結界を切れる能力者として仙水陣営から狙われることになるわけですね。
仙水忍の仲間である御手洗清志に襲われた際にその能力が開花し、それでピンチを逃れたものの同時に狙われるようにもなったのは皮肉な気もしますが、いずれにしても浦飯幽助に遅らせながら桑原も本領を発揮するようになりました。
黒の章と仙水忍
戸愚呂弟はミステリアスな部分がありつつも最初からいわゆるパワーファイターらしい雰囲気はありましたが、仙水忍の場合は浦飯幽助もそう感じているように魔球を使ってきそうな掴みどころの無さがあります。そして、そういう所が仙水忍というキャラクターの特性であり魅力でもありますよね。
コエンマからもたらされた情報により仙水忍が浦飯幽助の先輩にあたる霊界探偵であることが判明しますが、もともと人間を守る立場でありながら何故現在は人間に仇名す立場にいるのか?
その理由がまた興味深いところです。正義感が強すぎるが故に融通が利かない性格で、だからこそその正義感を揺るがす出来事、守ろうとしていたはずの人間のあまりにも醜い部分に触れてしまったが故に考え方を大きく変えてしまったわけですね。
人間には醜い部分があると知ったが故に黒の章という人間の最も残酷な部分のみを保存したビデオテープに興味を示したのではないかと思われ、現在の配下たちにはその黒の章を通して自分と同じ価値観の変化を疑似体験させたのだと考えられます。
御手洗清志なんてまさに強い正義感のある人間らしく、黒の章を見たことで価値観が代えられた典型であることがわかりますよね。
もしこのようなビデオテープ、ビデオテープというところに時代を感じますが、それはともかく存在したとしたら興味はありつつも怖さの方が先立ちそうです。蔵馬の説明にちょっとビビっている浦飯幽助の姿が少し珍しくて面白かったです。(笑)
総括
いかがでしたでしょうか?
浦飯幽助の先輩にあたる元霊界探偵である仙水忍がどのようなキャラクターなのかが少しずつ分かってきますが、まだまだ分からない所が多いですし最後の最後までミステリアスを損なわない魅力的なキャラクターですよね。
そして、次巻はいよいよ核心へと迫っていくことになります。
一番の支え!魅力的な母親キャラが登場する漫画・ラノベ・アニメ作品10選
何でなんだろうと考えてみれば、やっぱりフィクション作品で描かれるのは未来に向けての話であって、そこに親子関係が描かれているのであれば子供の側がメインになるのは当たり前といえば当たり前の話なのかもしれません。
そういう意味では父親という属性のキャラクターも同じような扱いに感じられます。
しかし、良い意味でも悪い意味でも子供にとって親の影響力ほど大きいものはありません。 だからだと思いますが、物語の主人公の両親について主人公自身にスポットを当てるためにあえて触れない(ほとんど触れない)ようにしている作品も少なくありません。もちろん、そういう作品で主人公の両親が登場しない理由はそれだけではないかもしれませんが、そういう一面もあるのではないかと僕は考えています。
逆にメインキャラ級に両親が登場する作品の場合、かなりその影響力が大きいように感じられがちな気がします。
本記事では、そんな両親の中でも母親属性のキャラクターの中から個人的に魅力的だと感じるキャラクターを紹介したいと思います。
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- 10位.浦飯温子(幽遊白書)
- 9位.野原みさえ(クレヨンしんちゃん)
- 8位.工藤有希子(名探偵コナン)
- 7位.坂井千草(灼眼のシャナ)
- 6位.野比玉子(ドラえもん)
- 5位.ベルメール(ONE PIECE)
- 4位.天羽雅音(ウィッチブレイド)
- 3位.チチ(ドラゴンボール)
- 2位.陽炎/影法師(烈火の炎)
- 1位.本田今日子(フルーツバスケット)
10位.浦飯温子(幽遊白書)
『幽遊白書』の主人公である浦飯幽助の母親であり、息子と同じく破天荒な性格をしています。その言動は一見するとあまり良い母親には見えないところもあり、いわゆる毒親のように感じられるところもあるのですが、息子への愛情は息子である浦飯幽助本人が想像もしていなかったほどに深く、事故死した際に泣き崩れていた姿は浦飯幽助が自分が死んだことを悲しみ人間がいると自覚するキッカケにもなりました。
そういう意味では、当初は浦飯幽助が生き返るための物語であった『幽遊白書』という作品の重要なキーパーソンでもあるのですが、アニメ版では大幅に出番を削られるなど不遇なところもあります。
その理由も、主人公の母親が傍にいると影響力が強くて浦飯幽助を思うように動かせないというところにあったらしく、まさに母親という属性の影響力の強さを再認識させられるエピソードでもあると感じます。
9位.野原みさえ(クレヨンしんちゃん)
『クレヨンしんちゃん』の主人公は幼稚園児の野原しんのすけですが、そういう意味では全く自立していない上に狭い世界観の中にいる主人公なので両親の存在感が強くても違和感が無い珍しい作品なのではないかと思います。
どちらかといえば、時折素晴らしい言動を見せる上に実は意外と格好良い父親の野原ひろしにスポットが当たることが多いですが、母親の野原みさえもまた愛情深い良い母親だと思います。
近年の劇場版では、ヒロインどころかほとんど主人公クラスの活躍を見せたこともありますが、まさに母親の愛情が溢れた作品になっていました。
余談ですが、アニメ版放送開始時に野原しんのすけと同世代だった子供も今や野原みさえよりも年上になっています。そういう意味では今の世代の母親に母親の姿を教えてきたキャラクターであるとも言えるかもしれませんね。
8位.工藤有希子(名探偵コナン)
フィクション作品に登場する母親キャラクターには一種の格好良さがあることが多いような気がしますが、『名探偵コナン』の工藤有希子もまた非常に格好良いキャラクターですよね。
怪盗のような変装の技術を持っていたり、探偵のような推理力も持っていたり、『名探偵コナン』に登場するキャラクターの中でも意外とハイブリッドな能力の持ち主でもあります。
主人公の工藤新一(江戸川コナン)の母親なわけですが、息子が命の危機に瀕して幼児化したことを聞いて心配して自身の元へと連れて帰ろうとするものの、しかしそれが息子の意思とは違うことを知ったらその意思を尊重しようとします。
少々浮世離れした母親ではありますが、息子とのことを心配はしつつも信頼している姿は母親のお手本のようでもあって興味深いと思います。
7位.坂井千草(灼眼のシャナ)
『灼眼のシャナ』の舞台は普通の現代社会ですが、その裏側では異能力者と異世界の住人との戦いが行われているという作品となります。
主人公の坂井悠二はその裏側に巻き込まれていくタイプの主人公ですが、その母親である坂井千草はあくまでも普通の現代社会の住人であり、普通であれば存在こそするものの物語上はあまり関わってこないタイプのキャラクターなのではないかと思います。
しかし、坂井千草の場合はあくまでも一般人であるにもかかわらず坂井悠二を通してそれとは知らずに裏側の世界の住人とも関わることがあります。そして、あくまでも普通の一般人の母親らしさを損なわない範囲で、そうした裏側のキャラクターへも影響を与えていく所があるのが興味深いキャラクターなのではないかと思います。
母親という属性の影響力が邪魔になることもあるから多くの作品で母親はモブキャラになっているのではないかとは思っているのですが、モブキャラのまま実は物語に大きな影響を与えているという意味で珍しいキャラクターなのではないかと思います。
6位.野比玉子(ドラえもん)
遊んでばかりいて勉強しなかったりしたら母親は怒るものであるということを、のび太のママこと野比玉子から学んだ人は多いのではないでしょうか?(笑)
昭和後期から平成にかけての小学生の子を持つ母親のイメージとして、これほどしっくりくるキャラクターも逆に珍しいですね。いや、個人的に自分の母親と比較すると似ても似つかないのですけど、どうにも野比玉子には母親のイメージとイコールになるところがあるような気がするのです。
現代においてはあまりこのように怒る母親は珍しいような気もしますが、そもそも怒るという行為はもの凄く疲れるもの。のび太を繰り返し叱ることの労力は想像に難くありませんが、それを思うとこのママの怒りの度合いはそのままのび太への愛情であるとも捉えられます。
・・なんてことは子供にはなかなか理解できない所なのだと思いますが、そう考えると野比玉子もまた素敵な母親なのではないかと思います。
5位.ベルメール(ONE PIECE)
『ONE PIECE』における麦わらの一味の航海士ナミの義母であるベルメールは、娘とも大人げなく喧嘩することもある子供っぽいところがあって、それに要領の悪いバカと言われてもしようがない性格をしているのですが、そんな不器用な愛情がとてつもなく格好良いキャラクターです。
長い『ONE PIECE』の連載の中では刹那的にしか登場していないキャラクターであるにもかかわらず、そんな不器用な格好良さがその他の個性的なキャラクターの数々を差し置いて印象に残っている人は少なくないのではないでしょうか?
「口先だけでも親になりたい」と、ナミやその姉のノジコの母親を名乗るために命を賭した姿は、あまりにも哀しくて感動的でした。
4位.天羽雅音(ウィッチブレイド)
母親という属性のキャラクターは物語への影響力の大きさからあえて存在感を薄くされがちとは前述したところですが、『ウィッチブレイド』の場合はその母親自身が主人公という珍しい例となります。
天羽雅音には記憶障害がありある時期より前の記憶が無いのですが、記憶喪失時に持っていた母子手帳から天羽梨穂子が娘であると認定されていました。しかし、実はこの母娘には血縁関係が無いことが後々明らかになるという複雑な関係だったりします。
実の娘だと思っていたら違ったことに葛藤はあったものの、最後に天羽梨穂子のために戦う姿は本物の母親と同じ愛情が含まれていたような気がします。
3位.チチ(ドラゴンボール)
ギャグ系から始まったバトル系少年漫画『ドラゴンボール』ですが、作中での時間経過が非常に長くキャラクターの年齢的な成長が地味に興味深い作品だったりします。
最初ははねっ返りでお転婆な小娘というキャラクター性で登場したチチも、その後は美しい女性へと成長したかと思えば、意外にも子供の教育に熱心な母親へと転身し、最後には孫ができておばあさんになるという歴史の感じられるキャラクターです。
年齢を重ねるごとに年相応の性格に変わっていくのに、しかしちゃんと根本のところは同じチチなのだということが分かるのが興味深いところですね。
息子の孫悟飯の将来が何より大切で、父親の孫悟空が孫悟飯を修行に連れて行こうとする時は大抵何かしらの危機があるのですが、渋々修行を許可することもあるものの、それでも基本的には孫悟飯の将来の方が危機的状況よりも優先度が高いという息子大好きお母さんです。
2位.陽炎/影法師(烈火の炎)
『烈火の炎』における主人公の烈火の母親である陽炎は、母親という属性のキャラクターの中では他にあまり例がないほど重要な役割を担っています。
最初は敵として登場した上で烈火たちを物語の主軸へと巻き込んでいく役割を担っているかと思えば、そもそも物語の主軸である火影の因縁の中心に近いところにもいて、母親でありながらヒロインの一人くらいのレベルで活躍することになります。
また、肉体年齢はかなり若いものの400年以上生きてきたこともあり、若い女性らしい可愛らしい一面を見せることもあるかと思えば、基本的には妖艶さのある面白いキャラクターでもあります。
赤ん坊だった息子が高校生になってから、しかも敵として再会したことで最初は親子関係がぎこちない感じなのですが、徐々に距離感が変わっていくところが見所です。
1位.本田今日子(フルーツバスケット)
『フルーツバスケット』は様々な親子が描かれているのが特徴的な少女漫画ですが、そんな中でも最も心に残る親子はやはり主人公である本田透とその母親の本田今日子だと思います。
とはいえ、本田今日子は物語の最初から既に故人なのですが、であるにも関わらずその影響力が娘である本田透にあまりにも深く根付いていて、本田透を通して本田今日子とはどのような人物だったのかがひしひしと伝わってくるのが興味深いところです。
若い頃は伝説的なヤンキーだった本田今日子の影響を強く受けた娘が良心の塊のような人間に育っていることに妙な納得感があるのも面白いところで、その納得感の正体は本田今日子が娘によく言っていたという「人は良心(やさしさ)を持って生まれてこない」「良心は体が成長するのと同じで自分の中で育てていく心」というセリフにあるのだと考えられます。
本田今日子の良心が育つまでには本田透の父親との出会いをキッカケとした経緯があるわけなのですが、それで良心は育つものだと気付いた本田今日子は最初から自分の娘には良心が育つように育てたのだと思います。
二次元キャラと自分の年齢を比較してみて感慨深くなる話
アニメ、漫画、ライトノベルに登場するいわゆる二次元のキャラクターの中には現実にはあり得ないような能力や個性を持っていたりと、多かれ少なかれ浮世離れしたところがあります。
しかし、そんな彼らにも当然年齢は存在します。(不詳の場合もありますが)
なんて当たり前すぎる前置きをしてみましたが、僕はこの二次元キャラの年齢というものと自分の年齢を何となく比較してしまいがちなことがあって、ふとそのことを書き記してみたいと思った次第です。
例えば、ずっと年上だと思っていたキャラクターの年齢にいつの間にか追い付いていて、面白いと思うよりも感慨深くなったような経験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか?
そんな二次元キャラと自分の年齢を比較してみて感慨深くなる感覚に共感してくれると嬉しいです。
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サザエさん時空の長寿アニメ
キャラクターと自分の年齢を比較しがちなのはやっぱりサザエさん時空の長寿アニメなのではないかと思います。中でも主要な登場人物の年齢にバラツキがある作品で考えてみるのが面白いです。
個人的には『クレヨンしんちゃん』や『名探偵コナン』あたりで年齢比較してみることが多いのですが、ここで試しに比較してみましょうか。
『クレヨンしんちゃん』の場合
近年では親子二世代でのファンが多い長寿アニメの一つですが、ごくごく一般的な家庭(と言っても野原ひろしは中々の勝ち組ですが)が描かれているということで、自分の家族と比べて見ているような人も多そうですよね。
劇場版の作品も人気ですが、本記事のテーマで語る上で外せないのが2010年に公開された『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』という作品。
これは未来のしんのすけの花嫁を名乗るタミコという女性が、未来のしんのすけを救うために5歳児のしんのすけの力を借りに来るという物語なのですが、そういうわけなので未来のしんのすけや春日部防衛隊にひまわりが描かれているのが興味深い作品なのです。
公開時期的に、『クレヨンしんちゃん』の原作やアニメが始まった頃にしんちゃんと同世代だった子供が成人を迎えて数年後になる作品であり、そういう意味でも大人になったしんちゃんが登場する作品という所に何かしらの意図を感じずにはいられません。
そして、そんな作品ですら今から10年前の作品になるわけで、時間の流れとは怖いものです。(笑)
ちなみに、しんのすけの生年月日は原作開始時点をリアルタイムと仮定すると1985年生まれということになります。1985年生まれの人にとっては一緒に成長してきた同級生というわけですね。
まあ、しんのすけは永遠の5歳児ですが。
本記事の筆者である僕も丁度1985年生まれなのですが、なんと今年でひろしと同い年になります。怖い怖い・・
しんのすけからオバサン扱いされるみさえよりは完全に年上で、みさえくらいの年齢の女性は普通に若くて可愛らしく見えるオジサンです。
元はしんのすけと同い年であったことを考えると、いかに『クレヨンしんちゃん』が長命な作品であるかが伺えますね。
『名探偵コナン』の場合
少しズレがありますけど、『クレヨンしんちゃん』と似たような感覚を持てるのが『名探偵コナン』です。
個人的には工藤新一や毛利蘭と同い年になった時に少し大人になったように感じたのを覚えています。今思えば16歳くらいだとまだまだ子供ですが。(笑)
小さくなった名探偵のコナン君と連載開始時に同い年だった人は、2004年に工藤新一と同じ16歳、2020年現在は32歳でそろそろ毛利小五郎が見えてきています。
そう考えるやっぱり時間の流れって怖い怖い・・
さすがに阿笠博士はまだまだ先ですが、多くの人がそう感じるように大人になってからの時間の流れの感じ方は凄いスピードですし、それもあっという間なのかもしれませんね。
それまでには『名探偵コナン』もさすがに完結しているような気もしますが、連載開始時から『名探偵コナン』を読んでいた子供が阿笠博士と同い年になってもまだ読んでいる姿を想像すると感慨深くなります。
『ガンバ!Fly high(11)』逆転に次ぐ逆転劇が熱いアジア大会(ネタバレ含む感想)
アジア大会編の序盤において日本はパッとしない成績で沈んだ空気が漂っていましたが、決勝では今までのただ完璧なだけの体操とは違う嵯峨の熱の入った演技、そして簑山の怪我によって藤巻駿がレギュラー化したことをキッカケに日本チームの一体感が高まるとともにジワジワと首位を走る中国チームに迫っていきます。
このアジア大会のエピソードは、オンリンピックで金メダルを取るという藤巻駿の目標が俄然現実味を帯びてくる『ガンバ!Fly high』における重要な節目ですが、それに相応しい素晴らしい展開でした。
また、結論を言ってしまえば今回は惜しくも銀メダルという結果になってしまいましたが、日本チームに勝利した中国チームにもまたドラマがあって、冷たい印象があるものの実は誰よりも熱い王景陽の勝利への執念に、最後に逆転を決めた楊修平に影響を与えたのが同じ中国チームの王景陽だけではなく藤巻駿であったというのも面白いところです。
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本作の概要
簑山の怪我をキッカケにレギュラー化した藤巻駿。団体戦のプレッシャーの中で簑山のために決めたトカチェフ前宙で日本チームに活力を与えます。
そこからは中国チームとの一進一退の点取り合戦が始まります。
しかし、ポイントゲッターとして活躍する藤巻駿の左足に異変が発生し、演技を進める内にそれが徐々に顕在化してきます。
本作の見所
ポイントゲッター
簑山の怪我は考えようによっては藤巻駿に全種目演技させるためのメタい意図のある怪我なので不遇と言えば不遇な扱いです。だからこそなのか、藤巻駿のオリジナル技であるトカチェフ前宙は簑山のためにという理由で団体戦のプレッシャーの中決められます。
そして、アジア大会の終了後に簑山は引退してしまうのですが、この流れはもしかしたらいわゆる世代交代を描いたものだったのかもしれませんね。アジア大会のエピソードは若手の選手にチャンスを与えるものでしたが、もっとメタい視点を入れるとオリンピックで活躍させたいこれまでの藤巻駿たちのライバルを成長させるためのものだったのだと思います。
ともあれ、フル出場することになった藤巻駿は日本チームのポイントゲッターとして活躍し始めます。
王と藤巻の二人が勝敗のカギを握ると、そこまで称されるようになるのですがそれに過剰反応したのが王景陽です。
気にはしつつもまだまだ藤巻駿のことを甘い選手だと見ている王景陽は、自分とそんな藤巻駿が同列に語られていることに苛立ちを見せます。
さて、こういう風に主人公側のキャラクターを舐めているようなところがあるキャラクターって嫌われ役みたいなところもあると思うのですが、王景陽の場合は口だけではない何かがあって言いしれない魅力があると思います。
そんな王景陽と藤巻駿というポイントゲッター同士の点取り合戦が、得点だけ見たら王景陽の方がかなり上を行っているように見えるものの興味深くはあります。
藤巻駿の怪我
スポーツ漫画において怪我なのに無理して頑張るという展開はひとつの定番ですが、怪我なら安静にしなきゃダメだろうという常識がありつつも熱くて格好良く感じられる展開ですよね。
怪我と隣り合わせだと思われる体操という競技を描いているにしては『ガンバ!Fly high』においては珍しい展開ですが、藤巻駿が足に違和感を感じつつも、そして徐々に痛みに耐えながら演技する姿は格好良いです。
とくに印象的なのは怪我に気付いた内田の反応です。
平成学園の仲間として一緒に戦っている時ならまだしも、日本を代表して戦っている藤巻駿をただの観客でしかな自分たちには止められないと、藤巻駿のことを案じつつもショックを受けている姿が良いですね。
しかし、日本代表として戦っているとはいえ遠くに行ってしまったわけではなくちゃんと声援の届くところにいる。怪我を我慢しながら演技しているとはいえ藤巻駿がしているのはあくまでも平成学園の楽しい体操なのだと諭したのは相楽まり子。さすが藤巻駿への理解が深いです。(笑)
そして、最後の跳馬の演技では助走の途中で倒れ込んで今いながらも、藤巻駿のことなどほとんど知らないであろう観客からの声援を受けて王景陽と同じ技をキッチリと決めます。
そのことは、藤巻駿のような甘い選手には跳べないと思っていた王景陽をも驚かせました。
中国チームの活躍
中国チームの王景陽に最初から好印象を抱いた読者って少ないような気がするのですけど、アジア大会編を通して氷の男と称される王景陽の冷たいだけではない確かな熱さが感じられて、とても魅力的で格好良く見えるようになってきます。
相手を舐めたように見下し、そもそも相手にすらしていなさそうな態度ですらありましたが、それはあくまでも自分自身の努力に絶対的な自信があるからでした。
その証拠に、相手がそれなりの成果を示した時には興味を持っている様子でしたし、藤巻駿の決死の跳馬で日本チームに逆転されて、しかも自身の演技を以ってしても日本チームの優勝ムードを覆せなかった時には敗北感に涙を流しました。
最も涙と縁遠そうな王景陽だけが中国チームの中で唯一涙を流したという事実は、それだけ王景陽の中に熱さがあったという証拠なのだと思います。
そして、決死の跳馬を見せた藤巻駿や、誰よりも勝ちに拘った王景陽に体操選手として負けたくないと土壇場の局面で新技を披露した楊修平もまた素晴らしい。
成功率10%程度の新技の成功で中国チームはギリギリ逆転して金メダルを獲得することになるのですが、そういう意味では9割は勝利していた日本チームも、1割の勝利を手にした中国チームも悔いのない大会だったのではないでしょうか?
いや、正確には王景陽だけは大きな敗北感を持っていたことは間違いありません。
その証拠に、後々に王景陽はオリンピックに向けて更に完成された体操選手へと進化してきます。そして、その辺はもう少し先の見所になってきます。
オリンピックに向けて
アジア大会を経て藤巻駿の体操選手としての知名度は大きく増し、いよいよオリンピックへの道筋が見えてきました。
アジア大会の予選の前にはインターハイに出場しようとしていてそこまで世界を意識するようなことは無かったことを考えると大きな進歩ですね。
そして、注目すべきはアジア大会の団体銀メダリストになった藤巻駿に触発された平成学園の他の選手たち。新堂キャプテンも三バカも大学生になりましたが、そこで個々に戦っていく展開に突入します。
総括
いかがでしたでしょうか?
アジア大会の決着、そして触発される平成学園の内田に真田。いよいよオリンピックに向けて動き出すことになり面白くなってきます。
平成学園がチームとして戦う展開も面白かったですが、今度は代表枠を巡るライバルになるわけですね。
信頼関係のあるライバル同士の戦いもまた興味深いです。
『いじめるヤバイ奴(7)』最早いじめハーレム漫画ですね(ネタバレ含む感想)
『いじめるヤバイ奴』の生徒会編にはこの7巻で決着が付きますが、その影響で矢場高校は姉妹校である場井高校に吸収合併されることになります。
そして、本物の一流校である場井高校には新たないじめエピソードが待っています。
そして、これまでも加藤、如月と仲島君のいじめライバルが登場してきましたが、如月の上位互換の様相を呈する新たないじめライバルが登場します。
次々と登場するいじめの加害者に被害者たちの数々は、さながらハーレム系ラブコメのヒロインのようですらあります。もちろん、さすがに誰かとエンディングを迎えるようなことはないでしょうけども。(笑)
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本作の概要
いじめの証拠の動画が全校生徒の前で流されてピンチだった仲島君でしたが、入念な下準備と白咲さんや青山さんの助けもあり何とか如月に勝利しました。
しかし、生徒会によるいじめの発覚は学校の吸収合併というあまり聞いたことのないほどの大きな影響をもたらします。
そして、合併先の高校には新たないじめの世界が待ち受けていました。
本作の見所
決着と二人目の廃人
仲島君のいじめは既に周知の事実なのではないかという気もしなくもないのですが、それでもやはりそれを知らなかった人を含めて大きく広められる影響は大きいのかもしれません。
そんな状況で、生徒会の陰謀が渦巻くミスターコンテストの舞台で仲島君のいじめの動画が流されてしまうのは非常にマズイ状況なわけで、というか元々この動画が流されることを阻止しようと動いていた仲島君はこの時点で敗北と言っても過言ではないくらいの状況だったはずで、まさに如月の思い描いた通りの展開を辿ってしまっているように見えます。
しかし、何か逆転の手がありそうな様子は6巻時点からありましたが、その答えは中々に突飛なもので少し笑えました。
なんと仲島君は、ミスターコンテストの会場内を自らのいじめを見せつけることで恐怖心を植え付けた生徒で固め、それ以外の者を入場させないように制限していたのです。
まあ、いくらなんでもそこまでの人数の人心をコントロールするのは難しいだろうというツッコミどころはあるものの、何でもいじめで解決しようとする一貫性があるのは本作品の良いところだと思います。
それに前巻では田中に加藤の頑張りが目立ちましたが、人が変わったような緑田さんに機転を利かせる白咲さん、それに白咲さんの計算通りに暴走する青山さんと、考えてみれば過去の主要キャラクターの総力戦みたいな感じで生徒会のいじめを公なものとした流れも面白いですね。
ヤバイ奴らばかりの漫画ですけど、ラスボス相手に過去の敵も仲間になって立ち向かう展開は少年漫画的な感じがしますね。いや、どう考えてもそういう展開の他の作品と同じ印象は無いのですけど、構成だけみたらそうなっているところが興味深いところです。
とはいえ、仲島君に敗北したものの如月の心は折れておらず、いつかは逆襲しそうな雰囲気がありました。
しかし、そこにトドメを刺したのは白咲さん。加藤以上の廃人へと如月を追い込みました。
もしかしたら、仲島君のいじめライバルには仲島君自身が勝利するものの、そこに白咲さんがトドメを刺して廃人にするというのが本作品のテンプレ的な展開になっていくのかもしれませんね。
学校の吸収合併と新たないじめ対決
生徒会のいじめが周知になった影響で矢場高校は姉妹校である場井高校に吸収合併されてしまいます。
そして、本物の一流校である場井高校には歪んだ選民思想が渦巻いており、そんな思想に基づくいじめが横行していました。
それもまた生徒会が広めた思想らしいのですが、底辺の者を貶めることで上位の者の成績が向上しているという成果があることで教師すらその選民思想に捉われているというまるで異世界のような環境がこれからの舞台となります。
矢場高校でのいじめエピソードにおけるラスボスは生徒会の如月でしたが、その上位互換とも言えるような場井高校の生徒会がラスボスというのは面白い展開ですね。
徳光貞志というのがそのラスボスの名前ですが、如月のように隠れていじめをしているのではなく、むしろいじめを正当化していじめられる側にすらそのことを理解させてしまっているヤバイ奴です。
そして、そんな徳光の考えを理解して配下に加わろうとしているのが意外にも緑田となります。
矢場高校と場井高校の吸収合併は今までの主要人物の立ち位置にも少なからず影響を及ぼすのだと思いますが、その辺がしばらくは注目すべき点なのではないでしょうか?
立ち位置の影響といえば、場井高校の生徒でありながら徳光の考え方に反発心を持っている黒宮さんの登場も気になる点です。なんと黒宮さんは白咲さんの中学の同級生で、過去を知っているであろうキャラクターだったからです。
現時点では徳光が仲島君のことを意識しているような描写はありませんが、恐らく今後はこの二人のいじめ対決という展開になっていくのだと思われます。そして、そこには黒宮さんが当然絡んでくるわけなのですが、その影響で謎めいた白咲さんの思想の謎が少し分かってきたりするのではないかと推測します。
総括
いかがでしたでしょうか?
本作品は正直なところ僕が漫画という媒体に求めているようなタイプの作品ではない気もするのですが、謎の中毒性があって続刊が出る度に読み続けてしまいます。
いじめというテーマに触れると少なからず陰鬱な気持ちになりますが、あまりにも浮世離れしたヤバさがあるので逆にエンタメとして楽しめるのかもしれませんね。ヤバさが抑えられてリアリティが出てきた方が読んでいて暗い気持ちになってしまうかもしれないという考え方です。
ともあれ、そんな『いじめるヤバイ奴』においてずっと謎めいた存在だった白咲さんでしたが、6巻くらいから徐々にその謎めいた部分を明らかにしようとする動きがある気がします。
明らかに白咲さんと対比した名前の新キャラ黒宮さんがどういう働きをするのか、それが今後の気になるポイントです。
【コロナ対策】マスク必須の世の中を快適に過ごすために
緊急事態宣言は解除されたとはいえ、マスクに消毒が必須の世の中になってしまいました。僕の勤め先もなのですが、マスク着用でなければ出社すらさせてくれなかったりする会社も少なくないでしょう。
マスクが苦手な僕としては非常に過ごしづらいところですが、このご時世では仕方がありません。
しかし、さすがにマスク着用のままでは過ごしづらい季節に突入しつつあります。
湿度の高い梅雨に常にマスク着用するのはコロナ対策にはなっても別の理由で体調を崩しそうな気もしますし、その後に控える夏は言うに及ばず。
このままマスク必須の世の中のまま夏に突入すれば「マスクで熱中症が増加」とか「マスクしたままの熱中症対策」みたいなニュースを毎日のように聞かされるような気がしてなりません。
そんなマスクですが、街中では色々なマスクをしている人を見かけるようになってきましたよね。調べてみたところ換気口付きマスクなんて洒落たものも存在するようです。
そして、本記事ではそんなマスクの中から夏に向けてどんなマスクがベストなのかを考えてみたいと思います。
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アベノマスク
なかなか配布されない。そして小さいということで評判の悪いアベノマスクですが、ほとんど全ての人がマスクをしている世の中において、ほとんど全ての人に配布されているにもかかわらず、ほとんど着用者を見かけることのない何だか哀しいマスク。
安倍首相が毎日のように着用していますが、その小ささに誰もが違和感を覚えるだけで着用促進の効果は薄そうですね。
ただし、全くメリットが無いというわけでもないと思います。
サイズ的に子供であれば何とか着用できそうですし、何層にも重ねられた布でカバーされているので市販の使い捨てマスクよりは防ウイルス効果が高そうです。何度も洗って使えますし、使いどころによっては使えそうですね。
ちなみに、僕は常に鞄の中に忍ばせて予備マスクとしています。
とはいえ、着用したことのある人は分かると思いますがアベノマスクはとにかく暑くて息苦しいのが特徴です。防ウイルス効果の代わりに通気性を犠牲にしている感じがするのですが、さすがにこれからの季節には向きません。
安倍首相のマスクがいつの間にか大きくなっていたら、さすがに暑いんだなぁと察してあげましょう。
使い捨てマスク
手軽さでいえば一番で、実際ほとんどの人が着用しているのがこのタイプのマスクですね。使い捨てなので清潔感は一番ですし、ものにもよりますがワイヤーで形を固定できるので隙間もできずらいのがメリットです。
ただし、しばらくするとマスクの繊維がほつれてくる点がデメリットです。僕の場合はこの繊維が口内に入ってきて喉に絡み、せき込んでしまうことがしばしばありました。
繊維の不快感は湿度や気温が上がるにつれて大きくなりそうなので、常に最も清潔なマスクを着用していたい人はこれからの季節は避けた方が良いかもしれませんね。
3D立体マスク
コロナ禍の影響で様々なマスクをしている人を見かけるようになりました。手作りのマスクなんてのもの増えてきたものの一つですね。
中でも、以前から存在はしたものの最近になってよく見かけるようになったのが3Dマスクですね。
こちらのメリットは何と言っても着け心地の良さです。繊維のほつれが気にならず耳も痛くなりづらいのが素晴らしい。使い捨てマスクを外して顎に付けている人は多いですが、このタイプのマスクを同じようにしている人をあまり見かけないのは着け心地の良さの証拠なのではないかと思います。
何度も洗って使えるコスパの良さも魅力ですが、デメリットが無いわけでもありません。通気性がかなり良い上に使い捨てマスクと違って隙間ができやすいので防ウイルス効果は低めな気がしますね。
通気性の良さがマスクにおいて必ずしもメリットなのか否かは議論の余地がありそうですが、とはいえ着け心地が良いので僕はこちらのマスクを愛用しています。
換気口付きマスク
これからの季節、湿気や暑さが増してくる中でマスクを着用し続けるのは非常にツラくなってきそうですね。マスクが苦手な僕としては本当に嫌なのですけど、このご時世では避けて通れません。
そんな中おもしろいマスクを見つけました。
なんと換気口付きのマスクです!
吸う時には閉じて、吐く時にキッチリ換気してくれる優れものだそうです。
マスク着用時にはとにかく空気が籠りますし、言いたかないですけど匂いだってキツクなってくるものです。それに眼鏡着用者は共感してくれると思いますが、湿気の強い日は眼鏡が曇ってしまったりもしますよね。
そういうわけで、これからの季節のためには試してみたいマスクです。
『幽遊白書(8)』短めだけど濃密な名作の感想(ネタバレ注意)
暗黒武術会編もいよいよクライマックス。浦飯幽助と戸愚呂弟の最終決戦を残すのみとなりました。最後らしく今までにない長い長い戦闘シーンになりますが、もちろんただ戦っているだけではなく一波乱も二波乱も起きるので飽きることはありません。
そして、暗黒武術会編から間を置くことも無く次は魔界の扉編が始まります。
暗黒武術会編が戸愚呂編だとしたらラスボスの名前から仙水編とも呼べる魔界の扉編ですが、今までの『幽遊白書』の力が強い方が勝利するといったシンプルなバトルではなく、工夫というか戦術の幅が広がるような能力が登場したことでトリッキーさを帯びてきます。
それは同じく冨樫義博先生の次作となる『HUNTER×HUNTER』の念能力を使ったトリッキーなバトルを彷彿とさせますが、なるほど『幽遊白書』の時点でそういう方向性の傾向はあったのだということが分かって興味深いですね。
いずれにしてもこの8巻では既にそのトリッキーなバトルが読める点に注目してほしいです。
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本作の概要
暗黒武術会編の決勝戦中の決勝戦。浦飯幽助と戸愚呂弟の死合がついに始まります。
互いが互いにハンデを付けた状態から徐々にヒートアップしていく展開が熱いですが、最後には互いに全てを出し合った決着となります。
そして、暗黒武術会が閉幕してその後、間髪入れずに浦飯幽助の誘拐事件が発生します。暗黒武術会の優勝Tのメンバーが誘拐されるという衝撃の事件から次の魔界の扉編が始まります。
本作の見所
ハンデを付けた状態で試合開始
戸愚呂弟は『幽遊白書』の作中では珍しく自分の強さを分かりやすく数値で示しているキャラクターとなります。
垂金の別荘では20%の力で戦う戸愚呂弟に浦飯幽助は苦戦し、その後暗黒武術会に誘われた際には60%の力に恐怖します。暗黒武術会での戦闘シーンでは45%の力で圧勝するところを見せつけていますが、対戦相手もこれまで浦飯Tが苦戦してきたチームと同レベルクラスであると仮定すれば実力差が分かりやすいですね。
それに、幻海を相手にした時こそ相手への敬意から80%までの力を出していますが、浦飯幽助に力を継承した後とはいえ幻海も45%の戸愚呂弟を相手に苦戦しています。
そういうわけで45%の戸愚呂弟にすらまともに闘えたキャラクターは他にいない状況なわけですが、果たして幻海から力を継承した浦飯幽助はどうなのかというところ。
結果は80%の戸愚呂弟と良い勝負を繰り広げることになり相当なパワーアップを遂げたらしいことが垣間見えるのですが、戸愚呂弟は80%と言及している通りまだ全力ではありません。そうすると浦飯幽助の方が不利なのか・・と思いきや、どうやら浦飯幽助も呪霊錠という幻海に施された修行用の技を身に付けたまま闘っていました。
つまり、両者とも自らにハンデを付けた状態で試合していたということで、呪霊錠を外した浦飯幽助は80%の戸愚呂弟を圧倒し、ついには100%の実力を引き出すまでの強さを見せつけます。
このように両者が徐々に隠していた手札を順番に見せていくというか、ギアを上げていくような展開はもどかしくも熱いですよね。
戸愚呂の全力と桑原の犠牲
さて、80%の戸愚呂弟は圧倒した浦飯幽助でしたが、100%の戸愚呂弟は単に20%力が増したというだけではない凄みを感じるほどに進化し、性格的にも分かりやすく冷酷なものへと変わっていきます。それに浦飯幽助は苦戦するのですが、戸愚呂弟の目的は単なる勝利ではなく自分と闘える者を見出すことです。
つまり浦飯幽助の力を引き出す事なわけで、ここで今までの戸愚呂弟であればしなかったであろう浦飯幽助の仲間を犠牲にする方法を取ろうとします。
そしてそのターゲットに選ばれたのは桑原で、浦飯幽助は必死で戸愚呂弟を止めようとするのですがそれも敵いませんでした。
そんな自分が許せない怒りと哀しさから浦飯幽助は100%の戸愚呂弟に迫るほどにパワーアップするのですが、よくある怒りでパワーが爆発するみたいな展開とは少し異なっているのが興味深いところです。
それに浦飯幽助はどこかで戸愚呂弟の強さに憧れていた部分があったようですが、桑原の犠牲で得た自分の強さに哀しさを覚えたからか、全てを捨てて強さを手にしようとする戸愚呂弟の考え方をここで始めて否定します。
しかし、これは桑原の犠牲で手にした自分の強さも否定しているわけで、そんな哀しい強さは不安定でパワーアップした直後は闘う姿勢があまり見えないような状態になっていました。
ですが、自分はもう捨てないと決意したところで本当の意味で吹っ切れます。
単に仲間が死んだから怒りで強くなったというよりも、こういう葛藤があってはじめて力を発揮できるという展開が面白いですよね。
決着とその後
さて、浦飯幽助が吹っ切れて強くなってついに全力の戸愚呂弟とまともに闘えるようになりましたが、その決着は互いに全てをぶつけた上でのギリギリのものでした。
ギリギリだったわりには吹っ切れた後の浦飯幽助には謎の安心感があったのが興味深いところです。
ともあれ、言うまでも無く浦飯幽助の勝利で暗黒武術会は幕を閉じ、実は戸愚呂弟が殺しきれていなかったけど死んだふりをしていた桑原も復活して大団円・・って、幻海は戸愚呂弟に殺されたままじゃん!
実は幻海の遺体は、浦飯Tが優勝した場合に幻海の復活を望むであろうと予想してコエンマが冷凍保存されていたこともあり、浦飯Tの優勝後に復活を遂げることになるのですが、この遺体を保存しておくことを提案したのは敗者である戸愚呂弟だったということらしい。そこからは戸愚呂弟が実は最初から自身が負けることを、ただし全力を出し尽くした上で負けることを望んでいたことが窺えますね。
「たいしたもんだよ。あんたのバカも。死んでもなおりゃしないんだから」
そして、幻海がよみがえる前にあの世で地獄への道へと向かう戸愚呂弟と交わした会話がとても印象的でした。
戸愚呂弟は自分のポリシーを通すために手段を択ばないキャラクターだったものの、死んでも自分を負かした対戦相手の心配をするようなところもあるからこそ魅力的にも感じられるキャラクターなのかもしれません。
不思議な能力を持った三人組
暗黒武術会編で戸愚呂弟にまで勝利した浦飯幽助ですが、読者視点でも最早敵なしの強さになっているように感じられます。
しかし、そんな浦飯幽助が人間の不良風の学生に誘拐されるという事件が発生してしまいます。そもそもが浦飯幽助は霊能力者になる前の普通の人間だった頃ですら無敵の不良だったわけなので、その頃であったとしても意外に感じられる事件ですね。
もちろん、ただの学生が浦飯幽助を誘拐できるはずもなく、何やら不思議な能力を持っているようなのですが、その能力がまた今まで戦ってきた妖怪の能力と比較しても何だか掴みどころのない不思議なものになっていました。
そして、浦飯幽助を助けるために桑原、蔵馬、飛影、ぼたんの4人は誘われるままに浦飯幽助が捕らわれた洋館へと向かいます。
「この家に入った者は決して『あつい』と言ってはいけない。もし言えば・・」
洋館の入り口にはこれまた不思議な忠告の貼り紙があるのですが、なんと本当に『あつい』と言ってしまったら魂を抜き取られてしまうことになります。面白いのは『熱い』のような意味のある言葉だけではなく『あ』と『つ』と『い』を続けて言ってはいけないという厳しめのルールになっている点なのですが、これに蔵馬以外の三人は全員やられてしまいます。
この行使者の設定した禁句を言った者の魂を抜き取る能力の持ち主である海藤優は偶然にも蔵馬の同級生で、蔵馬なみの成績を誇るインテリ優等生でした。というわけでこの二人のインテリ対決になるのですが、両者ともにジッと座ったまま徐々に会話が無くなっていくという言葉にすれば地味な勝負なのに妙な緊張感のある対決になっていました。
まさに今までの妖怪との戦いでは見られなかった特徴的な対決ですが、それだけに海藤優と蔵馬のこの対決は『幽遊白書』の全編通してもかなり記憶に残るものだったのではないかと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
暗黒武術会編とは打って変わった雰囲気で始まった魔界の扉編ですが、『HUNTER×HUNTER』が好きな人ならこのエピソードを最も面白いと感じるのではないかと思います。
また、相手が妖怪ではなく人間であるという点も今までと異なる興味深いところで、どんな戦いが描かれることになるのかが楽しみですね。
キャラクターの成長が熱くて魅力的な漫画・ラノベ・アニメ15選
90年代半ば週刊少年ジャンプで連載されていた『地獄先生ぬ~べ~』という漫画作品中に、主人公であるぬ~べ~を指してインスタントヒーローであると言及するセリフがありました。ぬ~べ~は作中でよくインスタントラーメンを食べているのでそのことを指している・・わけではなく、修行もしないで最初から強い主人公(ヒーロー)であるということを意味するメタなセリフでした。
特段こころに残る名言でも思わずクスっとしてしまうような迷言でもありませんが、しかし最近はこのセリフのことをよく思い出してしまいます。
なぜなら、近年量産されている異世界に転生して無双するような物語の主人公ってまさにインスタントヒーローという言葉がピッタリだと感じるからです。
そうでなくても昔ながらの少年漫画なんかでもインスタントヒーローは数多いですよね。もちろん、そういったキャラクターも作中で当たり前のように成長していきますし、そういう意味では初登場時では完成されていないのでそれをインスタントと一括りにされることは甚だ不本意なことなのかもしれませんし、何を以ってインスタントヒーローだとするのかは意見が分かれるところだと思います。
なんて、いろいろ言及してみましたが個人的にはこういったインスタントヒーローも僕は嫌いではありません。むしろ好きなので異世界転生ものの作品なども大好物だったりします。
しかし、一方で最初は未完成な状態だったキャラクターが徐々に成長していく姿が描かれているような作品も素晴らしいと思っています。
そういう作品のキャラクターはキラキラと輝いていますし、まさに成長する瞬間というものも分かったりしてそういうシーンでは胸が熱くなるもので、そこには最初から強いインスタントヒーローからは中々得られないようなカタルシスが存在します。
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- 1.金色のガッシュ
- 2.史上最強の弟子ケンイチ
- 3.りゅうおうのおしごと
- 4.まじかる タルるートくん
- 5.カレイドスター
- 6.ヒカルの碁
- 7.ブルーピリオド
- 8.ガンバ!Fly high
- 9.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
- 10.ベイビーステップ
- 11.ダイの大冒険
- 12.あさひなぐ
- 13.ちはやふる
- 14.ラブひな
- 15.暗殺教室
1.金色のガッシュ
天才的に頭は良いけどそれが原因で周囲と馴染めず不貞腐れてしまっている中学生と、魔物の王様を巡る戦いに参戦しているのが不思議なほど弱い者であると認識されている上に記憶を失っている魔物が、タッグを組んで勝ち上がっていく姿がとにかく熱い作品です。
本作品は週刊少年サンデーの連載作品でしたが、週刊少年ジャンプの代名詞である友情・努力・勝利の三拍子が完璧に揃っています。しかし、何より本作品を魅力的なものに押し上げているのは友情・努力・勝利の3つ以上に強固な信念が主人公の二人にはある点です。
その信念とは、序盤のとある戦いをキッカケに「やさしい王様になる」という目標のことで、どう考えてもやさしい王様にはならないであろうと思える相手には何が何でも食らいついていく姿が激熱です。
いわゆるバトルロイヤル形式の戦いなので周囲は全員敵のはずなのに、自分たちと同じくやさしい王様になり得ると思えるものであればむしろ積極的に仲間になってしまうのも面白いところです。
つまり、二人の信念は正確には「やさしい王様になるのは誰でも良いけど、自分がなるに越したことはない」という柔軟な部分もあるものであり、それが根幹にあるからこそ本作品は熱くて面白いのだと思います。
ちなみに、個人的にはバトル要素のある作品の中でも最高傑作に近いものであると感じています。
2.史上最強の弟子ケンイチ
いじめ対策のために空手部に入部したもののやっぱりいじめられている高校生が、様々な武術を極めた達人たちが共同生活を送る梁山泊の一番弟子となり、武術の才能は無いと言われながらも強烈な修行に耐えて成長していく姿が熱い作品となります。
史上最強の弟子がとにかくツライ修行にも耐える背景には「誰もが見て見ぬ振りをするような悪党どもをやっつけるヒーローになる」という強い信念があり、本来は強者を相手にはすぐにでも逃げ出したくなってしまうほど弱く、植物を育てるのが好きな温厚な性格なのですが、その信念のためには決して敵わないような達人にも立ち向かうことがあるのが面白いところです。
また、本作品の最大の特徴としては師匠である達人たちとその弟子たちの戦いは基本的には分別されている点で、これは他に類似例の無いほど個性的なものだと思います。
基本的に作中で達人と称される者は、主人公含め弟子クラスの者はどんな強者でも勝てないほど実力に開きがあるのですが、「弟子の戦いに師匠は出ない」という不文律があって師匠たちの戦いと弟子たちの戦いが分けられているので、それぞれの戦いが楽しめるのが魅力です。
時たまその垣根を越えて弟子たちが達人側と相対することもあったり、達人側がその弟子に影響されて成長することもあったり、キャラクターの相関関係も面白い作品です。
3.りゅうおうのおしごと
史上最年少の竜王となった少年に憧れた女子小学生が遠路はるばる家出して弟子入りしに来るという物語のラノベ作品ですが、ラノベ特融の可愛らしい女の子が表紙の作品とは思えないほど泥臭い熱さがあって、そこが魅力の作品でもあります。
史上最年少の竜王になったものの精神的に未熟な部分もあり全不調に陥っていた少年が弟子を育てることで良い方向に快調することを始め、様々なキャラクターが互いに影響しあって成長しながら戦っていく姿がとにかく熱いです。
将棋という双方の実力が伯仲しているほど面白い競技を題材にしているからか、対戦相手となるキャラクターもかなり深掘りされていて、例えば主人公側が敗れるような展開になったとしても納得できるほど全てのキャラクターに寄り添った描かれ方をしているのも魅力です。例外として、あえて象徴的な存在として現時点では深く描かれていない名人というキャラクターも存在しますが、それもまた面白いポイントだったりします。
多くの巻で女子小学生から中学生の女の子が表紙を飾るロリ系ラノベとしてはあまりにも例外的なことですが、一冊まるまる主人公の師匠であるオジサンが主人公になっているようなエピソードも存在するのが興味深いところで、本当に多くのキャラクターに寄り添って描かれていることを象徴しているのではないかと思います。
4.まじかる タルるートくん
多くの人は最初の1巻目を読んだ時点でとあることに気付くはずです。何かといえば、もの凄く『ドラえもん』に似ているということにです。というのも、そもそも本作品は『ドラえもん』のアンチテーゼとして描かれた作品であり、そのことはファンの間では周知の事実なので当然といえば当然の話なのです。
マスコット的なキャラクターがいじめられっ子で弱虫な主人公の前に現れるという展開もそうですが、他の登場キャラクターの配置や役割にも『ドラえもん』を彷彿とさせるところがあります。まあ、『ドラえもん』よりは対象年齢が高めでかなり苛烈なバトルシーンや際どいお色気シーンもありますが、最大の違いはそこではありません。
『ドラえもん』の場合、主人公ののび太には基本的に成長がありません。劇場版なんかでは素晴らしい人間性を見せたりすることもありますが、これはこの際横に置いておきましょう。(笑)
しかし、本作品の場合はとにかく主人公は成長していきます。『ドラえもん』における道具が本作品では魔法にあたるのですが、魔法に頼り切るのではなくそれはあくまでも成長するための道具の位置づけになっていく所が本作品の魅力であり、『ドラえもん』のアンチテーゼたる所以となります。
もちろん、『ドラえもん』が不朽の名作であることに異論はありませんが、主人公が成長する『ドラえもん』に興味がある人なら本作品も好きになれると思います。
ちなみに、本記事の紹介作品の中では最古となる作品なので知らない人も多いかと思いますが、アニメ版のキャストが今となってはとてつもなく豪華な作品でもあります。
5.カレイドスター
サーカスという珍しいテーマのオリジナルアニメ作品となります。主人公は新体操の経験者の少女で身体能力こそとても高いですが、演技については完全な素人で最初はかなり苦労することになります。
とにかく前向きな性格を武器に努力と根性で演者としても人間的にも成長していく姿が魅力的な作品です。
個人的に放送当時はキャラデザの雰囲気や放送時間から少女向けアニメのような印象を持っていましたが、どちらかといえばかなり泥臭いスポ根作品になっているところが興味深いところです。
想像ですが、サーカスのような演者の世界の表側はとても煌びやかでも、その裏側はとても泥臭いものなのだと思われます。
そして、本作品の魅力はそんな裏側にこそあります。あまりにも泥臭い努力と根性の世界という裏側があるからこそ、その先にある煌びやかさがより際立つのが素晴らしく感動的です。
歴代のオリジナルアニメの中でもトップクラスの名作だとは思うのですが、その割に知名度は低めなのが複雑なところ。本記事で興味を持った人は是非見てみてください。
6.ヒカルの碁
囲碁になんて興味すら無かった少年が囲碁を愛して止まない幽霊と出会い、少年を通してしか囲碁を打てない幽霊のために囲碁に触れていく内に囲碁の魅力に引き込まれていくという作品ですが、最初は才能を全く感じさせない初心者だったところからどんどんと強く成長していく姿が熱くて魅力的な作品です。
トップになるような人間は本当に幼い頃から修行しているような世界で出遅れたハンデのある主人公が、囲碁好きの幽霊が師匠としては優秀で才能を徐々に開花させていきます。
興味深いのは主人公の少年はここぞというクライマックス的な場面では結構敗北しているという点で、自分よりも強い相手を前に急激に成長して勝利するというような少年漫画の王道的な流れからは外れているところです。
自分よりも強い相手を前に急激に成長するものの一歩届かないというところにリアリティが感じられます。また、一歩届かないものの大きな成長が見受けられるのも面白いところです。
7.ブルーピリオド
勉学の成績においても人付き合いにおいても要領が良く優秀だけど、どこかチャラい雰囲気のある高校二年生の少年が、ある日美術部に所属する先輩の描いた絵に魅了され、そしてそれに僅かながら影響された上で自身が美術の授業で描いた絵が褒められたことで、いつの間にか本気で絵画を学び一流の美術大学への進学を希望するようになるという作品です。
現役での合格は難しいとされる美術大学を高校二年生という遅すぎるタイミングで目指すことになるわけですが、そこに向けてひた向きに成長していく姿が眩しく感じられます。
しかし、本作品の一番の魅力は絵画というある意味では抽象的なものに主人公が魅了されるまでの描写があまりにも優れている点です。
絵画を見た時の感動ほど言葉で表現しづらいものはあまり無いと思うのですが、とにかく主人公の感動がひしひしと伝わってくるのが本作品の魅力であり、そんな感動が分かるからこそ主人公の頑張る姿に説得力もあるように感じられます。
本記事で紹介している作品の中では比較的新しい作品であり、これからが楽しみでもあります。
8.ガンバ!Fly high
跳び箱も跳べないような中学生が、オリンピックで金メダルが取りたいのだと宣言しながら弱小体操部に入部し、その場は一笑に付されるものの徐々にそれが現実味を帯びてくるほど成長していく作品となります。
スポーツ漫画としてはオーソドックスな展開の作品ではありますが、同様にスポーツ漫画においてマンネリ化しやすい試合ごとのエピソードに誰かしらの成長や試合そのものとは実のところあまり関係の無いドラマが描かれていたりもして、そういうところが魅力的な作品でもあります。
そして、スポーツ漫画らしくライバルキャラは登場するものの、主人公のスタンスはあくまでも自分との戦いという考えに近いもので、今までできなかったことができるようになることを楽しむというものとなります。
つまり、キャラクターの成長する作品には頑張っているツライ姿を見せることも多いと思うのですが、本作品の場合は誰よりも努力しているはずなのにツライ顔を見せることが少ないというよく考えると独特な性質があって、それもまた本作品の魅力であると感じます。
9.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
冒険者が集まる都市にあるダンジョンにやってきた駆け出し冒険者の少年が、ダンジョン内で不相応なレベルのモンスターに襲われているところを間一髪で一流の女冒険者に助けられ、その衝撃的な出会いから一目惚れしてしまい、その憧憬から規格外の成長力で女冒険者に追い付こうとしていくという作品となります。
ファンタジー作品における主人公には何かしら突出したところがあるものですが、本作品の主人公の場合はそれが成長力となるので、まさに本記事のテーマにピッタリな作品でもありますね。
主人公の成長力は本当に規格外ではあるものの、しかし上には上がいて前述の女冒険者を含めどんなに成長してもまだまだ届かない冒険者やモンスターは山ほど存在します。
そうした高みにいる冒険者と、主人公とその周辺の冒険者の活躍が棲み分けて描かれているようなところもあり、その視点の違いも本作品の面白いところです。
10.ベイビーステップ
変人扱いされるほど几帳面な性格で、授業中に取っているノートにもそれが反映されていて当然のように成績優秀な少年が、運動不足の解消を理由に訪れたテニスクラブでプロプレイヤーを目指す隣のクラスの少女に出会ったことをキッカケに、自分自身もテニスにのめり込んでいくようになるという作品です。
生来の几帳面な性格はテニスプレイヤーとしても非常に個性的な武器となり、試合中ですらノートで試行錯誤する姿を見せて対戦相手を驚かせるほど。
それのだけを切り取ってみればかなりの変人ですが、ある意味では学んだことを素直に吸収していくことに繋がっているわけで、テニスを始めた時期は遅かったものの次々と強敵に勝利するほど成長していくことになります。
ずば抜けた才能があるというよりは、ただただ素直に分かりやすく成長していく主人公が魅力的な作品だと思います。
11.ダイの大冒険
国民的なRPGである『ドラゴンクエスト』を元ネタとした漫画ですが、RPGといえば最初は低いレベルから徐々に成長していき、できることが増えていくのが魅力のゲームとなります。同じように本作品の主人公は特別な力を持った少年ではあるものの、しかし最初から強いわけではなく、いざ強さを発揮したらしたで自らが助けられた人々から怖がられてしまうようなこともあったり、常に逆境にいるようなところがあります。
しかし、本作品における最大の成長株は主人公ではなくその親友ポジのキャラクターとなります。当初は誰よりも臆病で常に逃げ腰であり、仲間を見捨ててしまうような場面もあったりするのですが、最後には誰よりも勇気を持ったキャラクターへと成長します。
常に冷静だったり恐いもの知らずだったりするキャラクターもそれはそれで格好良いですが、臆病だからこそ共感できる部分も多く、そんな共感できるキャラクターが勇気を振り絞っている姿が熱くて魅力的に感じられます。
12.あさひなぐ
ドジで運動音痴な上に背が低くて非力な主人公が薙刀を始めるものの、体格的にも体力的にも明らかにハンデがあるためこれが現実ならすぐに辞めてしまうことが見え見えというような状態だったのですが、憧れと不屈の根性でいつの間にか他の部員から頼られるほど強く成長していくという作品となります。
どんなに強く成長しても精神的に常に未完成な部分があるところにリアリティがあって面白いです。ある時は精神的に無敵な状態に見えたかと思えば、それが脆く崩れてしまったり、未完成な部分があるからこそその先が楽しみに感じられます。
13.ちはやふる
競技カルタというコアな世界を題材とした少女漫画ですが、まるで少年漫画にあるような熱血スポーツ漫画を彷彿とさせるほど熱い作品となります。
自分自身の夢を持っていなかったが、小学生の頃に転校性の少年の影響で競技カルタに興味を持った主人公が、すごい行動力でかるた部を新設して全国大会の優勝を目指すのですが、主人公自身の熱のある行動力と団体競技として勝ち上がって行くまでの成長の過程が爽快に感じられます。
また、近年ではクイーンを目指す主人公個人の活躍にスポットが当てられており、序中盤とは違った熱さが感じられるのも面白いところです。
14.ラブひな
キャラクターの成長が熱くて魅力的な作品といえば、やっぱりスポーツものや部活もの、それにバトル要素のある作品が思い浮かびやすいかと思いますが、いわゆるハーレムものラブコメの中にもそういう作品はあります。
といっても本作品の場合は受験という要素もあるのですが、平均にも満たない学力で東大を目指して三浪しているダメダメな主人公が、学力的にも人間的にも大きく成長していく姿に共感が持てます。
受験生という多くの人に馴染みのある立ち位置のキャラクターだからこそ、本作品の主人公にはどこか見守っていたくなるような魅力があると思います。
15.暗殺教室
1年後に地球を爆破すると宣言した誰にも殺せない担任教師を生徒たちが試行錯誤して暗殺しようとすることを通して成長していくというあまりにも個性的な作品ですが、個性的なだけではなく非常に完成度の高い名作となります。
暗殺対象であるはずの担任教師が、暗殺しようとする生徒たちに好かれている部分もあったり、暗殺する者とされる者の絆というか信頼関係が育まれていくのですが、そんな特殊な状況に妙な説得力があるのが興味深いところです。
『ヒカルの碁』の名場面、名台詞から囲碁を学ぼう!(その5)
『ヒカルの碁』に登場するキャラクターは週刊少年ジャンプの連載作品にしては尖った部分のないいわゆる普通の人という印象が強いです。だからといって没個性なわけではなく、誰も彼も魅力的なキャラクターばかりで、だからこそ共感しやすいところも多いのではないかと思います。
例えば、ヒカルにとっては院生時代の先輩というか兄貴分的なキャラクターである伊角さんにしても、いわゆる普通の好青年といった雰囲気のキャラクターですが、その割には随分と人気のあるキャラクターでもありますね。特にプロ棋士の中にファンが多いようで、実力がありながらプロ試験を突破できずにくすぶっている姿が共感を呼ぶのだと思われます。
そんな伊角さんのプロ試験のエピソードにおける最も印象的だった出来事から学ぶ教訓について本記事では触れていきます。
今回の名場面・名台詞
伊角さんがプロ試験でヒカルと対局した際に一度指から離れた石を打ち直したシーンについて
『ヒカルの碁』の作中には数多くの対局が描かれていますが、最も印象に残るミスをしたシーンといえば伊角さんが対局相手であるヒカルを気にするあまり自分の意思に反した手を打ってしまい、慌てて打ち直したが指が碁石から離れてしまっていたので反則となってしまったシーンなのではないでしょうか?
そして、このシーンから学ぶことは大きく二つあるのではないかと思います。
それは
- たった一つのミスで形勢は入れ替わるということ
- 集中力を欠いている状態では考えられないようなミスが起こり得るということ
の二つです。
一つ目はある程度囲碁の経験を積んだ人であれば実感していることかと思いますが、囲碁というゲームには良い手はあっても勝因となる手は多くの場合存在しません。いわゆる良さそうな手を打っても、それを後に繋げられるか否かは純粋な実力でしかないからです。
しかし、勝因となる手は無くても敗因となる手は山ほど存在します。後に繋げられなかった良さそうな手などは多くの場合はやりすぎてしまった敗因の手であると言えますね。
より多くの、そしてより大きなミスをした方が負けるゲームこそが囲碁であると聞いたことがありますが、それはまさにその通りであることを何局も対局を重ねてきた人であれば実感できるところだと思います。
勝っているのにやりすぎて逆転負けしてしまったり、もうダメだと諦めていたところに相手のミスがあって逆転勝ちしたり、そんなことは日常茶飯事ですよね。
トッププロの対局ですら最後の最後のミスが勝敗に直結することは珍しくありません。
そういうわけで囲碁には明確な勝因となる手はほぼ存在しえないわけなのですが、その証拠に一流の打ち手であればあるほど自らの勝利を「運が良かった」と称しますよね。
例えば、近年のNHK囲碁トーナメントでは「今日の一手」という勝者側の解説が最後にありますが、日本囲碁界の第一人者である井山先生は必ずといって良いほど自らの勝因を述べることはなく、反省点を述べています。これこそ囲碁というゲームの本質がミスを排するところにあることを示しています。
そして、そんなミスが起こり得るのは何かしら集中力を欠いている時であることが多いです。
勝ちを意識した時なんかが集中力を欠きやすい代表的なポイントでしょうけど、今回の伊角さんの場合は盤面以上に対局相手を意識しすぎたところで集中力が逸れたという感じでしょうか。
いずれにしても、どんなに強くなっても一瞬の集中力の途切れが大逆転負けに繋がるようなことは珍しくありません。というか、こういう集中力の途切れは勝っている側に起きることが多いような気がするのですが、それもまた興味深いポイントだと思います。
これは勝っている時こそ気を緩めてはいけないという教訓にもなっているのではないかと思います。
ちなみに、集中力を欠いてアテ間違えたというエピソードについてどのように感じましたか?
そんな自分の意思に反して間違えるようなミスはあり得ない。そんな風に感じた人も多いのではないかと思います。というか、僕自身もこのエピソードは教訓ではあってもそうそう起こり得るようなことでは無いと思っていました。
しかし、つい最近ネット対局中に自分の意思に反した手を打ってしまい大逆転負けするという経験をしてしまい、それでこの伊角さんのエピソードを思い出した次第でした。
参考までに紹介するとこの終局図。幽玄の間の4段戦で、黒番の僕の中押し負けとなります。右辺の白石を仕留めていた種石4子を取られてしまっては地も足りませんし中央の黒の一団も弱くて攻められそうなので投了も止む無しですね。
しかし、149手目でノビた手でタケフ(149手目の右上。上図の赤丸部分)にしておけば何事もないどころか黒は負けようのない展開でした。
なら打っている時に気付いていなかったかといえば、実はこの局面は数手前に想定していた通りの図で、その時にはタケフに打つことを想定していました。しかし、ほぼ白の投了待ちの形勢だったところで深く考えずに手拍子でサラサラ打っていた時についノビてしまって打った瞬間に「あっ!」と気付いたわけです。
ネットなので伊角さんのようにそっとタケフに打ち直すこともできません。(笑)
集中力を欠いていると伊角さんのような間違いが発生することもあるのだという実体験でした。
『服を着るならこんなふうにfor ladies』男だけどレディース版を読んでみた感想(ネタバレ注意)
『服を着るならこんなふうに』とは、ファッションをテーマにした珍しい漫画作品です。主人公の妹でファッションに詳しい大学生の佐藤環が、ファッションに苦手意識のある20代会社員の主人公の佐藤祐介に、ファッションについて教えたことで徐々にその奥深さに気付いてハマっていくというのがストーリーの主軸になっています。
兄妹のキャラクターはなかなか魅力的だし、話の内容も面白いのですけど、何より興味深いのがかなり分かりやすい初心者向けのファッションの教科書のような作品になっている点です。
それこそ初期の祐介のようにファッションに興味が無かったり苦手意識のある人が読んだとしても、興味を持つキッカケにもなりますし、どうやって洋服を選べばよいかの基礎知識を身に付けていくことにも繋がります。
これは以前本編のレビューをした際にも言及したことではあるのですが、オシャレが苦手な人に対して「ファッションってこんなに奥深くて楽しいんだよ」と伝えようとしているのが『服を着るならこんなふうに』という作品なのですね。
作中にはハイブランドの高価な洋服や小物も登場しますが、基本的にはごくごく一般的な金銭感覚の人でも真似しやすい範囲でファッションを教えてくれるのが本作品の良いところだと思います。
しかし、街中で様々な性別や年齢の人を眺めてみれば一目瞭然のことではありますが、ファッションは性別や年齢によってかなり違ったものとなります。とりわけ女性のファッションは、ごくごく普通の一般人であってもかなりの多様性があるものですよね?
つまり、主人公が20代男性のサラリーマンである『服を着るならこんなふうに』では、そんな多様性のある女性のファッションまでは網羅されていないわけです。恐らく、本作品の読者にしても20代から30代の男性が多いのではないかと予想します。
とはいえ、面白い上にファッションの教科書としても秀逸な作品なので、女性ファッションをテーマにしたようなエピソードも需要がありそうだと感じていましたが、実際に同じ世界観の別作品として刊行されたわけなので需要はあったのでしょうね。
僕は男なので教科書としては使えませんが、それでは面白い作品ではあるので読んでみました。
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本作の概要
押さえるところさえ押さえておけばまあ失敗することのない男性のファッションと異なり、あまりにも多種多様で難しそうな女性ファッションですが、街中でよく見かける服装の意味合いが分かったり、実は男性のファッションとも基本的な部分で通じる所があることが分かったり、興味深い内容になっています。
しかし、男性のファッションを勉強中で女性のファッションなど分かるはずもない本編の主人公はほぼ不在です。(笑)
本作の見所
レディースファッションは難しい
メンズファッションと比べて情報量が多く、服だけではなくメイクや髪形にアクセサリーも男性よりずっと気を使わなければいけない。
そう言って本編の主人公である祐介は少し顔見せして、男性視点から見た女性ファッションの難しさを代弁したのちに退場です。(笑)
実際、ごくごく一般的な男性の視点から見ると女性ファッションは一種の専門性を帯びた特殊な世界に見えてしまいます。しかし、よくよく考えてみれば素敵な洋服を着こなす一般人女性にとっても難しさは変わらないのではないかと思います。
こういうのは興味があったり、必要があったりすることに対して無意識の内に知識を身に付けていくものなんでしょうね。それはある一定の難しさがあることならファッションに限らず同じことが言えます。
ファッション強者の環が、兄の祐介に対して男性ファッションについては教えられても女性ファッションに対しては難しいと感じているところからも、その奥深さが伺えますね。
3つのシルエット
女性ファッションにはオシャレに見えやすいシルエットが3つあるそうです。
最初に種類だけ言及すると、Aライン、Yライン、Iラインということになるのですが、文字の形の通りに下に広がっているのがAラインで、上に広がっているのがYライン、そして細めな印象なのがIラインとなります。
そして、どんな服装を選ぶとそれぞれどのラインに近付くのかが説明されているのですが興味深いです。
ハイブランド
何か一つはハイブランドをって感じでハイブランドには憧れますよね。そこに男女差はあまり無いと思いますけど、しかし何となく女性の方がハイブランド好きなイメージがあるのは僕の偏見でしょうか?
個人的には、洋服など尖ったデザインが多かったりブランドの主張が強かったりするところがあまり好きではないので、財布のように目立たない小物であればハイブランドを使うこともありますが、そんな感じでハイブランドに対する距離感は人それぞれだとは思うのですが、それはそれとして手の届かないような高額なファッションを眺めてしまうのは人のさがなのかもしれませんね。(笑)
体形とファッション
ファッションを楽しめるのはスタイルが良いから。
そんな風に感じてしまう人がいるのは男女共通なのだなぁと思わされます。
しかし、どちらかといえばむしろ欠点を隠すために使えるのがファッションであるということを本作品は教えてくれています。
痩せて見せたくて細身の洋服を着る人がいるのは男女共通ですが、タイトなものよりあえて広がりのあるものを選ぶのがコツだという点では共通しているのが面白いですね。
それを踏まえて道行く人のファッションを思い出してみると、特に女性のファッションの場合はヒラヒラしていたりフワフワしている洋服が多いので、そういう意味では体形を隠せるようによくできていることが分かります。
カジュアルとドレス
男性ファッションと同じなのは痩せて見せる時のコツだけではありません。
本編でも繰り返し登場するカジュアルとドレスの割合でその場に応じたファッションを選ぶという考え方は、女性ファッションでも同じみたいですね。
女性ファッションの多様性は、そこまでファッションへの興味が大きいわけでもない僕のような男性から見ても羨ましいところですが、しかし一方で面倒くさそうと感じる部分でもあります。
例えば会社員であれば、男性はスーツ一択で服装に困ることなどありませんが、近年はオフィスカジュアルで女性の場合はスーツ姿の人の方が稀ですからね。
仕事中に着る洋服として適切な洋服は何なのか?
それも毎日同じ洋服というわけにもいかない中で考えるのは中々面倒くさそうです。誰も指摘しませんけど、中には「そんな恰好で仕事するの?」と思わず言いたくなるような人もいますからね。
そういう意味では、女性は男性以上にシーンに応じた服装を常日頃から考える必要があるわけで、カジュアルとドレスの割合という基礎知識は日常的に役立つのではないかと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
女性のファッションそのものにはそこまでの興味は無かったものの、単純に漫画作品として面白かったですし、相手の理解のためには男でも女性のファッションについて多少の知識があっても良いのではないかとは思っているので、そういう意味では勉強にもなりました。
ただ、個人的にはこの漫画の購入時にレジに持っていくのが地味に気恥ずかしかったです。(笑)
少女漫画だとか肌色成分多め表紙の漫画だとか、その辺は平気も平気なところではありますけど、やっぱりこの漫画に対して教科書的なイメージを持っているところがあるので、「おまえが買ってどうすんだ」という風に自分でも思ってしまっていたからかもしれません。
例えば、僕は購入したことがありませんが女性ファッション誌を購入しようとしたら似たような気恥ずかしさが生まれそうな気がします。
とはいえ、別に女性だけが楽しめる漫画というわけではなく、男性が読んでも普通に面白いので、是非一度読んでみてはいかがかと思います。
『幽遊白書(7)』短めだけど濃密な名作の感想(ネタバレ注意)
『幽遊白書』の暗黒武術会編も佳境に差し掛かってまいりましたね。
浦飯Tは幻海の活躍で決勝進出を決めましたし、7巻の序盤にも幻海と戸愚呂弟の因縁の対決が描かれていて、幻海の活躍が著しいです。
戸愚呂弟との戦いには前哨戦という感じも含まれていますが、個人的には暗黒武術会編のバトルカードの中でも上位の名シーンだと思っています。
そして、戸愚呂Tにおける戸愚呂弟以外の実力も明らかになっていきます。
強敵っぽいですが、浦飯幽助も大きくパワーアップして復活したっぽいですし、ラストバトルへの期待が高まっていきますね。
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本作の概要
幻海の活躍もあって決勝進出を決めた浦飯Tですが、戸愚呂弟以外の実力も明らかになってきて戸愚呂Tとの決勝戦はどのカードも苦戦が予想されます。
そんな中、決勝進出の立役者である幻海と戸愚呂弟の因縁の対決が場外で始まり、すべてを浦飯幽助に託した幻海はここで力を使い果たして、しかしそれでもなお戸愚呂弟には届きませんでした。
そして、幻海を失った浦飯幽助は戸愚呂弟との戦いに闘志を燃やします。
本作の見所
幻海VS戸愚呂弟
暗黒武術会の外で行われる野良試合ですが、暗黒武術会編で指折りの見所のひとつだと思うのが幻海と戸愚呂弟の因縁の対決ですね。
正直なところ、乱童編の時点では幻海がラスボス級のキャラクターである戸愚呂弟との因縁のあるこんなに深掘りされるキャラクターになるとは思わなかったというか、わりと驚きの展開だったのではないかと思います。
そして、この対決はそんな因縁に決着を付けるものですが、浦飯幽助の師匠として圧倒的な強者感があり、実際に暗黒武術会の中でその実力を示してきた幻海が、浦飯幽助に力を継承した後とはいえ80%状態の戸愚呂弟の相手にもならない展開は、その後の浦飯Tと戸愚呂Tの試合の行方に不安を感じさせます。
幻海に勝つためには技を超えた圧倒的なパワーが必要なのだと戸愚呂弟は言及していますが、まさにその言葉通りにパワーで幻海を圧倒します。
「お前は幻海じゃない。骨と皮のただのガラクタだ」
「あたしは幻海だ。お前なんかに殺されてたまるか」
戦っているさなかのこのやり取りが非常に印象的です。
長きに渡って強力な力を維持することに拘って人間から妖怪にまでなった戸愚呂弟と、自然に従って年老いていくべきであると考える幻海の価値観の違いを如実に示していますね。
つまり、戸愚呂弟からしてみたら若くて強かった頃の幻海こそが本物の幻海であり、現在の浦飯幽助に力を継承して弱くなった幻海は幻海ではないと否定しているわけで、それこそが戸愚呂弟の価値観だということです。
こういう主張のぶつかり合う戦いでは、より正しいと感じられる主張を持つ方が勝利するのがありがちな展開という気もしますが、この対決の結末はその逆の結果となりました。まあ逆と感じるか否かは読み手の捉え方次第ですが、多くの人は幻海側の主張に正しさを覚えたのではないかと思います。
そして、こういう正しさを持つ主張があっけなく敗れていくのは読んでいて何だか切ないですよね。
『幽遊白書』はバトル系少年漫画ですが、意外と切ないとか哀しいと感じられるシーンは多いのも特徴だと思います。
まあ、戸愚呂弟の主張にもあまりにも突き詰めている愚直さがあって、それこそが強さという風にも感じられたような気もします。
蔵馬VS鴉
裏御伽チームの鈴木からもらった前世の実を武器に再び妖狐の姿に戻って戦う蔵馬が見所となります。
そもそも、今ではそこまで珍しいわけでもありませんが、当時のバトル系少年漫画のキャラクターとして蔵馬はかなり珍しい部類のキャラクターだったような気がします。
中世的で古典的な少女漫画にでも登場しそうな出で立ちがまず珍しかったですよね。そんなキャラクターがスタイリッシュではあるものの攻撃的な要素を踏まえた妖狐に変身して戦うというのには、単純に格好良いというだけではなく一種の高揚感がありました。
裏浦島との戦闘では、妖狐になった蔵馬の凄さを強調するためもあったのでしょうけど一瞬で決着が付いてしまったので消化不良感もありましたし、そういう意味では鴉との戦闘を楽しみにしていた人も多かったのではないかと思われます。
そして、そんな妖狐になった蔵馬の珍しいバトルシーンを遺憾なく楽しむことができるのですが、何より面白いのは決着のシーンでは元の蔵馬に戻ってしまっているところ。
妖狐になって鴉をそのまま圧倒していくというのでもそれはそれで面白くはあったと思いますが、妖狐の強さは見せつつ、蔵馬に戻すことでピンチを演出し、その上で勝負に勝って試合に負けるようなギリギリで決着するというのが憎いですよね。
飛影VS武威
飛影にとっての暗黒武術会といえば、黒龍派を完成させるための過程であったという印象が強いですよね。
そして、どうやら戸愚呂Tとの決勝戦までに黒龍派の後遺症を直すに留まらず完成すらさせてきたところはさすがといった感じです。
武威もまた凄い実力者であることは事前に示されていましたが、苦戦すらせずに圧倒的に飛影が勝利してしまいました。もっと苦戦する展開を予想した人が多いのではないかと思いますが、飛影ってそういう感じのキャラだよねって思わされてしまうところが興味深いです。
ちなみに、僕はそうだったのですが、この飛影と武威の試合シーンを読んで飛影であれば戸愚呂弟とも良い勝負をしそうだと思った人は多いのではないでしょうか?
桑原VS戸愚呂兄
浦飯Tと戸愚呂Tとの対決カードについて、ここまでくれば戸愚呂兄と戦うのが桑原になるであろうことは想像に難くないところだと思いますが、桑原が戸愚呂兄に勝利するイメージが個人的には最初湧きませんでした。
実際、試合展開は終始桑原が圧倒され続けるといった感じです・・というか、暗黒武術会編に限らず桑原の戦闘シーンってあまり最初から相手を圧倒するような展開ってほとんど無くて、炊いては最初からピンチって感じですよね。(笑)
しかし、そう来るかと思わされるような驚きの逆転勝ちを収めることが多く、今回もそれと同じような展開になりました。
多少のダメージを与えても回復してしまう戸愚呂兄に、復活でき内容の霊剣を鉄板のような形にして全体を潰してしまうという勝利は、あまりスマートには見えないものの桑原らしさがあって良かったと思います。
総括
いかがでしたでしょうか?
そういえば、浦飯、桑原、蔵馬、飛影の4人が揃って出場するのは一回戦以来ですね。そう考えると、覆面選手こと幻海が不在なのが悔やまれます。いや、一応コエンマが代わりにいますけど。(笑)
ともあれ、次の8巻はいよいよクライマックス。浦飯幽助と戸愚呂弟の試合が開始されます。
『ガンバ!Fly high(11)』今までのライバルがチームメイトになる熱い展開(ネタバレ含む感想)
『ガンバ!Fly high』の文庫版。一冊の中で藤巻駿以外の平成学園の男子体操部員の活躍が一切描かれていないというのは初めてかもしれませんね。
それもそのはず。前巻まででアジア大会の出場を賭けた選考会をお互い敵同士で戦っていたわけで、そこを勝ち上がったのは藤巻駿だけなのだから当然といえば当然の展開ですが、三バカ達が活躍しない『ガンバ!Fly high』は何だか寂しく感じられます。
とはいえ、もちろん寂しいだけではありません。
李軍団の嵯峨康則に、他人の視界を共有する堀田辰也、同じコーチを持つ斉藤栄といった今までは平成学園のライバルだった選手たちが今度はチームメイトになる熱い展開です。
考えてみれば日本代表になるということは、そのチームメイトは国内におけるライバルということにもなるので当然のことなのでしょうけど、ライバルだったからこそ徐々に生じてくる一体感に説得力があるのが素晴らしいです。
それは例えば平成学園の体操を否定する立場にあった李軍団の嵯峨康則すらも例外ではありません。考えてみれば、嵯峨康則はもとより李軍団の中にあっても平成学園の体操を最初から良くも悪くも意識しているところのあるキャラクターだったので、ここでチームメイトになってもそこまで違和感がないのが興味深いところだと思います。
そして、そんなかつての強敵たちが仲間になるのは心強くなるものの、だからこそ『ガンバ!Fly high』の読者としての視点からはドリームチームに見える日本チームがアジア大会で苦戦を強いられる展開は、世界の壁の厚さを感じさせられる面白い展開であると感じました。
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本作の概要
全日本合宿で登場した日本チームのコーチ山田三郎は、ヤクザのような容貌でありながら藤巻駿が最も得意とする鉄棒での弱点を一目で見抜く実力者でした。
そして、代表になるために藤巻駿はその弱点を何とか克服します。
レギュラーにこそなれなかったものの鉄棒のスペシャリストとしてアジア大会に出場することになった藤巻駿でしたが、スペシャリストとして出場するからこそ自分の鉄棒が世界に通用するのかと珍しくプレッシャーに悩まされてしまいます。
本作の見所
トラウマの三回宙
「欠点てのは、最も得意とするものの影にひそんでいるものよ!」
全日本の合宿に現れたのはヤクザのような容貌の山田三郎コーチ。あまり体操をしそうには見えない感じで一見その実力は未知数ですが、天才と呼ばれる堀田の弱点が得意種目であるあん馬への過信にあると一目で見抜いてします。
そして、弱点を見抜かれたのは堀田だけではありません。
「びびってんじゃねぇ・・。バーの間近で三回宙をやるのが、そんなにおっかねぇか!?」
鉄棒のスペシャリストである藤巻駿もまた、最も得意とするものの中に弱点がひそんでいたようです。
文庫版の3巻にて、同じ合宿施設で藤巻駿が三回宙の練習で天井を突き破ってしまうエピソードがありました。その後、一時期トラウマで鉄棒から手が離せない事態に陥ってしまったもののアンドレアノフのアドバイスで克服したかに見えました。
しかし、確かにアンドレアノフのアドバイスはトラウマに対して真正面から克服するようなものではなかったので、実際のところ完全な克服には至っていなかったようです。
というか、堀田も指摘している通り藤巻駿の演技構成には三回宙のようにバーの近くで高く飛ぶ必要のある技は含まれていなかったわけで、そういう意味では藤巻駿自身も無意識にそのことに気付いていた可能性すらありますよね。
そして、この全日本の合宿はそんな藤巻駿の鉄棒における弱点を取り除くためのエピソードとなります。
また、最終巻で藤巻駿が決めることになる大技への布石ともなるエピソードなので、最後まで覚えておいて欲しいエピソードでもあります。
プレッシャーを感じる藤巻駿
体操のようにどんな一流選手でもちょっとした不調やミスで大幅に減点されてしまいかねない競技において、藤巻駿のようにあまりプレッシャーは感じないのだという選手は稀なのではないかと思います。
実際、藤巻駿がプレッシャーを感じているようなシーンはとても珍しい。
プレッシャーを感じているシーンといえば、平成学園の男子体操部に入部した直後に試合に出場したシーンと、相楽まり子のために勝ちにこだわりすぎて臨んだ福井での全国大会くらいでしょうか?
しかし、鉄棒のスペシャリストとしてレギュラーの交代要員という立場になった後に、自らの演技をコピーしてみせた楊修平の鉄棒の演技を見て、果たして自分は鉄棒のスペシャリストとして活躍できるのかとプレッシャーを感じるようになります。
表面上はいつもの藤巻駿を取り繕っているものの、明らかにソワソワしている様子が興味深いところです。
「だから勝ち負けのために、体操はしないで! 人を感動させる演技をして! 「楽しい体操」をして!!」
そして、そんな藤巻駿のプレッシャーを和らげたのは相楽まり子でした。
今までの藤巻駿は、勝つための練習はしていても勝つことを絶対的に求められていたかといえばそうではありませんでした。だからこそプレシャーを感じずにいられたのだと思いますが、今回ばかりは勝つことを求められていることを自覚したためプレッシャーを感じたのだと思います。
しかし、相楽まり子が求めたのは勝つための体操ではなく今まで通りの体操でした。
だからこそ藤巻駿のプレッシャーはほぐれたのだと思いますが、考えてみれば面白いやり取りだったと思います。
ギスギスした日本チーム
ライバル同士がチームになった日本チームですが、全日本合宿のエピソードでは藤巻駿の三回宙成功を巡って結束力は強まった感じがします。
しかし、藤巻駿というか平成学園の体操を認めたくない日本体操協会の役員である上総の存在と、アジア大会予選での斎藤のあん馬における落下の失敗とそこから続く負の連鎖による日本チームの不調で、日本チーム全体の雰囲気はギスギスとしたものになってしまいます。
なんとも幸先のよくないスタートを切った日本チームのアジア大会ですが、だからこそそこからどう持ち直していくのかが楽しみな展開であるとも言えます。
チームの半数がかつての藤巻駿の強敵たちというドリームチームですが、だからと言って最初から無双したり敵は中国だけという状態になってしまうよりは、こんな実力者でもちょっとしたことでままならなくなるという中でどう実力を発揮していくのかという展開の方が面白いですもんね。
個人的には、高い実力を持つものの完璧を目指すあまり演技時代の迫力は欠けるイメージのある李軍団の嵯峨が、怪我でリタイアした簑山に大口をたたいた自分が負けるわけにはいかないと気迫の演技を見せ、自己採点以上の得点を出してチームの雰囲気まで変えてしまったシーンが印象的でした。
そういう意味でこのアジア大会のエピソードは、平成学園以外のかつてのライバルたちの成長も描かれていて、それもまた面白いところだと思います。
中国チームと王景陽
体操が強い国といえばどこでしょう?
アジアの中であれば中国・・というか、世界的に見ても中国の体操が強いことは周知の事実でしょう。
そして、今回はアジア大会なので当然中国の代表チームも出場しています。
軽薄そうに見えて行きずりでスーツ姿で行った鉄棒で藤巻駿の演技をオリジナル技を含めてコピーしてしまった楊修平に、日本チームを歯牙にもかけない様子の王景陽。
そんな中国の二人の実力者にスポットが当てられて描かれていますが、特に王景陽は日本チームにとっての高い壁として描かれています。
誰に対しても厳しいけど、何より自分に対して厳しいので、その厳しさに強い説得力のある凄い選手として描かれており、直接対決はこのアジア大会のエピソード以外だと最後のシドニーオリンピックのエピソードのみとなるのですが、つまりは『ガンバ!Fly high』という作品における最終的なライバルとなるキャラクターであることを意味するため、その言動には注目してみて読んで欲しいところです。
総括
いかがでしたでしょうか?
鉄棒のみのスペシャリスト枠だった藤巻駿も全種目戦うことになりました。散々な結果だった予選を引きずらずにどこまで本線を戦えるのか?
また、日本チームに立ちはだかる壁として登場した中国チームに王景陽や楊修平といった有力選手の動向も気になるところですね。